X(旧Twitter)の企業アカウントはブランド認知を高め、ターゲットと直接コミュニケーションをとるために今や企業にとって欠かせないツールです。SNS活用の重要性が増す中、Xの企業アカウントを効果的に運用することで、広告費をかけずにPR活動を強化し、ユーザーとのより深い関係構築が可能になります。
しかし、その運用に不安を感じる企業様も多いのではないでしょうか。
本記事では、Xの企業アカウントを運用するメリットや注意点をはじめ、具体的なアカウント運用方法、そして成果を出すためのコツを詳しく解説します。これからXの活用を始めたいとお考えの企業様は、ぜひご参考にしてください。
\SNSを活用したブランディングにも役立つ!ブランディングの基本/
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Xの企業アカウントを最大限活用するために、まずはXの特性について見ていきましょう。
Xの特性の中でもとくに注目したいのが、拡散力の高さです。リポスト機能(※)やハッシュタグを活用することで、企業アカウントから発信した情報が短期間で広範囲に拡散され、より多くのユーザーに届けることができます。
※ほかのユーザーが投稿したポストを自分のアカウントで再度投稿する行為のこと。
Xはリアルタイム性に優れ、最新情報や急なキャンペーン告知に適しています。ユーザーとリアルタイムでコミュニケーションを取ることができ、顧客の関心を引き付けやすく、より深い関係を築けるツールです。
Xはトレンドとの親和性も高いことから、話題のトピックに便乗した場合には投稿が広がりやすいという特徴があります。
旬のトピックやキャンペーンを適切なタイミングで取り入れることで、ターゲットユーザーとのエンゲージメントを高め、より多くのユーザーにアプローチすることが可能です。
その拡散力の高さから、Xは企業のマーケティングやブランディングに役立つツールとなっています。
前述したようなXの特性はマーケティングとも好相性で、企業が運用することで次のようなメリットをもたらします。
Xは膨大なユーザー数を誇り、情報の拡散力が非常に高いSNSプラットフォームです。
リポスト機能によって簡単に、そして効果的に他者が発信する情報を届けることができます。これは、自社アカウントをフォローしていないユーザーに対しても自社が発信する情報を届けられる機会となります。
また、昨今では商品やサービスのPRにとどまらず、Xを使って実際の社員の様子を発信する企業も増えています。社員の日常や職場の雰囲気を伝えるポストはユーザーに親近感を与え、企業への好感度を高める効果も期待できるでしょう。
また、Xを通じて企業の文化や価値観を伝えることは、長期的なブランド認知にも大きな影響を与えます。
Xではリプライ機能(ポストへの返信)やダイレクトメッセージ(DM)を通じて、ユーザーと直接的かつ個別にコミュニケーションを取ることも可能です。これにより、実際の顧客の声やフィードバックをリアルタイムで収集でき、顧客満足度向上につなげられます。
また、Xを通じて他者とも簡単に情報交換ができるため、業界のトレンドや競合他社の動向を把握するのにも非常に有効です。
Xの企業アカウントを活用すれば、動画や画像を使って効果的に自社の商品やサービスをPRできます。リポストやフォローだけで簡単に応募できるキャンペーンや、ターゲットに向けた広告動画の配信など、さまざまな手法で自社の商品・サービスの魅力を広めることが可能です。
このようなPR活動は、Xの拡散力の高さも相まって効率的に認知度を高め、ユーザーの購入意欲を引き出すプロモーション活動を実現できます。
Xの企業アカウント運用においては、ブランドの認知拡大や顧客との関係構築に役立つ一方で、次のような注意点があります。
これは企業アカウントにかかわらずですが、不適切な内容の投稿をすると、その圧倒的な拡散力により瞬時に炎上につながる恐れがあります。
企業側が悪気なく発信した内容でも、受け取り方によっては不快感を与えてしまうことがあるため、慎重な投稿が求められます。炎上が発生すると、企業のイメージ回復には時間がかかり、そのほかの業務に影響することも。Xの運用にはリスク管理を徹底する必要があります。
Xの企業アカウントの運用は手軽に投稿できる一方で、ユーザーからのリプライ対応やダイレクトメッセージへの返信、キャンペーンや情報発信戦略の検討など、多岐にわたる業務が発生します。
通常の業務と並行して運用するとなると負担が大きくなりかねません。そのため、専任の担当者を配置したり運用代行サービスを活用したりと、適切な運用体制を事前に検討することが重要です。
