情緒的価値の訴求で共感と信頼を獲得
動画公開から1ヶ月で検索数130%アップ

「情緒的価値」の訴求によって共感と信頼を獲得ウェブドラマ公開から1ヶ月で検索数130%アップ

株式会社 キャッツ

「健康的で快適な居住空間を提供し、人々と環境の調和づくりに貢献する。」という企業理念を掲げて住まいのメンテナンスを行う、1975 年創業の企業です。外壁・内装・水回りなどの各種リフォームやリノベーションを通して豊かな社会の実現に貢献するという、「100 年継栄」の実現を目指しています。

http://www.cats.co.jp/

問い合わせの経緯・ご相談内容

キャッツ様は、ファングリーが分社化する以前のブランディングテクノロジー時代にリブランディングをお手伝いしたお客様です。その関わりもある中で「社内の体制強化につながる採用動画の制作を検討している」というご相談がありました。

「100 年継栄」を目指すキャッツ様は、その一里塚として「3年で100億円企業にする」という中期経営計画を立てており、重点課題として「人材強化」という項目がありました。当然ながら採用活動に注力されていましたが、理想とする人材の獲得に苦戦している状況でした。「企業イメージが正しく伝えられておらず、人材ミスマッチが起こっている」ことはわかったものの、とくに打つ手もなく、途方に暮れていた状況でのご相談でした。

過去のリブランディング時にご提案したソリューション(2014~2020年)

  • ブランディングレポート
  • ロゴ
  • ブランド発表会(社内向け)
  • 採用サイト
  • 公式サイト改修
  • 提案書フォーマット
  • 商品チラシ
  • ノベルティ

ご提案の流れ

まずプランナーから採用動画のシナリオをご提案しました。が、最初の提案では「もっと、キャッツとしての独自性を感じられるものにしたい」というフィードバックをいただきました。顧客のインサイトをより正確に把握し、それを適切に企画へと落とし込む必要性を感じたため、社内の動画ディレクターをアサインして再提案に臨むことになりました。

キャッツ様は「ホームケアドクター」という特有のポジションを明確にするため、数年前にリブランディングを行っています。しかしながら、ヒアリングを進める過程で「祖業である『害虫駆除の会社』というイメージを持たれているケースもある」という課題があることがわかりました。そうした背景を踏まえ、求職者はもちろん既存顧客、見込み顧客、取引先、従業員、そして市場といったすべてのステークホルダーに正しいイメージを持ってもらうための動画の提案として、「採用動画」から「ウェブドラマ」に切り替えることにしました。

プランニングの流れ

動画には大きく、「機能的価値」を伝えるものと「情緒的価値」を伝えるものがあります。機能的価値とは、スペックの高さや利便性などのこと。一方の情緒的価値は、「この服を着るだけでハッピーな気持ちになりそう」「このホテルなら時間を忘れて過ごせそう」といった感情に訴えかける価値のことです。ウェブ動画には機能的価値を伝える動画が多いですが、キャッツ様の場合は好感や共感につながる情緒的価値を正しく伝える動画が必要だと思い至りました。そして、潜在顧客にブランドの世界観を自然なシナリオで訴求し、高いエンゲージメントを築きやすいウェブドラマこそが、今回の提案に適しているのではないかと考えたのです。

プロジェクトの体制図

プロジェクト体制図

キャッツ様の求める動画の品質と結果創出のためにプロジェクトチームを構築。映像クリエイターを中心に、脚本家や美術、照明スタッフなど、多くのプロフェッショナルによる制作体制を整え撮影を慣行しました。

ウェブドラマ制作の流れ

ウェブドラマ制作の流れ

キックオフミーティング・オリエンテーション・企画

キックオフミーティング・オリエンテーション・企画

プロジェクトの目的や制作物の方向性などをクライアント様と制作メンバーの間で確認することや、相互理解の機会を設けることを目的に制作キックオフミーティングや社内のオリエンテーションを実施。チーム共通の認識を持つことで、プロジェクトを円滑に進めることができます。キャッツ様の場合は、あらかじめ行ったヒアリング内容をさらに深掘りし、企画構成を詰めていくための話し合いが行われました。

今回制作したのは、3分44秒のウェブドラマです。ユーザーターゲットとしたのは、キッチンに立つ機会が非常に多い40~60代女性。父と息子、男二人が女性のために料理をつくるストーリーを通して、リフォームしたキッチンが近づける家族の距離感を表現することで情緒的価値を高めるという企画です。

