【ウェビナー採録】“全体最適”設計で
オウンドメディアを改善しよう

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オウンドメディアの成果に直結する“全体最適”設計とは?

本記事は2022年3月17日(木)に行われた、当社(株式会社ファングリー)とハートコア株式会社の共催ウェビナー「オウンドメディア“マルッと”見直しセミナー」の採録となります。

当社のコンテンツマーケティング部 部長の河島が登壇した第一部「効果的な次の一手を押さえて、オウンドメディアを成果と直結させよう」の内容を一部編集し、オウンドメディアの改善ポイントについてお伝えいたします。

オウンドメディアのコンテンツ管理・更新の効率化に役立つハートコア社のHeartCore CMSについては、こちらをご参考にしてください。

株式会社ファングリー コンテンツマーケティング部 部長 河島 美津雄

株式会社ファングリー コンテンツマーケティング部 部長 河島 美津雄
オウンドメディアの構築・運用、マーケティング戦略の立案、Webデザインやコーディング、アクセス分析・改善コンサルまでを担当するマルチディレクターとして活躍。理論を語るだけではなく実行することがモットー。

はじめに

自社のオウンドメディア運用にあたっては、戦略立案や分析、SEO対策、コンテンツの制作や改善など、やるべきことが多岐にわたり苦労されているご担当者様も多いのではないでしょうか。運用を続けているうちに、「いろいろやってはいるけれど、結局何をすればよいのだろう」と迷うタイミングがあるはずです。

今回のセミナーでは、そうした課題をお持ちのオウンドメディア運用ご担当者の方へ向けて、どのような考え方で改善を図るべきかをお話しさせていただきます。

オウンドメディアの重要性

自社が運営するメディアを指す「オウンドメディア」は、「ペイドメディア(広告)」「アーンドメディア(ユーザー主体のSNSなど)」とともに「トリプルメディア」と呼ばれ、これらを相互に連携させることで成果につながるとされています。これらをどのように連携させるべきかは業界・業種などによって異なりますが、自社でコントロールできるオウンドメディアは最終的な着地点となることが多く、非常に重要な立ち位置と言えるでしょう。

グラフ1

上図はGoogle Trendsでオウンドメディアの人気度の推移を示したグラフです。だいたい2012年頃から右肩上がりに伸び続けたのち、横ばいになっています。近年はやや下降傾向が見られますが、依然として高い人気度を保っています。右下の参考グラフは、オウンドメディアを基軸とするコンテンツマーケティングに欠かせないマーケティングオートメーションの人気度との比較です。こちらも同様に推移しており、オウンドメディアの重要視は衰えていないと言えると思います。

また、2016年に起きた「WELQ問題」などを契機として、インターネット上の情報の質が問われるようになり、特にユーザーの金銭や生命(Your Money Your Life=YMYL)に重大な影響を与える可能性がある内容については、社会的に厳しい目が向けられるようになりました。結果的に更新停止や閉鎖に追い込まれたオウンドメディアも多数存在しますが、そもそもサイトに訪れたユーザーに質の高い情報を提供することは本質的であり、悪質なメディアの淘汰は必然と言えます。

実際、オウンドメディアの一過性のブームは終焉を迎えたものの、現在もオウンドメディアを運営する企業は多くあります。良質な情報を提供するオウンドメディアは今後も存続し、企業活動における重要な媒体であり続けるはずです。

【ケース別】オウンドメディアの改善ポイントを解説

前述の通り、デジタルマーケティングを行ううえでオウンドメディアは重要です。しかし、当然ながら成果の出ない状態が続けば、オウンドメディアを存続させることはできないでしょう。存続のためには、オウンドメディアの運用コストに見合う費用対効果を出す必要があります。

しかしながら、長くオウンドメディアを運用しているものの目立った成果を出せず、自社マーケティングにおける存在意義を見出せていないケースはよく見られます。よくあるのは次の4つのパターンです。

  • なんとなくオウンドメディアを運用していて、そもそも成果を測っていない
  • オウンドメディアの成果の「指標」が、現場と評価者間で共通認識がとれていない
  • 自社のビジネスプロセスから独立していて、ビジネスインパクトが発生しない位置にある
  • 「指標」の認識は間違っていないが、成果が上がっておらず改善されない

これらの状態から脱するには、オウンドメディアを運用する目的の再定義と全体設計が必要になります。では、具体的にどんな対策を講じればよいのか、それぞれのパターンごとにご説明していきましょう。

なんとなくオウンドメディアを運用していて、そもそも成果を測っていない

意外とありがちなこのケース。こんな状況になっていませんか?

  • Google AnalyticsやGoogle Tag Managerの計測タグは入れているが、コンバージョン設定をしていない
  • オウンドメディア運用の責任の所在があいまいで、主導する役割の人がいない
  • レポ―ティングや定例報告など、運用ルールが決まっていない

この場合の改善アクションは次の通りです。

  • コンバージョン設定をする
  • オウンドメディア責任者を明確にする
  • コンバージョン以外で注目する指標の共通認識を取り(レポートのひな形をつくるなど)、ルールを明確にする

Google Analyticsなどの解析ツールを見ると、セッションやコンバージョン率、直帰率などさまざまな指標がありますが、これらの指標すべてに惑わされないことが重要です。たとえば直帰率の高いページがあった場合、単純に数値だけを見て悪い状態であると判断するのは早計です。ページによっては直帰率が高くても問題のないケースもあるため、良し悪しの判断の軸を明確にしましょう。

