「サイトの流入数は伸びているのに、問い合わせにつながらない」
「毎月制作する記事数の目標をなんとなくで決めてしまっている」
そんな課題を感じていませんか?
オウンドメディアで成果を上げるためには、ただ記事を制作するだけでは不十分。問い合わせや商談につながる設計が重要です。そしてその設計を機能させるには、KPIから逆算して「必要な記事数」を計画することが欠かせません。
本記事では、2025年4月16日(水)に開催された株式会社オロパスと株式会社ファングリーの共催ウェビナー「オウンドメディアを『作るだけ』から『成果を出す』へ!データ分析に基づくKPI設計とコンバージョンファネルの最適化」の内容をお伝えします。
株式会社オロパス
代表取締役
藤井 慎ニ郎
2,000社以上のWebサイトのコンサルティングを経験。SEOコンサルティングの効率化を目的として開発され、SEO分析の自動化やレポート作成機能を実装するSEOツール「パスカル」を2015年にリリース、2025年5月現在で2,690社以上の導入実績を持つ。
株式会社ファングリー
事業推進部 マネージャー
椿 義
大学卒業後、株式会社フリーセル(現ブランディングテクノロジー株式会社)へ入社。その後、グループ会社の株式会社ファングリーに移籍し、セールス部門のマネージャーとしてWebマーケティングのプランニング・戦略立案を支援している。
企業がオウンドメディアを運用する際、人的リソースなどの理由から「とりあえず月間制作記事数を決めている」というケースも少なくありません。
しかし、明確な目的や指標がない状態でオウンドメディアを運用しても、思うようにコンテンツマーケティングの効果が得られず、運用も継続しないといった状況に陥る恐れがあります。
このような課題に対して、同ウェビナーでは株式会社オロパスの藤井氏から、成果につながるオウンドメディア運用のためには「売上目標から逆算したコンテンツマーケティング戦略の立案」と「長期的なコンテンツ資産の積み上げ」が重要であると示されました。
オウンドメディアの運用を成功に導くには、コンテンツマーケティングによる目標売上と達成期間を定め、その目標達成に向けた戦略を立案することが重要です。とくに、オウンドメディアの月間制作記事数は、データなどの根拠をもとに目安を設定することが求められます。
まずはコンテンツマーケティングによる目標売上を設定し、そこから目標達成に必要な「LTV(顧客生涯価値)」「契約率」「案件化率」「CVR(コンバージョン率)」を用いて、必要なリード数や流入数を算出します。その上で、1記事あたりの平均流入数をもとに必要な月間制作記事数を逆算するのが望ましいと藤井氏は話しました。
藤井氏は例として、「2年後に年間売上を5,000万円増加させる」といった目標を設定した場合を挙げ、上図のように自社のLTVや契約率、案件化率、平均流入数などのデータから具体的に何記事必要なのかを数値で示すことができると説明。これにより、単に「記事を増やす運用」から「戦略的に売上を作る運用」へと変革できるのです。
戦略立案のプロセスにおいて逆算で求めたCVRなどの数値は、売上目標達成のための適切なKPIとしての役割も持ちます。
LTVや契約率、CVRなどのKPIとなる数値を把握すれば、自社が現在進行しているコンテンツマーケティングの戦略が「KPIに即しているかどうか」を検証しやすくなります。結果として、運用方法や月間記事数の見直しにも役立つでしょう。
コンテンツマーケティングの強みとして、長期的な資産形成につながることが挙げられます。広告施策とは異なり、一度作ったコンテンツは会社の資産として積み重なっていくため、オウンドメディアを運用すればするほど安定的な成果が期待できます。
なお、コンテンツは作って終わりではないため、既存のコンテンツにおいてはメンテナンスを繰り返すことが重要だと、藤井氏はまとめました。
目標を設定し、オウンドメディアを運営していく中で、「SEOによってPV数が伸びたのに問い合わせ数が増えない」「資料はダウンロードされているのに商談につながらない」といった課題を抱えてしまう企業は少なくありません。
こうした現状を改善するために、当社(株式会社ファングリー)の椿より「コンバージョンファネル最適化で問い合わせ率を高めるフロー」と「資料ダウンロード後のナーチャリング施策と商談化率向上の取り組み」を紹介しました。
「SEOを続けても問い合わせ数が思うように伸びない」という課題に対しては、ユーザーニーズを分析した上でコンバージョンまでの最適な導線を設置することが重要です。
業界やサービスによっては、ユーザーの流入経路やニーズが異なるため、自社が発信するコンテンツの分析と改善が欠かせません。椿からは、以下のステップでの実践方法が紹介されました。
まずは、「自社がどの問い合わせ経路に注力すべきか」を明確にしましょう。
問い合わせには、資料ダウンロードや無料相談、サービス資料請求などさまざまな種類があり、それぞれユーザーやニーズ、商談化率が異なります。問い合わせを一括りに「コンバージョン」として扱うと、マーケティング施策の失敗につながる恐れがあるため注意が必要です。
例えば、課題解決や情報提供を目的としたホワイトペーパーは、潜在ユーザー向けで商談化率が低いという特徴があります。一方、無料相談やサービス資料請求といった問い合わせをするユーザーは、顕在層であり商談につながりやすい傾向にあります。
コンテンツマーケティングを成功させるには、こうした種別ごとの問い合わせの特性を理解し、自社が注力すべき問い合わせ区分を整理することが重要です。
次に、Googleアナリティクス4(GA4)などの解析ツールを活用して、過去のユーザーの行動を分析します。コンバージョンに至るまでのページ遷移や流入経路を可視化する作業です。
「どこからの流入が多いのか」「どのページから移動してきたのか」などのデータを収集すれば、コンバージョン貢献度の高いページや離脱ポイントが明らかになり、ユーザーニーズの仮説も立てられるようになります。
