本記事では、Googleの高性能AI「Gemini(ジェミニ)」の能力を最大限に引き出すための、プロンプト(指示文)の書き方と精度を高めるテクニックを解説します。
「Geminiに指示を出しても期待した答えが返ってこない」
「もっと具体的な分析や文章作成をしてほしいのに、一般的な回答しか得られない」
このようにお悩みのビジネスパーソンやマーケティング担当者の方に向けて、AIの回答の質を劇的に向上させるプロンプト設計のスキルを紹介します。
この記事を読めば、Geminiを「単なるツール」ではなく、「賢いアシスタント」として自在に使いこなせる指示スキルが身につきます。
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Table of Contents
Gemini(ジェミニ)は、Googleが開発した最新かつ高性能の生成AIモデルです。文章・画像・音声・動画など、複数の情報を同時に処理できる「マルチモーダルAI」として設計されており、従来のテキストベースAIとは一線を画します。
例えば、風景写真を見せて「この場所について説明して」と尋ねたり、ホワイトボードの板書(画像)をテキストに書き起こさせたりすることも可能です。
Geminiの主な機能
● 文章作成
ブログ記事、メール、レポート、広告コピーなど、あらゆる種類の文章を生成
● 要約
長文のドキュメントやWebページの内容を瞬時に要約し、重要なポイントを抽出
● 翻訳
高精度な多言語翻訳を実施
● アイデア出し(ブレスト)
新企画のアイデア、記事のタイトル案、問題解決策などを幅広く提案
● Googleサービスとの連携
Google検索による最新情報の反映、GmailやGoogle ドキュメント、Google Drive内の情報と連携したタスク処理が可能
▼ Geminiの基本情報と詳細な使い方は、以下の記事で解説しています。
プロンプトとは、生成AI(Gemini)に対して行う指示文や命令文のことです。AIはプロンプトをもとに回答を生成するため、どんな内容を、どんな形で書くかによって結果の精度が大きく変わります。
プロンプトの悪い例・良い例をそれぞれ見てみましょう。
悪い例:コンテンツマーケティングについて教えてください。
⇒曖昧で範囲が広く、抽象的な回答になりやすい
良い例:あなたはコンテンツマーケティングに詳しいライターです。中学生にも分かるように、コンテンツマーケティングの基本を説明してください。
⇒役割・目的・トーンが明確で、質の高い回答を得やすい
このように、プロンプトはAIとの「会話の設計書」と言える存在です。良いプロンプトを作るスキルは、「AI時代の新しいリテラシー」とも言えるでしょう。
なお、GeminiはGoogle製AIであるため、以下の点に強みがあります。
Google検索と連携している
Geminiは、Google検索エンジンとシームレスに連携しています。そのため、プロンプトに「最新の情報を踏まえて」といった指示を含めると、リアルタイムのWeb情報を検索・分析し、最新のトレンドや事実にもとづいた回答を生成します。
Google Workspaceと連携できる
Gemini Advancedなどの有料プランでは、GmailやGoogleドキュメント、Googleドライブと連携した高度な作業が可能です。Gmailでは長いメールスレッドを要約したり、要件を整理した返信文案を自動作成したりできます。ドライブでは、Geminiサイドパネルから特定のファイルやフォルダを「@」(アットマーク)で指定し、その内容を要約させたり、議事録からタスクリストを作成させたりといった、業務に直結するプロンプトを実行できます。
Geminiから精度の高い回答を得るには、プロンプトの基本的な「型」を抑える必要があります。ここでは、最も代表的なフレームワーク「PTCF」の4つの要素を紹介します。
まず、Geminiに「誰として」回答してほしいかを指定します。
例えば、プロの編集者・マーケター・エンジニアなど、専門家としての視点を与えることで、回答のトーンや深さが安定します。
プロンプト例
次に、AIに実行してほしい具体的な「作業」を明確に指示します。
「~について教えて」といった曖昧な指示ではなく、「何を」してほしいのかを動詞で明確に示すことが重要です。
プロンプト例
AIは「なぜそれをやるのか」を理解してこそ、最適な回答を返せます。ターゲット読者、利用シーン、前提条件といった背景情報をしっかり伝えることがポイントです。
プロンプト例
– 目的:
新入社員向けの研修資料として使用します。
– 前提条件:
競合A社はすでに類似のサービスBを開始しています。
– ターゲット読者:
この記事のターゲットは、Webマーケティングを始めたばかりの初心者です。
