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Interview

# 1

コンテンツ発信を続ける秘訣は「自由に書くこと」「マーケティングの人」は、やっぱりコンテンツが好きだった。

ブランディングテクノロジー株式会社

執行役員CMO

黒澤 友貴(くろさわ・ともき)

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はじめまして、「コンテンツプロデュースカンパニー」を標榜する株式会社ファングリーの代表をやっております、松岡でございます。

C-NAPS(コンテンツマーケティング領域に特化した情報メディア:本メディア)のリニューアルに際して、『ファングリー代表・松岡が聞く【コンテンツ界隈ここだけの話】』という連載コンテンツがスタート! テーマはゲストによって異なりますが、「コンテンツ界隈の人」をゲストに呼んで聞きたいことをズバズバと聞いてみる、という主旨の企画となっております。

どんな展開になるのかは現時点で想像できません(笑)が、皆さんにきっと役に立つであろう情報を界隈の人から引き出してわかりやすくお届けしていく所存であります。

今回は皮切りとして、週に1、2回は顔を合わせている気がするほど身近な存在、ブランディングテクノロジー社の黒澤さんにお話を伺いました。

黒澤 友貴(くろさわ・ともき)

ブランディングテクノロジー株式会社

執行役員CMO

黒澤 友貴(くろさわ・ともき)

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1988年生まれ。ブランディングテクノロジー株式会社 執行役員CMO。「日本全体のマーケティングリテラシーを底上げする」をミッションに、マーケターの学習コミュニティ#マーケティングトレースを主宰。著書に『マーケティング思考力トレーニング』『マーケター1年目の教科書』(ともにフォレスト出版)

「マーケティングの人」ではなく「コンテンツの人」と紹介されたい

──C-NAPSリニューアルにあわせて始まった連載企画。記念すべき1回のゲストはブランディングテクノロジーの黒澤友貴さんです。

ありがとうございます。連載タイトルに「ファングリー代表・松岡が聞く……」とありますが、こちらはどんな企画なんですか?

──毎回異なるゲストにインタビューして、聞きたいことを聞く。そういった企画です(笑)。

ずいぶんさっぱりとした企画ですね(笑)。長年近いところで一緒に仕事をしている松岡さんが「僕に何を聞きたいの?」っていうのは、確かにすごく気になりますけど、そんな聞きたいことあるんですか? しかも「ここだけの話」って(笑)。

──ベタな企画ですが「ここだけの話」というところが肝ですね。コンテンツマーケティングやブランディングに関わる担当者やクリエイターたちが「実は聞きたかった話」が引き出せるといいなと思っています。ということで、今回のテーマとして掲げたいのが「コンテンツとの向き合い方」です。

いいですねえ、コンテンツの話!

──黒澤さんはマーケティングトレースの主宰者で、マーケティングの書籍も上梓されているので世の中的には「マーケティングの人」という認識かもしれませんが、私の中では「コンテンツを書いたり発信したりするのが好きな人」です。コンテンツ、好きですよね?

そうですね。マーケティングという概念よりも、コンテンツという概念のほうが断然好きかもしれないです。うん……やっぱり、それは間違いないですね。自分の肩書きとかを取っ払っていいんだったら、「コンテンツの人」と紹介されたいくらい。

──かなり好きですよね。黒澤さんの活動を見ていると、noteやNewsPicks(ニューズピックス)を筆頭にいろんな媒体で発信していて。

はい、まさに。動画とか音声とか、コンテンツにもいろいろありますが、文章を書くのが好きなんですよ。たぶん、本をよく読むこと、読書が好きなことが関係していると思います。

──昔からですか? 誰かの影響を受けたりしたんでしょうか?

