今の時代にやるべき
学習塾の集客に役に立つ
マーケティング戦術

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投稿者:KAWASHIMA MITSUO

少子化や浪人数の激減・生活者のスマートフォンなどのデバイスの普及率などの社会的環境要因に加え、学習塾の形式も進学塾・補習塾・個別指導・家庭教師・発達障害向けなどの特性に合わせて多様化しています。

ユーザー視点で考えると、スマートフォンの普及により、生徒や親がWebサイト(ホームページ)を閲覧したりSNSを利用したりする機会が多い環境になっており、またfacebookやtwitter、instagramなどのよく利用するアプリのトレンドの変化も以前よりも思っている以上に早いです。

また、自分たちがやってきたこれまでの集客施策は、過去の担当者からの業務の引き継ぎで何となくやってきたということはないでしょうか?

学習塾などの学校外教育における自分たちの取り巻く今の環境をよく知り、従来の集客手段も活かしつつ流れの早い今の時代にあった集客方法を知って、今何をするべきかを整理して前よりも成果を出し、さらなる成功を生み出していきましょう。

まずは市場の状況を整理して、不要なものはやめて、不足しているものは新しい施策として導入を検討してみましょう。

 

塾マーケ

 

学習塾のPEST分析

学習塾におけるマクロ環境の状況を分析するために、まずはPEST分析をしてみました。市場環境を知ることで集客にどのような工夫をするべきかのヒントを探ってみましょう。

今後の人口構造の推移をみるとやはり少子化は進んでいきますが、一人あたりの学校外教育の支出割合は増えています。社会的要因に悲観的になりすぎる必要はなさそうです。以前よりも生徒の獲得が難しくなってきている環境で勝ち抜いた企業が、効率よく売上を伸ばせるような環境といえるでしょう。

買い手市場には間違いないので、これから説明する状況が把握できていなかった塾経営者や広報担当はこれまでよりも集客に注目してみましょう。

政治的要因(Politics)

政治的要因

小学校・中学校の義務教育の授業料は無料で、2010年から公立高校を対象に高校授業料無償化・就学支援金支給制度が始まり、2014年からは私立高校も対象になりました。2020年からは大学の授業料の支援も始まる予定のようですが、大学受験までの学校外教育には大きな影響はないと思います。制度による大きな政治的要因の変化はなさそうです。

経済的要因(Economy)

教育費の消費動向について着目してみると、文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査の結果について」の調査事項の学校外活動費が、学習塾や家庭教師などに該当します。学年別の学校外活動費支出状況の推移について、以下のグラフと記述があります。

 

平成28年度子供の学習費調査の結果について -文部科学省発表-

 

学年別の学校外活動費支出状況の推移を見ると,中学校では,公立・私立ともに第3学年での支出割合が増加してきている。
一方,高等学校(全日制)では,公立・私立ともに第1・2学年での支出額が増加してきており,第3学年における支出額との差が縮小している。
(幼稚園及び小学校では,傾向に大きな変化はない。)

平成28年度子供の学習費調査の結果について -文部科学省発表-

 

学年が進むに連れて学校外活動費支出が年々増えてきていることがわかります。

 

社会的要因(Society)

出生数と人口構造

日本の少子化は以前から報道されていますが、内閣府の資料によると出生数は右肩下がりです。ただ合計特殊出生率は2015年が底で少しずつ上がっています。

 

出生数及び合計特殊出生率の年次推移

 

人口構造の推移と見通しの図をみると、64歳までは減少していく予測になっています。

 

我が国の人口構造の推移と見通し

 

平成27年版 少子化社会対策白書 第1部 第1章 少子化の現状 -内閣府-

 

浪人率の低下

浪人率の低下

大手予備校が浪人率の低下を理由に、大幅な校舎の閉鎖をしたというニュースも記憶にあたらしいのではないでしょうか。塾に通う生徒の数が減ると、当然集客で奪い合いのための競争が始まります。

技術的要因(Technology)

「平成29年版 情報通信白書 数字で見たスマホの爆発的普及(5年間の量的拡大)」にスマートフォン個人保有率の推移のデータがあります。

教育を受けるのは若い世代ですが、81.4%という保有率です。インターネットが普及してeラーニングが発達しましたが、スマートフォンの普及でこれまでよりも手軽に学べる環境になりました。

また、教育費を支払う親世代をみても40代は79.9%と若い世代と近い数字です。集客のための広告を日常的に使うスマートフォンでの閲覧を狙っても効果がありそうです。

スマートフォン個人保有率の推移

 

平成29年版 情報通信白書 数字で見たスマホの爆発的普及(5年間の量的拡大) -総務省-

 

集客タイミングをPEST分析から考える

教育業界で活躍する人なら、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)が学習塾の経営に大きな影響をもたらすことはいうまでもありません。できるだけ早いタイミングで集客し、長期にわたって通学してもらうことが経営において重要ですが、生徒数が少なくなってから集客施策をするというのでは、これからの時代は動き出しが遅いということがPEST分析からわかります。少ない母数の奪い合いはこれからも激化していくという認識を持たなければいけません。

