オウンドメディアの意味は?
目的や事例、運用のコツを解説

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投稿者:KITAMASU NANAKO

企業が自社で保有・運用するメディアのことを指す「オウンドメディア」。主にマーケティングやブランディングの施策の一つとして、オウンドメディアを活用して独自の情報発信をしている企業は年々増えています。

本記事では、オウンドメディア運用に取り組む目的や具体的な事例、運用にあたってのコツなどを網羅的に解説します。

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なぜオウンドメディアを運用すべきなのか?

多くの企業がオウンドメディア運用に取り組むのはなぜか、オウンドメディアが重要視される背景と期待される役割をご説明します。

オウンドメディアが重要とされる背景

プライベート、ビジネスを問わずインターネットを活用した情報収集はもはや一般的であり、この傾向はコロナ禍でますます定着したと言えるでしょう。それに伴い、企業のマーケティングやブランディング活動もデジタルシフトを免れず、デジタル領域での適切な情報発信ができているかどうかが事業推進や組織力強化の明暗に関わると言っても過言ではありません。

このような状況において、企業が自社にもっとも適した方法、独自の価値観のもとで情報発信を可能にするのが「オウンドメディア」です。オウンドメディアは自社のマーケティング、ブランディング戦略の基盤となるため、非常に重要な位置づけになっています。

企業サイトとの違いは?オウンドメディアの役割

情報を発信するのであれば、企業サイト(コーポレートサイト)で十分なのでは?と考える方もいるでしょう。実際、企業サイト内の1コンテンツとして、ブログのような形式でオウンドメディアの機能・役割を持たせるケースも少なくありません。ただ、そのような場合でも、事業内容などの企業情報を伝える企業サイトとオウンドメディアは明確に役割が異なります。

オウンドメディアは自社のマーケティングやブランディング、採用などを目的とした認知拡大・成果創出の手段として活用されます。自社の見込み顧客や求職者、その他のステークホルダーに対して、有益で価値のある情報を広く発信するプラットフォームがオウンドメディアです。

そのため、自社の商材やサービスに直接的に関係しない情報であっても、結果的に自社の認知やビジネス成果に貢献する情報であればメディア上で発信することもあるでしょう。このような点で企業サイトとは切り分けて考えるのが一般的であり、オウンドメディアには独自の目的や戦略を持たせて運用していく必要があります。

オウンドメディアを運用する3つのメリット

オウンドメディアを運用することで得られるメリットは多くありますが、特に大きなメリットとして次の3つが挙げられます。

Web広告に依存しないマーケティングが可能になる

オウンドメディアを活用すれば、企業が有料で広告を出稿する従来型メディア(ペイドメディア)やリスティング広告(検索連動型広告)などとは別チャネルとして、自社のマーケティングを自由度高く行うことができます。オウンドメディアの構築や運営のうえで一定の費用・人的リソースはかかるにしても、広告とは異なりストック型のコンテンツとして自社の財産になるため、中長期的な効果が見込めます。

優良顧客(リード)を獲得できる

オウンドメディアに流入した見込み顧客(リード)をメールマガジン登録やお役立ち資料のダウンロードへ誘導する仕組みを設定すれば、企業名やメールアドレスなどの見込み顧客の情報を入手することも可能です。その後、メールマーケティングやウェビナーなどでコンタクトを図りながら見込み顧客の育成(リードナーチャリング)を継続していくことで、ニーズが顕在化したタイミングで一番に相談してもらえるという関係性をつくることができます。

自社ブランディングにつながる

ブランディングを目的としている場合はもちろん、マーケティングを目的にオウンドメディアを運営している場合でも、信頼できる情報や顧客にとって役立つ情報を発信し続けることによって「●●といったらA社」といった第一想起を獲得し、自社ブランドを確立することができます。競合他社との差別化戦略をはかるうえでもオウンドメディアは有用です。