– 利用シーン:
これはクライアントへの謝罪メールの草案です。丁寧な言葉遣いを徹底してください。
最後に、回答の形式(箇条書き、表、マークダウン、文字数など)を明示します。
せっかく良い内容の回答が得られても、それが長文のテキストで羅列されているだけでは、コピー&ペーストや資料への転記といった後の作業を効率化できません。
最初から希望する形式を指定することで、作業効率を大幅に改善できます。
プロンプト例
このPTCFの4要素を組み合わせていけば、プロンプトは格段に具体性と説得力を増し、より精度の高い回答を引き出せるようになります。
PTCFの4要素を意識するだけでも回答の質は上がりますが、さらに精度を高めるために次の5つのコツも意識しましょう。
AIは「行間を読む」のが得意ではありません。「いい感じに」「適当に」といった曖昧な表現は避けましょう。5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識し、可能な限り具体的な指示出しが重要です。
ケース1
悪い例:たくさんアイデアを出してください。
良い例:10個のアイデアを箇条書きで出してください。
ケース2
悪い例:SNS運用について教えてください。
良い例:Xでフォロワーゼロから1000人を目指す初心者が、最初に取り組むべき3つのことを教えてください。
このような個数や文字数などの数値、固有名詞の明確化により、回答の精度は格段に上がります。
前提条件と背景を詳細に伝えることは、これはPTCFの「コンテキスト(Context)」の深掘りにあたります。
ここでとくに重要なのが、「なぜそのタスクが必要なのか」という目的の明確化です。
プロンプト例
単なる指示:この記事を要約してください。
目的が明確な指示:この記事を30秒で上司に報告できるよう、重要な決定事項だけを3点に絞って要約してください。
上記の「良い例」では、Geminiが「上司への報告」が目的だと理解し、「重要な決定事項」にフォーカスした最適な要約を返してくれます。
PTCFの「ペルソナ(Persona)」も、具体的であるほど効果を発揮します。
プロンプト例
浅いペルソナ:あなたはプロのライターです。
詳細なペルソナ:あなたはIT業界で10年の経験を持つプロのライターです。専門用語を一切使わず、テクノロジーに疎い経営者層に響く、情熱的な文章を書くのを得意としています。
上記の「詳細なペルソナ」のようにターゲット像を深く設定すると、「想定すべき人物像」が明確になります。これによってGeminiの回答のトーンや語彙選択が、あなたの期待により近づくでしょう。
AIは、与えられた「例」からパターンを素早く学習します。これは「Few-shotプロンプティング」と呼ばれるテクニックです。
Few-shotプロンプティング例
Aという新しいコーヒー豆について、下記の例と同じテイストのキャッチコピーを5つ作成してください。
例1:朝が変わる。人生が変わる。
例2:一滴に、太陽の恵みを。
また、「〜しないでほしい」といった制約条件(ネガティブ・プロンプティング)を明確に示すことも、アウトプットの質を高めるうえで非常に有効です。
ネガティブ・プロンプティング例
Geminiの真価は 「対話」 にあります。最初の生成結果が完璧でなくても問題ありません。その回答に対して追加の指示を加え、ブラッシュアップしていくプロセスが大切です。
例えば、以下のように指示を重ねます。
このように、AIをアシスタントや壁打ち相手として活用し、対話を通じて回答を望む形に近づけていきましょう。
続いて、ChatGPTなど他のAIと共通するテクニックだけでなく、Google独自のAIとしてGeminiの強みを活かす応用的なプロンプト術を解説します。
Geminiの最大の強みのひとつは、Google検索と統合されている点です。
これにより、ほかのAIのように「古いままの学習データから回答を引っ張り出してくる」ということがありません。最新の情報やリアルタイムのデータにもとづいた回答が期待できます。
この機能を最大限活用するために、プロンプトには「いつの情報か」を意識させるキーワードを含めましょう。
プロンプト例
このように「最新」「現在」「直近」といった指示を与えれば、Geminiは自動的にGoogle検索を行い、最新情報を反映した回答を生成してくれます。
Gemini Advanced(有料版)や特定のビジネスプランでは、GeminiとGoogle Workspace(Gmail、Drive、ドキュメント、スプレッドシートなど)を連携できます。
プロンプト内で「@」マークを入力すると、連携するサービス(@Gmail、@Drive など)を呼び出すことが可能です。
プロンプト例
