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カスタマージャーニーマップとは?すぐ実践できる作り方や活用法を解説【テンプレート付き】

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現代のマーケティングにおいて、顧客一人ひとりの体験価値を高めることは、ますます重要になっています。しかし、WebサイトやSNS、広告などといった顧客との接点(タッチポイント)が多様かつ複雑になる中で、「本当に顧客を理解できているのか?」という悩みを抱えるマーケティング担当の方は少なくありません。

そこで、顧客理解を深めるための強力なツールとして注目されているのが「カスタマージャーニーマップ」です。

▼この記事で分かること
● カスタマージャーニーマップの基本概要と必要性
● カスタマージャーニーマップを作成することで得られる具体的なメリット
● 初心者でも迷わない、カスタマージャーニーマップの作成5ステップ
● すぐに参考にできるカスタマージャーニーマップ活用法

この記事を最後まで読めば、カスタマージャーニーマップの全体像を体系的に理解できます。また、すぐにカスタマージャーニーマップを作成・活用するための具体的な手順と知識が身につくでしょう。

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カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは、特定のペルソナ(顧客像)が製品やサービスを認知し、最終的に購入や利用、さらにはファンになるまでの一連のプロセスを可視化した図のことです。

顧客がたどる「旅(Journey)」を「地図(Map)」のように描き出すことで、各ステージにおける顧客の行動や思考、感情、そして企業との接点(タッチポイント)を時系列で整理します。

これにより、企業は顧客の立場から、製品・サービスを認知してから購入・利用、そしてそのあとのリピートに至るまでの一連の体験である「カスタマーエクスペリエンス(CX)」を深く理解できます。どのタイミングでどのようなコミュニケーションを取るべきか、具体的なインサイトを得ることが可能です。

実際のビジネスの現場では、どうしても「売り手目線」で施策を考えてしまいがち。ですが、このマップを作成するプロセスを通じて顧客が抱える真の課題やニーズ、感情の変化を客観的に見直せます。その結果、顧客満足度の向上にとどまらず、マーケティング活動全体の最適化と成果向上にもつながるのです。

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーマップの土台となる「カスタマージャーニー」とは、顧客が商品やサービスを認知してから、購入・利用に至るまでの道のりや体験プロセスそのものを指します。「バイヤージャーニー」と呼ばれることもありますが、一般的にほぼ同じ意味で使われています。

この「旅」は、必ずしも一直線ではありません。顧客は情報を集め、複数の選択肢を比較し、ときには立ち止まったり引き返したりしながら最終的な意思決定に至ります。この一連のプロセスは、通常以下のようなフェーズ(段階)に分けて考えられます。

1. 認知

認知のフェーズは、顧客が自身の課題やニーズに気づき始める最初のステップです。まだ特定の商品やサービスを探している段階ではなく、漠然とした悩みや欲求を抱えている状態です。

顧客状態としては、以下のようなものが想定されます。

最近、営業の訪問効率が悪いな。もっと効率の良い方法はないだろうか?(BtoB)
夏に向けて肌の乾燥が気になる。何か対策しないと……。(BtoC)
運動会で子どもが活躍する姿を見たい。速く走れるようになるにはどうしたらいいんだろう?(BtoC)

この段階の顧客に対して企業が取るべきアプローチは、まず「ここにあなたの課題を解決するヒントがありますよ」と気づいてもらうこと。課題を自覚し始めた顧客に、有益な情報や気づきを提供することで、次のステージへの関心を高めていくことが重要です。

2. 情報収集

課題を認識した顧客は、次のステップとして解決策を探し始めます。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索、SNSでの口コミ調査、専門サイトの閲覧などさまざまなチャネルを使って積極的に情報を収集します

顧客の行動としては、以下のようなものが想定されるでしょう。

「営業 効率化 ツール」「SFAとは」などで検索する(BtoB)
「乾燥肌 対策 化粧水」「30代 スキンケア おすすめ」などで調べる(BtoC)
「子ども 足が速くなる方法」「ランニングシューズ ジュニア」などで検索し、関連ブログや動画をチェックする(BtoC)

