※株式会社エッジコネクションより寄稿いただいた内容を掲載しています。
営業リソースの不足や新規開拓の強化を目的に、営業代行を活用する企業が増えています。
社内で営業人員を抱えずに外部リソースを活用するという考え方は、とくに中小・中堅企業を中心に広まっており、市場全体としても拡大傾向です。
しかし、同じ営業代行サービスを利用していても、「期待どおりの成果が出る企業」と「なかなか結果につながらない企業」が存在します。営業代行会社の提案力やスキルが同水準であっても、成果に差が生まれるのはなぜでしょうか。
多くの場合、その原因は営業代行会社側だけにあるわけではありません。依頼する企業側が事前にどのような準備をしているか、どう設計しているかによって、成果は大きく変わります。「外注すれば何とかなる」と捉えている企業と、「営業組織の一部として機能させる」と捉えている企業とでは、活用の仕方そのものが異なるのです。
本記事では、営業代行が期待どおりの成果につながらない企業に共通するパターンを整理した上で、成果を出している企業がどのような準備と設計を行っているのかを具体的に解説します。
目次
近年、営業代行市場は着実に規模を拡大しています。背景にあるのは、営業人材の採用難と育成コストの高騰、そして新規開拓に特化したリソースを確保したいという企業ニーズの高まりです。
営業代行と言うと、かつてはスタートアップや中小企業といった「リソースが不足しがちな企業が活用するもの」というイメージが強かったかもしれません。ですが、現在は大企業でも一般的な選択肢になりつつあります。新規顧客の開拓に特化したアウトバウンドの支援から、インサイドセールス機能のアウトソース、特定エリアや業種への営業展開まで、サービスの形態も多様化しているのです。
このように選択肢が広がったことで、「まず試してみる」という入り口のハードルも下がり、導入企業の数は増え続けています。しかし導入数が増えるにつれ、成果が出るケースとそうでないケースの差も明確になってきました。
営業代行を依頼しても結果が出なかった場合、企業は「あの代行会社は使えなかった」という結論に陥りがちです。もちろん、営業代行会社側の対応力やスキルが成果に影響することは否定しません。しかし、実際に複数社の活用事例を見ていくと、同じ代行会社を使っていても成果に大きな差が生まれているケースは珍しくないのです。
逆に言えば、依頼側の企業が変わることで、同じ代行会社でも成果が大きく変わる可能性はあります。これは、成果の有無が「どこに頼むか」だけでなく「どう使うか」にも大きく依存していることを示しているのです。
営業代行は、外部リソースとして企業の営業活動の一部を担います。そのため「代行会社が頑張れば(勝手に)成果が出る」というわけではなく、依頼企業と代行会社が連携することで初めて成果が生まれます。この認識を持てているかどうかが、成果を分ける最初の分岐点です。
営業代行を活用して成果を出している企業を観察すると、共通して「営業代行を使う前に何をしておくか」を丁寧に整理していることが分かります。具体的には、以下のような項目です。
これらは代行会社が提供できるものではなく、依頼企業で準備しておく必要があります。
一方、成果が出ない企業に共通しているのは、これらの準備が不十分なまま営業代行をスタートさせているという点です。「代行会社に任せればうまくやってくれる」という前提で動いてしまうと、代行会社は本来の力を発揮できず、期待値との乖離が生まれます。
営業代行の成果を左右するのは、代行会社のスキルだけでなく、依頼企業側の設計力です。
この視点を持つことで、営業代行の活用の質は大きく変わります。
営業代行が期待通りの成果につながらない企業には、業種や規模を問わず共通したパターンがあります。
以下では、とくに多く見られる3つの傾向を整理します。
もっとも多く見られるのが、営業活動のすべてを代行会社に委ねてしまうケース。「営業を外注したのだから、あとは任せておけば良い」という認識のもと、ターゲット選定からトークの内容、アプローチ方法まで、すべての判断を代行会社に委ねてしまう企業もあります。
しかし、営業代行会社は自社のサービスや商品を深く理解したうえで営業を行うわけではありません。初期のオリエンテーションや資料提供はあっても、現場で生まれる顧客の反応や競合との差別化ポイントについては、依頼企業が継続的に情報を提供し、アップデートしていく必要があります。
