本記事では、対話型生成AI「Grok(グロック)」について網羅的に解説しています。
「最新のトレンドをコンテンツ制作に素早く反映させたい」
「AIを活用して、型にはまらない創造的なアイデアを得たい」
このように感じているコンテンツの企画・制作に携わる担当者の方に向けて、Grok(グロック)の使い方や活用ポイントを紹介します。
この記事を読めば、Grok(グロック)の特徴であるリアルタイム性や創造性を組み込みながら、ユーザーのエンゲージメントを高めるコンテンツ制作の第一歩を踏み出せます。
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Table of Contents
Grokとは、有名なアメリカの実業家、イーロン・マスク氏がCEOを務めるxAI(エックス・エーアイ)社が開発した対話型生成AIです。
「Grok」という名称の由来は、アメリカのSF作家であるロバート・A・ハイラインが書いた小説『異星の客』の中で用いられた言葉だと言われています。日本語では「理解する」「認識する」と翻訳されています。
Grokの最大の特徴は、X(旧Twitter)のプラットフォームと連携し、そこにあるリアルタイムの投稿を情報源として回答を得られること。「少しひねくれている」「反抗的な一面がある」といった性格を持ちながら、ユーモアを交えた回答を生成してもらえるのも特徴のひとつです。
従来、Grokでは「ファンモード(Fun Mode)」と「通常モード(Regular Mode)」のいずれかを選択できました。
「ファンモード」では、ユーザーが投げかけた質問に対して、Grokならではの「ひねくれた」ユーモラスな回答が得られました。しかし、2024年12月よりこの機能は利用停止しています。
このモードに代わって、2025年7月に新機能「コンパニオンモード」が追加されました。コンパニオンモードでは、テキストや音声を通じて3Dのアニメーションキャラクターと対話できます。対話の内容に合わせてキャラクターが表情や動作を変えるのもひとつの特徴です。
現在、コンパニオンモードを利用できるプラットフォームはiOS版アプリに限られます。また、Grokの無料プランでも活用できるものの、より高度な機能を用いるためにはSuperGrok以降のプラン加入が必要です。
Grokと同様に、対話型生成AIのひとつが「ChatGPT」です。GrokとChatGPTの違いについて、下表にまとめました。
| Grok | ChatGPT(GPT-4) | |
|---|---|---|
| 情報のリアルタイム性の高さ | Webサイトの情報やXの投稿を活用するため高い | 特定時期の学習データがベースとなるためあまり高くない |
| 回答のトーン | ・中立的、客観的な回答・ユーモアや気遣いを交えた回答※モードによる | ・中立的、客観的な回答 |
| 活用シーン | ・最新情報、トレンドの収集および分析・X投稿の分析・プログラミング | ・文章の作成・企画・開発のアイデア出し・作業効率化 |
| プラットフォーム | Webサイト、アプリ、X | Webサイト、アプリ |
Grokには、ほかの対話型生成AIとは異なる特徴や機能がいくつかあります。ここでは「Xのリアルタイムデータへのアクセス」と、回答に至るまでの思考プロセスを開示する「Think」について解説します。
Grokは、Xのプラットフォーム上に組み込まれています。そのため、Xの全投稿にリアルタイムでアクセスしながら、最新のニュースやトピック、トレンドを収集できます。
「今話題のニュースを教えて」「今日のプロ野球の勝敗は?」といったタイムリーな質問を投げかけても、的確な回答を得られるでしょう。
Grokのようにリアルタイム性に強みを持つ対話型生成AIとして、Microsoft Copilot(旧Bing AI)があります。Microsoft Copilotは、Microsoftが提供する検索エンジン「Bing」と連携しています。そのため、検索結果時の最新情報にもとづいた回答を受け取ることが可能です。
しかし、Bing上のニュースやブログよりXに投稿されるポストのほうが圧倒的に数が多く、しかもスピーディーでもあることから、情報の鮮度や網羅性という面ではGrokに優位性があると言えます。
Grokには、ほかの対話型生成AIと一線を画す特長として「Think」という機能があります。
「Think」は、ユーザーからの質問に対して回答だけでなく、そこに至るまでの思考プロセスも示してもらえる機能です。これによって、回答の論理性や信頼性を理解しやすくなるでしょう。
「Think」を用いる場合、プロンプト(指示)に「方法や手順を尋ねる内容を含めること」が大切です。例えば、次のような書き方があります。
例
中小企業の中でコンテンツ制作の効率化を進めたいのですが、その方法が分かりません。初心者でも理解できるよう、具体的な方法とその実行ステップを教えて。

このほか、プログラミングに関する問題解決やデータの分析などにも効果的です。
Grokも、ほかの対話型生成AIと同じく容易に利用できます。ここでは、Grokを実際に利用するための手順について紹介します。
Grokには無料プランがありますが、利用回数に制限があります。利用回数を気にせずあらゆる機能を活用したいなら、Xの有料プラン「X Premium+」への加入がおすすめです。
「X Premium+」には、XのWebサイトから加入することをおすすめします。アプリからの加入に比べて安価になるためです。
Webサイト(PC)から加入する場合、以下の手順になります。
① Webサイトの左側のメニューバーにある「プレミアム」をクリック