これにより、個人データや社内ドキュメントにもとづいた、極めてパーソナライズされたタスク処理が可能になります。
GeminiはマルチモーダルAIであり、テキストだけでなく、画像やデータをプロンプトとして活用できます。
活用例としては、以下の通りです。
画像の活用
会議室のホワイトボードの写真をアップロードし、「この板書をテキストに書き起こし、タスクを整理してください」と指示する。
グラフの活用
競合他社の売上グラフ(画像)をアップロードし、「このグラフの傾向を分析し、読み取れるインサイトを3点挙げてください」と指示する。
データ(表)の活用
スプレッドシートやCSVデータ(例:顧客アンケート結果)をアップロード、またはプロンプトに直接貼り付け、「このアンケート結果の傾向を分析し、最も多い不満点を特定してください」と指示する。
テキストだけでは伝えきれない複雑な情報も、上記の手順で画像やデータを組み合わせることで、Geminiに正確な意図を伝えられるようになります。
ここからは、PTCFの4要素を盛り込んだ、記事制作に役立つプロンプトを「悪い例」と「良い例」で対比しながら紹介します。
悪い例
「プロンプト 書き方」の記事タイトルを考えてください。
良い例(PTCF活用)
P(ペルソナ):
あなたは、読者のクリック率を最大化させることを得意とする、プロのWebメディア編集者です。
C(コンテキスト):
記事のメインターゲットは「Geminiを使い始めたが、うまく指示が出せないビジネスパーソン」です。この記事を読めば「プロンプトの基本とコツが分かる」というベネフィットを伝えたいです。
T(タスク):
対策キーワード「Gemini プロンプト 書き方」を含みつつ、読者が思わずクリックしたくなる記事タイトル案を10個作成してください。
F(フォーマット):
タイトル内では【】(隅付き括弧)を使った強調を適宜使用してください。
悪い例
「SEO 内部対策」の記事構成を作ってください。
良い例(PTCF活用)
P:
あなたは、Googleの検索アルゴリズムを熟知したベテランSEOコンサルタントです。
C:
ターゲットは「自社サイトのSEOを始めたばかりのWeb担当者」です。競合記事は専門用語が多すぎます。この記事では、初心者が「明日から具体的に何をすべきか」が分かることをゴールとします。
T:
メインキーワード「SEO 内部対策」、関連キーワード「タイトルタグ」「パンくずリスト」「表示速度」を含めたブログ記事の構成案を作成してください。
F:
読者の検索意図を網羅できるよう、h2(大見出し)とh3(小見出し)の階層構造で、マークダウン形式で出力してください。
悪い例
「コンテンツマーケティングとは」の記事本文を書いてください。
良い例(PTCF活用)
P:
あなたは、難しい専門用語を平易な言葉で解説するのが得意な、経験豊富なビジネスライターです。
C:
以下の構成案の【h2: コンテンツマーケティングの重要性】の部分を執筆します。ターゲットは「広告費をかけずに集客したい中小企業の経営者」です。
T:
なぜ今、従来の広告(アウトバウンド)ではなく、コンテンツマーケティング(インバウンド)が重要なのか、その理由を比喩表現を交えながら情熱的に解説してください。
F:
全体で約600文字程度。重要なキーワードは太字にしてください。
悪い例
この文章を直してください。
良い例(PTCF活用)
P:
あなたは、厳格な新聞社の校閲・校正担当者です。
C:
以下の文章は、新人が書いたプレスリリースの草稿です。クライアント(IT企業)に提出する前に、プロの目線で修正が必要です。
T:
以下の【原文】を読み、誤字脱字、文法的な誤り、「てにをは」の不自然な箇所をすべて修正してください。また、専門用語(例:アジャイル、コンテナ)が多用されているため、中学生にも分かる平易な言葉にリライトしてください。
F:
「修正後の文章」全体を提示した後、「修正箇所の解説」を箇条書きで示してください。
【原文】
(ここに原文を貼り付ける)
悪い例
この記事の要約を作ってください。
良い例(PTCF活用)
P:
あなたは、検索ユーザーのクリックを誘発するコピーライティングが得意なSEOスペシャリストです。
C:
以下は「テレワーク 導入 メリット」に関する記事の本文です。ターゲットは「テレワーク導入を検討している企業の総務・人事担当者」です。
T:
この記事の要点をまとめ、ターゲットキーワード「テレワーク 導入 メリット」を含めつつ、記事を読むことで得られるベネフィット(メリット)を明確に示し、クリックを促すメタディスクリプションを作成してください。
F:
検索結果に表示されるよう、全角120文字以内で作成してください。
【記事本文】
(ここに記事本文の要約、または全文を貼り付ける)
悪い例
「ダイエット」の関連語は?