丸投げの状態では、代行会社は限られた情報の中で動くしかなく、訴求の精度が上がりません。営業先の見込み顧客から想定外の質問が来ても対応できず、商談化率が低いまま推移することになるでしょう。営業代行は「外部の実行部隊」ですが、機能させるには依頼企業側の関与が不可欠です。
営業代行に限らず、営業活動全般において「誰に・何を」、そして「なぜその営業戦略なのか」が明確でなければ、成果は出ません。ところが、この点が十分に整理されないまま営業代行を開始しているケースは非常に多く見られます。
「とにかく新規顧客を増やしたい」「できるだけ多くのアポイントを取ってほしい」という依頼は、一見明確に見えますが、実際にはターゲットも訴求軸も曖昧なまま。代行会社にとっては、「どんな企業にアプローチすべきか」「どんな課題を持つ相手に響くのか」が不明瞭な状態でのスタートになります。
自社の強みが整理されていなければ、競合との差別化もできません。また、ターゲットが明確でなければ、アプローチ数を増やしても商談化率は上がりません。量より質の設計が、営業代行の成果を左右する重要な前提条件となるのです。
「成果が出なかった」と感じる企業の多くで見られるもうひとつの問題が、KPIや目的の設定が不明確なままスタートしていることです。
営業代行に何を期待しているのか。例えば「アポイント獲得数」「商談化率」「最終的な受注件数」などが事前に設定されていなければ、活動の善し悪しを判断する基準がないため、PDCAを回すことができません。
また、KPIが設定されていても、それが代行会社と共有されていないケースは問題です。依頼企業と代行会社がそれぞれ異なる指標で動いていると、目指す方向がずれ、活動の効率が大きく落ちます。営業代行をスタートする前に、「何をもって成功とするか」を明確にし、双方で合意しておくプロセスが欠かせません。
これらの共通点に見られるのは、営業代行を「外部の力を借りれば解決する」という万能ツールとして捉えている点です。しかし実際には、適切な設計がなければ成果にはつながりません。次章では、成果を出している企業がどのような準備を行っているのかを具体的に見ていきます。
成果を出している企業に共通しているのは、営業代行を「外部リソースを使う」という発想ではなく、「営業組織の一部として設計する」という発想で活用している点です。ここでは、営業代行を成果につなげる企業の3つの特徴について解説します。
成果を出している企業では、営業代行に何を担わせるかが明確に定義されています。
例として、以下のような方針が挙げられます。
このような定義に応じて、代行会社に求めるものは大きく変わります。役割の境界線が曖昧だと、どこまでが代行会社の責任範囲で、どこからが自社の対応なのかが不明確です。その結果、フォローの抜け漏れが発生したり、代行会社が動けない局面で活動が止まってしまったりすることもあるでしょう。
例えば当社では、クライアントから営業代行の依頼を受ける際、まず「どのフェーズを担当するのか」を明確にするところから始めます。テレアポによるアポイント獲得のみなのか、初回商談まで担当するのか、成約までのフォローも含めて担当するのかによって、必要なインプット情報も評価指標もまったく異なるからです。
このような役割の明確化が、活動全体の設計を決定づけます。
成果を出している企業では、営業代行のスタート前に「何をもって成果とするか」が具体的に定義されています。「アポイント数」「商談化率」「案件数」「最終的な受注件数」といった指標を段階ごとに設定し、代行会社と共有した上で活動を開始しています。
なお、重要なのは初回のKPI設定だけでなく、それを代行会社と定期的に確認し合うことです。週次や月次での数字の振り返りを行い、想定と乖離している指標があれば、原因を分析して対応策を検討する。このPDCAの仕組みが、営業代行の活動を継続的に改善させる力になります。
また、KPIを共有することで代行会社側も「何を最優先で動けばよいか」を理解した上で活動できます。数字を見ながら連携することで依頼企業と代行会社の方向性が揃い、活動の精度が上がるのです。「成果が出ているかどうか分からない」という状態がもっともリスクが高く、KPIの共有はその状態を防ぐために最大限有効な手段と言えます。