この段階の顧客にリーチするためには企業側が顧客の検索意図や関心を予測し、的確なキーワードに沿った有益な情報コンテンツを適切なチャネルで提供することが求められます。

3. 興味・関心

情報収集を進める中で、顧客は自身の課題を解決できそうな具体的な商品やサービス、あるいは特定のカテゴリーに「興味・関心」を持ち始めます

このフェーズにおける顧客の心理状態としては、以下のようなものが想定されます。

SFA(営業支援ツール)を導入すれば、今の課題を解決できるかもしれない
セラミド配合の化粧水が良さそう。いくつか試してみたい商品がある
走りやすい靴やフォームをサポートするインソールが効果的らしい

顧客はすでに情報に触れており、いくつかの選択肢を意識し始めている段階です。企業としてはより専門的かつ具体的な情報を提供し、自社の製品やサービスが「信頼できる・効果的な選択肢」であることをアピールしていく必要があります。

4. 比較検討

複数の選択肢を見つけた顧客はそれらをさまざまな角度から比較検討し、自分にとって最適なものを見極めようとします。価格や機能、品質、口コミ、サポート体制などを細かくチェックしながら購入の意思決定を行います。

このフェーズにおける顧客の行動としては、以下のようなものが想定されます。

複数のSFAツールの公式サイトを訪れ、機能比較表を確認。導入事例を読み、資料請求や無料トライアルを申し込む。
ECサイトで化粧水のレビューを比較したり、店舗でテスターを試したりする。
スポーツ用品店のオンラインサイトでインソールの性能や価格を比較し、実際の使用感を紹介したレビュー動画を探す。

この段階では他社製品との違いを明確に伝え、自社製品を選ぶことのメリットを具体的に提示することが重要です。

5. 購入

比較検討を経て、顧客は最も魅力的だと感じた商品やサービスの「購入」を決定します。購入手続きの分かりやすさ、決済方法の選択肢、配送のスムーズさなどが、最終的な顧客体験を大きく左右します。

このフェーズにおける顧客の行動としては、以下のようなものが想定されます。

導入するSFAツールを決め、営業担当者に見積もりを依頼。契約手続きを進める。
気に入った化粧水をECサイトのカートに入れ、購入手続きを完了する。
店舗で目的の商品を直接購入、またはオンラインストアで注文する。

購入の最終段階で顧客を離脱させないよう、スムーズな購買プロセスを提供することが不可欠です。

6. 購入後のプロセス:継続・推奨

カスタマージャーニーは「購入」で終わりではありません。むしろ、購入後の体験こそが顧客との長期的な関係構築において最も重要です。このフェーズは一般的に、「継続利用・ロイヤルティ」「推奨・ファン化」といったプロセスに分類されます

具体的な顧客の行動例としては、以下のようなものが挙げられます。

導入したSFAツールの活用方法について、サポートセンターに問い合わせたり、活用セミナーに参加したりする。満足度が高ければ、他部署への展開や同業者への紹介を検討する。
購入した化粧水を継続して使用し、効果を実感。SNSで「#使い切りコスメ」として好意的な投稿をする。
インソールの効果を実感し、運動会で良い結果が出たことで満足。次のサイズアップ時も同じブランドを選び、ママ友に口コミでおすすめする。

企業にとって重要なのは、この段階で顧客満足度をさらに高め、継続的な利用や自発的な推奨につなげていくこと。丁寧なアフターサポートや活用を促進するコンテンツの提供は、ロイヤルカスタマーを育てるうえで欠かせません。こうした取り組みが、LTV(顧客生涯価値)の最大化へとつながっていきます。

カスタマージャーニーマップを設計するメリット

カスタマージャーニーの作成には一定の時間と労力がかかりますが、それに見合うだけの大きなメリットが存在します。単なる「図解」や「お絵描き」で終わらせないためにも、その価値を正しく理解しておきましょう。

顧客視点で施策を考えられる

最大のメリットは、「顧客視点」に基づく考え方が組織内に定着することです。マップの作成過程では、ペルソナの行動や思考、さらに「うれしい」「不安」「面倒」といった感情の動きまでを具体的に追体験します。

