アルムナイ・ネットワークは「共創」を生み出すハブ。活用しない方がデメリット

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株式会社ファングリーで採用広報を担当している北桝です。
タイトルの通り、この記事では当社の「アルムナイ・ネットワーク」についてご紹介します。

労働市場においては「退職者」を指す「アルムナイ(alumni)」。企業が退職者を再雇用する「アルムナイ制度」は主に外資系企業で積極的に採用されてきました。下図でも明らかなように、日本国内で見ると制度として確立している企業は決して多くはないものの、従業員規模の大きい大手企業を中心に、アルムナイ・ネットワークの構築を進めている企業は増えつつあります。

グラフ

出典:2020年6月 パーソル総合研究所「コーポレート・アルムナイ(企業同窓生)に関する定量調査 結果報告書」

何を隠そう、当社ファングリーもその一社。2020年10月の分社化以前より長らくアルムナイ・ネットワークの構築・活用を進めてきたため、その実情やどんなメリットを享受しているかをお伝えしたいと思います。

かくいう私もアルムナイからの出戻り社員

この記事を書いている私自身も、実はアルムナイでした。分社化前の2018年末に親会社のブランディングテクノロジー社を退職し、プライム上場の事業会社へ移りましたが、2021年8月に約2年半ぶりにファングリーへ出戻ってきました。

出戻りの理由はいろいろありますが、まとめると「自分にとって心理的安全性の高い環境で、会社の成長にダイレクトに貢献できるチャレンジをしたい」という気持ちが強くありました。

後者だけならまた別の会社であっても実現できることですが、前者の「心理的安全性」はやはりアルムナイ・ネットワークだからこそ得られるもの。そういう意味で「転職」ではなく、「出戻り」という選択肢しか自分の中にはありませんでした。

おかげさまで再び温かく迎え入れてもらい、自分が会社を離れている期間に得たスキルを活かしつつ、この採用広報の役割を含め、たくさんの新たな挑戦をさせてもらっています。とはいえ、何も私だけが特別なのではなく、実は当社は約30名の組織で、私含め3名のアルムナイが出戻りの正社員として働いています。つまり、社員全体の1割が元アルムナイなんです。

再雇用、業務委託……アルムナイ・ネットワークの形はいろいろ

私の場合は正社員としての再雇用でしたが、ファングリーではアルムナイと業務委託契約を結び、外部パートナーとして活躍していただくというパターンもかなり多くあります。

当社は編集者やライター、デザイナーなどのクリエイターが多く在籍していることもあり、退職後にフリーランスとして独立する方も少なくありません。そのため独立した方にプロジェクトの参画を打診することもよくあります。

独立されたクリエイター職のアルムナイと当社をつなぐものとして、当社の運営するフリーランスクリエイタープラットフォーム「hitch+」が機能しています。

当社の場合、プロジェクトごとに必要な専門性などに鑑みてクリエイティブチームを編成するので、さまざまなクリエイターとのつながりはサービスの提供品質を支える重要な要素の一つです。

もちろん一から外部パートナーを探すケースもありますが、初めから信頼関係の築けているパートナーにジョインしてもらう方がリスクは少なくコミュニケーションもスムーズですし、プロジェクトの成果も出しやすいと考えます。

実際、私もアルムナイ(という名の、かつての同僚たち)に仕事をオファーする機会は多く、それぞれ環境が変わっても気の置けない仲間と再び仕事ができるのはとても心強く感じています。

アルムナイのメリットは事業推進の面でも

ここまでにご紹介した再雇用や業務委託という形でのアルムナイ・ネットワークの活用は、会社にとって主に人的リソースやノウハウの確保の面でメリットのあることですが、それ以外のメリットとして、別会社へ転職したアルムナイ(分社化以前に所属していた方)から当社へお仕事のご相談をいただき、受注につながるケースも多くあります。

たとえば、マーケティングコンサル企業へ転職したアルムナイから、とあるクライアントのプロジェクトにコンテンツ企画制作支援でジョインしてほしいというオファーがあったり、広告代理店へ転職したアルムナイから動画制作を依頼されたり……といった形で、ご相談をいただいています。

この背景には、もともと同じ会社に所属していたアルムナイだからこそ、当社のサービスを熟知したうえで、転職後に改めてその優位性や独自性を再確認していただいていることがあるのだと思います。

アルムナイの中には退職後に近しい業界でさらに知見を深める人もいれば、まったく別業界でチャレンジをする人もいます。

アルムナイを媒介して会社自体がさまざまな業界・業種の企業とつながる(お取引する)ことができるため、退職者とコンタクトをとりやすい体制を構築しておくことは組織のマネジメントだけでなく、事業推進の面でも非常に有益だと考えます。

アルムナイは「共創」を生み出すハブ

人材の流動化が一般的になりつつある今のご時世、退職者を「裏切り者」のように扱う企業の方が珍しいと思いますが、そうはいってもアルムナイ・ネットワークを十分に活用しきれていない企業はまだまだたくさんあるのではないでしょうか。

少しおおげさに聞こえてしまうかもしれませんが、アルムナイ・ネットワークの活用は私たちが世の中に提供するサービスの価値向上につながり、結果的に市場への貢献という好循環を生むものだと考えます。

また、ファングリーの掲げる「コンテンツの力で共創の機会を増やす」というミッションにおいては、共創を「異なる立場・技術・価値観などを掛け合わせて新しい価値を生み出すこと」と定義していますが、この実現に不可欠な要素の一つとしても、アルムナイは非常に貴重なネットワークです。

「だから、アルムナイは活用しない方がデメリット」ということで、この記事がアルムナイ・ネットワークの活用に関心のある企業様のご参考になりましたら嬉しく思います。ご精読ありがとうございました。