サイトデザイン、何パターン作るのが最適解? 「複数案」が常に正解とは限らない理由

ページのイメージ画像

Webサイトのリニューアルを検討されている企業の皆さん、こんにちは。ファングリーでデザイナーをしている宮越です。

「サイトデザインを依頼する際、何パターンくらい作ってもらえるんだろう?」

「1パターンだけだと不安。他社はいくつか提案してくれるって聞いたけど……」

もしかしたら、そんな疑問や不安をお持ちかもしれません。確かに、一般的には複数のデザイン案を提示するケースも少なくないでしょう。しかし、サイトデザインにおいては、「2パターン以上作るのが常に正解」とは限りません。1つのデザイン案をじっくりお客様とデザイナーでブラッシュアップすることにより、満足度の高いサイトを作り上げることも可能です。

今回は、サイトデザインの提案パターンにまつわる疑問を解消しつつ、「成果につなげるためのデザインプロセス」の裏側をお話ししたいと思います。

「複数案」の落とし穴? 選択肢が増えることのデメリット

デザイン案が複数あると、選択肢が広がり、より良いものが選べるように感じるかもしれません。しかし、実はその「選択肢の多さ」が、時に以下のようなデメリットをもたらしてしまうことがあります

  • 何が良いか分からなくなる

    複数のデザイン案を並べた際、「どれも良いように見えるけれど、どれが一番目的に合致しているデザインなのか分からない」という状況に陥ることがあります。それぞれの良い点・悪い点が混在した状態を見て、判断軸がブレてしまうのです。特に、意思決定者が複数名いる場合、意見がまとまらずにかえって時間がかかってしまうことも少なくありません。

  • 「捨て案」が生まれる

    デザイナーが無理して「複数案を作ること」にこだわってしまうと、本来の目的から外れた「捨て案」(選ばれる可能性が低いと思われる案)ができる可能性が高くなります。捨て案は制作側の時間と労力の無駄になるだけでなく、クライアントにとっても「本当に検討が必要な選択肢」ではないことが多いため、結果的に「良いもの」を選ぶ機会を奪ってしまいます。

  • ブラッシュアップの機会損失

    複数案の検討に時間が分散されることで、「本当に良い1案」を徹底的に磨き上げる時間が失われる可能性があります。結果として、「どの案もあと一歩なのに」という中途半端な仕上がりになってしまうこともあり得るでしょう。

  • 複数案の比較検討が生きるケースもある

    もちろん、複数のデザイン案が有効に機能するケースも存在します。例えば、ターゲット層が明確に複数に分かれている場合や、全く異なるコンセプトの方向性を模索したい場合などです。しかし、やみくもにパターン数を増やすことが必ずしも良いとは限りません。

成功の鍵は「デザインの前工程」と「1案を磨き上げる力」

では、私たちはどのようにして最適なデザインを生み出しているのか。その鍵を握るのは、デザインに着手する前の「ワイヤーフレーム作成」という作業工程と、「1つの案を徹底的にブラッシュアップする」という考え方です。

圧倒的に重要な「ワイヤーフレーム作成」のフェーズ

サイトデザインを始める前に、私たちはまず「ワイヤーフレーム」という設計図を作成します。これはWebサイトの骨格となるもので、各ページの要素(画像、テキスト、ボタンなど)の配置や情報設計、ユーザーの行動フローなどを明確にする工程です。

このワイヤーフレーム作成の段階で、以下のような内容を徹底的に詰めていきます。

  • ユーザーの行動シナリオ

    誰が、どのような目的でサイトを訪れ、どのように情報を得るのか、そして最終的に何をしてほしいのかを具体的に設計します。

  • コンテンツの優先順位

    伝えたい情報の中で、最も重要なものは何か? ユーザーが最も知りたい情報は何か? を明確にし、配置の優先順位を決定します。

導線の最適化

ユーザーが迷うことなく目的の情報にたどり着けるよう、わかりやすいナビゲーションやボタンの配置を検討します。

このワイヤーフレームが「なぜその情報が必要で、なぜその場所に配置するのか」という論理に基づいていることで、その後のデザイン工程がスムーズに進みます。逆に、ワイヤーフレームがないと(あるいは設計が曖昧なままだと)、どんなにデザイン案を多く作っても結局は表面的な違いに終始し、成果に結びつかなくなってしまう可能性が高まります。

1案を徹底的に磨き上げた成功事例

ワイヤーフレームでサイトの骨格が固まったら、その後のデザインは「どのように表現するか」というフェーズへと移行します。この段階で、私たちは綿密なデザインヒアリングとワイヤーフレームでの合意に基づき、最適なデザインを1案に絞り込み、その1案を徹底的にブラッシュアップしていきます。

例えば、

・企業のブランドイメージを最大限に引き出す色使いやフォント選定

ターゲットユーザーの感性に響く写真やイラストの選定

・視線の動きを意識したレイアウトや動きの検討

など、細部にわたるまでこだわり抜きます。

実際、ファングリーで手掛けたサイトリニューアルプロジェクトの中には、この「1案を徹底的に磨き上げる」アプローチで成功を収めた事例が多数あります。ターゲットユーザーの明確化とワイヤーフレーム上での合意形成がしっかりできていたため、デザインの方向性に迷いがなく、短期間で質の高いデザインを完成させることができました。こういったサイトは、リニューアル後の問い合わせ数が大幅に増加したり、サイトからの売上が劇的に向上したりといった成果につながっています。

一方で、複数のデザイン案を提案し、そこからブラッシュアップを重ねて成功に至ったケースも存在します。例えば、クライアント側で複数の意思決定者の意見が割れている場合や、新事業の立ち上げでまだ明確なイメージがない場合など、いくつかの選択肢から方向性を見出すことが有効なケースです。しかし共通して言えるのは、「なぜそのデザインが良いのか」という根拠が明確であること。そして、「最終的に1つの方向性に絞り込んで磨き上げる」というプロセスが重要であるということです。

大切なのはデザインの「数」ではなく「質」

「他社は何パターンもデザインを作るのに、なぜ弊社は1パターンなの?」

この答えは「ビジネスゴール達成に最も貢献できる1つのデザイン案を、徹底的に考え抜いてご提案している」からです。

サイトデザインの「成功」とは、見た目の美しさだけではありません。お客様のビジネス目的を達成し、ユーザーに価値を届けるための重要なツールです。そして、そのツールを最大限に活かすためには、デザインの着手前にいかに綿密な「設計(ワイヤーフレーム作成)」を行うか、そして練り上げられた1つのデザインをどこまで深掘りして磨き上げられるかが何よりも重要になります。

ファングリーでは、お客様のビジネスを深く理解し、最適な「ワイヤーフレーム」と「デザイン」を通じて、成果につながるWebサイト制作をご支援しています。デザインのパターン数にとらわれず、本質的な「成果」を追求するサイトリニューアルにご興味があれば、ぜひ一度ご相談ください。

Webサイト制作事例集ダウンロード

サイト制作のお問い合わせはこちらから