文化の異なる2社の統合
一枚岩とするためのインナー重視ブランディング

月島JFEアクアソリューション株式会社

2025年に創業120周年を迎える月島ホールディングスのグループ企業です。浄水場、下水処理場、バイオマス利活用施設、汚泥再生処理施設向けの機器・プラントの設計・製造・建設などを得意としており、上下水道インフラの発展や地球環境の改善に貢献してきました。PFI、DBO事業や消化ガス発電事業など、官民連携事業の運営にも注力されています。

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問い合わせの経緯・ご相談内容

月島JFEアクアソリューション様は、2023年10月1日に「月島アクアソリューション株式会社」と「JFEエンジニアリング株式会社の国内水事業部門」が統合したことで誕生した企業です。

企業文化や社風が異なる中での新会社設立には、さまざまな難しさがあります。そこで、できるだけスタッフ間の目線を合わせて一枚岩で新たなミッションに挑みたい、統合後のエンゲージメントを高めたい、という思いからブランディングに取り組むことを決められました。

はじめて問い合わせをいただいたのは2024年2月。当初は、2024年の7月末から開催される下水道展(業界内で最も大きなイベント)を2社統合後の大々的なお披露目の場にしたいという意向がありました。最終的には「企業ブランドを期限ありきで決めるべきではない」という方針変更からプロジェクト期間を延して進めることになりましたが、最初のヒアリング直後から7月末の展示会に間に合わせるため、急いで体制構築などの準備に取り掛かる必要がありました。

お客様が抱えていた・感じていた課題

  • エンドクライアントが自治体ということもあり、同業他社と似たようなタグラインになってしまう⇒業界のリーディングカンパニーを目指す目的に沿って、分かりやすいフレーズにしたい
  • 異なるカルチャーが育まれた2社のスタッフの一体感を醸成し、エンゲージメントを高めることで企業競争力の向上につなげたい

ブランディングを進めるにあたっての懸念

  • ブランディングのノウハウ、ブランド構築のプロジェクト進行に関する経験・知見が社内にない
  • 企業側の一人称的視点ではなく、顧客心理を重視した第三者的視点でブランドを構築したい
  • 「インナー施策→アウター施策」と進めるにあたり、統合した2社の各スタッフのエンゲージメントを高め、やりがいや社会的意義を再認識することで事業拡大の礎にしたいという想いはあったが、どう行動に移すかというノウハウが不足している

ご提案の流れ

一次商談では、企業統合後に表面化した課題や成果物に関するご希望、全体予算などを細かくヒアリング。進め方などについて壁打ちを繰り返しました。二次商談では、ファングリーとしての提案を伝えるべくプレゼンを実施し、見積書をご提出。

ブランディングプロジェクトの進め方やインナーブランディングを重視するスタンスに共感いただけたことから、正式にご発注いただく運びとなりました。

プロジェクト体制図

ソリューション

  • 納品物:タグライン(コーポレートスローガン)、ステートメント、キービジュアル、会社紹介資料(パワーポイント用フォーマット)、名刺デザイン、封筒デザイン、デザインレギュレーション
  • レポート類:タッチポイント分析、競合分析、社内分析、ブランド方針レポートなど

はじめに、企業統合という非常に大きな出来事をどのように捉えているのかを、経営サイド・現場サイドの両方から調査。リリース時のインナーにおける両サイドから納得感を最大化する必要があると考えました。インナー重視の方向性から、言語開発も通常のタグライン的な方針(ステークホルダーとの関係性定義)より「社内の合言葉」になる前向きなメッセージのほうが良さそうと仮説を立て、プロジェクト成果を設計していきました。

着手後は、キーマンへのインタビューなどを経て、企業統合後のブランドにおけるブランドコアの確立や差別化を図るためのタグライン(コーポレートスローガン)・ステートメント・それらを表現したデザイン類の制作などを実施。エンゲージメントの強化にもつながるよう、それらのプロセスにスタッフの皆様にも参加いただきました。

ブランド言語(タグライン・ステートメント)の最終的な意思決定者は経営メンバーになるため、当社メンバーと先方担当者間のディスカッション内容は経営メンバーに共有。それにより、議論していきたいポイントの確認や「一枚岩」になるための視点合わせなどがしやすくなったと思います。

実は、企業ブランディングと並行してDXを基盤としたソリューションサービスの事業ブランディング も進めていましたが、それぞれの納期を展示会のある7月から統合1周年直前の9月に変更するという事態が発生しました。結果的にはプロジェクト期間が延びたことで、お客様サイドでさらなる案出しや全従業員参加型の投票を実施、経営メンバーにもより議論を深めていただくなど、丁寧なインナーブランディングとエンゲージメント向上につなげることができました。

その納期変更とさらなるインナー施策の要望に対し、さまざまなアプローチスタイルを準備。従業員の想いを結集してわかりやすく表現するポイントやブランド認知の論点の整理、キービジュアルやデザインレギュレーションの資料作成など多くのタスクをこなした結果、お客様にも伴走する姿勢をご評価いただけました。

成果物

タグライン

「みずから」は、「水から」と「自ら」のダブルミーニングです。「水から」は、水を起点にさまざまな事業に取り組むこと、水を出発点とした循環型社会の実現を目指していく姿勢を表しています。そして「自ら」には、「自分たちの力で」という企業姿勢、そしてこれまで自ら培ってきた技術力という意味を込めました。

そして「これから」は、月島JFEアクアソリューションという新しい会社の始まりを表すと同時に、すべてのステークホルダーの「これから=未来」をより良いものにしていくという決意表明の意味も込めています。

ステートメント

名刺

その他

月島JFEアクアソリューション様からのコメント

――プロジェクトを通してのご感想は?
業者選定のプレゼンからプロジェクトの完了まで、マネージャーさんやプロジェクトメンバーの方々の熱意・熱量が高く、またブランディングのノウハウ・引き出しも多かったことから、はじめてのお付き合いにもかかわらず遠慮なく頼らせていただきました。

弊社側の方針変更やこだわりに対してもファングリーさんは真摯に向き合ってくださり、一つひとつの過程を一緒に作り上げることで、統合後の従業員が「自社の成長と自身の成長を重ねながらさらに結束していく」というエンゲージメントの向上につなげられたと思っています。

――今後はどのような展望を描いていますか?
本件は企業統合後の「融合」を進めるという面で、従業員の想いをひとつにするインナーブランディングが中心となったプロジェクトでした。今後は、社外の方々にも当社の価値や魅力、ブランドを広く認知していただけるよう、発信力を高めていきたいと思います。

プロジェクトマネージャーの総括

企業統合という大変な状況、かつ展示会が間近に迫った中で社運を賭けたプロジェクトに当社を選んでいただけたことは大変うれしかったです。ですがそれと同時に、私を含めた全メンバーにとってプレッシャーの大きな仕事でもありました。

ただ、お客様側のプロジェクトメンバーの皆様が本当に親身に接してくださったこと、密に情報共有に関して連携できたこと、そして当社プロジェクトメンバーがそれに応えたいと動いてくれたことで、成果物のリリースにこぎつけられました。

当初の「スピード重視」の方針から「丁寧な協議重視」への方針変更にも、現場で柔軟に対応できたと思います。中でも、「品質」と「企業として伝えるべきこと」に関して全社視点で協議することに妥協せず向き合ったことは、特に大きな学びとなりました。

この場をお借りして、信頼してご依頼くださった月島JFEアクアソリューション様、関わってくれた皆さんに感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとうございました。