ユーザー視点で課題を特定、要件定義から
実行支援まで伴走した研修サイト改善プロジェクト

株式会社富士通ラーニングメディア

1977年、富士通グループのドキュメントサービス業務の子会社として設立。1994年、富士通の研修業務を継承し、ドキュメントおよび教育・研修サービスを行う。
「人と組織の未来を共に創る。」という理念のもと、ヒューマンスキルからITスキルまで幅広くカバーする研修サービスとして、2,200以上のコースを提供しています。

https://global.fujitsu/ja-jp/subsidiaries/flm

プロジェクト概要

2021年、富士通ラーニングメディア様の研修サービスサイトリニューアルプロジェクトが発足しました。
対象サイト:https://www.knowledgewing.com/kw/

研修サービスサイトのリニューアルにあたり、プロジェクトを3つのフェーズに分け、約1年半に渡るプロジェクトとなりました。

  • 第1フェーズ
    ペルソナ分析、競合分析、ユーザビリティテストを行い、課題を明確化。
  • 第2フェーズ
    研修サービスサイトをリニューアル。第2フェーズでは主にデザインをメインに改修。
  • 第3フェーズ
    よりユーザー視点での改修、改善を提案。実際に研修コースの申し込みから受講までを体験し、施策提案、サイトの追加改修を行いました。

本記事では主に第3フェーズの取り組みについてご紹介します。

ユーザー調査から見えた第3フェーズの重点課題とゴール

ユーザー調査ではコースの検索、申し込み、受講、受講管理、支払いといった一連の動きを体験しフィードバック。そのうえで下記のように整理し、課題とゴールを設定しました。

重点課題

  • どのコースを受けて良いかわからない
  • 各コースの関連性や受講順序がわかりにくい
  • コースが魅力的に見えない
  • コースを受講するイメージが湧きにくい
  • 自身の叶えたいキャリアプランや人材像に対して、どのコースを受講すべきかわからない

ゴール

  • 自分に必要なコースがわかる
  • 自分に必要なコースの受け方、進め方がわかる。(成長の仕方)
  • 富士通ラーニングメディア様の研修サービスを受けたい、活用したいと思える
  • 富士通ラーニングメディア様の研修サービスを活用するイメージが湧く

第3フェーズ、第3フェーズ以降も含めた施策提案

検索性の向上

ユーザーが目的の研修コースに辿りつき、申し込みをしやすくする。

  • コースカテゴリの見直し
  • 検索軸の改善、機能向上(コースカテゴリ、受講体系、エリアといった細かい絞り込みの実装)
  • コース一覧ページ(検索結果)の改善(情報追加、レイアウト改善)
  • コース概要ページのリニューアル(情報追加、レイアウト改善、UI改善、レスポンシブ化)

自分にあった研修コースを選びやすくする

  • コンテンツの拡充(ロール、キャリアプラン、必要なスキル、コースマップからコース詳細へ)
  • 新規ページ制作 and 既存ページの改修(サービスやおすすめ研修コースなど)
  • シミュレーションの実装

サービス利用のモチベーションアップ・動機づけを行う

  • コンテンツの拡充(サービス利用者の事例、インタビュー)

ユーザー視点に立った時に、単純なサイトの改修だけではなく、ユーザーが学びやすくなるコンテンツの作成が重要だと感じました。そのため、サイトの改修と合わせたコンテンツを提案し、運用施策も含めて検討する形を取りました。

ソリューション(成果物)

検索性の向上を目的とした、コース検索、コース概要ページのリニューアル、コースカテゴリ案、コンテンツ提案における画面設計をご納品。

プロジェクト体制

富士通ラーニングメディア様

  • メイン担当者4名
  • 事業部(複数名から構成されるチーム)
  • システム開発部(複数名から構成されるチーム)

ファングリー

  • オブザーバー:石井
  • プロジェクトマネジャー兼ディレクター:佐藤
  • デザイン:宮越、井上、森
  • コーディング:コーダー2名

本プロジェクトのポイント

コース検索、コース概要ページリニューアルの高いハードル

ユーザーが実際に受けたいコースを探し、その内容を確認し申し込むまでには、コース検索、コース概要ページを経由する必要があります。
これら2つの重要なページを改修する際、コース情報を管理している基幹システムには一切手を加えずに改修することが求められました。さらに、本改修では情報の追加も生じたため、富士通ラーニングメディア様との業務分担、進め方から検討し、実現方法を探る必要がありました。

理想像を定めてから実現可能性を探る

まず、ユーザーにとってどういった画面、情報であればコースを検索しやすく、申し込みまで進めやすいかを固めることから始めました。そのうえで実現できるかを細かく検証していき、難しい要件は除外していくことで議論が前後しないように計らいました。
将来的には実現できることもあるため、理想を描いておくのは非常に重要です。

理想像を描いてからは基幹システムにある情報か、変換処理が必要かなど、一つひとつ検証し、データ項目、データの受け渡し方法を富士通ラーニングメディア様とともに検討しました。
また、追加情報については実際に研修を企画している事業部の方々が扱いやすいか、サイトの運用担当者が定常業務の中で無理なく管理できるかも検討しながら画面設計を進めていきました。

関係者、検討事項が多いからこそ、ユーザー視点を大事にする

プロジェクトを進めるにあたり常にユーザー視点を持ち、「ユーザーにとって」という軸で議論をすることを大切にしていました。関係者や検討事項が増えると、どうしても正解を見つけにくくなり、様々な視点が混ざってしまい、議論がぶれることがあります。そのため、常に「ユーザーにとって何がベストか」を基準にすることで、お互いの認識合わせも検証作業もスムーズに進められました。

PM総括

このプロジェクトの特徴はスコープが明確に定まっていなかった点にあります。第3フェーズはデザインのリニューアルを終え、ここからより本質的な課題に向き合っていく段階でした。研修サービスを多くのユーザーに利用していただくためにはどうすべきか。まずは、そのために必要な施策を固めたうえでスコープをどこまで広げるかといった、プロジェクト化の前段階から関わらせていただきました。
また、提案した施策の実現方法を検討することも必要で、富士通ラーニングメディア様の内部状況が十分に見えない中で、試行錯誤を重ねながら形にしていったというのが正直なところです。
本プロジェクトを通じて多くの学びを得られました。提案から見積り、伴走支援、実行支援、制作ディレクションまで幅広い分野を一人で担当し、非常に密度の濃い経験をできたプロジェクトでした。
最後に、親身にご協力いただいいた富士通ラーニングメディアのご担当者の皆様、誠にありがとうございました。