成果を出している企業に共通する最大の特徴は、営業代行を「外部の別組織」として切り離して扱うのではなく、自社の営業組織の一部として機能させていることです。
具体的には、代行会社と定期的なミーティングを行い、実際の商談現場で得られた「顧客の反応」や「競合情報」をフィードバックしています。また、自社の営業チームで使っている「トークスクリプト」や「事例資料」を代行会社にも共有するなど、活動の精度を高める取り組みも欠かしません。
さらに、代行会社が獲得したアポイントを自社営業がどう引き継ぐかという連携フローも事前に設計しています。どのような情報を代行会社から受け取り、商談前にどんな準備をしておくべきかといったハンドオフ(業務引き継ぎ)の設計が、商談化率と受注率の両方に影響します。
営業代行を「外に投げるもの」ではなく「一緒に動くパートナー」として関与することで、代行会社は現場で得た知見を活かし、活動の質を継続的に高められるのです。この姿勢が、長期的な成果の積み上げにつながっていきます。
前章で見てきた特徴を踏まえ、営業代行を活用する前に企業側が行うべき準備を3点に整理します。
これらは特別な知識や膨大なコストを必要とするものではなく、「何を整理しておくか」という認識の問題です。
営業代行会社に最初に提供すべき情報は、「自社の強みは何か」「どんな企業・担当者に届けたいのか」という2点です。この2点が整理されていれば、代行会社は訴求軸を明確にして動きやすくなります。
強みの整理は、競合と比較したときに自社が選ばれる理由を明文化する作業です。価格なのか、対応スピードなのか、専門性なのか、導入後の支援体制なのか。これが曖昧なまま営業活動を行っても、顧客にとっての「選ぶ理由」が伝わらず、商談化率は上がりません。
ターゲットの整理においては、業種・規模・職種・抱えている課題感といった軸で、もっとも成果につながりやすい顧客像を定義することが重要です。すべての企業にアプローチするよりターゲットを絞ったほうが代行会社の動きは精度が上がり、アポイントの質も向上します。
営業代行会社がプロジェクトをスタートする前に、成果を測るための指標と評価のタイミングを決めておきます。「月に何件のアポイントを目標とするか」「商談化率をどの水準で維持したいか」「何ヶ月後に受注件数の評価を行うか」といった点を、代行会社と合意しておきましょう。
評価サイクルは、月次での振り返りを基本にしながら、開始直後の1〜2ヶ月は週次でチェックポイントを設けることを推奨します。プロジェクトスタート直後の数字の動きに早く気づき、軌道修正を行っていけば、活動全体の精度が上がります。KPIと評価サイクルが定まっていると、代行会社との対話が「数字ベース」になり、感覚的な評価を避けられます。
営業代行が獲得したアポイントを自社営業に引き継ぐ際の流れ、そして活動結果を代行会社にフィードバックする体制も、スタート前に設計しておきます。
引き継ぎのフローが不明確だと、代行会社が頑張って獲得したアポイントが無駄になるケースもあります。「誰が・いつ・何の情報をもとに引き継ぐか」を明確にしておくだけで、商談の質が安定するのです。
また、営業活動の現場で得られた情報は、代行会社へ定期的にフィードバックしましょう。「このトークは顧客に刺さりにくかった」「この業種は反応がよい」といった現場の知見を共有するプロセスで、代行会社の活動精度は継続的に向上します。フィードバックの仕組みがあるかどうかが、短期的な成果と長期的な成果の差を生みます。
営業代行の活用は、正しく設計すれば営業力強化の有効な手段になります。一方で、準備不足のまま導入しても、期待した成果を得ることは難しく、「コストがかかっただけ」という結論になりがちです。
成果を出している企業に共通しているのは、営業代行を外部に丸投げするのではなく、自社の営業組織の一部として機能させているという点です。
この3つの準備が揃うことで、営業代行は初めて本来の力を発揮できます。
営業代行を検討している企業や、すでに活用していて成果に伸び悩む企業の多くが、「代行会社の選定」ではなく「自社の設計」が見直すべきポイントです。外部リソースを活かすも殺すも、依頼企業側の準備と関与の質次第となります。
営業代行の活用を「外注」として捉えるのではなく、「営業組織の設計の一部」として位置づけることで、成果は大きく変わります。まずは本記事で紹介した3つの準備から、自社の現状を見直してみてください。
最新記事
タグ