BtoBのメールマーケティングを成功させるには、ターゲットとなる企業のニーズを深く理解し、パーソナライズされたメールコンテンツを適切なタイミングで提供することが重要です。また、効果測定を実施し改善を繰り返すことで、より高い成果を期待できます。
一方で、「SNSや広告が主流の時代に、メールは古いのでは?」と思う方もいるかもしれません。BtoB領域においては、購買までの検討期間が長く、複数の意思決定者が関わるため、継続的な情報提供と信頼構築が重要になるのです。メールマーケティングは、まさにその役割を果たせる数少ないチャネルのひとつ。
本記事では、BtoBの現場でメールが成果を出し続ける理由と目的別の活用方法、効果を高めるコンテンツ例について詳しく解説します。
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まずは、BtoBにおいてメールマーケティングがなぜ今も有効なのか、その理由を3つの観点からご紹介します。
メールマーケティングは、目的やフェーズに応じてさまざまな場面で活用できる汎用性の高い手法です。
以下のように、メールマーケティングの活用シーンは多岐にわたります。
● 新たに獲得したリードへの初回アプローチ ● 既存顧客へのアップセル提案 ● プロダクトの機能更新案内 ● ウェビナーやイベントの告知 |
また、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用すれば、顧客の属性や行動履歴に応じたセグメント配信やステップメールの設計も可能。営業活動を補完する“デジタル上の営業担当”として、戦略的に組み込めるのです。
BtoBビジネスの多くは検討期間が長く、複数の意思決定者が関わるため単発的な接点では信頼関係を築くことが難しいのが現実です。そのようなビジネスフローにおいて、メールは継続的なコミュニケーションを通じて関係性を深めていける貴重なチャネルとなります。
例えば導入事例や業界トレンド、自社の知見を整理したコンテンツをメールで定期的に配信することで、「この会社は業界理解が深く、信頼できそうだ」と印象付けやすくなります。購買の意思決定が必要になったときに「最初に相談したくなる存在」になるためには、このような日常的な接点の積み重ねが重要です。
メールマーケティングは、今すぐに商談化しない“将来の顧客”にも効率良くアプローチできる手段です。資料請求や展示会で獲得したリードに対して段階的に情報を届けることで、見込み顧客の検討フェーズを一歩ずつ前進させられます。
さらに開封率やクリック率といった反応データを活用すれば、関心度の高いリードを可視化し、タイミングを逃さず営業アプローチにつなげることも可能です。リードナーチャリングという観点でも、メールは非常にコストパフォーマンスに優れた施策と言えるでしょう。
「メールマーケティング」と一口に言っても、用途や目的に応じて種類はさまざま。ここでは、BtoB領域で特に活用される代表的な4つの手法を紹介します。
メールマガジン(メルマガ)は、購買登録を行った顧客に対して同じ内容のメールを一斉配信する施策です。企業の最新ニュースや導入事例、業界動向、ノウハウ記事など、読者にとって有益なコンテンツを届けることで、企業との関係性を維持しながらブランド理解を深めてもらいやすくなります。
また、見込み顧客にとっては「この会社は役に立つ情報をくれる」「信頼できそう」といった印象を持つきっかけにもなります。たとえ今すぐに取引に至らなくても、将来的な商談につながる可能性が高まるのです。
ステップメールとは、特定のアクションを起点に、あらかじめ設計された複数のメールを段階的に自動配信する仕組みです。例えば、資料請求やウェビナー参加後には以下のような流れで、顧客の関心に合わせた情報をタイミングよく届けることができます。
1. お礼メール → 2. 関連サービスの紹介 → 3. 導入事例の案内 |
BtoBでは、リードの購買意欲を育てていく「リードナーチャリング」が成果につながる鍵となるため、ステップメールは特に効果を発揮します。営業のフォローだけでは手が届かない細かな接点をカバーし、商談化の確度を高められます。
ターゲティングメールは、属性情報や行動履歴に基づいて配信対象を絞り、最適な内容を届けるメール施策です。業種や役職、興味関心などのセグメントに応じてコンテンツを変えることで、よりパーソナライズされた訴求が可能になります。
「営業担当者向けにROI(※)を強調した内容」「IT担当者向けに技術的な説明を含んだ内容」など、相手の立場に合わせた情報提供ができる点は、意思決定プロセスが複雑なBtoBならではの有効なアプローチです。
※ マーケティング活動の費用に対して生まれた利益を測る指標のこと。
リターゲティングメールは、過去に自社サイトを訪れたユーザーや、特定のアクションを取ったリードに対して再接触を図るメール手法です。例えば、製品ページを見たまま問い合わせをしていないユーザーや、ウェビナー申込フォームまで進んで離脱したユーザーなどに対して、改めて関心を喚起するようなメールを配信します。
Web上の行動データと連携することで、あと一歩で商談につながるようなリードにピンポイントでアプローチできるため、BtoBでも効率的なリード活用が可能になります。ターゲティングメールの内容には導入事例や成功事例、限定オファーなどの“後押し要素”を盛り込むとより効果的です。
BtoBメールマーケティングで効果を高めるためには、「誰に」「どのフェーズで」「何を」届けるかを意識しながら、相手の関心を引き行動を促すことが重要です。
ここでは、BtoBでよく活用され成果につながりやすい代表的なコンテンツを紹介します。
導入事例は製品やサービスの信頼性を伝える上で、特に効果的なコンテンツのひとつ。BtoBの購買は意思決定までに時間がかかり関わる人も多くなりがちですが、その分「実績がある」「他社で成果が出ている」という事実が大きな安心材料になります。