学生時代に感化されたのが、元サッカー日本代表の中田英寿さんです。めっちゃたくさん本を読むらしいんですよ。それこそ、ロッカールームでもよく本を読んでいたって話もあり。中田英寿さんのエピソードに影響されてから、近所のブックオフに行って気になる本を10冊ぐらいまとめて購入し、ひたすら読むというのをやるようになりました。

──トレーニングみたい。

サッカーをやっていて体育会系だったので、トレーニングっぽい入り方が嫌いじゃないんですよね。最初は基礎トレーニングからはじめる習慣があります。読書に関しては、「本の読み方」自体を学ぶことからスタートしました。その時に読んだJ・モーティマー・アドラーの『本を読む本』は今でも愛読書です。

──実践書から入って、読書トレーニングを通して読書の楽しさがわかるようになったと。

そうですね。読書する意味や面白さなどよくわからなかったですが、たくさん読むうちにわかるようになった気がします。最初は、読みやすい新書とかをよく手に取っていましたね。政治、経済、ビジネスなど、ジャンルに関係なく読みながら、「わからないことをわかるようになりたい」と思ってひたすら読んでました。

──その入り方だと、自然とアウトプットしたくなるのは分かる気がします。

もともと学びの効率を高めたいという考えが根底にあったので、「インプットしたらそれをアウトプットしたほうがいいな」と思って学生時代からブログなどは書いていました。社会人になってアウトプットは減ってしまったのですが、やっぱり自分のスタイルをもっと確立したいというか、「インプット→アウトプットのサイクル」をどうやって回していくかみたいなところで、よりよいアプローチをずっと模索していたんですよ。

本格的に文章を書き始めたのは2015年ぐらい。きっかけはNewsPicksだったと思います。ニュースを読んでコメントする、というのをひたすら続けました。「ニュースを解釈して自分の言葉にする」みたいなことをやり続ければ、ビジネスパーソンとして学びの効率を上げられそうだなと思って。


──それ、確かにやってましたね(笑)。リアルタイムで反応があるので面白いですよね。

そうです、そうです! それが面白くて。読書よりニュースは日常の中でインプットとアウトプットのサイクルを早く回せて、発信すると他者から反応も得られることに気づけたときは「目から鱗」の感覚でした。


──瞬発力を鍛えるための脳の筋トレみたいな感じですね。

そうです。脳の筋トレ感覚ですね。あと、トレーニングとしてやり続けているうちに実は「書き続けていると、同じ関心を持つ誰かとつながれる」っていうメリットに気が付きました。NewsPicksで発信し続けていたとき、面白いビジネスパーソンの人たちとつながれたのは自分にとって成功体験でしたね。この成功体験があって、X(旧Twitter)やnoteでもたくさん発信するようになりました。

元ネタは書籍が多め。書き手の顔が見えない文章は書きたくない

──情報発信はどんな媒体で、月にどれくらいのペースでやっているのですか?

現在のメインのプラットフォームはnoteとX(旧Twitter)ですね。文章としては月7〜8記事くらい、noteは少なくとも月 5〜6本は書いています。あと、ときどきNewsPicksのトピックス記事の枠で月1本原稿を書かせてもらったり。大枠のテーマは全部共通して「マーケティング」ですね。あとは、イレギュラーで執筆を求められたら書く感じでしょうか。

──媒体は選んでいるんですか?

とくに選んでないですが、読んでもらいやすい場所で発信していますね。「マーケティングトレース」という言葉を作って発信してきたのがnoteやXで、そこにフォロワーがいて。今の時点(2024年6月)でnoteのフォロワーがだいたい3.5万人、Xが2.8万人くらいですかね。noteやXなら読んでくれる人がたくさんいますし、僕も読んでもらえると書くモチベーションになるので、自然とnoteとXを中心に発信するようになりました。

──「個人の発信」と「企業アカウントや他媒体での発信」は、使い分けていたりするんですか?

noteは個人アカウントで、言葉を選ばずに言うと「好き放題に発信ができる」から好きですし、楽ですね。テーマも表現も受け取られ方も、割とコントロールできます。「黒澤らしさ」という共通の認識があり、どう読まれるかもある程度は想像がつきますから。

