初めて行く歯科の場合、行く前にその歯科のホームページを確認するのが一般的でしょう。ホームページでどのような雰囲気の医院なのか、どのようなコンセプトで診療を行っているかなど医院の特長がしっかりと伝わると、その歯科医院に行くきっかけになります。いわば、ホームページはWebでの医院看板なのです。
では、ホームページ上で医院の特長をしっかりと伝え、他院と差別化するためにはどうしたら良いのでしょうか。
本記事では、歯科医院の現状とホームページの必要性と、実際に株式会社ファングリーが制作したホームページの事例を用いて、差別化のポイントを紹介します。
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街を歩けばよく見かけるコンビニですが、そのコンビニの数より歯科医院の数のほうが多いのが実態です。
厚生労働省が発表した調査によると、2023年10月時点の歯科医院施設の数は66,818件、同じく2023年12月時点でコンビニの店舗数は55,713件となっており、歯科医院施設数のほうがコンビニよりも11,105件多くなっています。過去10年のデータを見ても、常に歯科医院の数はコンビニの数を上回っています。
出典:厚生労働省『令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況』
出典:日本フランチャイズチェーン協会『コンビニエンスストアFC統計』
つまりコンビニ業界と同様に、歯科医院業界でも同じような厳しい競争が強いられていると言えるでしょう。
さらに、競合が多いだけではなく、予防対策などでむし歯の患者数も減少傾向にあるため、近年では経営が難しくなり倒産する歯科医院も増えてきています。厳しい競争を勝ち抜くためには、強みをターゲットに向けてしっかりと打ち出し、他院との差別化を図ることが重要になってきているのです。
ホームページは、チラシや看板と違っていつでも簡単に情報を得ることができ、また他の広告媒体よりも豊富な情報を掲載することができます。さらに、新しく情報の追加や変更を行うことができるため、手をきちんと加えていくことで患者さんに最新の情報を提供することができるのです。
マップ上でも簡単に歯科医院を検索することができますが、初めて行く医院がどのような医院なのかを不安に感じる人も少なくありません。どのような先生が治療をしてくれるのか、どのような院内なのか、どのような方針で治療を行っているのかをしっかりと把握できることが重要です。
さらに、自由診療を受けたいと考えている人にとっては、この医院はその治療が得意なのか、しっかりとやってくれるのか、ホームページに記載している情報によって医院へ訪れてくれるかを左右する、とても重要な役割を果たしているのです。
2018年6月1日より、医療広告ガイドラインが改定になり、今まで広告としての立ち位置ではなかったホームページについても、広告の扱いとなりました。今まで記載できていたものが記載できなくなったことで、ホームページ上での表現の幅が狭まり、競合との差別化がさらに難しくなってしまったのです。
ホームページへ記載することができない内容(一例) ・厚労省が認めた学会の専門医等以外の学会や専門医の表記 ・価格やリスク、治療期間など、詳細な説明のない症例写真の表示 ・誇大な表現の記載(地域No1や高品質な治療など) ・患者の体験談 ・有名人や芸能人が治療を受けている旨の表示 ・キャンペーンなど費用を強調する内容 |
出典:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」
なお、上記のなかでも一定の条件を満たしていれば記載可能な“限定解除”という措置もあります。
この医療広告ガイドラインの改定により、治療について記載できる範囲が制限されている現状では、医院の独自性として押し出せるのは、医院の治療方針や院長の考え方などメンタル的な部分がメインになってきています。
実際に多くの医院様のGAを見ていると、治療ページよりも院長・スタッフ紹介や院内紹介、コンセプトのページが多くみられている傾向があります。安心を伝えてこの医院に行こうと思わせるためには、医院の雰囲気やコンセプトがしっかりと見えたうえで、治療についての特長を知ってもらえることが大切です。
そこで医院の雰囲気やコンセプトなど、医院らしさを伝えるための、差別化できる点を考える際に大切にすべき3つのポイントをご紹介します。
当たり前の話になりますが、医院の特長をしっかりとユーザーに伝えるためには、まず制作者がクライアントのことをよく知ることが一番重要です。歯科医院の場合、もちろんコンセプトや治療をする上で大切にしていることを伺うのは当たり前ですが、治療を行う前段階のことを聞くことも大切です。
歯科医師になったきっかけや、医院をその場所に開院した理由、医院名の由来など医院を開く前のことや、さらに場合によっては子どもの頃の話などを伺うことで、先生の根底にある大事にしていることや想いを知るきっかけになります。
緊張をしているとうまく話を引き出すことが難しいため、街の雰囲気や、院内の雰囲気、置物など周りを観察し先生の好きなことや特徴を見つけ、アイスブレイクの材料にすることも大切です。