良い例(PTCF活用)
P:
あなたは、ユーザーの検索意図(インテント)を深く理解するSEOアナリストです。
C:
現在、「ダイエット 食事」というメインキーワードで記事を作成中です。
T:
「ダイエット 食事」と検索するユーザーが、次に検索しそうな関連トピックや、まだ満たされていない潜在的なニーズ(悩み)を予測し、関連キーワードやトピックのアイデアを10個、箇条書きで挙げてください。
F:
単なるキーワードの羅列ではなく、「なぜそのトピックが必要か」という簡単な解説も加えてください。
(例:「ダイエット 食事 コンビニ」 → 外食が多い多忙な層のニーズ)
記事制作以外の多様なビジネスシーンで活用できるプロンプトテンプレートを紹介します。
謝罪メール
P(ペルソナ):
あなたは誠実さと迅速な対応を重視する、カスタマーサポートのベテランリーダーです。
C (コンテキスト):
当社ECサイトでシステム障害が発生し、顧客への発送が1日遅延しています。相手は3回以上リピートしてくれている優良顧客です。
T(タスク):
システム障害のお詫びと、発送遅延の報告、今後の対応策(本日中に発送予定)を伝えるための謝罪メールの文案を作成してください。
F(フォーマット):
丁寧語と尊敬語を正しく使い、相手の怒りを鎮め、信頼を損なわないような誠意ある文面を出力してください。
依頼メール
P:
あなたは相手への配慮を忘れず、快く動いてもらうことを得意とする、丁寧なビジネスパーソンです。
C :
相手は取引先(または社外の協力者)のA様。来週の重要なプレゼンで使用する「〇〇に関するデータ」の提供を依頼したい。期限は今週末(金曜日)までを希望しています。
T:
A様に対し、「〇〇に関するデータ」の提供を依頼するメール文案を作成したいです。依頼の背景(プレゼンでの使用)と希望納期(今週末)を明記しつつも、相手の都合を伺う謙虚な姿勢(「ご多忙のところ恐縮ですが」「もし可能であれば」)を含めてください。
F :
件名(例:【ご依頼】〇〇データご提供のお願い)、本文(挨拶、依頼内容、背景・理由、希望納期、結びの挨拶)を含む、丁寧なビジネスメール形式で出力してください。
日程調整メール
P:
あなたは効率的かつ円滑なスケジュール調整を得意とする、プロジェクトマネージャーです。
C:
「新プロジェクトA」のキックオフミーティングを開催予定です。必須参加者は、社内の関係部署(営業Bさん、開発Cさん)の2名。会議の目的は「プロジェクトの全体像共有と、各部署の役割分担の確認」。所要時間は1時間を想定しています。
T:
BさんとCさんに対し、ミーティングの目的を明確に伝えた上で、複数の候補日程を提示し、都合の良い日時を確認する日程調整メールを作成してください。
F:
件名(例:【日程調整のお願い】新プロジェクトA キックオフミーティング)、本文(挨拶、会議の目的、所要時間、開催形式(例:オンライン/第3会議室)、候補日程(箇条書きで複数提示)、結び)を含むビジネスメール形式で出力してください。
P:
あなたは日本のビジネス慣習と英語(米国)のビジネス慣習の両方を深く理解している、プロのビジネス翻訳家です。
C:
以下の日本語のメールは、取引先(米国企業)に対して、納期延長を丁寧に「打診」する内容です。
T :
以下の【日本語原文】を、自然なビジネス英語に翻訳してください。単なる直訳ではなく、「強く要求する」のではなく「可能かどうか伺う」という、謙虚なニュアンスを正確に伝えてください。
F:
英語のメール形式(冒頭の挨拶、結び)で出力してください。
【日本語原文】
(ここに原文を貼り付ける)
P:
あなたは聴衆の心を掴み、行動変容を促すプロのプレゼンテーションコーチです。
