X社 マザーズ上場企業
業種:HR領域のSaaSを取り扱うITベンダー
サービス:クラウドサービス
資本金:非公開
2019年初頭、SEOとコンテンツマーケティングのご相談をいただいたことがプロジェクトのきっかけでした。クライアントの担当者様は、前職在籍時にコンテンツ制作で当社と関わったことがあり今回のご相談につながりました。
主なご相談内容は以下の通りです。
こうした課題を解消するために私たちが改善プランをご提案しました。
また詳しく課題を掘り下げていくと以下の課題があることがわかりました。
メディア運営や製品情報の発信のビジョンを持ち、コンテンツマーケティングの必要性も理解されていたものの、それを社内で安定的に実行するだけのリソースとノウハウがない――。それがクライアントが当時直面している状況でした。
プランニングの流れ
まずGoogle Analyticsを用いた定量分析を行いました。製品サイトは、上場を機にIR情報などを取得したいユーザーがメインであり、サービスページ自体への流入は少ないという傾向が確認されました。一方、オウンドメディア経由でホワイトペーパーをダウンロードするユーザーのほとんどが、法律系コラムを閲覧している(読みものコンテンツとしてのニーズが高い)こともわかりました。
ここで行った現状分析から以下の2つを提案の軸に置きました。
第1段階として検索上位表示での露出を図りました。特定のオウンドメディアに継続して「勤怠管理」に関連するコンテンツを追加し、SEOの強化、そしてユーザー流入数の増加を実現するのが目的です。
そして第2段階として、MQLおよびSQLの獲得。アクセスしたユーザーを獲得するために、法律関連コンテンツを重点的に追加していきました。クライアントが発信する情報が信頼されれば、それがそのまま「ブランド価値」につながるため、法律関連コンテンツでは社労士をアサインし、リーガルチェックを含む体制の構築をご提案しました。
コンテンツディレクターがキーワード調査・選定、記事企画立案、構成案作成を行い、制作ディレクションや原稿の品質管理は編集ディレクターが対応。HR関連を得意にする専属ライターが執筆を行い、それを社労士が監修するというプロジェクトチームを編成し、制作フローを構築しました。
本プロジェクトにおいて最優先事項となったのは、「勤怠管理」という軸キーワードでのSEO対策(検索エンジン上位表示)です。毎月の施策においては共起語(特定のキーワードと同時に、もしくは頻繁に出現する単語)対策を強化すると同時に、勤怠管理に関するタイムリーなトピックを記事化するようコンテンツ企画を進めました。
勤怠管理や働き方改革関連の記事では法律や国・行政のリリース内容について触れるケースも多くあります。そこで解釈を誤ったり理解しにくい書き方をしたりすると、ユーザーの信頼を損ねるだけでなくSEO的にも不利に働くため、「社労士監修による有識者視点のわかりやすい落とし込み」にこだわりました。
小難しい1次情報をできるだけ細かく噛み砕き、ポイントを押さえた2次情報として記事にすることで「バックオフィス業務を担う方へ寄り添った記事」になると考えたからです。
セッション数が増加した理由は、継続的にコンテンツを増やしたことに加えて、法改正をトピックとしたタイムリーなコンテンツ記事が多くのユーザーに刺さったことです。実際、国会での成立直後の法改正を取り上げた記事は、制作した記事のなかで最多のセッションを獲得。“エース記事”がサイトのセッション数を牽引するという、理想的なコンテンツマーケティングの流れが実現したと言えます。また、作成した記事からは、問い合わせや資料請求などにつながるアシストコンバージョンを生み出すこともできました。
今回私たちが関わったクライアントが運営するオウンドメディアは、現在も成長段階にあるメディアです。広告と両軸のマーケティング活動であるため予算に関する懸念もありましたが、「広告とは別のアクション」としてコンテンツマーケティング施策に価値を感じていただけていたのがプロジェクト継続のポイントでした。
制作面においては、労務人事領域におけるペルソナの正しいイメージと、働き方改革関連やバックオフィス関連の法改正に対する理解に苦労した部分はありました。しかし、その理解があったからこそ、ユーザーに寄り添った記事が提供できたと考えています。
前述した法改正のトレンド記事でセッションが大幅に増加し、そこからアシストコンバージョンが生まれたことを受け「タイムリーなテーマを扱う重要性」についても再確認できました。今後も時勢にかなった記事を企画・制作し、正確性の高い情報を提供するなかで、「ユーザーから必要とされ、信頼されるメディア」の実現を目指していきます。