ターゲット・ターゲットインサイト・USPを活かすUX設計の考え方

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こんにちは。今回もブログを担当する佐藤です。

今回は自身がサイトを制作するにあたり最も大切にしており、考え方の軸となっているターゲット、ターゲットインサイト、USPについて書いていきます。

1. ターゲット理解は「前提条件」、次の一手はUX

Webサイトの運用やリニューアルに関わったことのある方であれば、ターゲットやペルソナ、USPの重要性はすでに理解されていることと思います。実際、お客様からいただくRFP(提案依頼書)でも、ペルソナ分析やUSPをまとめていただいているケースは少なくありません。

もちろん、課題感のみをお伝えいただき、こちらからご提案する場合も多いですが、ターゲット、ターゲットインサイト、USPは、サイト制作において欠かせない羅針盤となります。これらはWebサイトだけでなく、マーケティング、サービス・製品開発、そしてブランディングのあらゆる場面で思考のヒントになります。本記事では、Webサイトをベースに、この3つの要素を戦略的に整理し、UXに落とし込むための具体的な方法を解説します。

2. ターゲット設計を深く掘り下げる

ターゲットの基本属性を整理するのはもちろんですが、さらに一歩進んでみましょう。単に年齢や性別を並べるだけでなく、どんな情報に触れているか、サイトでどう行動するか、何に心理的なハードルを感じるかまで掘り下げて設計することが重要です。

複数のターゲットがいる場合は、どの層を優先するか明確に決める必要があります。例えば、今すぐ購入したい層とブランドを知ってほしい層が混在している場合、最初の画面でどちらに語りかけるかで、その後の導線も変わってきます。

タッチポイントを洗い出し、ユーザーの心理を考える

サイトに訪れるユーザーとの接点(タッチポイント)を洗い出すのも有効です。たいていの場合、サイトだけでは完結せず、SNSや広告、メルマガなど、ユーザーとの接点は複数存在しています。

サイトがどういったユーザーに、どういった機会で訪れてもらうことになるか、または訪れてもらいたいかを考えることで、トップページやランディングページの構成を考えるヒントになります。

ちなみに、タッチポイントを洗い出し、各媒体のクリエイティブや訴求内容をチェックしていくと、整合性が取れていないことや、もっと違う情報を伝えた方が良いといった発見を得られる場合が多くあります。これはブランディングにおいて非常に重要な気づきとなるため、ぜひ試してみてください。

3. ターゲットインサイトをサイトに反映する具体的な方法

ターゲットインサイトは、ユーザーの潜在的なニーズや心理的背景を指します。表面的なニーズだけでなく、心の奥底にある「なぜ?」を掘り下げることが重要です。これは自社のサービスや製品が「なぜ」選ばれているのかを理解するヒントになり、競合と比較することでUSPの発見にもつながります。

【インサイトの探し方:お掃除ロボットを例に】

ここでは、お掃除ロボットを例に考えてみましょう。ターゲットのニーズは「面倒な掃除を自動化したい」や「外出中に部屋がきれいになっていたら嬉しい」といったものです。ここからさらに、潜在的なインサイトを探ります。

お掃除ロボットがリビングを健気に掃除し、完了するとさっそうと基地に帰っていく姿を想像してみてください。コンパクトで丸いフォルムが、埃を集めている姿が愛らしく見えたりしませんか?もしかすると、ごつくて場所を取るロボットよりも、可愛いフォルムのほうがリビングに置きたくなるかもしれません。

もしこの「愛らしさ」がインサイトだとすれば、**「なるべく丸く、大きすぎない方が選ばれる」**という仮説が生まれます。

このインサイトをサイト設計に反映する場合、トップページには丸いフォルムや掃除シーンを写真で見せ、全体的なデザインもフレンドリーさを意識しよう、といった方向性が見えてきます。

もし、このインサイトを見逃していたらどうなるでしょうか。**「性能をアピールしよう」「最先端技術をアピールしよう」**と、未来的なデザインや、より大きくパワフルな製品を目指すことになるかもしれません。このように、ターゲットインサイトを深く分析することで、サイトのデザインやコピーの方向性が全く異なるものになる可能性があります。

サイト設計への反映

上述のお掃除ロボットの例でも取り上げたように、ターゲットインサイトからサイトのデザインやコピーを考えていくことが可能です。また、コンテンツの優先順位を付けることで、ナビゲーションやトップで見せるコンテンツの配置も変わります。ユーザーにとって本当に必要な情報を考えるヒントにもなるため、ページ構成も変わってきます。

ターゲットとインサイトを分析することで、判断基準を設けることができ、議論もスムーズに進み、ユーザーに寄り添ったサイトに改修していくことが可能になります。

4. USPを戦略的にUXに組み込む

USPは単なる差別化ポイントではなく、ユーザーの意思決定に直接影響する価値です。複数のUSPが存在する場合、ページやフェーズごとにどれを前面に押し出すか戦略的に判断します。ファーストビューでは、ターゲットのインサイトと最も強力なUSPを組み合わせ、ページ下部では補助的なUSPや具体的な信頼性情報を提示するといった設計が有効です。

USPはコピーやCTAの文言だけでなく、ページ全体の構造や情報提示順にも影響します。ユーザーが自然に納得し、次のアクションに進めるよう導線を設計することが、戦略的なUSP活用の肝です。

また、USPはブランディングにおける指針にもなります。タグラインやキャッチコピー、ブランドストーリーを作る際の軸となります。USPを考える際は競合と比較するのが前提ですが、その時、業界全体でどういった強みのカテゴリがあるのか、どう分類できるかを考えてみましょう。その中で、自社のUSPはどのカテゴリに属するのか、どのカテゴリを狙うのかといった視点を持つと、タッチポイントやブランディングの再考に至るかもしれません。

5. タグラインとキャッチコピーの戦略的使い分け

サイト上で言葉を設計する際には、タグラインとキャッチコピーの使い分けも重要です。タグラインはブランド全体の価値や理念を伝え、潜在的な信頼感を醸成します。一方でキャッチコピーは、ページやコンテンツ単位でターゲットに即座に刺さる表現を用い、行動喚起に直結します。

UX視点では、タグラインが強すぎるとCTAの訴求が弱くなることがあるため、ページ上で心理的優先順位を意識して配置することが重要です。また、ターゲットがサイトにたどり着くフェーズ(認知期、検討期、購入期)に応じてコピーを変えることで、自然に行動を促すことができます。

タグラインを元に、タッチポイントに合わせたキャッチコピーを制作して展開していくと考えるとわかりやすいでしょう。

6. まとめ

ターゲット、ターゲットインサイト、USPは、基礎知識として理解するだけでなく、UX設計やコピー、導線戦略の意思決定の軸として活用することが成果につながります。優先度を明確化し、施策やページごとに反映することで、サイトの説得力と行動喚起力を同時に高めることができます。タグラインとキャッチコピーの戦略的使い分けも、ブランド価値とユーザー行動の両立を支える重要な要素です。

 

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