C:
ターゲットは社内の役員会。持ち時間は15分。ゴールは「新プロジェクトAの予算承認を得る」ことです。
T:
役員を説得するためのプレゼンテーションの構成案(アジェンダ)を作成したいです。「なぜ今このプロジェクトが必要か(市場背景)」「何を解決するのか(課題)」「どのように解決するか(具体策)」「必要なリソース(予算)」が論理的に伝わる流れにしてください。
F:
各スライドのタイトルと、そのスライドで話すべき要点を箇条書きで示してください。
P:
あなたは、膨大な情報の中から意思決定に必要な核心を見抜く、優秀な経営コンサルタントです。
C:
以下のテキストは、3時間にわたる新サービス開発会議の議事録(全文)です。
T:
この議事録の「重要な決定事項」と「未解決の課題(ペンディング事項)」「各担当者の次回のタスク(TODO)」を、明確に分けて要約してください。
F:
以下の3つの見出しで、箇条書きで整理してください。
・決定事項:
・未解決の課題:
・TODOリスト(担当者名):
【議事録全文】
(ここに議事録テキストを貼り付ける)
P:
あなたはファシリテーションの達人です。ある会議のファシリテーションを担当します。
C:
その会議の目的は「第3四半期のマーケティング施策の振り返りと、第4四半期の戦略決定」。参加者は営業部長、マーケティング担当、開発担当。所要時間は60分です。
T:
会議が時間内に終わり、かつ具体的な結論が出るように、議論すべき項目(アジェンダ)と、各項目の標準的な時間配分(目安)を示したたたき台を作成してください。
F:
議論の順番が論理的になるように並べてください。
P:
あなたは批判的な視点を持ち、あらゆるリスクを想定できる、広報(PR)部門の危機管理担当者です。
C:
以下の【新サービスのプレスリリース】を発表する予定です。
T:
このプレスリリースを読んだ顧客やメディアから寄せられそうな、ネガティブな質問(または意地悪な質問)と、それに対する模範回答案をセットで5つ作成してください。
F:
【Q1】(質問)→【A1】(回答)の形式で出力してください。
【新サービスのプレスリリース】
(ここにプレスリリース文を貼り付ける)
P:
経験豊富なデータサイエンティスト
C:
以下のデータは、当社の顧客アンケート(100件)の集計結果(表形式)です。
T:
このアンケートの傾向を分析し、「顧客満足度が最も高い項目」と「顧客が最も不満を感じている(=早急に改善すべき)課題」を特定し、その根拠をデータにもとづいて示してください。
F:
分析結果とインサイト(洞察)をレポート形式でまとめてください。
【アンケートデータ(CSVやTSV形式で貼り付け)】
(ここにデータを貼り付ける)
P:
あなたは顧客の声を正確に分類・整理する、熟練のカスタマーサポートアナリストです。
C:
以下のテキスト群は、直近1週間に寄せられた「お客様の声(自由記述)」50件のリストです。
T:
これらの声をひとつずつ読み、内容に応じて「ポジティブ(感謝・賞賛)」「ネガティブ(不満・クレーム)」「要望(機能改善)」「その他(質問など)」の4つのカテゴリに分類してください。
F:
元のテキストとカテゴリを表形式で出力してください。
【お客様の声リスト】
(ここにテキスト群を貼り付ける)
P:
常識にとらわれない、奇抜なアイデアを生み出すのが得意な、天才プランナー。
T:
当社の新商品「AI搭載型コーヒーメーカー」の認知度を爆発的に高めるためのプロモーション案をブレストしてください。
C:
制約条件は一切考えなくて良いです(実現可能性や予算は問わない)。とにかくクレイジーで、「誰もやったことがない」革新的なアイデアを求めています。