学習塾が活用できる集客手段

インターネットやデバイスの普及率などの環境の影響を考慮して、新しいことに取り組んでいくことが重要ですが、従来の集客手段がよくないともかぎりません。効果を最大化することが重要です。そこで必要になってくるのが商圏分析です。

とくに地域密着型の学習塾は、従来手法に商圏分析を活用して細かくセグメントしたターゲットに最適なコンテンツを提供することで、より精度を高めることが可能です。

感覚ではなくデータに基づいた商圏分析の3つのポイント

商圏分析とは国勢調査などの統計情報と自社が保有する情報を活用して、地理的に集計や分析を行うことでエリア戦略に活かすことです。

学習塾で重要な指標としては、以下の3つになります。

 

  • ターゲットの年齢が居住している地域
  • 親の年収(世帯収入)が高い世帯
  • 大卒、院卒の人口が多い地域

 

これから学習塾を開業する場合にも活用できますし、自社と競合との比較にも利用できます。

商圏分析でどのエリアを重視したらよいかを明確にして集客施策をしていくことが、無駄なコストを掛けずに効率的に集客する秘訣です。

また、エリアで選択と集中ができれば、これまでの施策に使っていたコストが削減でき、これまでとは違う施策に取り組むことも可能になります。

ここからは従来の施策から最新の施策まで様々なものをご紹介していきます。まだ実施していない施策があれば導入を検討して集客の改善をしていきましょう。

従来の集客手段

まず、自塾を知ってもらうことが重要です。塾の場合は、既存の生徒からの紹介で自塾を知ってもらうケースも多いですが、他の集客施策を軽視してはいけません。詳しくは、入塾に関するアンケート調査結果の解説をご覧ください。

チラシ

地域密着で学習塾を経営している場合は、チラシはまだまだ有効です。正しい地域特性を把握するために商圏分析、効果的にチラシの活用をしていくことが重要です。

看板・冊子

校舎に看板を活用することはいうまでもありませんが、こちらも地域の生活動線をよく見極めて看板を出すと認知度が高まります。

口コミ・紹介

「生徒を獲得したら終わり」ではなく、学習塾の実績や生徒の満足度を高めましょう。友人や兄弟姉妹へと広がっていきます。実際の生徒の声や成果をコンテンツとしてまとめてもよいでしょう。口コミ・紹介は頼りすぎると危険な落とし穴もあります。詳しくはこちらのページで解説しています。

イベント・キャンペーン

模試やテスト、夏休みなど季節別のタイミングでイベントやキャンペーンを実施して集客するタイミングを増やしていきます。

Webサイト・SNS

スマートフォンの普及率を考えると、オンラインの集客窓口の重要性はますます高くなってきます。まだWebサイトがスマートフォンでの表示に最適化(レスポンシブデザイン)できていない状況だと、オンラインに関してはかなり出遅れていると思われてもしかたなく、信用度が低下してしまいます。ただWebサイトを持つだけではなく、入塾の決め手となるコンテンツを用意する必要があります。詳しくはこちらのページで紹介しています。

オンライン広告

検索連動型広告が有名ですが、近年はSNS広告などビッグデータを活用した精度の高いターゲティングで広告を出すことが可能です。

入塾しなかった見込み顧客へのアプローチ

「資料請求をしても入塾しなかった」という人はどうしても出てきます。しかし、資料請求をしているということは名前や住所、メールアドレスなどの情報は取得済みです。商圏分析やビッグデータで精度の高いターゲティングが可能になってはいるものの、ダイレクトにアプローチできること以上に強いものはありません。

DM(ダイレクトメール)

古くからあるPR手法ですが、メールのように件名というテキストよりも工夫次第でPRできる要素は多く、また受取人に見逃されることが少ない手法です。

メールマーケティング

SNSでのコミュニケーションが活発になっていますが、どちらかというと完結でインスタントなコミュニケーションに向いており、学習塾のアピールなど画像などのビジュアルやクリエイティブ、コンテンツでじっくり訴求したい場合には不向きです。

メールはSNSでのコミュニケーションでできないPRが可能で、「メールを開封した」「リンクをクリックした」などの成果の指標が計測できることもメリットです。

マーケティングオートメーション

より高度なテクノロジーを活用することもできます。マーケティングオートメーションとは、インターネット上の自社で把握・操作できるWebサイトやメールで得られるデータや、自社以外のさまざまなサーバーに蓄積されるデータを活用して、マーケティング活動を自動化するマーケティングツールです。

入塾までのプロセスに最適なコンテンツを用意し、マーケティングオートメーションを活用することでマーケティング活動を効率化することが可能になります。

これから注目したい集客手段

ここで、ネット機器利用時間とネット動画視聴時間について着目してみましょう。

株式会社博報堂が発表した “動画は「見て楽しむ」から「使いこなす」時代へ。「動画生活者™」の出現” によると、ネット機器利用時間のおよそ半数が動画視聴時間となっています。

