ファン層の拡大を実現するブランド言語を開発
“全社員が語れる価値”がモフフサPRの礎に

株式会社SO-ZO

アニメ・マンガ・ゲームの作品とコラボした空間プロデュース、オリジナルぬいぐるみやグッズの企画・制作・製造・販売を主な業務としている企業様です。アニメーション作品とオリジナルぬいぐるみのコラボによる商品プロデュース事業「モフフサ事業」の他、アニメグッズのEC販売サイト「イタテリ屋」を運営しています。

イタテリ屋:https://www.itateri.com/

問い合わせの経緯・ご相談内容

株式会社SO-ZO様は、昨年にオリジナルぬいぐるみ「モフフサブランド」の試験販売で売上が見込める状況ではありましたが、他商品との差別化に向けた戦略設計や効果的なプロモーションができていないという課題を抱えていました。国内マーケットでの認知拡大からの購買層拡大、そしてゆくゆくはアジア商圏などへ売り出すことを視野に入れていましたが、「モフフサブランド」をどう確立させたらいいかわからないというお悩みをお持ちでした。

SO-ZO様は以下のような課題をクリアでき、適切なブランド戦略(「らしさ」の言語化や市場における差別化ポイントの明確化)を立案・推進できる外部パートナーを探していました。そこで、ファングリーのグループ会社であるブランディングテクノロジー社にお問い合わせいただいたというのが本プロジェクトのきっかけです。

  • ブランディングのノウハウや、ブランドの活用方法、ブランド構築のプロジェクト進行に関する経験がない。
  • メーカー側の偏った主観的視点ではなく、ファン心理を踏まえた客観的視点でのブランド構築が必要。
  • インナー(社内向け)施策→アウター(社外向け)施策の順に進める上で、事業に関わるスタッフのエンゲージメントを高めつつ、やりがいや社会的意義、ファンへの提供付加価値を再認識することで、事業拡大の礎にしたかったが、その想いをどう行動に移すかを定義できていなかった。

プロジェクト体制図

プロジェクト体制図

ソリューション

1.ブランド・マーケティング戦略の企画立案

「顧客(コラボ作品ごとのファン)ファースト」の視点で、モフフサぬいぐるみの機能的な強みである質感(もふもふ、フサフサな触り心地)をどのように情報として届けるかが軸になると仮定。ブランディングの目的やブランド・マーケティング戦略のロードマップを設計しました。

お客様からも、「広告やPR施策では、収益性よりも世界観やイメージを届けるための戦略にしたい」とのご意見があり、SNSを使ったバイラルマーケティングも合わせてご提案しました。

  • インナーを強化しつつブランドのコアバリュー、タグラインなどの言語(CI)を制作
  • すべてのタッチポイント上でブランドを統一し、品質管理を行うためのレギュレーションを整備
  • ブランドのインフルエンサーをキャスティングし、多様な楽しみ方を示すコンテンツを提案
  • コンテンツをモフフサファンとインフルエンサーのファン双方にリーチできるよう拡散

2.ブランドコア・ブランドストーリー・タグラインの開発

モフフサブランドの認知を高めるため、ブランドコア(ブランド戦略の最上位に位置する概念・理念)の確立およびブランドストーリーとタグラインの制作を行いました。

ブランド言語の開発プロセスでは代表と事業に携わるスタッフ3名にも参加いただき、インナーブランディングとして従業員へのエンゲージメント強化を実施しました。「既存のアニメコンテンツのファンに向けて、新しい楽しみ方を提案したい」というこだわり・想いをお持ちだったため、その2点を客観的立場で新規のファン層に届けるために「ブレてはいけない価値とは何か?」「どのように伝えるべきか?」を徹底的に意見交換し、ブランドプロポジション(ブランドの存在意義)を以下のように言語化しました。