多くの指標が見えてしまうと、何をどう判断したらよいのかわからなくなる可能性があります。また、追うべき指標に対する共通認識がとれていなければ、見当違いのフィードバックを受けることもあるでしょう。

こうした弊害を避けるためには、必要な指標のみを抽出できる「Google データポータル」を活用すると正しい現状把握と議論が可能になります。

グラフ2

オウンドメディアの成果の「指標」が、現場と評価者間で共通認識がとれていない

具体的には、たとえばECサイトに集客することが目的のオウンドメディアであるにもかかわらず、セッションやページビュー数に注目していて、オウンドメディアからECサイトへの送客数をまったく見ていないなどの事例が考えられます。つまり見るべき指標が誤っているということです。

この場合の改善アクションは次の通りです。

  • ビジネスインパクトに適した指標が何かを理解する
  • 評価者と、追うべき指標の共通認識をとる
  • 目的に対する施策を再考する(たとえば集客よりも導線改善を優先するなど)。

ただし、ビジネスにインパクトすることが本質ではありますが、マーケティングの担当領域を逸脱しないように注意しましょう。たとえば商談からの成約数など、マーケティング担当者が介在できないところはコントロールができないため、指標として適切ではありません。

自社のビジネスプロセスから独立していて、ビジネスインパクトが発生しない位置にある

コンセプト主導で検索エンジンにも評価されづらく、自己満足のオウンドメディアになっているケースです。

この場合の改善アクションは次の通りです。

  • ブランディングという軸に振り切ってオウンドメディアを運用する
  • コンセプトはそのままに、検索エンジンに評価されるページを作成し、オウンドメディアからのブランド認知を向上させる

もちろん会社として自己満足でも問題ないのなら改善する必要はありませんが、ビジネスに結びつかない状態では全社的な方針が変わった場合に突然の閉鎖に追い込まれる可能性もあります。そのため、ブランディングを前提としつつも、どこかにビジネスに結びつくポイントがないか、常に模索し続ける必要があります。

「指標」の認識は間違っていないが、成果が上がっておらず改善されない

指標自体の共通認識はとれているものの、施策が間違っているケースです。たとえば資料ダウンロード数や問い合わせ数を指標としているにもかかわらず、「TOPページを改善すれば大丈夫」と思い込んで、他の集客経路を考えられていないなどのケースが該当します。

広告以外の手段でオウンドメディアへの集客を増やすには、原則としてはSEO対策が基本です。もちろんTOPページは重要ですが、それだけで集客できるキーワードはだいたい1~2つなので、そもそも効果の限界があります。他ページからの集客も考慮して、メディア全体のキーワード設計が欠かせません。「全体設計」の視点を忘れないようにしましょう。

 

逆算から考えるオウンドメディア改善の全体設計

ターゲットのプロセスに合わせてコンテンツを設計

先ほど「全体設計」という言葉を出しましたが、具体的にどのように考えていくべきなのかを解説したいと思います。

全体設計視点は、売る仕組みとの連携が必須です。オウンドメディアの全体設計はプロセスの逆算で考えていきます。オウンドメディアで集客した見込み客がどれくらい資料ダウンロードや問い合わせなどの行動をとり、さらに発注へ至るのか。見込み客が次のプロセスに進む割合を考慮して、目標とするビジネス成果から逆算していきます。それによって、オウンドメディアからの集客がどのくらい必要なのかが自ずと算出されるのです。

見込み客がプロセスを進めるにあたっては、何らかのアクションが必要です。そのため、プロセスごとに見込み客にどんな情報を提供すべきかを考えてコンテンツを設計する必要があります。コンテンツ設計にあたっては、実際の顧客のことをよくわかっている営業担当者などからヒアリングを行うことをおすすめします。

ターゲットが検索エンジンで知りたいことは何なのか

そもそも検索エンジンにおいては、自社サービスや商品を一方的にアピールするだけのコンテンツは検索上位に表示されづらい傾向があります。そのため、見込み客が知りたいことは何なのかという仮説を立て、実際に検索するであろうキーワードで上位表示させること、つまりSEO対策が大切です。

SEO対策はマイクロモーメント(検索する動機)を軸に考えましょう。マイクロモーメントは「知りたい」「行きたい」「したい」「買いたい」の4つに分類できます。これらのニーズを満たすためのコンテンツを制作し、適切な情報提供を行うことが重要です。

グラフ3

もちろん単にページを制作しただけでは、なかなかSEOの効果を得ることはできません。上位表示させたいキーワードを決定したうえで、さらに複合キーワードをクラスタリング(類似度にもとづく分類)したり、上位表示に影響するような相関性の高いキーワードを調査したりして、対策を行う必要があります。

SEO対策で検索上位に表示できたら行動変容を促す

SEO対策のあとは、ページに流入した見込み客を次のアクションまで誘導できているかが重要です。こうしたユーザーの行動はヒートマップツールを活用すれば計測可能です。

ユーザーをページ遷移(回遊)させることが目的ではなく、フォームを埋め込んで短期的な成果を求める場合は、離脱率や直帰率が高くなる傾向があるという共通認識を取っておくことで建設的な議論へつながります。

まとめ

オウンドメディアの改善においては、まずビジネス成果におけるオウンドメディアの役割を明確にすることから始めましょう。求める成果と役割から逆算することで、何をすべきかが明確になり、効果のあるアクションを実行できるようになります。オウンドメディアの内容にとらわれすぎてしまうと、重要な施策を見誤ったりする可能性もあります。オウンドメディアがどのようにビジネス成果の創出に貢献すべきかを理解し、あるべき姿を見直していただけたらと思います。

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