「最近の若者はテレビではなくてYou Tubeを観ている」といわれるくらい、生徒になりうる生活者のテレビ離れが進み、動画プラットフォームの利用が高まっています。

昨今、動画マーケティングが注目されていますが、動画ならではの訴求力や気軽に動画視聴ができるデバイスの普及のほかにも、視聴時間にも注目して今後の集客を考えていく必要がありそうです。

 

ネット機器利用時間とネット動画視聴時間

 

動画は「見て楽しむ」から「使いこなす」時代へ。「動画生活者™」の出現

塾マーケ

学習塾の動画を活用したPR

前述したYou Tubeでは動画広告を出すことができます。動画が視聴者に強い印象を残せることは感覚的に分かると思いますが、それらの要因について見ていきましょう。

伝わる情報の多さ

James McQuivey 博士によると、1枚の写真は1,000文字の情報量があり、1分間の動画は1,800,000文字の情報量に匹敵すると発表しています。

1分間の動画は1,800,000文字の情報量

 

高い記憶への定着力

ラーニングピラミッドという、学習における手段と記憶留保率に関する図があります。

 

ラーニングピラミッド

 

「読む」の留保率は10%ですが、視聴覚はその倍の20%となっています。動画はテキストよりも記憶に残る定着力が大きいということがこの図から分かります。

The Learning Pyramid

 

短時間でユーザーに負荷をかけずに感情に訴求できる

感情に訴求することで、ユーザーの行動を促すことができます。

「小説を読み切る」と「映像を視聴し切る」を比較すると、どちらもユーザーの感情に訴求することはできますが、映像の方が楽にかつ短時間でコンテンツを消費させることが可能です。

学習塾で動画を活用している事例

大手の学習塾はテレビなどのマスメディアにCMを流しているので既にご存でしょう。テレビCMのほとんどは、それぞれの企業の公式You Tubeチャンネルなどに登録されていて視聴することができます。

それでは、小規模な学習塾はどうでしょうか。You Tubeで「塾 紹介」というキーワードで検索した結果を見てみましょう。

 

You Tubeでの検索結果

 

検索結果件数は約163,000件でした。これらのすべてが純粋な学習塾の紹介動画ではないですが多くの動画が登録されており、検索結果の上位には地方の学習塾と思われるサムネイルが並んでいます。広告との掛け合わせも重要になってきますが、もはや学習塾の集客で動画を活用するのはそれほど目新しくないことが分かります。

こちらのページで学習塾の動画活用事例についての紹介をしていますが、むしろほかの学習塾も動画活用をしているので、You Tubeだけでは十分とはいえないのではないでしょうか。

インタラクティブ動画の活用

動画の内容が面白かったり、感動的な内容であれば話題を呼ぶことができます。ストーリーの重要性はいうまでもありませんが、テクノロジーの進化を活用して動画の話題性を高めることが可能です。

従来の動画は一方的な情報発信でしたが、インタラクティブ動画ではユーザーが動画内の要素をクリックやタップなどで操作することによって、双方向の動画体験を提供できるようになりました。ユーザーの能動的な動画コンテンツへの参加を促すことで、これまでの動画よりも強い印象を与えれます。

実際に触ってみるのがわかりやすいと思いますので、以下の動画を再生して操作をしてみてください。

 

 

またインタラクティブ動画は、ユーザーのアクションを計測することができるので、これまで図りにくかった動画の成果を明確にすることができ、改善にも役立つデータが取得できます。

インタラクティブ動画の詳しいメリットや効果は、「これを見て触れば、インタラクティブ動画の活用方法が分かる」で詳しく説明していますが、社会や生活者の環境や行動の変化に適した動画の活用をより効果的にするために、インタラクティブ動画を選択肢にいれてみてはいかがでしょうか。

学習塾の集客施策は多岐にわたる

学習塾は講座数や学年数、キャンペーン、広報活動など多くの業務をこなす必要があり、なかなか落ち着いて一つの集客施策に向き合ったり俯瞰する時間をつくれません。生徒に教えるプロではありますが、それぞれの科目の専門があるように、集客についても専門家に頼ってはいかがでしょうか。

  • あらゆる集客施策はやり尽くしたので、新しい取り組みをしたい
  • それぞれ集客のためのマーケティング活動を最適化したいので、コンサルティングをしてほしい
  • 他の学習塾(競合)がやっている集客施策と差別化したい
  • 集客のためにどんなコンテンツを作ったらよいのかわからない

などの課題を抱えていましたら、お気軽にご相談ください。

自塾を知ってもらい、他塾と比較して選ばれ、ずっと通ってもらうためには、正しい情報発信が必要です。どの段階でどのような施策をすればよいかを詳しく説明している頁があるので参考にしてください。

また、集客にはコンテンツマーケティングの正しい理解も必要です。生徒にとって有益な塾の情報をどんなコンテンツを使ってマーケティングに活かすのかを知るために、コンテンツマーケティングについて解説した記事も参考にしてください。

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MITSUO KAWASHIMA

マーケティングプランナー

お気に入りのマーケティングメソッドは「インバウンドマーケティングメソドロジー」。Webディレクション、Webデザイン、フロントエンドエンジニアもやっています。ちなみにこのWebサイトも構築しました。人見知りのくせにセミナー登壇などもやったり。

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