NPO法人 大樹の輪
“「自身の意思を尊重し、人間の尊厳が守られ、遺骨が安心できる場所に納骨・供養されることの推進」を目的に、お墓に特化したサポートを行っているNPO法人様(特定非営利活動法人)です。松戸市(千葉)、所沢市(埼玉)、北区(東京)の3拠点で、霊園「サニープレイス」を管理・運営しています。”
元々はグループ会社のブランディングテクノロジー社の広告部門のお客様にシニア層向けの雑誌をつくっている出版社様がおり、大樹の輪様はその雑誌の広告主でした。当時、大樹の輪様はオンライン・オフラインの各媒体で広告を打ったり、業界最大のポータルサイトに登録して紹介を受けたりしていましたが、中長期で見た場合の費用対効果に課題を感じており、出版社様経由でご相談いただいたのがきっかけでした。
プランニングの流れ
大樹の輪様が運営している霊園「サニープレイス」は、松戸市(千葉)、所沢市(埼玉)、北区(東京)にあります。このように複数拠点を持つお客様の場合、本部主導でマーケティング施策を進めていくのが一般的ですが、今回はサニープレイス所沢の担当者様から「担当者ベースで施策を整理してブラッシュアップしたい」とのご要望があったので、まず担当者ベースで進めていくことになりました。
担当者様と数ヶ月にわたってサイトの現状課題の抽出、競合調査、ターゲットインサイトの分析、検索キーワード調査などを実施し、最終的にオンライン・オフラインの両方向での施策を固めたうえで代表者様にプレゼンテーションを行いご発注いただきました。
調査分析の結果、公式サイトのUIの改善を優先課題として設定。サイトのフルリニューアルを基軸にしながら、サイト周辺の集客施策およびインタラクティブ動画やウェブドラマ動画などを追加で提案しました。さらに課題解決を進捗させていくなかで、オフラインでの集客強化のためのポスターやパンフレットについても段階的に進めていきました。
※2021年1月時点
2018年3月 | 代理店に同行してサニープレイス所沢の担当者にご挨拶、動画のご提案(当初はグーグルストリートビューのご相談) |
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2018年6月 | 公式サイトのフルリニューアルの提案 |
2018年7月 | 各種マーケティング調査を経て企画書を担当者に提出、担当者から代表へ提案 |
2019年3月 | 代表および取締役へご挨拶・ご提案 公式サイトリニューアル、インタラクティブ動画、MEO、施設内のGSV化のご発注 ※担当者様からの推薦もあり「企画力・デザイン力」についてご評価いただく |
2019年4月 | 公式サイトのリニューアルとインタラクティブ動画の企画制作に着手 |
2019年6月 | サニープレイス松戸よりPR強化に関するご相談 ドラマ動画の企画が採用 ※動画の企画内容についてご評価いただく |
2019年8月 | ドラマ動画の制作に着手 公式サイトおよびインタラクティブ動画を公開 |
2019年11月 | ドラマ動画の撮影・制作が完了 |
2020年1月 | サニープレイス松戸の郵便局掲載用ポスターに関するご相談 サニープレイス松戸から施設紹介パンフレットに関するご相談 |
2020年2月 | 既存業者とのコンペの末、ポスター制作のご発注 サニープレイス松戸のパンフレット制作のご発注(新しくできた「四季庭」のPRでご相談をいただく) |
2020年3月 | 郵便局掲載用のポスターが完成 |
2020年9月 | サニープレイス松戸のパンフレットが完成 |
2020年11月 | サニープレイス所沢の施設紹介パンフレットに関するご相談(松戸のパンフレットの反響が良かったためご発注) |
2020年12月 | サニープレイス所沢のパンフレットが完成 |
※2021年1月時点
NPO法人ということもあり「営業感を出したくない(全面に出せない)」という意向が強かったため、文章コンテンツの内容や表現のトンマナに配慮するなど、「極力断言しない」「文面から相談に寄り添う姿勢を出す」といったポリシーに則って制作を進めました。
また「豊かな緑と陽光に囲まれたやすらぎの公園墓地」をコンセプトに、サニープレイスの特徴である「花の美しさ」や「やすらぎ」を随所に感じられるデザインにリニューアルしています。現在は、足が不自由な方やご高齢の方が実際に霊園に来なくてもどんな施設なのかを確認できるように、グーグルストリートビューの機能を使ってWeb上で霊園内を散歩できる仕組みを採用しています。
競合にあたる他の霊園でも、サイトに動画を掲載しているところはありましたが、より満足度の高いユーザー体験を実現するために私たちが提案したのがインタラクティブ動画です。インタラクティブ動画とは、画面内にユーザーがクリックしたりタップしたりできる要素を組み込んだり、複数の項目から見たい情報(シナリオ)を選択できたりする動画のことで、従来の受動的な「視聴で終わる動画」とはスタイルが異なり、ユーザーの主体的な行動に沿ってマーケティングを展開できます。
サニープレイス所沢の場合は、霊園内の4つのスポットや霊園へのアクセスなどの主要なコンテンツを動画内で選べるようにしました。気になるところから見られるようにすることで、ユーザーがストレスなくサービスを検討できるようにしています。
公式サイトとインタラクティブ動画の公開後、新しく増設される霊園のプロモーションに関するご相談をいただきました。「お墓参りまでの流れや雰囲気を分かりやすくイメージ訴求したい」「他社にはないインパクトのある施策を打ちたい」「できるだけ“営業感”を出さないようにしたい」「特徴である“花々しさ”を訴求したい」といった多様なご要望だったこともあり、包括的にカバーできるドラマ動画を提案しました。
動画をドラマ仕立てにすれば、お墓参りのシーンを自然に演出できるだけでなく、インタラクティブにユーザー主体でストーリーが展開されるので、最後まで離脱することなく視聴してもらいやすくなります。また会話の中に霊園の魅力や特徴を盛り込むことで、差別化を図りながらも“営業感”を出さずに伝えたいことを伝えられるのも大きなメリットでした。
動画では、噴水や花々が並ぶ園内をより印象的に見せるために、霊園の外の景色が映りにくい画角で撮影し、霊園を「ひとつの空間」として独立させました。これによって霊園独自の世界観を表現できたのではないかと思います。
最初の問い合わせから代表者様へのプレゼンまで、5ヶ月近くを要しましたが、最終的には企画に対して「面白いね」と言っていただけました。大樹の輪様の課題を本質から捉えて、ゼロベースでソリューションを練り込んでいったプロセスを認めていただけた結果だと感じています。最終プレゼンの時点で大樹の輪様の全体像を深く、また正しく理解していたこともプロジェクトが成功した要因だと思います。
ほとんどゼロに近かったWebからの問い合わせも増えており、2020年は年間で300件に迫る問い合わせを獲得できました。代表者様からも、「地域でNo.1と言えるくらい、かなり集客できるようになったので満足している」「シニア世代を中心にかなり注目されている業界なので、そうした方々のニーズに応えられるのは嬉しい」という言葉をいただいています。 ポスターやパンフレットといったオフライン施策についてもご相談いただけるようになり、事業課題の解決の一翼を担えていることを実感しています。まだ進行中のプロジェクトもありますが、今後も大樹の輪様のよき理解者として、共創しながら課題を解決していきたいです。