絵コンテ

絵コンテ

「絵コンテ」は、いわば映像制作における設計図のこと。映像ディレクターとシナリオライターを中心に、ストーリーを構成する中でウェブドラマならではのテンポを強く意識しました。テレビや映画では効果的な会話や言動の「間」がウェブだと冗長に感じてしまい、そこから離脱を招くケースがあります。情緒的価値を伝えたいウェブドラマは、最後まで視聴してもらうことこそが重要です。絵コンテをチーム全体で共有することでより具体的な完成像を共有することができるため、クライアントと制作メンバー間で認識の違いがないかを確認するための重要な工程といえます。

キャスティング

キャスティング

企画・シナリオの決定後は、ロケーション(一軒家のスタジオとアパート)の選定や配役(父親役、息子役、母親役)のオーディションを急ピッチで進めていきました。予算や製作納期の関係から、ウェブドラマでオーディションを行うケースはまれです。ところが宣材写真や紙資料だけで配役を決めてしまうと、全体のバランスの不一致からドラマに違和感が出てしまうこともあります。今回は父、母、息子の役をまとめてオーディションを実施し、表現したい世界観にズレが出ないようにしました。最終的に1役につき3名まで絞り、各役を組み合わせながら演出家と芝居のチェックを行いました。もっとも意識したのは、3人そろったときの雰囲気。父と息子の男二人で料理をしている姿がどこかかわいらしく、見ている側がほっこりするような役者を選びました。

「どこにでもある日常」を描きたかったので、スタジオ選びもこだわりました。ゴージャス過ぎるキッチンは世界観にマッチしないため、何軒もスタジオを回ってイメージに合った場所を選びました。これもユーザーができるだけ違和感なく視聴できるようにするための配慮です。キッチンのワークトップ素材をキャッツ様で扱っているかも確認し、さらに生活感を出すために美術担当を入れ、こまごました生活雑貨を配置してもらうなど工夫しています。

撮影・編集

撮影・編集

撮影は当日以降の撮り直しがきかないので、当社ではクライアント様に必ず現場に立ち会っていただき、香盤表を基に撮影内容を確認しながら進めました。ストーリーの中では3日間あるシーンを1日で撮影するというスケジュールでした。撮影シーンが多いこともあり、夜に日中のシーンを撮影することもありました。夕方のシーンは、オレンジのライトで夕景(西日)を演出し、夜の場面では窓に黒い紙を貼って光を遮断。ほとんどリテイクできない状況でしたが、画面上に世界観の崩れが生じないよう注意しながら撮影を完了させました。

編集作業は、よりリアルな動画となるようにテンポを意識し、情緒的価値をいかに訴求できるかを軸に行いました。編集に対する修正内容はクライアント様でまとめていただきます。社内の意見を一つにまとめていただくことでスムーズな進行を心掛けました。

成果物

プロジェクトマネージャーの総括

キャッツ様からは「映像が美しくクオリティが高い」「細かいところへのこだわりが随所に感じられた」「テイストが当社にとって新鮮だった」「今後3年であと10本はつくりたい」といった嬉しいお声をいただきました。期待を上回る動画を3年で10本つくるのはかなり大変ですが、当社の提案内容や制作品質を信頼していただいているがゆえのコメントだと考えています。

ご満足の要因は、クリエイティブ面で最後まで妥協しなかったところでしょうか。脚本はお客様からOKが出たあとも推敲し、キャストのオーディションではしっくりくる“お父さん役”が見つからない状況が続き、再募集をかけました。最後の回想シーンはなくてもドラマは成立したものの、この2カットが入るだけで印象ががらりと変わると判断して最後に入れました。運用後の分析結果としても、このシーンで離脱率が低下していました。また「キャッツ リフォーム」の検索数は公開から1ヶ月で130%にアップ、またYouTubeの平均再生率が通常40%前後のところ、今回の動画は約60%の平均再生率となり、クリエイティブへのこだわりが成果にも表れ始めています。

キャッツ様の抱えている経営課題をしっかりと理解した上で丁寧に提案を行い、細部までこだわったことで成果につながるウェブドラマをつくることができました。仮に提案するメンバーや制作体制が違っても、「ファングリーのプロジェクト」として満足いただけるサービスを提供できることを証明できた点には非常に満足しています。引き続き信頼していただけるよう、キャッツ様はもちろん、キャッツ様のお客様にも寄り添ったサービス提供をしていきたいです。