BtoBサイトは、企業間取引(Business to Business)の事業会社が運営・管理するWebサイトです。BtoB企業の営業活動には欠かせないツールのひとつ。
BtoBサイトは、やみくもに制作しても成果を得ることはできません。実際、成果が出ないことに頭を悩ませているWeb担当者も多いのではないでしょうか。
せっかく制作するのであれば、効果が実感できるBtoBサイトに仕上げたいですよね。そのためのコツはズバリ、「設計」にあります。制作段階で設計がしっかり練られたBtoBサイトの多くは、一定の成果を得ている傾向にあります。
本記事では、BtoBサイトの役割やBtoCサイトとの違いを解説しつつ、押さえておきたいコンテンツやBtoBサイト制作を成功に導くポイントについて解説します。Webの知識がなくても分かりやすい内容になっていますので、自社のWebサイト制作やリニューアルの際はぜひ参考にしてみてください。
\BtoBサイトリニューアルのよくある5つの失敗例/
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そもそも本記事において、BtoBサイトの定義は企業間取引を行う企業が運営・管理するWebサイトとします。
BtoBサイトの新規制作またはリニューアルにあたって、まずはBtoBサイトの役割を知ることが大切です。
はじめに、一般的なBtoBサイトが担う主な役割について解説します。
BtoBサイトの重要な役割のひとつは、見込み顧客の獲得です。BtoBサイトと新規見なし顧客の間で接点を作り、興味関心から比較検討へと顧客の意欲を引き上げる設計がなされている必要があります。
また、ユーザーの検討度に応じて、見積もり依頼や資料ダウンロード、問い合わせなどのコンバージョン(CV)を設けることも忘れてはいけません。これらは見込み顧客の獲得を目指す上で、最低限押さえておきたいポイントです。
どんなに素晴らしい事業・サービスを立ち上げても、認知されなければ活用してもらえません。BtoBサイトで自社ビジネスに関するプレゼンテーションができれば、認知拡大効果を期待できます。これは、前項で紹介した見込み顧客獲得にもつながります。
また、BtoBサイトへの流入で最も多いパターンは、企業名やサービス名で検索する「指名検索」です。指名検索されるということは、ユーザーは自社そのものやサービスに確実に興味関心を寄せており、情報を知りたいと思っています。
もしBtoBサイト内にユーザーが欲しい情報がなければ、見込みを取りこぼしてしまうでしょう。掲載していない情報についてすべてのユーザーが問い合わせてくれるとは限らないため、掲載情報を充実させておくことが大切です。
BtoBサイト上に採用情報を充実させることで、求職者との接点を作ることができます。求職者への訴求力を高めたい場合は、既存のコーポレートサイトなどとは別に、新たに採用サイトを制作するのが効果的です。
募集要項をはじめとした基本的な採用情報に加え、社風や職場環境の紹介、社員インタビューなどのコンテンツを掲載することで、求職者は「自分が働く姿」を具体的にイメージできるでしょう。
また、採用情報や採用サイトは求職者のみならず、転職エージェントが閲覧することも少なくありません。転職エージェントに閲覧してもらえれば、自社が求める人材に適した求職者に、自社を紹介してもらえる可能性も高まります。採用強化を考えるなら、簡潔にまとまった情報を発信するのがポイントです。
BtoBサイトは、企業のブランドイメージを構築・強化する役割も持ちます。ブランディング強化をサイト制作・リニューアルの目的とするなら、企業の理念や価値観、ビジネスへの向き合い方や取り組みなどを伝え、信頼性や専門性を訴求しなければなりません。
現在は、企業規模やネームバリューだけでマーケットを勝ち残れる時代ではありません。BtoBサイトでは、いかにユーザーの共感を得られるかが重要といえるでしょう。
BtoBサイトは、顧客からの問い合わせや相談に対応する窓口としても機能します。問い合わせフォームや電話番号を掲載し、顧客とのコミュニケーションを円滑に行えるようにしましょう。
最近はAIチャットボットなど問い合わせ対応を自動化できるツールもあります。顧客が問い合わせしやすい環境を整えることも重要です。
前項で紹介したBtoBサイトの役割に応じて、BtoB事業の会社が運営するBtoBサイトには、以下のようにいくつかの種類があります。
コーポレートサイトは、企業全体の情報を発信するための公式サイトです。以下のような情報が含まれます。
コーポレートサイトは取引先や求職者など、幅広いステークホルダーが対象であり、ユーザーからの信頼獲得やブランドイメージの構築を目的としています。企業との初回接触時に閲覧されやすいサイトです。