これにより、「企業が伝えたいこと」ではなく「顧客が知りたいこと、解決したいこと」を起点とした施策を立案できるようになります。例えば「この段階の顧客は価格に不安を感じている」という気づきがあれば、料金シミュレーションや導入事例の提示といった顧客の感情に寄り添ったアプローチが可能になります。このような顧客中心の思考は、顧客体験(CX)を飛躍的に向上させるための第一歩です。

社内で共通認識が取りやすくなる

カスタマージャーニーマップは顧客に関する情報を可視化し、チーム全体で共有できる強力なコミュニケーションツールです。マーケティングや営業、カスタマーサポート、開発など異なる部門が同じマップを見ることで、顧客への理解や取り組みの方向性にズレが生まれにくくなります

例えばマーケティングは「認知度向上」、営業は「商談化」、サポートは「継続利用」などというように、それぞれ異なるKPIを追いがちです。しかし、ジャーニーマップを通じて「顧客の全体像」を共有すれば、「どのタイミングで、どんな情報が必要なのか」を部門を超えて一貫して理解できるようになります。この共通認識が部門間のサイロ化を防ぎ、セールス・アライメント(組織横断の連携)を生み出すのです。

一貫性のある施策を打てる

顧客はWebサイト、SNS、広告、メール、店舗など、さまざまなタッチポイントで企業と接触します。それぞれのチャネルで発信される情報や体験に一貫性がないと顧客は混乱し、不信感を抱きかねません。

カスタマージャーニーマップを活用すれば、各タッチポイントの役割や提供すべきコンテンツの整合性を把握しやすくなります

例えば、以下のように各ステージごとに最適な接点と情報を設計することで、分断のないスムーズな顧客体験を実現できます。

● 認知段階ではSNSで課題喚起の投稿を意識する
● 比較検討段階ではWebサイトに導入事例を掲載購入後はメールで活用方法を案内する

施策の優先順位を明確にできる

マーケティングには予算・人材・時間といったリソースの制約がつきもので、「どこに注力すべきか」を判断するのは簡単ではありません。カスタマージャーニーマップを作成することで、「顧客がどこでつまづきやすいか」「どのポイントで離脱しているか」といった課題が可視化されます

例えば「情報収集は多いが、比較検討フェーズで大きく離脱している」と分かれば、比較資料の充実やWebサイトのUI改善と言った具体的な改善策を優先的に実行できます。これによって限られたリソースをインパクトの大きい施策に集中でき、ROI(投資対効果)の高いマーケティング活動が可能です。

カスタマージャーニーマップの事例【業種別】

ここからは、業種の異なる3つのカスタマージャーニーマップの事例を紹介します。自社のビジネスに近いものを参考に、マップ作成のイメージを掴んでみてください。

BtoB SaaS(営業支援ツール)

● ペルソナ
 従業員50名規模のIT企業 営業マネージャー(40代男性)