目的別オウンドメディアの事例

オウンドメディアのパターンとしては、「マーケティング」「採用・企業ブランディング」に大別できます。これらの代表的な事例をご紹介します。

マーケティングを目的としたオウンドメディア

マーケティング活動の一環として、オウンドメディアを活用して自社の商品やサービスに関連する情報、もしくは顧客となり得るユーザーの関心が高い情報を発信するパターンです。

たとえばSMBC日興証券株式会社が運営するオウンドメディア「日興フロッギー」は、株式投資や資産運用に関するお役立ち情報や最新トレンドを、さまざまな切り口で発信しています。

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採用・企業ブランディングを目的としたオウンドメディア

採用・企業ブランディングを目的としたオウンドメディアでは、社員へのインタビューなどを通じて自社独自の価値観や働き方などを発信しています。オウンドメディアの元祖と言われるサイボウズ株式会社の「サイボウズ式」も、このパターンに該当します。

株式会社メルカリが運営するオウンドメディア「メルカン」も同様に、社員の対談やブログ形式のような記事、会社としての取り組みを紹介する記事など、メルカリの企業としての魅力が伝わるコンテンツを多く発信しています。

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オウンドメディア運用前に必ずやっておきたい5ステップ

オウンドメディアを運用することが決まったら、まずは次の5つステップから取り組みを始めましょう。

ステップ1:目的の明確化

オウンドメディアの運用にあたっては、いきなりサイトを作ってしまうのではなく、まずは目的を明らかにし、全社的に共通認識をとることから始めましょう。「何のために運営するのか」「どんな価値を提供していくのか」「マネタイズの必要性はあるのか」などを社内で議論して合意形成を行い、オウンドメディアの運用方針を決定づけます。

ステップ2:自社の現状分析・初期設計

決定した目的をもとに自社の現状分析を行い、「誰に」「何を」「どんな風に」発信すべきかを検討するための根拠を取得します。まずは3C分析によって、自社を取り巻く環境を整理しておきましょう。

  • Customer(市場・顧客):ターゲットとする顧客は誰か、どんなニーズがあるか
  • Competitor(競合):どこが競合か、競合の特徴は何か、業界ポジションはどうか
  • Company(自社):自社の特徴は何か、業界ポジションはどうか

また、SWOT分析(Strengths(強み)Weaknesses(弱み)・Opportunities(機会)・Threats(脅威))もあわせて行うことで、自社の現状の課題や優位性を明らかにします。

これらの分析結果をオウンドメディアの初期設計に落とし込み、オウンドメディアのコンセプトやターゲットのペルソナとして策定します。

ステップ3:目標設定

短期的に成果を得やすいWeb広告とは異なり、オウンドメディアは中長期的な運用によって効果が得られるものです。そのため、最終的なビジネス目標をKGI(Key Goal Indicator)として設定し、そこから逆算したマイルストーンとしてKPI(Key Performance Indicator)を検討する必要があります。

リードの獲得件数や問い合わせ数、PV数など、オウンドメディア運用の目的や期待する役割にあわせて適切な指標を設定しましょう。

ステップ4:メディア環境の設定・設計・構築

次に、サーバやドメインなど、オウンドメディアを配置する公開環境の確認・準備を行います。メディア構築にあたっては誰でも簡単に操作でき、更新しやすいという点でCMS(Contents Management System)を使うことをおすすめします。一般的によく利用されているものとしてはWordPressがあります。

これらの要件が固まったら、初期設計で定めたメディアコンセプトに基づいて設計・構築へ進みましょう。外部パートナーにメディアの設計・構築を発注する場合も必ずメディアコンセプトを共有し、可能であればイメージの近いサイトをいくつか提示できるとスムーズです。

ステップ5:運用体制の構築

メディアの制作と並行して進めておきたいのが、メディア完成後の運用体制の構築です。オウンドメディアは作って終わりではなく、むしろ作ってからがスタート。運用を継続していくには一定のリソースが不可欠であるため、まずはリソースの調達においてインハウス(内製)でまかなえるのか、外部パートナーが必要なのかをしっかり検討しましょう。