② 「X Premium+」を選択し、「サブスクライブして支払う」をクリック

③ 支払い方法を入力し、「申し込む」をクリックした後、電話番号認証を経て完了

Grokにアクセスをするには、XのWebサイトとアプリの二つの方法があります。
Webサイトの場合は左側のメニューバーにある「Grok」を、アプリの場合には下部のメニューバーにあるGrokのロゴマークをクリックすれば、チャット画面が立ち上がります。
チャット画面上の「どんなことでもお尋ねください」「何でも聞いてください」という記載があるスペースに、プロンプト(質問)を入力します。Grokではプロンプトの内容によって、テキストによる回答を得られるだけでなく、画像の生成や編集も可能です。
プロンプトを入力すると、その下部にGrokからの回答が出てきます。適切な回答を得られた場合、最下部にある「いいね」ボタンを押すことでGrokへのフィードバックが可能です。
「共有」ボタンを押せば、Grokからの回答をX内でシェアもできます。
チャット画面の右上にある「新しいチャット」ボタンを押したら、新しいチャット画面を開けます。その左側にある「チャット履歴」ボタンを押せば、過去の会話を見返すことも可能。
過去の会話を削除する方法は、Webサイトとアプリで異なります。Webサイトの場合、会話の名前の右側にある「・・・」をクリックし「削除」を選択します。アプリの場合は、タイトルを長押して「会話を削除」をクリックすれば削除できます。
Grokには無料プランに加えて、ベーシック、プレミアム、X Premium+、SuperGrok、SuperGrok Heavyという有料プランがあります。
それぞれの月額、年額の利用料金については以下の通りです(XのWebサイトから加入した場合の料金)。
| プラン名 | 月額利用料金 | 年額利用料金 |
|---|---|---|
| 無料プラン | 0円 | 0円 |
| ベーシック | 344円(Xのアプリから加入すると450円) | 3,444円(Xのアプリから加入すると4,500円) |
| プレミアム | 918円(Xのアプリから加入すると1,270円) | 9,180円(Xのアプリから加入すると12,700円) |
| X Premium+ | 6,080円(Xのアプリから加入すると8,000円) | 60,040円(Xのアプリから加入すると80,000円) |
| SuperGrok | 4,620円※1 | 46,200円※1 |
| SuperGrok Heavy | 46,200円※1 | 462,000円※1 |
Grokの得意なこととして、以下の3つが挙げられます。
Grokには苦手なこともあります。それが以下の4つです。
Grokの特徴を理解していれば、プライベートからビジネスまであらゆるシーンで活用できるでしょう。ここでは、Grokの具体的な活かし方とそのプロンプト例を紹介します。
GrokはXのプラットフォームと連携しているため、リアルタイム性や網羅性のある回答を得られます。そのため、Xの投稿を通じて参加予定の音楽フェスや展示会といったイベントの「現地の混雑状況」「現場からの感想」をリアルタイムで調べることが可能です。
また、キャンプやカメラ、ゲームといった特定の趣味がある場合、それら最新のTIPSやグッズについて、Xの中から実際に使用しているユーザーの口コミを収集できます。
▼ プロンプト例
Nintendo Switchの「Pokémon LEGENDS Z-A」の最新アップデート版について、Xユーザーの評価を教えてください。
東京ソラマチで開催中の「クリスマスマーケット」について、現地の混雑状況に加えて、持参すると便利なものに関する投稿をまとめてください。

Grokではその特徴のひとつであるリアルタイム性を通じて、政治や経済、エンタメ、スポーツ速報など最新のニュースを、X上からテレビやWebサイトよりも早く把握できます。
さらに特定のニュースに対して、Xユーザーの“生”の反応や議論の傾向を要約させることも可能です。
▼ プロンプト例
今、Xで一番話題になっている政治のニュースは何?また、その中で主に論点になっていることを3つにまとめてください。
昨日、中京競馬場で開催されたチャンピオンズカップの結果を教えて。加えて、それに対するXでの反応を要約してください。