一方で、他媒体への寄稿はまた違った世界が見えるというか、noteでは届けられない読者にアプローチできるという面白さがありますね。編集者がテーマや切り口、表現を考えてくれる点も学びがあります。ただ、自分のプラットフォームに自由に書くよりストレスは幾分あるかなと思います。

──クライアントのオーダーに応えなければならない職業ライターとは違いますよね。個人発信をする上で、ブランディングテクノロジーのCMOというクレジットは何か影響していますか?

影響……あまり考えたことないですね(笑)

──企業が運用している「社長ブログ」などは、肩書きがあることで読み手にいろんな情報を届けやすくなっていますよね。ただそれは「実名+社長」だからであり、「実態のわからない中の人」だとなかなか思ったように届かない気はします。

「CMO」という肩書きが発信する上で影響しているかというと、ちょっとわかりません。なので、あまり気にせず黒澤友貴として発信しています。書き手の人格が見えない文章は読んでいてあまり面白くないと思いますし、書きたいとも思いません。

──ちょっと話題を変えますが、記事のテーマはどのように決めていますか?

自分が面白いと思ったテーマが基本で、本から着想を得ることが多いです。「このテーマ設定は面白いな」「これとこれを組み合わせたらどうなるんだろう」「このテーマをマーケティングに置き換えるとどうなるか」みたいなアプローチです。で、あとはユーザーの反応を確認して決める感じですかね。Xで投稿したコンテンツの反応を見て、それをnoteのネタにすることもあります。

──ああ、なるほど、書籍ですね。黒澤さんのnoteは、自分から見るとテーマが独特というか、オリジナルでひねり出すのは困難そうなネタばかりだったので(笑)。

そうかもしれませんね。一時期、マーケティングの話ばかりするのが嫌になったときがあったんですよ(笑)。「マーケティングトレース」もコンテンツを書くこともそうですが、もともと自分が好きで、自分の学びのためにやっていた取り組みです。でも、運良くフォロワーが増えて、発信に期待値がつくようになってからは「マーケティングのことを発信する義務感」みたいなものが出てきて。もともとあった「学んで発信をする楽しさ」を取り戻したいなと思って書いているところはあります。結局、自分にとって学びになって、自分が楽しいと思って書いた記事のほうが多く読んでもらえる気がしますしね。

──マーケティングにおいて「再現性」は重要な要素の一つですが、今の黒澤さんは再現性がないことに興味を持っている感じが面白いですね。

なので、個人で発信するプラットフォームでは、自由にテーマ設定を入れ替えながら新しい発見や学びを得ることを重視してやっていきたいと思っています。マーケティング以外の発信をすると、エンゲージメント数は落ちて寂しいのですが(笑)。

──ちなみに、個人の情報発信は本業に活きてるんですか?

好き勝手行っている情報発信ですが、クライアントを支援する際のコンテンツ作りにも活きていると思います。プロジェクトのテーマに関連する本を読み漁ったり、その領域に詳しい人にインタビューをしたりして学びや気づきを得て、マーケティング視点でクライアントの独自性や差別化ポイントを見つけて発信する――ということを行っていて、自分で言うのもアレですが成果は出ていると思います。これは、個人発信で身につけたことが活きている気がしますね。

実体験から出てくる「生々しいコンテンツ」を発信したい

──ひとつ気になったことがあります。

何でしょうか?

──いつ文章を書いてるんでしょう? あまり文章を書いている姿を見ないので(笑)。

松岡さんとはランチミーティングするか、隙間時間に雑談することばかりなので、わからないですよね(笑)。いつ書くか、どうやって書く時間を確保するかはずっと悩んでいます。書き続けるのって結構大変なんですよね。質を担保しようとすると、やっぱり時間がかかるじゃないですか?