「情緒的価値」

  • ペットや家族のような温かさ
  • 人生に充足感や癒し、自己表現の場を与えてくれる
  • モチベーションを高めてくれる最良のパートナー

「機能的価値」

  • 推しキャラ✕獣という、オンリーワンなデザイン性
  • 触り心地や衣装パーツなど細部にこだわり、満足度の高さ
  • 衣装のDIY、ファンアートなどイマジネーションを掻き立てる

これらをブランドコアとして定義し、訴求するためのタグラインは「もふかわの毎日を」としました。

SO-ZO様への初稿提出前には、ブラッシュアップを図るためギリギリまで社内で入念にワードのすり合わせを実施。例えば、「推し活」は流行り廃りのあるトレンドワードのため使用しない、「獣化」「ケモ度」といった一部のファンにしか受け入れらない尖った言葉は使用しない、といった具合です。他にも文章のリズムや表現の重さ・軽さといった印象、事業ポジショニングやコアとの整合性などを見直しました。

お客様確認のもとでブランド言語が確定したあとは、次のステップとしてアウターブランディングに着手。ホームページをはじめとする各種タッチポイントへの反映、レギュレーションの取り扱い徹底、BtoB向け事業紹介資料制作などを行いました。

成果物

ブランドガイドライン
ブランドガイドライン
ブランドガイドライン

この他、ブランドロゴの取り扱いに関する仕様をまとめたガイドライン資料(レギュレーションなど)を作成しています。

SO-ZO様からのコメント

――ファングリーへのご依頼の決め手は何でしたか?

SO-ZO様:
2023年5月に販売したコラボ商品の売上が順調で、『モフフサブランド』が軌道に乗ってきた一方、正式なリリースも出せていない状況でした。競合ブランドとの差別化やPR戦略をどう考えたらよいかわからず、ご相談させていただきました。

2023年11月にご訪問いただき、『モフフサ』というブランドをできるだけ多くの人に知ってもらうためどうすればよいかお聞きしたところ、商品が持つ世界観やイメージに合わせてさまざまなアイデアを出していただいたので、ご依頼することにしました。

――当社のコンテンツ品質や対応面をどのように評価されていますか?

SO-ZO様:
ブランドのイメージからストーリーまで、いろんな視点からたくさん感想やアドバイスをいただき、とても参考になりました。 タグラインも、「モフモフ、ふさふさ」という商品の特徴や世界観をしっかりアピールできる言葉を提案いただいたので、版権元などにどういうブランドなのかをわかりやすく説明できるようになりました。

事業紹介資料やガイドラインなどの資料もきれいにまとめていただき、とても実用的で助かっています。

――今後、解決したいブランドの課題はありますか?

SO-ZO様:
特定のアニメファンだけでなく、一般向けにももっと認識してもらいたいですね。

プロジェクトマネージャーの総括

第一に、「妥協せずにブランドを作りたい」というお客様の姿勢と取り組み方に感動しました。

ブランディングプロジェクトは、「やったことがないからわからない」「正解・不正解がない議論にどう参加すべきかわからず、意見するのを躊躇してしまう」という声が多い性質のサービスではあります。しかし、そんななかでもSO-ZO様は当社にすべてを丸投げすることなく、こだわるべき点は社内で徹底して議論をするなど、ブランドに対する熱い想いが伝わってきました。スタッフの皆様の本気度も感じられる、実りの多いプロジェクトになったと思います。

また、当社のクリエイティブディレクターはアニメなどの分野に明るいわけではありませんでしたが、ファン心理やこだわるべきポイント、コミュニケーション設計について十分にリサーチし、常に「先回り」でお客様への提案や提出につなげてくれたことからスケジュールの遅延なく進行できました。

お客様としてはブランドを固めたところからが本当のスタートになりますが、現在はアウターブランディングのフェーズでも良い関係を築かせていただいています。アニメ作品の周辺マーケットは競合のプレイヤー数・所品数が多いものの、「モフフサブランド」は着実にファンを増やしており、今後より一層の成長が期待される事業です。これからさらに多くのファンの方に良質なブランド体験を届けられるよう、引き続き尽力したいと考えております。