さらに、かしこまった話だけではなく、一見ホームページを作るうえでは関係のないような砕けた話をすることが、先生の雰囲気をつかむことや、らしさを知ることに役立ちます。そこで得た情報がデザインやコンテンツの内容に反映され、差別化のポイントにつながることもあるのです。
話をしている時の雰囲気をそのままホームページに落とし込むことで、ホームページを見て医院に訪れた際に、ギャップを感じることがなくなり、患者さんの安心につながります。すべてがホームページを作る際の材料になりうるのです。
医院の「らしさ」を見える化するためには、軸となるひとつの言葉に、医院の特長と、ロゴなどの目に見える特徴をつなげることです。
次項にて事例を紹介しますが、軸を決めてそれに沿ってその他のコンテンツを考えることで、ホームページにストーリーが生まれ全体にまとまりができます。その軸となる言葉に沿って目的とターゲットに合わせた構成でホームページを制作していくことが、他院にはまねできない医院ならではのポイントとなり、差別化につながります。
入江歯科クリニック https://www.irie-dental.jp/
“よく噛める”を軸に、患者さんのニーズに合わせた治療と先生の好きな釣りを掛け合わせ、海をモチーフにホームページのリニューアルを行いました。ただ単に海モチーフのデザインにするのではなく、“魚が釣り針を噛む”ことと、先生が大事にしている“よく噛めるための診療”を掛け合わせ、表現の仕方と構成をひと工夫しました。
ゴールを明示するコンテンツから始まり、“噛めるを取り戻す”ためのインプラント治療・入れ歯についてのコンテンツ、“噛めるを保つ”ための歯周病治療・セラミック治療についてのコンテンツ、そして“噛めるを守る”ための小児歯科コンテンツと患者さんそれぞれのニーズ・世代別に医院でサポートできる内容をまとめることで安心感を訴求しました。
また、メイン部分に先生の手書きメッセージを表示することで、20年診療を行ってきた感謝の気持ちと先生の親しみやすい雰囲気を感じ取ってもらえるよう工夫を行いました。
医院の待合室にはアクアリウムがあり、壁やいすなどの内装からはキラキラ輝く海のイメージを感じました。ホームページも内装の雰囲気に合わせて制作し、実際の医院とのギャップをなくすことで、安心感を訴求しました。
また、このホームページの肝である、“釣り”と“噛む”を釣り針の動きでも表現。スクロールとともに、釣り針も上下に動き、魚が釣り針を噛む動きを入れることで、噛めるための診療とデザイン・動きを連動させ、医院ならではの世界観を表現し差別化を行っています。
おおぬま歯科クリニック https://www.ohnuma-shika.com/
“地域の方の明るい笑顔のために”ということを軸に、先生が大切にしている“健口・健康・健幸のためのサポート”と、医院のロゴであるポピーの花をモチーフにホームページのリニューアルをおこないました。
お口の健康を守る“健口”と、全身の“健康”、そして健康で幸せな“健幸”に先生が押していきたい診療メニューをあてはめ、治して健口にし、歯並びを整えることで全身を健康に、そしてキレイを守ることで健幸にという流れで構成ししています。
さらにポピーの花をデザインのモチーフにするだけではなく、花言葉である“思いやり”を医院の特長と掛け合わせました。患者さんが笑顔で来院しやすい医院のための工夫を『思いやりポイント』とすることで、医院の雰囲気や「らしさ」をわかりやすく表現しました。
開業68年で地域密着の安心感と親しみを伝えるために、スタッフや院内の写真を多用。さらに治療中の写真よりも対話をしている写真をメインに使用することで、医院の明るく親しみやすい雰囲気を表現しています。
数多くある歯科医院は差別化が難しくなってきていますが、いくつかある強みや特徴がまったく同じという歯科医院はないはずです。歯科医院に限らず、何かしら競合と違う点はあるはずなので、その特徴の掛け合わせ方とコンテンツの見せ方を工夫することで差別化を行いことができるのではないかと思います。
ビジネスを成長させるヒントは、働く人の「らしさ」や想いに隠れています。個性を見える化することで差別化を行い、ユーザーに選ばれる医院・企業を目指しましょう。
株式会社ファングリーでは、長年の企業ブランディング支援により培ったノウハウを活かし、コーポレートサイトやサービスサイト、採用サイト、LPの制作をはじめ、CIやVI(MVV・ロゴ・ブランドメッセージ・タグライン・動画・ブランドブックなど)の開発、企業パンフレット、ホワイトペーパーの制作をワンストップでご提供しています。予算に合わせたご提案をさせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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執筆者
コンテンツディレクター/ライター
MIHO SHIMMORI
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。