──書くこと自体はそこまで時間かからないとしても、情報収集して構成を固める工程に時間が必要ですからね。推敲してクオリティもちゃんと上げていくとなると結構大変。

いつ書いているかというと、月の中旬から月末の土日に追い込まれて書いてます(笑)。自分は月に6本から8本を書くことを外にコミットしているので、強制的に「書かざるを得ない環境」に身を置くようにしています。

──インプットや各テーマ決めはいつやってるんですか?

移動中に本を読んだりiPhoneでメモを取ったりしながら、まとまった時間が確保できたら集中して執筆するスタイルです。基本は夜か、土日に書くことが多いですね。平日にクライアントワークやりながら書くのは、思考のスイッチを切り替えるのが難しいです。でも、ネタ自体は四六時中考えていますよ。


──文章の質の担保は、どのように考えていますか?

質の定義は人によって違いますよね。自分のnoteの場合は個人発信というのもありますし、さっきお話しした〆切も頭にあるので、質より発信量を最初に意識しています。見ているとしたらnoteのPV数やX(旧Twitter)のエンゲージメント数ですかね。定量的にはそこでしか質を測れないような気がしていて。こんな感じのフレームワークで発信する量をコントロールしています。


──公開前、書いた文章のフィードバックは誰かにもらったりしていますか?

自分のnoteではやっていません。他社の媒体記事の場合は、もちろん編集者の方から指摘や意見をもらう機会はあって、それが文章力を高めるための一番のトレーニングかもしれませんね。第三者である編集者から「読みにくいからこうしたほうがいい」「ここは深掘りしたほうが面白い」といったフィードバックをもらうのはためになります。いい編集者と仕事をするのは発信力を磨く上で大事だと感じています。


──基本的にはSNSなどの発信で現場スキルを身に付けてきた感じですね。

読む、書いて発信する、SNSでフィードバックをもらう、振り返る……というサイクルを回しながら学んできた感じですね。


──最後に、黒澤さんが今、コンテンツ界隈で最も興味があることって何ですか?

「マーケティングトレース」ではこれまでずっと「他社を外側から分析する」ということをやってきましたが、そうではなく、なんかもっと自分の体験から出てくる生々しいコンテンツを発信したいという思いがあります。詳しくは言えませんが、具体的な構想もあります。


──クライアントワークからどんどん離れていく(笑)。

クライアントワークも好きですよ(笑)。ただクライアントに関することって、当たり前ですが勝手に発信できないじゃないですか。コンテンツ好きな自分としては、自分の実体験を元に発信していきたいという気持ちが強くなりつつあります。


──個人としての発信と、「企業の中の人」としての発信はどのように使い分けるのが良いんですかね?

どっちが良いというのはわかりませんが、時流としては個人が前面に出て発信することが求められていると思っています。読み手の立場としても「顔が見えない組織より、顔が見える個人のコンテンツ」のほうが興味を持ちやすいですよね。

実名でパーソナリティーを出して意見を表明していく。そうすれば「この人ってどんな人なんだろう」が勝手に掘り下げられ、どこかのポイントで企業と紐づいていく。結果的に、価値のあるアプローチにつながりやすいのかなと思います。難しいのは、その個人の発信をいかに企業に利する形で還元していくか、ですね。


──個人としての発信と企業の中の人としての発信を融合させることができれば、ブランドの一貫性を保ちつつ、個人の独自性や信頼性、ネットワークなども活かせますね。実践できている人や企業は少ない分、価値がありそうです。

はい、僕もそう思います。ファングリーでサービス化してください!


──若干とりとめもないインタビューになりましたが、他のメディアでは語られていない黒澤さんの取り組みや考え方について聞くことができました。ありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました!

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INTERVIEW インタビュー

ファングリー代表の松岡がコンテンツ界隈の方たちをゲストに迎え、「ここだけの話」を掘り下げるインタビュー企画です。

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