● ペルソナのゴール
 営業チームの生産性を向上させ、売上目標を達成する

▼カスタマージャーニーマップ例

認知情報収集比較検討導入(購入)継続・推奨
行動・営業日報の確認
・営業会議
・業界ニュースのチェック
・「営業 効率化」「SFAとは」で検索
・業界メディアの記事を読む
・同僚や他社の知人に相談
・複数のSFAツールのWebサイトを閲覧
・機能比較表を作成
・資料請求、ウェビナー視聴
・無料トライアルを申し込む
・営業担当者と商談
・稟議書を作成、上長に提出
・契約手続き
・社内への導入説明会を実施
・サポートセンターへ問い合わせ
・活用状況をダッシュボードで確認
・成功事例を社内共有
思考・感情・「部下の行動が把握しきれない……」
・「報告業務に時間がかかりすぎている」
・「もっと効率化できないか?」(課題感)
・「SFAというものがあるのか」
・「自社に合うものはあるだろうか?」
・「情報が多すぎてよくわからない」(期待と不安)
・「A社は機能が豊富だが高いな」
・「B社はシンプルで使いやすそう」
・「C社の導入事例は自社に近い」(吟味)
・「この機能があれば目標達成できそうだ」
・「上長を説得できるだろうか?」
・「導入が楽しみだ」(期待)
・「思ったより設定が難しい…」
・「この機能は便利だ!」
・「導入して正解だった。他部署にも勧めたい」(満足、不安の解消)
タッチポイント・社内会議
・ビジネス系ニュースサイト
・検索エンジン (Google, Yahoo!)
・IT系専門メディア
・知人とのコミュニケーション
・各社Webサイト
・比較サイト
・製品資料、ホワイトペーパー
・オンラインウェビナー
・営業担当者からのメール
・営業担当者との面談、電話
・見積書、契約書
・導入支援担当者
・サポートサイト、FAQ
・ヘルプデスク(電話、チャット)
・活用セミナー
課題・課題が漠然としている
・解決策を知らない
・どの情報が信頼できるか不明
・専門用語が難しい
・各社の違いが分かりにくい
・価格体系が複雑
・トライアルの準備が面倒
・社内調整、説得に時間がかかる
・契約プロセスの煩雑さ
・初期設定のハードルが高い
・現場のメンバーが使いこなせない
・問い合わせへの返信が遅い
施策例・「営業の課題解決」に関するSEO記事
・課題喚起型のWeb広告
・「SFAとは?」解説コンテンツ
・用語集の作成
・業界別課題解決ホワイトペーパー
・機能比較ページの充実
・分かりやすい料金プラン提示
・導入事例コンテンツ(動画、記事)
・無料トライアルの導線改善
・ROI試算ツールの提供
・稟議書テンプレートの提供
・スムーズな契約フローの構築
・オンボーディングプログラムの提供
・動画マニュアルの充実
・定期的な活用ウェビナーの開催
・ユーザーコミュニティの運営

BtoC EC(アパレルブランド)

● ペルソナ
 20代後半の女性会社員。トレンドに敏感でおしゃれが好き。

● ペルソナのゴール
 次の週末の女子会に着ていく、少し特別感のあるワンピースを見つけたい。

▼カスタマージャーニーマップ例

認知興味・関心比較検討購入継続・推奨
行動・Instagramで好きなインフルエンサーをチェック
・ファッション雑誌を読む
・気になるブランドのECサイトを訪問
・商品詳細ページを見る
・Instagramでブランドアカウントをフォロー
・ECサイトでお気に入りに登録
・複数のワンピースを比較
・SNSで口コミや着用感を探す
・実店舗の在庫を確認
・ECサイトのカートに入れる
・クーポンやポイントを確認
・購入手続き、決済
・商品を受け取る
・試着する
・Instagramにコーディネートを投稿
・ブランドからのお礼メールを読む
思考・感情・「週末の女子会、何着ていこうかな?」
・「あの人が着てる服、かわいい!」(憧れ)
・「このブランド、素敵!」
・「このワンピース、私の持っている服に合うかな?」(ワクワク)
・「AとB、どっちがスタイル良く見えるかな?」
・「サイズ感はどうだろう?」
・「レビューの評価も良いな」(迷い、吟味)
・「やっぱりこれが一番かわいい!」
・「早く届かないかな」(決意、期待)
・「イメージ通りで最高!」
・「生地も気持ちいい」
・「友達に褒められた!」
・「このブランド、またチェックしよう」(満足、喜び)
タッチポイント・Instagram (インフルエンサー投稿、広告)
・ファッション雑誌
・ブランド公式ECサイト
・ブランド公式Instagram
・ファッション系Webメディア
・ECサイト(商品比較、レビュー機能)
・SNS(UGC、口コミ)
・実店舗
・ECサイト(カート、決済ページ)
・決済サービス
・商品、梱包
・SNS(自身の投稿)
・サンキューメール
・メルマガ
課題・着ていく服が決まらない
・トレンドがわからない
・ECサイトのモデルと自分の体型が違う
・商品の素材感が伝わりにくい
・サイズが合うか不安
・どの色が自分に似合うか迷う
・送料が高い
・会員登録が面倒
・希望の決済方法がない
・在庫切れ
・届いた商品のイメージが違った
・梱包が雑
・アフターフォローがない
施策例・インフルエンサーマーケティング
・雑誌タイアップ
・SNS広告
・身長別スタッフの着用スナップ
・質感のわかる動画コンテンツ
・インスタライブでの商品紹介
・サイズ比較ツールの導入
・パーソナルカラー診断コンテンツ
・レビュー投稿キャンペーン
・送料無料キャンペーン
・ソーシャルログイン機能
・多様な決済方法の導入
・再入荷通知機能
・丁寧でおしゃれな梱包
・手書き風サンキューカード
・着回しコーディネート提案メール
・SNS投稿キャンペーン(#ブランド名)