メールでは「◯◯業界で成果を出した企業事例をご紹介します」といった一文で興味を引き、リンク先に詳細な事例ページやPDF資料を用意しておくと効果的。さらに業種や企業規模ごとに事例を用意しておけば、読者ごとにより関連性の高い訴求が可能になり、反応率の向上が期待できます。
ホワイトペーパーや調査資料は、「まずは情報を集めたい」と考える見込み顧客にとって重宝できる情報源です。業界動向や課題の整理、製品・サービスの比較検討といったテーマを深掘りして解説することで、読み手が自社の課題に気づき、次のステップへと進むきっかけになります。
メールでは資料のテーマや価値を端的に伝え、興味を引く導入文とともに「資料の無料ダウンロードはこちら」といった導線を設けるのが基本的な流れです。資料の一部を画像や文章でチラ見せする構成も効果的でしょう。情報提供を通じて信頼を築きつつ、検討初期のリードと自然に接点を持つことができます。
ウェビナー(オンラインセミナー)は、見込み顧客とリアルタイムで接触できる非常に効果的なマーケティング手法です。特にBtoBにおいてウェビナーの参加は敷居が低く、関心の高いユーザーを効率良く集める手段として広まりつつあります。
具体的な配信フローとしては、まずは以下のような見込み顧客に刺さるテーマのウェビナーを企画します。
企画したウェビナーをメールで告知することで、関心層の参加を促せます。ウェビナー開催後にはお礼メールやアンケートの送付、講演資料の配布などを通じて、継続的なコミュニケーションにつなげることも可能。
メールでは開催日時やテーマ、対象者、登壇者の肩書きなどを明確に記載し、「こんな方におすすめ」といった一文を添えると、読み手が自分に必要な情報かどうかを判断しやすくなるでしょう。参加登録フォームへの導線もシンプルに設計し、迷わず申し込めるよう工夫することが重要です。
BtoBのメールマーケティングは個人向けのマーケティングとは異なり、ターゲットが企業や組織であるため、アプローチ方法も慎重に設計する必要があります。
ここでは、BtoBのメールマーケティングを成功させる5つのポイントを紹介します。
BtoBのメールマーケティングでは、コンテンツの質が成果に直結します。業界の最新トレンドをまとめたレポートや専門知識を提供するホワイトペーパーなど、ターゲットが求める内容を届けることで信頼を築き、商談や再購入につなげやすくなります。
一方で、関連性の薄い情報や誤った内容は信頼を損なう原因となります。常に正確で正しい情報を提供し、顧客のニーズに合わせたコンテンツを心がけましょう。
また、メールの最後に次のアクションを促すCTAを配置し、読者が次のステップに進みやすいように工夫することも効果的です。
BtoBのメールマーケティングでは、配信のタイミングと頻度が成果を大きく左右します。
平日の日中(特に始業前や昼休み、終業前)のタイミングが開封率の高い傾向にあることが一般的です。しかし、最適な時間は業界やターゲットの行動特性によって異なります。テストを重ねながら、自社のターゲットにとって最適な時間帯を見つけましょう。
また、配信頻度にも注意が必要です。効果的な頻度としては週2~3回が目安ですが、ターゲットの反応を見ながら調整していく必要があります。
すべての顧客に同じ内容を一斉送信するのではなく、属性や行動に応じてメッセージを出し分けることが重要です。
まずは、配信するメールの目的に合わせて対象を選定しましょう。例えば新製品の案内であれば見込み顧客も含めて広く届けたいところですが、既存機能のアップデート情報であればすでに導入済みの顧客だけに絞る方が最適です。
さらに業界や役職、過去の購買履歴、Webサイトの閲覧傾向といったデータをもとに顧客をセグメントし、それぞれに合った内容を届けることで反応率の向上が期待できます。
BtoBのメールマーケティングを成功に導くうえで欠かせないのが、マーケティング部門と営業部門の連携です。
配信するメールの内容やスケジュールが営業側と共有されていないと、問い合わせ対応が後手に回ったり、社内確認に時間を取られたりとせっかくのリードを逃す原因になりかねません。マーケティング部門がどのような施策を展開しているか、どのような反応があったかを営業部門とリアルタイムで共有できる仕組みを整えましょう。
また、営業部門が現場で得た声やニーズをマーケティング部門にフィードバックすることで、より顧客に響くコンテンツの作成につながります。
メールマーケティングの効果を得るためには、配信後に顧客行動を解析することも欠かせません。マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用すれば、メールの開封率やクリック率に加え、顧客がどのWebページを訪問したかを分析できます。見込み顧客の関心や進捗状況を把握できるため、次に取るべきアクションをより適切に判断できます。
さらに特定のページで顧客が離脱している場合、その原因を分析してメールの内容やページの改善を行いやすいのもポイント。MAツールを使えば、データに基づいた改善が可能となり、マーケティング活動の精度が向上します。
BtoBにおけるメールマーケティングは、ただ「情報を届ける」だけではありません。顧客ごとの関心やフェーズに寄り添ったアプローチができる点で、他のチャネルにはない強みを持っています。
変化の激しいマーケティング環境だからこそ、戦略的なメール活用が確かな信頼とビジネス成長を支える基盤となるでしょう。
執筆者
コンテンツディレクター/ライター
Miho Shimmori
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。
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