F:
20個、箇条書きでリストアップしてください。
P:
あなたは、冷静沈着な経営戦略コンサルタントです。
C:
分析対象は、地方都市にある老舗の「A書店」。【基本情報】(後述)を参考にしてください。
T:
T:A書店の「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」を分析し、SWOT分析のフレームワークで整理してください。
F:
各項目(S・W・O・T)について、それぞれ最低3つの要素を具体的に挙げてください。
【基本情報】
・創業50年の老舗で、地域住民(特に高齢者)からの信頼が厚い
・駅前に立地しているが、建物が老朽化している。
・店主は文学に詳しいが、ITには疎い
・最近、3キロ先に大型の競合書店(ショッピングモール併設)がオープンした
・オンライン書店(Amazonなど)の影響で、雑誌・コミックの売上が減少
P:
あなたはどんな顧客の懐にも飛び込める、トップセールスマンです。
C:
商材は「中小企業向けSaaS型勤怠管理システム」。ターゲットは「紙のタイムカードで管理している、従業員30名ほどの企業の経営者」。アプローチ方法は「テレアポ(電話営業)」です。
T:
相手が「忙しい」と電話を切ろうとするのを防ぎ、「まずは資料だけでも」と話を聞いてもらうための、テレアポの冒頭30秒のトークスクリプトのたたき台を作成してください。
F:
経営者が抱えているであろう課題(例:集計が面倒、コストがかかる)に共感し、ベネフィットを簡潔に提示する流れで作成してください。
ここまでプロンプトのテンプレートをいくつか紹介しましたが、「一度で完璧なプロンプト」を目指してしまい、うまくいかないと「Geminiは使えない」と言って諦めてしまう方も少なくありません。
実際のところ、Gemini(生成AI)の真価は「対話を通じた改善」にあります。
AIを「新人のアシスタント」のように捉え、最初は大まかな指示から始めてみましょう。そして、対話を重ねながら丁寧に教育することによって、期待通りの出力に近づけられます。
この対話による改善プロセスを、専門的には「プロンプト・チェイニング(Prompt Chaining)」と呼びます。これは、複雑なタスクを一度のプロンプトで指示するのではなく、一連のプロンプト(チェーン=鎖)としてタスクを分割し、段階的に指示を与えて回答を育てるテクニックです。
具体的には、以下の流れで行います。
1. 指示①:大枠のアイデア出し
プロンプト例
あなたは当社のマーケティング担当です。
当社の強み(高品質なオーガニック素材)を活かした、新しいお菓子(スイーツ)の新商品アイデアを10個、箇条書きで出してください。
Geminiが10個のアイデアリストを生成してくれます。

2. 指示②:深掘りと絞り込み
プロンプト例
ありがとう。素晴らしいアイデアです。
その中の3番「果実を食べる、生ガトーショコラ」について、ターゲット層、想定される主要なメリット、考えられる懸念点を詳しく教えてください。
Geminiが、以下のような詳細な分析を生成します。

3. 指示③:タスクの転用(メール作成)
プロンプト例
この分析内容を基に、山田部長(上司)への提案メールを作成してください。
目的は初動調査の承認を得ることです。
懸念点についても隠さず報告しつつ、それでも進める価値があるトーンでお願いします。
Geminiが上司向けのメール文面を生成します。

このように、プロンプトを段階的にチェーン化させると、Geminiはあなたの意図や背景を理解し、最終成果物の質を大きく向上させられます。
そのGeminiプロンプトを、さらに「戦略的」な武器に変えませんか?