サービス業(地方の温泉旅館)

● ペルソナ
 30代の夫婦。結婚記念日に、非日常を味わえる静かな温泉旅行を計画中。

● ペルソナのゴール
 日頃の疲れを癒し、二人だけの特別な時間を過ごす

▼カスタマージャーニーマップ例

認知情報収集比較検討予約(購入)継続・推奨
行動・「記念日 旅行 おすすめ」「静かな温泉宿」で検索
・旅行系のブログやまとめサイトを見る
・旅行予約サイト(じゃらん、楽天トラベル等)で宿を探す
・旅館の公式サイトを見る
・Instagramで「#〇〇温泉」と検索
・複数の旅館のプラン、料金、口コミを比較
・部屋の露天風呂や食事内容を重点的にチェック
・空室状況を確認
・旅行予約サイトまたは公式サイトで予約
・予約確認メールを受け取る
・宿泊、温泉や食事を楽しむ
・旅館のSNSをフォロー
・Googleマップや予約サイトにレビューを投稿
・知人におすすめする
思考・感情・「結婚記念日だし、どこか特別な場所に行きたいな」
・「人混みは避けてゆっくりしたい」(期待)
・「この旅館、雰囲気が良さそう」
・「料理も美味しそうだな」
・「どんな景色が見えるんだろう?」(興味、想像)
・「A旅館は食事が豪華だけど少し高い」
・「B旅館は部屋からの眺めが最高」
・「口コミの評価も高いし、Bにしようかな」(迷い、吟味)
・「予約が取れた!」
・「楽しみだな、早く行きたい!」(安堵、高揚感)
・「最高の記念日になった!」
・「おもてなしも素晴らしかった」
・「また来年も来たいね」
・「この感動を誰かに伝えたい」(感動、満足)
タッチポイント・検索エンジン
・旅行系メディア、ブログ
・旅行予約サイト(OTA)
・旅館公式サイト
・SNS (Instagram、X)
・旅行予約サイトの比較機能、口コミ
・公式サイトのフォトギャラリー、プラン詳細
・予約サイト、公式サイトの予約フォーム
・予約確認メール
・旅館の施設、スタッフ
・アンケート用紙
・レビューサイト
・お礼のハガキ、DM
課題・行きたい場所のイメージが漠然
・情報が多すぎる
・公式サイトと予約サイトの情報が違う
・写真だけでは実際の雰囲気がわからない
・プラン内容の違いが分かりにくい
・記念日向けの特典が不明
・予約フォームの入力項目が多い
・希望の日が満室
・期待していたサービスと違った
・帰宅後のフォローがない
施策例・「記念日旅行」等のキーワードでのSEO/MEO対策
・旅行ブロガーによる体験記事の依頼
・動画での館内ツアーコンテンツ
・季節ごとの魅力を伝えるブログ記事
・SNSでの美しい風景写真の投稿
・プラン比較表の作成
・「記念日プラン」の造成とアピール
・VRでの客室プレビュー
・予約フォームの最適化(EFO)
・キャンセル待ち機能
・心のこもった接客
・手書きのウェルカムカード
・レビュー投稿のお願い
・季節のお便りDMの送付

カスタマージャーニーマップの作成フロー

効果的なカスタマージャーニーマップを作るためには感覚や思いつきに頼るのではなく、しっかりとした手順を踏んで作成することが重要です。ここでは、実践的な作成ステップを分かりやすく解説します。