企業のXアカウントはただ投稿するだけでは思うような成果を得られず、計画的なアプローチが求められます。
ここでは、企業がXアカウントを運用するために必要な導入準備について説明します。
企業アカウントを運用する前に、運用目的と具体的な目標を明確にしましょう。
目的には、以下のようなものが挙げられます。
また、目標には以下のようなものが挙げられます。
目標においては、測定可能な数値を設定することが重要です。
次に、ターゲットとなるユーザー層を定義しましょう。
年齢層、性別、地域、職業、興味関心といった詳細なプロフィールの設定によって、ターゲットに適したコンテンツが届けることができ、エンゲージメントが高まります。
企業のXアカウントで発信できるコンテンツは製品情報や業界ニュース・トレンド、教育的なコンテンツ、キャンペーン情報など多様にあります。とくにタイムリーな投稿や話題性のあるトピックは、ユーザーの興味・関心を引きやすいため有効です。
また、テキストだけでなく動画や画像なども活用した視覚的な訴求もポイント。コンテンツのトーンや投稿頻度、タイミングも自社イメージに合ったものに設定することで、投稿に一貫性や独自性が生まれ、競合と明確に差別化できます。
企業のXアカウントを効率的に構築するために専任の運用担当者を決め、それぞれの役割と責任の範囲を定めましょう。
複数人で運用する場合は、役割分担や情報共有ルールを整備しておくことで、そのあとの運用が円滑になります。
運用する過程で定期的に効果測定を行い、Xアカウントの成果を把握することが不可欠です。
Xを利用すれば使える「Xアナリティクス」などの分析ツールを使用して、インプレッション数やエンゲージメント率、フォロワー数の推移などを分析しましょう。どのコンテンツが効果的だったか、改善が必要なポイントが明確になることで、次の戦略に活かすことができます。
Xの企業アカウントを効果的に運用するためのポイントを紹介します。
フォロワーと双方向のコミュニケーションをとることで、いいね・リポスト・リプライなどの反応が増えやすく、エンゲージメント向上が期待できます。ほかにもブランドへの親近感がアップしたり、応援してくれるファンが増えたりなど、アカウントの信頼性や影響力が高まるでしょう。
フォロワーとのコミュニケーションを深めるためには、次のようなアクションが効果的です。
● フォロワーからのリプライには、いいねや返信でリアクションする ● フォロワーの投稿に対してリプライや引用リポストを行う ● アンケート機能を使って意見を募る |
大切なのは反応を“待つ”だけでなく、自らもフォロワーに歩み寄る姿勢を持つこと。フォロワーをただの数字ではなく、“会話できる存在”として捉えることが長く愛される企業アカウントへの第一歩です。
多くのユーザーにリーチする工夫として、ハッシュタグの活用は拡散を狙う上で非常に有効な手法です。ハッシュタグをつけることで投稿が特定の話題やトピックに紐づき、フォロワー以外のユーザーの目にも留まりやすくなります。
なお、ハッシュタグはやみくもにつけるのではなく、戦略的に選ぶようにしましょう。具体的なハッシュタグ例として、次のようなものがあります。
カテゴリー | ハッシュタグ例 |
---|---|
業界・業種に関連するタグ | #IT企業 #美容メーカー #食品業界 |
サービス・商品に関連するタグ | #サブスク #スキンケア #ガジェット好きとつながりたい |
ターゲットユーザーが使うタグ | #在宅ワーク #育児中ママ #カフェ巡り好き |
自社オリジナルのタグ | #〇〇公式 #〇〇チャレンジ |
ハッシュタグはブランディング施策としても活用でき、ユーザーとの自然なコミュニケーションのきっかけになります。ただし、ハッシュタグのつけすぎはスパムっぽく見えたり、読みづらくなったりするため注意が必要です。
どれだけ質の高いコンテンツを発信していても、届けるタイミングを間違えると、フォロワーの目に触れずスルーされてしまう可能性があります。
Xの企業アカウントでは、1日1~3回程度の投稿が理想です。投稿が少なすぎると存在感が薄れ、逆に多すぎるとフォロワーのタイムラインを埋めてしまい、ミュートやフォロー解除の原因になることも。
また、投稿タイミングは、フォロワーがアクティブな時間帯に合わせることが重要です。一般的には次の時間帯が効果的とされています。
業種やターゲット層によって最適な時間帯は異なるため、Xのアナリティクス機能で反応のよい時間帯を分析し、投稿時間を微調整していくことがポイントです。