特定の製品やサービスを紹介するためのサイトで、ランディングページ(LP)とも呼ばれます。以下のような、製品やサービスに関する詳細情報を提供します。
ユーザーの購買意欲を高め、資料請求や問い合わせなどを促すことが主な目的です。
記事やコラムを中心としたコンテンツを提供するために、自社で運営するサイトのことです。自社の専門性をアピールし、認知度を高めて潜在顧客を育成することを目的としています。
自社の求人情報を掲載し、求職者向けに特化したサイトです。募集要項や会社概要などのほかに、以下のような独自性の高いコンテンツを掲載します。
このようなコンテンツで自社の雰囲気を知ってもらい、応募者の興味関心を高めて採用活動における成果を創出することが目的です。
採用サイトについては以下の記事もご覧ください。
IRサイトは、投資家や株主を対象としたBtoBサイトです。以下のような情報を発信します。
投資家が企業の業績や経営方針を確認する際に利用されるサイトで、企業の透明性確保や投資家との信頼構築を目的としています。
企業が関わる取引には、大きくBtoB(企業間取引)とBtoC(企業と一般消費者の取引)の2種類があります。
ここでは、BtoBサイトとBtoCサイトの違いについて解説します。それぞれの違いを踏まえて、BtoBサイトならではの特長を理解しましょう。
BtoBとBtoCの違いについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
BtoBとBtoCの大きな違いは、購買プロセスと意思決定者にあります。
BtoBサイトでの購買は企業活動のために行うので、複数の担当者が検討を重ねた上で決裁者が最終的な意思決定を行います。意思決定に関与する人数が多く、プロセスが複雑であるため、認知から購入までのリードタイムが長くなるのが特徴です。
一方のBtoCサイトでは基本的に製品・サービスの購入者と利用者が同一であることから、認知から購入の意思決定までのリードタイムは短い傾向にあります。
このような違いがあることから、それぞれにマッチしたアプローチ方法や合理的な判断基準となる情報をコンテンツに落とし込まなければなりません。
BtoBサイトとBtoCサイトでは、ユーザーの閲覧環境にも違いがあります。
一般消費者(個人)を対象とするBtoCサイトは、スマートフォンやタブレットで気軽に閲覧ができるようモバイルファーストで設計されているケースがほとんど。実際、多くのBtoCサイトではデバイス別訪問数でスマートフォンユーザーが大半を占めています。
一方、多くのBtoBサイトではPCユーザーの流入が多数を占めています。傾向としては、平日の日中、PCデバイスからアクセスが増えるようです。このことから、「勤務時間中に会社のPCから閲覧している人が多い」という仮説を立てられます。
ただし、BtoBサイトでも取り扱う製品・サービスやターゲットなどによっては、スマートフォンユーザーとPCユーザーが五分五分(またはそれに近い割合)となる場合もあります。BtoBサイトで成果を得るには、BtoCサイト以上に閲覧環境を考慮した画面設計・デザインが求められるため、しっかりとユーザー分析した上でサイト設計を行いましょう。
ここからは、BtoBサイトの基本的な構成要素を紹介します。
出典:株式会社ファングリー
TOPページのファーストビューは、BtoBサイトに訪れたユーザーが一番はじめに目にするエリア。ファーストビューには次のような要素を設置するのが一般的です。
メインビジュアルやキャッチコピーは、次の2つの条件を満たしていなければなりません。
ファーストビューで違和感を覚えたユーザーの多くは、この段階で離脱してしまう傾向にあります。そのため、ユーザーの検索意図に沿ったメインビジュアルとキャッチコピーを設置することが重要です。
また、TOPページに流入するユーザーは以下の2パターンに分類できます。
大半は、情報収集を目的としたユーザーです。グローバル・ナビゲーション(Webサイト上部やサイドバー、ページ下端などに上に表示された主要ページへのリンク)から目的の情報を探すか、ページ全体をスクロールして目的の情報を探すかといった行動を取ることが予想できます。
一方、コンバージョンを目的としたユーザーのほとんどは、再訪問(リピーター)です。コンバージョンボタンをメインビジュアル上かグローバル・ナビゲーションに設置することで、ユーザーはストレスなく見つけられるようになります。
自社の製品・サービスの特長(ソリューション情報)を紹介するページは、キーワード検索で直接流入するユーザーが多く、明確な検索意図があります。そのため、極力1ページで完結する構成にしましょう。