外部パートナーに参画してもらう場合はどこまでは社内で対応可能なのかを運用方針、人的リソース、予算などの観点から検討し、社内と社外の役割を明確にします。

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オウンドメディアを失敗させないためには

多くの企業がオウンドメディアに取り組むなか、想定していた成果が得られなかったり、運用体制が維持できなかったりなどの理由でプロジェクトが頓挫してしまうケースも少なくありません。オウンドメディアを失敗させないために、次のポイントは必ず押さえておきましょう。

目的と評価指標を明確にして社内の合意形成をはかる

オウンドメディアはコンテンツが蓄積されていくほど価値が高まる一方で、即効性は得づらい傾向にあります。このような取り組みの前提が社内で正しく理解されていないと、「投資した予算に対して成果が伴っていない」と判断されてしまい、最悪の場合、早々にメディアの閉鎖や更新停止を余儀なくされる可能性もあります。

そのような事態を防ぎ、オウンドメディアの存在意義を確立するため、あらかじめメディア運用の「目的」と「評価指標」を明確にして社内の合意形成をはかりましょう。特に評価指標はKGI、KPIともに目的に対して適切かつ計測可能な定量目標を設定し、定期的に社内でレポートを展開するなどして、プロジェクトの進捗を可視化することが大切です。

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流入経路を必ず設計する

オウンドメディアの運用に一生懸命取り組んだとしても、ただコンテンツを更新するだけでは効果的な流入は見込めません。基本的にはSEO対策による特定キーワード検索からのメディア流入を主軸にしながら、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSからの流入設計も含めて検討するパターンが一般的です。

コンテンツごとに流入経路を最適化できると多様なチャネルからの流入が見込めるようになり、成果につながりやすくなります。コンテンツの企画や構成を考える段階から流入経路を想定しておくことをおすすめします。

コンテンツの質と量を担保する

オウンドメディアにおけるコンテンツの質を左右する要素としては、上述の流入経路の設計はもちろん、内容の有益性や独自性を担保することも重要です。まずはGoogleの検索品質評価ガイドラインで定義されている「E-A-T」を意識して、コンテンツ制作を行いましょう。

「E-A-T」とは、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、 Trustworthiness(信頼性)を指し、質の高い優良なコンテンツの指標とされています。これらはSEO対策としてGoogle検索で上位に表示されるために不可欠な観点であるとともに、ユーザーのニーズを満たして求める成果につなげるためにも非常に重要であると言えます。

同時に、コンテンツの量を担保することも忘れてはなりません。コンテンツの質にこだわりすぎて一年に数少ないコンテンツしか公開できないという状況では、オウンドメディアとして成功させることは難しいでしょう。コンテンツの質と量の両面を担保するうえで、自社のリソースだけでは不十分であるなら外部パートナーを活用するなどして、オウンドメディアを継続的に運用できる体制を整備することをおすすめします。

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まとめ

オウンドメディア運用の難しさは、継続して成果を得ることにあります。長期的な運用を見越して、どんな目的で、どんな体制で、どんな評価指標で取り組むべきか、しっかり検討を重ねましょう。

株式会社ファングリーでは、オウンドメディアの戦略策定から制作体制の構築、実際のコンテンツ企画制作、効果検証まで、各企業様に伴走した支援を行っています。企業様ごとに最適なソリューションをご提案しますので、オウンドメディア運用の外部パートナーをご検討中の企業様は下記のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

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この記事の投稿者

NANAKO KITAMASU

コンテンツディレクター/マーケティング

2015年よりエディターとしてのキャリアをスタート。現在は株式会社ファングリーでコンテンツディレクターとしてクライアントワークに従事するとともに、インハウスエディターとして自社マーケティングやインサイドセールス、採用など幅広い領域に携わっている。

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