Xのタイムライン上では、目に留まる投稿ほど反応されやすいといった傾向があります。動画や画像があると投稿の存在感が増し、スクロール中のユーザーの注意を引きやすくなります。また、Xでは動画も自動再生されるため、視覚的なインパクトを与えるには非常に効果的です。
X企業アカウント向けの動画・画像の活用例としては、次のようなものがあります。
● 製品の使い方を紹介するチュートリアル動画 ● キャンペーンやイベントの告知画像 ● 社内の様子やメンバー紹介など、企業の“人”を感じる写真 ● お客様の声(レビュー)を画像で紹介 ● 動きのあるアイキャッチ動画で目を引くPR |
とくにオリジナルのビジュアルコンテンツは、ブランディング効果も高く、ユーザーの記憶に残りやすくなります。
Xの企業アカウントにおいて、プロフィールは「名刺」のような存在です。投稿の質が高くても、プロフィールが整ってないとユーザーからの信頼を得られにくく、フォローやエンゲージメントにつながらないこともあります。「この企業は信頼できそう」「投稿内容に興味が持てそう」という第一印象を与えるためには、プロフィールをしっかりと作り込むことが重要です。
X企業アカウントでは、基本要素として次の5つの項目を設定しておきましょう。
● アカウント名・ユーザー名 企業名やサービス名が一目で分かるように設定します。ユーザーが検索するキーワードを含めるのも効果的です。 ● プロフィール画像(アイコン) ロゴやシンボルマークなど、ブランドが一目でわかる画像を使用します。画質やバランスも重要です。小さく表示されることを想定して調整しましょう。 ● バナー画像(ヘッダー) 商品やキャンペーン情報をビジュアルで伝えることができます。定期的に更新すると、動きのある印象を与えられます。 ● プロフィール文(自己紹介) 最大160文字で“何をしている企業か”を明確に伝えるのがポイントです。取り扱っているサービス内容、価値、投稿内容の方針などを簡潔に説明しましょう。 ● 外部リンク(URL) 自社サイト、ECサイト、キャンペーンLPなどへ誘導しましょう。リンク先はモバイル対応・最新情報に更新されていることが重要です。 |
企業の公式アカウントであっても、“誰かが運営している感”を出すことで、フォロワーとの間に親近感や信頼感が生まれやすくなります。“中の人”というキャラを通じて、アカウントに自社ならではのユーモアや個性を持たせましょう。
X企業アカウントで“中の人”のキャラ設定を行う際は、次のポイントを意識してみてください。
● 企業イメージとギャップのないキャラクターにする ゆるすぎたりふざけすぎたりすると、ブランドイメージと合わなくなる可能性もあります。企業のトーン&マナーに合わせた、ほどよい親しみ感を演出しましょう。 ● キャラ設定に一貫性を持たせる 語尾や口調を統一したり自分を「〇〇の中の人」と名乗ったりすることで、キャラが定着しやすくなります。 ● 中の人の日常や感情もたまに見せる 業務内容だけでなく「今日は寒いですね~」「カフェで一息」など、ちょっとした日常を織り交ぜるとユーザーとの距離がグッと縮まります。 ● 顔出しは必須ではない キャラクターアイコンやイラストでもOK。大事なのは、「この人が運営しているんだな」という存在感を出すことです。 |
温かみのある言葉づかいやちょっとしたつぶやき、ユーモアあるリアクションなどの小さな工夫の積み重ねが、フォロワーとの信頼関係やエンゲージメントにつながります。ただの“広報アカウント”ではなく、“話しかけたくなる存在”として運用していきましょう。
Xの運用はスピード感が求められ、継続的な発信・対応が必要となるため、担当者が一人だけでは対応しきれないケースも少なくありません。Xの企業アカウントを効果的に運用するには、ひとりで抱え込まず、複数名でチームとして運用する体制づくりが重要です。
具体的に、X企業アカウントを複数人で運用することには次のようなメリットがあります。
● 投稿のクオリティと頻度を安定させやすい ネタ切れや投稿漏れを防ぎやすくなり、運用の継続性が高まります。 ● リアルタイム対応やリプライ処理がスムーズにできる 複数名でリプライ対応やコメント確認を分担することで、スピーディかつ丁寧なコミュニケーションが実現します。 ● 運用リスクを分散できる 担当者が急に休んだり退職したりといった場合にも、チーム体制があれば柔軟に対応が可能です。ブラックボックス化を防ぎ、属人化しない運用ができます。 ● 多様な視点が生まれる マーケティング・広報・カスタマーサポートなど、異なる部署や立場のメンバーが関わることでコンテンツの幅が広がり、より多角的な運用が可能になります。 |
