デザインの統一は「コスト削減」と「信頼獲得」への投資。成果を出すための『トーン&マナー』の構築プロセス

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こんにちは。ファングリーでデザイナーをしている宮越です。

これまでのブログでは、「Webサイトのデザイン案は何パターンが最適か」というプロセスの話や、「ロゴ制作に込める想い」という本質的な価値についてお話ししてきました。

サイトのリニューアルやロゴの刷新は、企業にとって大きな転換点です。しかし、いざ新しいクリエイティブの運用を始めてみると、現場では以下のような「ズレ」が頻発します。

  • 「営業資料のデザインが、Webサイトの雰囲気とまったく違う」
  • 「SNSのバナーが、担当者の好みによって毎回テイストが変わってしまう」
  • 「新しいパンフレットを作りたいが、基準がないため制作会社へ指示ができない」

これらはすべて、ブランドの『トーン&マナー(以下、トンマナ)』が定義されていないことが原因です。今回は、ブランドの信頼性を左右する「一貫性」の正体と、それを実現するための具体的な構築プロセスについてお話しします。

1. トンマナがバラバラな状態で起こる「3つの損失」

トンマナとは、デザインにおける「雰囲気」や「様式」のルールです。これが統一されていない状態は、単に見た目が揃っていないだけでなく、ビジネスにおいて以下のような具体的な損失を生み出す恐れがあります。

1.ユーザーコミュニケーションの不全

Webサイトは洗練されたIT企業のイメージなのに、営業資料が「手作り感満載」では、ユーザーはどちらが本当の姿なのか混乱します。一貫性のないコミュニケーションは情報の伝達を妨げてしまい、本来届くはずのメッセージが正しく伝わりません。

2.企業信頼の毀損

顧客とのあらゆる接点(タッチポイント)で受ける印象がバラバラだと、「細部まで管理が行き届いていない会社」「軸が定まっていない会社」というネガティブな印象を与えかねません。これはプロフェッショナルとしての信頼を損なう直接的な要因となります。

3.制作コストと工数の増大

基準がないため、新しいクリエイティブの制作を検討するたびに「どんなデザインにするか」というゼロベースの議論が発生します。判断基準が曖昧なため修正回数も増え、社内のディレクション工数も外部への委託コストも不必要に膨らんでしまいます。

2. デザインの根拠を明確にする「言語化」の工程

では、効果的なトンマナはどのように構築すべきなのでしょうか。「流行りの色を使う」といった表層的なアプローチだけでは、ビジネス成果に貢献するデザインは作れません。重要なのは、デザインに着手する前段階にある「ブランドの言語化」です。

私たちファングリーでは、いきなり色や形を提案することはありません。まずはお客様が目指すビジネスゴールを深くヒアリングし、以下の要素を言葉として定義します。

  • ターゲット: どのような課題を持った層に、どのような優先順位で情報を届けるか
  • 提供価値(バリュー): 他社にはない独自の強みや、顧客が享受できる情緒的価値は何か
  • ブランドの訴求トーン: 安定感のある「保守的・フォーマル」な印象か、あるいはエネルギーを感じさせる「活動的・カジュアル」な印象か(デザインの方向性を左右する基準の策定)

この「言語化」の工程を経て初めて、「なぜこの色なのか」「なぜこのフォントなのか」というデザインの妥当性を論理的に説明できるようになります。このプロセスこそが、トンマナ構築における最も重要な基盤となります。

3. 効率的な運用を支える「ブランドガイドライン」の役割

言語化された方針を、具体的なデザインルールに落とし込んだものが「ブランドガイドライン」です。ガイドラインを整備する最大のメリットは、「誰が作ってもブランドの品質を維持できる状態」を作ることです。

ガイドラインでは、主に以下のような実務的なルールを定義します。

  • ロゴの使用規定: 余白(アイソレーション)の設定や、視認性を保つための最小サイズ、変形や色変更などの禁止事項
  • カラーパレット: メイン、サブ、背景色などのカラーコード(CMYK、RGB、HEX)と、それぞれの使用比率
  • タイポグラフィ: 使用するフォントの指定と、見出し・本文におけるサイズや行間のルール
  • ビジュアルの選定基準: 使用する写真のトーン(明るさ、色調)やイラストのタッチ

これらをルール化することで社内での意思決定が高速化し、制作会社への発注時にも正確な指示が可能になります。

4. 一貫したユーザー体験が商品・サービスを記憶しやすくする

私たちが提供するのは、単一のデザインパーツではありません。Webサイト、パンフレット、SNS、提案資料など、あらゆる顧客接点において「一貫したユーザー体験」を提供するための仕組みです。

ユーザーは異なる媒体で何度も同じ「らしさ」に触れることで、その企業やサービスを正しく記憶し、信頼を寄せるようになります。トンマナを正しく構築し、ガイドラインによって運用を最適化することは、ブランドを資産として蓄積し、長期的な競争力を高めるための重要な投資となるのです。

もし貴社の中で「デザインがバラバラで、発信したいメッセージがうまく伝わっていない」「ブランディングを強化したいが、何から手をつけるべきか分からない」という課題があれば、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

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