製品・サービスの紹介を基本とし、課題提起や解決策、導入コストなどの詳細情報をあわせて記載することで、ユーザーが「この製品から自社が求める価値を得られるのか」といった点を判断しやすくなります。
ソリューション情報を掲載する際は、情報の詰め込みすぎに注意しましょう。製品・サービスの情報をコンパクトにまとめ、全体像を俯瞰的にキャッチできる構成にすることが大切です。
また、ソリューション情報ページの最後には必ずCTA(Call To Action)となる要素を設置し、コンバージョンの獲得を目標とします。
「自社の強み」は、類似製品や競合他社との明確な違いをアピールするコンテンツです。もちろん製品やサービスそのもので違いを作れればベストですが、BtoBビジネスにおいては競合他社と特徴が類似してしまうことも少なくありません。
それでも、ユーザーは上司や決裁者から承認を得るために「なぜその会社であるべきか」という情報を必要とします。自社の製品・サービスを選ぶ価値をとことん分析し、差別化のポイントをコンテンツに落とし込みましょう。
「導入事例」はBtoBサイトに必須のコンテンツです。主にコンバージョンをアシストする役割を担います。
導入事例コンテンツはとくに署名企業の実績でユーザーに安心感を与えられるため、公共機関や金融機関、大手企業の事例は積極的に掲載したほうが有効です。また、自社と類似した企業の実績を見ることで、ユーザーは製品・サービスの具体的な導入をイメージできます。
また、導入事例ページでは業種や課題ごとに事例を絞り込みできるように設計するのがおすすめ。導入事例とあわせて、「顧客の声」も必ず掲載しましょう。実際の利用ユーザーがどのような評価をしているのかは、見込み顧客にとって重要な検討要素になるからです。
事例取材のポイントはこちらの記事をご覧ください!
「よくある質問」も、コンバージョンをアシストする重要なFAQコンテンツです。
サイトを閲覧していて疑問に思ったことがあっても、実際に問い合わせをするユーザーは極めて少なく、多くは疑問が解決されないままサイトから離脱してしまいます。興味関心を持っているユーザーを取りこぼさないため、メインコンテンツを消化したあとに読んでもらえる関連FAQを設置しましょう。
FAQの内容は企業によってさまざまですが、以下のようなものが挙げられます。
普段お客様からよくある問い合わせを各部門で洗い出し、最適なカテゴリー分けを検討しながらFAQを作成しましょう。
CTAとはCall to Action(行動喚起)を意味する言葉で、ユーザーの行動を誘発するためのコンテンツのことです。多くのBtoBサイトにおいては、資料請求や問い合わせなどのコンバージョンボタンがCTAに該当します。
CTAはたくさん設置しておけば良いというものではありません。ユーザーがコンテンツを消化したタイミングで表示されるよう、適切に配置するのが望ましいでしょう。
CTAは配色や形などを工夫してほかのボタンと区別し、ユーザーの目線を一時的に引きつけるように意識するのがポイント。設置したボタンに適したオファーテキストを表示させると、クリック率のアップが期待できます。
そのほかにも、BtoBサイトにおいてさまざまな重要な構成要素があります。ニーズに合わせて、適宜ページや情報を追加しましょう。
一般的に「お知らせ」や「新着情報」と呼ばれる情報発信コンテンツです。
サービスサイトやブランディングサイトでは必須ではありませんが、コーポレートサイトの役割を兼ねている場合は必要になることがあります。
サービスサイトやブランディングサイトでは、最低限の会社情報が含まれていれば問題ないでしょう。
ただし、コーポレートサイトであれば内容は充実させるべきです。指名検索で流入が多いコーポレートサイトだからこそ、会社情報へアクセスしやすい設計にしましょう。
製品・サービス紹介や事例集のホワイトペーパー、そのほかのお役立ち資料のダウンロードコンテンツをまとめて掲載したページです。
その場ですぐにダウンロードできるようにページ内に入力フォームを表示させるUIを採用すると、ダウンロード数が増加しやすくなります。
コンバージョンを獲得するためのサイトには不可欠なコンテンツです。EFO(Entry Form Optimization:エントリーフォーム最適化 )の観点で設計されていないBtoBサイトも意外に多くあります。
離脱の要因となるものはできる限り排除することが望ましいため、項目数や操作性などの観点から最適な形を検討しましょう。
役割を果たすBtoBサイトにするために、制作時に意識したい4つのポイントを解説します。