複数人でX企業アカウントを運用する際は、ツールを導入して効率的なチーム連携を図ることも有効です。定期ミーティングなどで振り返りを行うとともに、SlackやNotionなどのチャットツールも活用しながら対応漏れや認識ズレなども防いでいきましょう。
Xで運用されている企業アカウントの実例を紹介します。
無料で利用できる語学学習アプリ「Duolingo(デュオリンゴ)」の公式Xアカウント(@Duolingo_Japan)は、フクロウのキャラクター「Duo」が自ら発信しているかのようなユニークな運用スタイルです。「中の人」ではなくキャラクターが主役となった運用スタイルは、ユーザーが親近感を抱きやすくなっています。
なお、このアカウントのDuoは少し「狂気じみた」キャラクターで学習を促す圧が強く、それが逆に面白いと人気です。ユーザーとの交流も積極的で、ファンとの距離が近いのもポイント。
また、投稿されるポストはトレンドを押さえており、面白くて話題になりやすいものが多いのも特徴です。
「楽しさ」と「親しみやすさ」を前面に出すことで、強力なファンコミュニティを形成しているアカウントだといえるでしょう。
御徒町の食料品専門店「吉池」の公式Xアカウント(@yoshiike_group)は、お店の「今」がわかるライブ感と実用的な情報が最大の魅力です。
その日に入荷したばかりの新鮮な魚介類が食欲をそそる写真付きでリアルタイムに紹介されるほか、特売品や旬のおすすめ商品も頻繁にアナウンスされるため、買い物前にチェックすると非常に役立ちます。
また、「ばぁば」と「娘2」といった複数の担当者が登場し、親しみやすい投稿を通して、お店ならではの活気や温かい雰囲気を伝えています。話題のエンタメ系アカウントとは一味違い、見ているとお腹が空いてくるような「シズル感」と、お店のファンにとって嬉しい情報が詰まっている点が特徴です。
桂浜水族館の公式Xアカウントは企業アカウントの枠を大きく超え、公式マスコット「おとどちゃん」を全面に押し出した超個性的なキャラクター運用によって、多くのファンを獲得しています。
一般的な宣伝や丁寧な情報発信とは異なり、毒舌でユーモアにあふれた「おとどちゃん」が、ファンとプロレスのような軽妙な掛け合いを繰り広げるなど、投稿そのものが一つのエンターテインメントになっています。これにより、ユーザーは「企業」としてではなく「おとどちゃん」という面白いキャラクター個人のファンになるのです。
もちろん、水族館の生き物たちの日常やイベント情報なども頻繁にポストされています。
このように、昔ながらのローカルな水族館というイメージと、SNS上での破天荒なキャラクターとの間に生まれる強烈なギャップが「面白い」「応援したい」という強い魅力を生み出しています。このように、桂浜水族館はXを単なる「広告」ではなく「キャラクターコンテンツ」として運用することで、他の企業には真似のできない強力なファンコミュニティの獲得に成功しているのです。
人気コスメブランド「ヒロインメイク」の公式Xアカウントは、ブランドが掲げる「お姫様」の世界観を徹底的に体現した、一貫性のある情報発信が特徴です。発信しているのは、美の王国からやってきたエリザベート・姫子というキャラクター。
ブランドを象徴するイラストやカラーで統一された美しいクリエイティブも魅力で、投稿を見ているだけでまるでおとぎ話の世界に入り込んだかのような気分になります。
丁寧で気品のある言葉遣いで新製品情報やキャンペーン、そして「いかなる時も完璧に美しい、少女漫画のヒロインになれる」を叶えるためのメイク術などを発信しています。
Xの企業アカウントを上手に活用することで、ブランド認知の向上やターゲット層への直接的なアプローチが可能となり、効率的なPR活動を実現できます。Xは広告費をかけずに自社の商品・サービスや事業内容、さらには人事採用のPRを行うために有効なプラットフォームです。まずはアカウントをしっかり運用し、企業の魅力を発信していきましょう。
Xの運用に不安のある方や、運用に充てる社内リソースが不足している場合は、当メディアを運営する株式会社ファングリーにぜひお気軽にご相談ください。ご予算に合わせたプランをご用意いたします。
執筆者
コンテンツディレクター/ライター
Miho Shimmori
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。
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