1. ゴールを設定する

まず最初に、「なぜこのマップを作成するのか」という目的を明確にします。また、顧客が最終的にたどり着くべき「ゴール」を定めましょう。

目的の例

● Webサイトからの問い合わせ数を1.5倍にする
● 新規顧客のLTV(顧客生涯価値)を20%向上させる
● 部門間の連携を強化し、一貫した顧客体験を提供する
ゴールの例

● 商品の購入
● 有料プランへの契約
● 資料請求
● 店舗への来店予約
● ファン化し、他者へサービスをおすすめする

目的な不明確なまま進めると、マップの焦点がぼやけ、具体的な施策や改善策に結びつかなくなってしまいます。「誰の(=ペルソナ)」「どこに向かう旅なのか(=ゴール)」をセットで定義することが重要です。

2. ペルソナを設計する

次にカスタマージャーニーの主人公となる「ペルソナ」を設計します。ペルソナとは、自社の商品やサービスにとって象徴的かつ重要な顧客像を、リアルな人物像として具体的に描いたものです。

単なる属性情報(例:30代女性、会社員)にとどまらず、氏名・年齢・職業・ライフスタイル・価値観・抱えている課題やニーズなどを含め、まるで実在する人物のように詳細に設定しましょう。

ペルソナ設計に必要な情報は以下のとおりです。

▼カスタマージャーニーマップ例

基本情報● 氏名
● 年齢
● 性別
● 居住地
● 職業
● 年収
● 家族構成
価値観・性格● ライフスタイル
● 趣味
● 情報収集方法
● よく利用するデバイスやSNS
課題・ニーズ● なぜ自社の製品カテゴリーに関心を持ったのか
● どんな悩みを解決したいのか

これらの情報は実際の顧客アンケートやインタビュー、営業担当者へのヒアリング、アクセス解析データなど、リアルなデータに基づいて設計するのが理想です。現実的な行動やニーズに即したペルソナを設定することで、ジャーニーマップの精度と実用性が格段に高まります。

ペルソナ設計については、別記事「SEOコンテンツの作り方(1)ターゲット設計とキーワード分析をしよう」もご覧ください。

3. マップのテンプレートを作る

ペルソナとゴールが決まったら、次はカスタマージャーニーを可視化するためのマップの骨組み(テンプレート)を作成します。ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ツールのほか、LucidchartやMiroのような作図ツールを活用すると便利です。

一般的に、マップは以下のような構造になります。

配置内容
横軸(列)顧客の行動ステージを時系列で配置認知→情報収集→比較検討→購入→購入後
縦軸(行)各ステージで分析する項目を配置顧客の行動/思考/感情/タッチポイント/課題/対応策など

この縦軸の設計が、マップの質を左右する重要なポイントです。分析したい観点が曖昧だと、マップ全体が表面的になってしまいます。目的や活用シーンに応じて、どの項目を深掘りするかをあらかじめ整理しておきましょう。

4. マップの項目を記載する

テンプレートが完成したら、いよいよマップの中身を埋めていきます。ペルソナの視点に立ち、各ステージでどのような体験をするかを想像しながら、ステップ2で集めた客観的なデータに基づいて記載していくことが重要です。

縦軸に設定する主な項目や記入例は以下のとおりです。

項目内容
行動ペルソナが各ステージで実際にとる行動。〇〇で検索する、資料を請求する
タッチポイント企業と顧客の接点。Webサイト、SNS、広告、店舗、営業担当者
思考感情ペルソナが考えていることや感情。「他社と何が違う?」「本当に効果があるのか?」
課題顧客が感じる不満・不安・障壁など。「情報が見つからない」「問い合わせの対応が遅い」
施策・改善案上記の課題を解決し、体験を向上させるための具体的なアイデアやアクション。FAQページの改善、チャットサポートの導入

なお、感情の変化を「感情曲線」として可視化する方法も有効です。ペルソナがポジティブまたはネガティブな気持ちになるポイントを視覚的に把握できます。

この工程は一人で行うのではなくマーケティングや営業、カスタマーサポートなど、顧客接点を持つ複数の部署のメンバーと共に、ワークショップ形式で行うのが理想です。多角的な視点が加わり、より精度の高いマップが完成します。