自社サイトに訪問してほしいユーザーのターゲット像は、詳細に設定しましょう。最終的にターゲットにどのような行動をしてほしいのかまで設計に落とし込むことが重要です。
ターゲットをより詳細に定義するためには、ペルソナを設定します。ペルソナとは、ターゲットをより細かく分析し、実在するレベルまで具体的に落とし込んだ人物像のこと。ペルソナはひとりとは限らないため、必要に応じて複数作成しましょう。サイト制作を依頼する際に制作会社へペルソナを展開すれば、より精度の高い提案を受けることが可能です。
個人を対象としたBtoCサイトでは職業・役職・居住地・年収などパーソナルな情報を設定しますが、BtoBサイトの場合は「企業」と「企業の担当者」の両軸で以下のようにペルソナを考えます。
<企業例>
企業名 | 株式会社×××× |
業種 | IT(SaaS) |
商材 | 経理清算ソフトウェア |
売上規模 | 100,000,000円 |
従業員数 | 1,000名 |
企業が抱えている課題など | ブランディング、見込み顧客の獲得、Webサイト更新性向上 |
<企業の担当者例>
名前 | Aさん |
性別 | 男性 |
年齢 | 36歳 |
所属部門 | 管理部 |
役職 | チーフマネージャー |
決裁権 | なし |
BtoBサイト制作においては、数多く存在する競合他社との差別化も重要です。自社の強みや競合他社との違いを細かく整理しましょう。
自社の強みや競合他社との違いを最も高い精度で分析できるのは、社内の人材です。セールスポイントを整理する際は、まずは普段から顧客にメリットを説明している営業部門の担当者と行うと良いでしょう。この機会に、競合他社の洗い出しや自社の業界での立ち位置についてあらためて見つめ直すのも良いかもしれません。
集客キーワードとは、ユーザーが自社サイトに流入する際に検索すると思われるフレーズのことです。コーポレートサイトでは企業名などの指名検索による流入が一般的ですが、企業名の認知度が低い場合はこうした流入はあまり期待できません。
Webサイトによる見込み顧客獲得を狙うのであれば、ユーザーの悩みに直結するキーワードでの流入を狙うのがコンバージョンに最も近いと考えられます。業種によっては、専門用語をキーワードに設定するのも効果的です。
集客キーワードをBtoBサイトのタイトルタグや見出しタグに組み込むなどのSEO施策を講じることで、検索結果で自社ページが上位表示される確率が上がります。
より見込み顧客の獲得に力を入れたい場合は、集客キーワードやその関連キーワードを選定し、ユーザーの検索意図に特化したコラム記事を制作するのもおすすめです。
BtoBサイトでよくある離脱の要因には、「欲しい情報が見つからない」「使いにくい」などが挙げられます。そのため、BtoBサイトのデザインは見やすさと使いやすさを第一に考えることが重要です。
アニメーションやギミックを多用するのではなく、導線に迷いが生じないシンプルなデザインによってネガティブな離脱は大幅に減らせます。クリエイティブをコンセプトにしたWebサイトでなければ、原則としてシンプルなデザインを採用しましょう。
一方で、サイト内に使用する画像などの素材は、印象が良いものを使用しましょう。可能であれば予算を確保し、プロのカメラマンによる撮影を実施するのが効果的です。同じサイトデザインでも、フリー素材やスタッフがスマートフォンで撮影した写真を使用するのとでは、ユーザーが視覚的に受け取る印象が大きく異なります。
「BtoBサイト」と一口にいってもさまざまな種類があり、役割や目的も異なります。自社サイトにどんな役割を担ってもらうべきかをあらためて整理した上で、制作・運用していきましょう。
株式会社ファングリーは、Webサイト・コンテンツ制作支援とマーケティング支援の機能をあわせ持つ制作会社です。ブランディングを軸としたサイト制作や、コンテンツ制作を通じてお客様のビジネス課題の解決にも取り組んでいます。
長年企業のブランディング支援を行ってきたノウハウを生かし、コーポレートサイトやサービスサイト、採用サイト、LPの制作はもちろん、CIやVI(MVV・ロゴ・ブランドメッセージ・タグライン・動画・ブランドブックなど)の開発から企業パンフレット、ホワイトペーパーといったクリエイティブツールの制作までワンストップでご提供しますので、ぜひお問い合わせください。
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執筆者
コンテンツディレクター/ライター
MIHO SHIMMORI
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。