ユーザーニーズを分析できたら、分析データをもとにユーザーに適したコンテンツを制作しましょう。コンテンツマーケティングで活用できる主なコンテンツの種類は以下のとおりです。
コンテンツの種類 | 概要 |
導入事例記事 | どの業界でも共通してコンバージョンにつながりやすいコンテンツ。 |
口コミ・レビュー | 導入事例に組み込む場合が多い。有形商材の場合は専門のページを設けるケースも。 |
サービス・商品紹介(SEO記事) | ユーザーにとって有益な情報を提供する記事。SEO対策を行い、検索上位表示を目指す。 |
ホワイトペーパー | 新規リード獲得のための重要な施策のひとつ。企業の専門的な情報やノウハウをまとめた資料。 |
なお、コンテンツ制作においては「ユーザーにとって本当に有益な情報かどうか」の見極めが欠かせません。例えば「サービス導入による成功事例を知りたい」というニーズがある場合、その関心に応える導入事例記事を用意し、適切な導線設計を用意することで、自然な流れでコンバージョンへとつなげられます。
また、導線の整備では流入数の多い人気記事だけでなく、離脱率の高い記事にも注目しましょう。離脱ポイントにコンテンツへの導線を設けることで、ユーザーの取りこぼしを防ぎ、成果につながる可能性を高めやすくなります。
さらに、ユーザーの関心と近いテーマを持つページに関連コンテンツを配置すれば、連続的に情報を提供できる導線が生まれ、コンバージョンへの移行がよりスムーズになります。
このように、ユーザーの興味・関心を起点にしたコンテンツ設計と導線の最適化が、コンバージョンを生み出す鍵になるのです。
コンバージョンファネル最適化だけでなく、資料ダウンロード後のユーザーをどのように商談へとつなげていくかは、多くの企業が直面する課題のひとつです。とくに「資料はダウンロードされているのに、そこから商談化しない」といったケースは少なくありません。
この課題に対しては、以下3つのステップに沿った解決策が紹介されました。
まずは、ダウンロードされた資料ごとに「どのようなユーザーがダウンロードしているか」「どのような段階(フェーズ)でダウンロードしているか」「商談につながりやすい資料はどれか」といった傾向を把握することが出発点となります。
例えば、サービス資料をダウンロードしたユーザーは「こういったサービスを利用したい」といったニーズが顕在化しているため、商談化率が高い傾向にあります。一方、事例集をダウンロードしたユーザーは情報収集段階にあることが多く、商談化率は低めです。
このように、資料ごとにユーザーの状態を分析することで今後取るべきアプローチも明確になります。
ユーザーの傾向を把握できたら、それぞれの資料に応じたアプローチ方法を検討します。例えば、商談化率が高い資料をダウンロードしたユーザーには、すぐにインサイドセールスで架電を行うのが効果的です。一方、商談化率が低い資料に対しては、ステップメールを活用して興味関心を育てていくアプローチ(ナーチャリング)が適しています。
また、資料ごとのトークスクリプトの最適化や、定期的な情報提供による接点の構築も成果につながる重要な取り組みと言えるでしょう。
顧客へのアプローチ方法を再設計する中で、提供するべきコンテンツが足りないことに気付くケースも少なくありません。不足しているコンテンツがあれば、適宜追加していきましょう。
例えば、資料に足りない情報を補足するホワイトペーパーを追加したり、特定テーマに絞った導入事例を制作したりすることで、ユーザーの関心を維持しながらより深い理解と納得を促すのに役立ちます。
最終的にコンテンツやアプローチの戦略が整ったら、実際に施策を実施し、結果をもとに改善を重ねていきます。マーケティング施策は実行しなければ成果が見えないため、定期的な振り返りと調整を繰り返すことが、商談獲得率を着実に高めるカギとなるでしょう。
今回のウェビナーでは、コンテンツを作るだけで終わらせない「成果につながる導線設計」と「商談化率向上の取り組み」について、できるだけ具体的にお伝えしました。とくに、ユーザーごとのニーズや行動をしっかり分析し、どこにどのようなコンテンツを配置すべきか──という部分は、ぜひ押さえていただきたいポイントです。資料ダウンロードに対するアクションにもさまざまな方法があるため、ユーザーを呼び込む入口から商談につなげる出口までの道筋を、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
これからの時代、ユーザーの検索行動や流入経路は今以上に多様化していくことが予想されます。そんな中で大切になるのは、「ひとつの正解」に固執しすぎず、仮説立てとPDCAサイクルを繰り返すことです。コンバージョンに貢献するコンテンツと適切な導線設計は業界やサービス、ターゲットによって異なるため、常に試行錯誤することが欠かせません。
また、最も重要なのは、“自社が届けたい情報”ではなく“ユーザーが知りたい情報”をベースにコンテンツを設計し、継続的な接点を生み出していくこと。マーケティングの成果は、小さな改善と工夫の積み重ねの先にあると考えています。
オウンドメディア運用においては、記事をなんとなく増やすのではなく、売上目標やLTVなどの数値から必要な記事数を逆算し、継続可能な運用体制を構築することが重要です。また、運用にあたっては継続的・長期的なコンテンツ制作によって、安定した成果創出へとつながります。
さらに、オウンドメディア経由で問い合わせや商談につなげるためには、適切なコンテンツ企画とコンバージョン導線の最適化が不可欠です。
コンテンツマーケティングは、このような戦略の立案と改善の積み重ねによって継続的な成果を期待できます。目先の施策だけにとらわれず、目的から逆算して“戦略的に成果をつくる”視点を持ち、オウンドメディアを運用していきましょう。
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