カスタマージャーニーマップのテンプレート

ここでは、すぐに使える汎用的なカスタマージャーニーマップのテンプレートを紹介します。このテンプレートをベースに、自社のビジネスモデルやマーケティングの目的に合わせて、自由にカスタマイズしてください。

● ペルソナ

● ペルソナのゴール

認知情報収集比較検討購入継続・推奨
行動
思考・感情
タッチポイント
課題
施策例

カスタマージャーニーマップを作る際の注意点

カスタマージャーニーマップを有意義なものにするために、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。よくある失敗を避け、確実に成果につなげるようにしましょう。

ユーザーニーズ・課題の分析を欠かさない

マップ作成は憶測や思い込みではなく、事実(データ)に基づいて行うことが前提です。顧客インタビューやアンケート調査、アクセス解析、営業日報、カスタマーサポートの問い合わせ履歴など、利用可能なデータはすべて活用し、ユーザーのリアルなニーズと課題を徹底的に分析しましょう。

この分析を怠ると実際の顧客像とはかけ離れた、企業側の理想を反映しただけの“自己満足のマップ”になってしまう恐れがあります。

自社の希望を優先しない

マップ作成の過程で、「顧客にはこう動いてほしい」「この製品の良さを分かってほしい」といった企業側の理想や願望を盛り込みたくなることがあります。しかし、カスタマージャーニーの主役はあくまで「顧客」。実際の行動や感情に寄り添い、客観的に描写する必要があります

企業の希望や理想は、最終的な「施策・改善案」として整理すべきものであり、マップ本体には直接反映させないように注意しましょう。

KPIを事前に設定する

カスタマージャーニーマップは、作って終わりではなく、施策の改善と効果検証に活用することが目的です。そのため、マップの各ステージに対応したKPI(重要業績評価指標)をあらかじめ設定しておく必要があります

▼KPIの例

ステージ主なKPI
認知指名検索数、自然検索流入数、インプレッション数
比較・検討資料請求数、無料トライアル申込率、平均ページ滞在時間
購入コンバージョン率(CVR)、平均購入単価
購入後リピート率、NPS(顧客推奨度)、解約率

KPIを設定することで、施策の成果を数値で可視化でき、PDCAサイクルを回して継続的な改善につなげることができます。

定期的に改善する

市場環境や顧客のニーズ、競合の動向、テクノロジーは日々変化しています。一度作成したカスタマージャーニーマップも、時間とともに陳腐化するリスクがあります。

そのため最低でも半年に一度、あるいは大きな市場の変化があったタイミングでマップを見直し、必要に応じてアップデートしましょう。新たに得られたデータや施策の成果を反映しながら、マップを“生きたツール”として運用することが継続的な成果につながります。

カスタマージャーニーマップの活用法【マーケティング別】

作成したカスタマージャーニーマップは、さまざまなマーケティング施策の精度を高めるための羅針盤となります。ここでは代表的な3つの活用法を紹介します。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは顧客にとって有益な情報を提供し、信頼関係を構築する手法です。カスタマージャーニーマップを活用することで、「どのステージの」「誰(ペルソナ)に」「どのタッチポイントで」「どのようなコンテンツを届けるべきか」を明確にできます

ステージ施策例
認知課題に気づかせるためのブログ記事や解説動画など
比較検討具体的な検討を後押しする導入事例、お客様の声、機能比較表、ホワイトペーパーなど
継続・推奨活用を促進し、ファンになってもらうための活用ガイド、Tips紹介、ユーザー限定セミナーなど

このようにマップに基づいてコンテンツを設計することで、顧客の関心を的確に捉え、スムーズに次のステージへと誘導できます。

SNSマーケティング

SNSはプラットフォームごとに利用しているユーザー層や情報の受け取られ方が異なります。カスタマージャーニーマップを活用することで、どのSNSがどのステージに最も効果的かを明確化できます

SNS施策例
Instagram・TikTok「認知・関心」ステージでブランドの世界観や商品を視覚的に訴求し、憧れや好意を醸成する。
X (旧Twitter)リアルタイム性を活かし、「情報収集」ステージでの最新情報・キャンペーン告知、および「購入後」のライトなサポートや交流に活用する。
Facebook「比較検討」ステージのBtoBユーザーに対し、実名制の信頼感を活かしてウェビナーや導入事例を訴求する。