本記事で紹介したプロンプトを活用すれば、質の高いコンテンツを素早く作成できます。ここでさらに一歩先を行くなら、そのプロンプトの「インプット(前提条件)」に、プロ視点のマーケティング戦略を組み込んでみてください。AI時代のコンテンツ制作で競合に差をつけるための「マーケティングの基本」を、今すぐ無料で手に入れましょう。
Geminiは強力な生成AIですが、万能ではありません。安全かつ効果的に活用するために、知っておくべき注意点を解説します。
まずもっとも重要なのが、個人情報や社外秘のデータを絶対に入力しないことです。Geminiを含む多くの生成AIでは、入力されたデータが学習に利用される可能性があります。
とくに、以下の情報は厳禁です。
業務でAIを使う場合は、必ず社内のセキュリティ規定にも従ってください。
なお、Gemini Advancedなど一部の有料版は「学習に利用されない設定」が可能ですが、無料版や利用時の設定によっては学習に使われる場合があります。利用前に最新のプライバシーポリシーを確認しましょう。
Geminiは高い精度で回答を生成できますが、事実ではない内容をもっともらしく回答する現象(=ハルシネーション)が起こるケースがあります。AIは「正しいかどうか」ではなく、「それっぽい語の並び」を予測して生成しているだけです。
検索連携によってGeminiのハルシネーションは比較的少ないとされていますが、ゼロではありません。
とくに以下の情報は、必ず人間が確認しましょう。
必ず一次情報に触れて、人の目でファクトチェックを徹底することが重要です。
▼ファクトチェックについては、以下記事のご参照ください。
Geminiを利用する際は、倫理面や著作権への注意も欠かせません。
ヘイトスピーチや誹謗中傷、不正行為を助長するような差別的、暴力的、非倫理的な内容を生成させる指示は厳禁です。
また、Geminiが生成する文章は、偶然にも既存のブログ記事やニュース記事と類似してしまう恐れがあります。とくに長文を一括で生成した場合、意図せずコピーコンテンツと判断されてしまうリスクがあります。
そのため、生成された文章は以下を必ず実施しましょう。
Geminiの出力をそのまま公開するのではなく、最終的な文章の品質とオリジナリティには人間が責任をもって調整することが求められます。
▼ 生成AIを活用したコンテンツ制作のポイントは、以下記事でも解説しています。
一度のプロンプトに多くの指示を詰め込みすぎると、Geminiは優先順位を判断できず混乱します。
例えば、次のような“てんこ盛りプロンプト”は、出力の質が大きく下がります。
このような場合、前述の「プロンプト・チェイニング」を活用し、タスクを分割し順番に指示していく方が、結果的に早く高品質なアウトプットを得られます。
Geminiプロンプトに関するよくある質問をまとめました。
背景情報(コンテキスト)や役割(ペルソナ)を詳細に設定するために、プロンプトが長くなるのは自然です。
注意すべきなのは、長文になった結果、指示が曖昧になったり、矛盾した内容を含んだりしてしまうこと。長さよりも、指示が具体的で論理的に整理されているかを重視しましょう。
詳細は、記事内の「Geminiでより高精度な回答を得るプロンプトのコツ【基本編】」をご覧ください。
Geminiから期待した回答を得られない場合、次の方法を試してみてください。
詳しくは記事内の「Geminiでより高精度な回答を得るプロンプトのコツ【基本編】」を参考にしてください。
プロンプトの基本的な書き方や考え方は、GeminiもChatGPTも共通しています。
ただしGeminiには、Google検索の活用やGoogle Workspaceとの連携といった独自の強みがあり、これらの機能を活用するためのプロンプトはGeminiならではと言えるでしょう。
詳しくは記事内の「Geminiでより高精度な回答を得るプロンプトのコツ【応用編】」で解説しています。
最も基本で強力なのは、PTCFの4要素をそろえるテンプレートです。この記事では、このPTCFの型をベースに、様々なビジネスシーンで応用できる具体的なテンプレートを多数紹介しています。
詳しくは、記事内の「 記事制作に役立つGeminiプロンプトの書き方【テンプレート】」をご確認ください。
Geminiのプロンプト作成は、知識として覚えるだけでは身につきません。実際に手を動かし、試行錯誤する中で磨かれていくスキルと言えます。本記事で紹介したPTCFフレームワークやテンプレートも、使ってこそ価値が生まれるものです。
最初からうまくいく必要はありません。思い通りに伝わらなくても、それも立派なプロセスのひとつ。対話を重ねながら、あなたの目的や好みを少しずつ「教えていく」ことで、Geminiは本当の意味で強力な相棒へと成長します。
まずは、気になったテンプレートをひとつ選んでコピーし、Geminiに話しかけてみてください。
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