Grokの特徴を活かして、Xの投稿から最新のトレンド、自社や競合他社の評判を要約・分析も簡単にできます。特定の業界をはじめ、「AI 活用」「リモートワーク 悩み」といったキーワードに対する消費者のニーズ、不満点の抽出が可能です。
▼ プロンプト例
ここ24時間のX上にある「製品A」についての評判を要約し、もっとも多く言及されている不満点を3つ挙げてください。
当社の「製品A」は、競合他社の「製品B」と比較して、X上ではどのように評価されていますか?
「反抗的な性質」も、Grokの特徴のひとつです。それを上手に活用することで、ChatGPTのように模範的ではなく、ユーモラスな視点からの企画案やキャッチコピー案を生み出せるかもしれません。
Grokはブレインストーミングの相手としても有能です。あえて自身の意見に反論させたり、Grokからの回答を批判したりすれば、多角的な視点で磨き上げたアイデアを得られるでしょう。
▼ プロンプト例
若者向けの炭酸飲料を新たに販売します。そのプロモーション企画として、従来のAIでは提案しないような奇抜で少し反抗的なアイデアを5つ出力してください。
以下の企画案(企画概要を入力)について、「最大の弱点」と「炎上しそうなポイント」を皮肉たっぷりに指摘ください。
Grokの特徴であるリアルタイム性と人間らしさを掛け合わせることで、X上で「バズった」投稿の傾向を分析しながら、キャッチーな見出しやSNS投稿文の原案を作成できます。
プロンプトに「皮肉を交えた回答を生成して」「ユーモラスな回答でお願い」などの内容を加えることで、バズりやすい回答を得られるでしょう。
▼ プロンプト例
現在、X上のトレンドトップ5をリストアップし、それぞれのトレンドとマーケティング業界を関連付けたSNS投稿文の案を皮肉を交えて作成してください。
「新サービスA」の認知度を高めるために、ユーモラスかつキャッチーな見出しを10個出力してください。
皮肉やユーモア、気遣いを交えた個性的な回答を得られるのもGrokの魅力。ほかの対話型生成AIでは「回答できません」と返されてしまいそうな意地悪な質問や哲学的な問いかけをあえてすることで、Grokのユーモラスな回答を楽しめます。
「コンパニオンモード」を利用すれば、3Dのアニメーションキャラクターを介して、テキストや音声による対話も重ねられるでしょう。
▼ プロンプト例
なぜ、地球人は月曜日が嫌いなの?宇宙人になったつもりで、皮肉を交えながら説明してください。
今、私はついつい食べ過ぎてしまうことに悩んでいます。これについて、あえて厳しくも愛のあるアドバイスをください。
Grokは、コンテンツ制作にも活用できます。コンテンツ制作においてGrokの特徴を最大限に取り入れるためのポイントを押さえておきましょう。
Grokに「X上で今まさに話題になっているキーワードやトピック」を抽出させれば、それらを交えたリアルタイム性のある記事やSNS投稿文を作成できます。
Grokに特定のトピックやサービス、製品などに関するXの投稿を分析させると、ターゲットの悩みや関心事を把握できます。加えて、それを踏まえた企画や記事の叩き台の作成も可能です。
プロンプトを通じて、Grokから皮肉やユーモアを交えた回答を得ることで、それを参考にしながらユーザーや顧客のエンゲージメントを高めるコンテンツを制作できます。
Grokの「リアルタイム性」を、実際の「売上」につなげるために

Grokを使えばトレンドやアイデアは瞬時に手に入ります。しかし、それをビジネス成果に結びつけるには、土台となる「マーケティング戦略」が不可欠。「AIで効率化はできたが、集客やCVにつながらない」とお悩みの方向けに、Webマーケティングの必須知識を凝縮した資料をご用意しました。
Grok(グロック)に関するよくある質問とその回答をまとめました。
無料プランもありますが、利用回数の上限があります。利用回数を気にせず、すべての機能を利用するためには、X(旧Twitter)の有料プラン「X Premium+」への加入が必要です。
詳しくは、記事内の「STEP1. X Premium+に登録」をご覧ください。
X(旧Twitter)のプラットフォームと連携するため、そこにある最新情報にアクセスしながら、リアルタイム性のある回答を得られる点です。
「Think」機能を活用すれば、ユーザーからの質問に対して回答はもちろん、そこに至るまでの思考プロセスも示してもらえるため、論理性、信頼性も確かめられます。
詳しい内容は、記事内の「Grok(グロック)の主な機能と特徴」で紹介しています。
ほかの対話型生成AIと同様に、誤った情報が回答に含まれる恐れがあります。X(旧Twitter)の投稿をデータソースに用いるため、ユーザー自身がファクトチェックすることが必須です。
詳しくは、記事内の「Grok(グロック)が苦手なこと」をご確認ください。
Grok(グロック)は、対話型生成AIのひとつです。最大の特徴は、Xのプラットフォームと連携するため、そこにあるリアルタイムな情報にもとづいた回答を生成できること。これは、ChatGPTをはじめとする対話型生成AIの中でも優位性があります。
また、プロンプトにもとづいて「ひねくれた回答」や「ユーモラスな回答」を得られるのも特徴的です。このようなGrokの特性を把握しながら活用すれば、リアルタイム性や創造性の高いコンテンツを制作できるでしょう。
執筆者
コンテンツディレクター/ライター
Tomoyuki Chiba
2024年ファングリーに入社。人材紹介会社と広告代理店で営業を経験。その後ジョブチェンジを行い、クリエイティブエージェンシーでディレクターや編集者、ライターとして社内報やパンフレットといった紙媒体を中心した制作業務に従事。趣味はサッカー観戦とドライブ。