ペルソナがどのSNSをどのタイミングで利用するのかをマップ上で特定し、適切なメッセージとチャネルの組み合わせを設計することが成果の鍵となります。

メールマーケティング

メールマーケティング(特にMAツールを活用したシナリオ配信)は、カスタマージャーニーの各ステージにいる顧客と1to1のコミュニケーションをとる上で非常に有効な手段です。

ステージ施策例
情報収集資料請求したユーザーに関連するお役立ち情報をステップメールで配信し、興味・関心を育成する。
比較検討購入を迷っているユーザーに期間限定のクーポンや導入相談会の案内を送付し、背中を押す。
継続・推奨購入済みユーザーへ関連商品のおすすめやメンテナンス方法を案内し、アップセルやクロスセルにつなげる。

マップに基づいたメールシナリオは、画一的な一斉配信ではなく、「今この瞬間」の顧客心理に寄り添ったパーソナライズドな提案を可能にします。

カスタマージャーニーマップに関するよくある質問

ここでは、カスタマージャーニーマップに関するよくある質問をまとめました。

カスタマージャーニーマップを設計する目的は?

顧客が抱える真の課題やニーズ、感情の変化を客観的に見直すことが目的です。その結果、顧客満足度の向上にとどまらず、マーケティング活動全体の最適化と成果向上にもつながります。

記事内の「カスタマージャーニーマップとは」もあわせてご覧ください。

カスタマージャーニーマップを設計するメリットは?

カスタマージャーニーマップを設計するメリットは以下のとおりです。

  • 顧客視点で施策を考えられる
  • 社内で共通認識が取りやすくなる
  • 一貫性のある施策を打てる
  • 施策の優先順位を明確にできる

それぞれのメリットについて詳しくは、記事内の「カスタマージャーニーマップを設計するメリット」をご覧ください。

カスタマージャーニーマップを作成したあとは何をすれば良い?

市場環境や顧客のニーズ、競合の動向、テクノロジーは日々変化するため、カスタマージャーニーマップを作成したあとは最低でも半年に一度、あるいは大きな市場の変化があったタイミングでマップを見直し、必要に応じてアップデートしましょう。

詳しくは、記事内の「定期的に改善する」で解説しています。

まとめ

カスタマージャーニーマップの作成は時間と労力がかかりますが、顧客理解を深め、社内の共通認識を生むためには欠かせないツールです。

自社の顧客の「旅路」を丁寧に描き出すことで、マーケティングの精度向上や顧客満足度の向上につながります。また、企業中心の発想を脱し、真に顧客視点に立った組織文化を醸成できる点も大きなメリットでしょう。

ぜひこの記事を参考に、自社のカスタマージャーニーマップを作成してみてはいかがでしょうか。

当メディア「C-NAPS」を運営する株式会社ファングリーでは、戦略立案・プランニングからWebサイト制作、コンテンツ制作まで、さまざまなソリューションの提供を通して各種ビジネス課題の解決をお手伝いしています。まずはお気軽にお問い合わせください。

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Miho Shimmori

執筆者

コンテンツディレクター/ライター

Miho Shimmori

2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。

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約100万人をターゲットとしたライオンのニッチ市場攻略法|歯磨き文化を創った足の衛生ケア習慣化への道筋


  • ライオン株式会社
  • ビジネス開発センター統括部 ビジネスインキュベーション室
  • 猪俣 和也(いのまた・かずや)

Interview

# 24

ファン増と離職防止を同時に実現するカラダファクトリーの個店マーケティング|チェーン店でもパーソナライズされたサービス価値の追求を


  • 株式会社ファクトリージャパングループ
  • 代表取締役社長
  • 髙橋 健介(たかはし・けんすけ)

Interview

# 23

万人受けより100人に1人の共感!「ぞっこん度」で深まるファンとの絆|新しいビール文化を作るマーケティングと組織戦略


  • 株式会社ヤッホーブルーイング
  • マーケティング部門統括ディレクター
  • 仮屋 光馬(かりや・こうま)

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