近年、新卒採用・中途採用にかかわらず注目を集めている「採用マーケティング」。自社が求める人材を獲得するためには不可欠な考え方として浸透しつつあります。
本記事では、採用マーケティングが重要である理由やメリット、基本的な考え方、有効なオンライン施策をご紹介しています。これから採用マーケティングを積極的に導入したいとお考えの企業様は、ぜひ最後までお読みください。
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採用マーケティングとは、企業の採用活動にマーケティングの考え方や手法を用いることを指します。一般的にマーケティングは自社の商品やサービスを消費者や使用者に売るための仕組みですが、採用マーケティングは企業が自社の求める人材にアプローチすることで人材を確保する仕組みを意味します。
採用マーケティングにおいては、自社の事業の強みや今後の展望、業務内容、労働環境などを一方的に発信するのではなく、自社の求める人材の潜在的・顕在的ニーズを汲み取ったうえで、どのように興味関心を持たせて志望度を高め、採用エントリーまで導くか、入社意思を獲得するかを設計・実行します。
日本の人口が減少の一途をたどるなかで、労働市場における人材の獲得競争はますます激化しています。従来であれば「募集を出せば求職者から応募が来る」という受動的な姿勢であっても採用における十分な母集団を形成することができたかもしれませんが、これからは自社が求める人材に対して企業自らが能動的なアプローチをとらない限り、採用は難航していく可能性が高いと言えます。
ここでいう「能動的なアプローチ」こそが、採用マーケティングです。採用マーケティングは求める人材のニーズを起点とした施策を行うことが前提となるため、従来のやり方ではマッチすることができなかった人材との接点をつくることができます。
前述の通り、採用マーケティングを行うことによって、企業が求める人材を採用できる可能性が高くなります。そもそも採用の母集団形成ができていない企業はもちろん、募集は集まるものの人材のミスマッチが多く、早期離職を招いている企業にとっても、それらの課題の解決策としてメリットは大きいでしょう。
求める人材が現在は就職活動をしていない場合でも、企業の存在を認知していれば、求職の段階でエントリーしてもらえる可能性も高まります。
採用マーケティングは通常のマーケティングと同様に、企業が求める人材に対してさまざまなアプローチを可能にする仕組みであるため、採用のチャネルを従来型の就活サイトやエージェントに依存しなくて済むという点もメリットです。
就活サイトへの掲載やエージェント利用は必ずしも採用が確約されるものではないため、多様なチャネルを保有しておくことは重要でしょう。さらに採用マーケティングを軌道に乗せることができれば、コストを削減しながら継続的な人材の確保が可能になります。
副次的なメリットとして、採用マーケティングは結果的に自社ブランディングにつながるケースも少なくありません。自社のもつ価値観や内部体制を広く一般的に知ってもらう機会としても効果を発揮するため、「信頼できる企業」「優秀な人材が集まっている企業」として認知されれば巡り巡って事業への貢献も期待できるでしょう。
自社の商品やサービスを購入することが想定される顧客層を具体化することを、ペルソナ設計と言います。年齢や性別、居住地、年収、家族構成、趣味、嗜好品などを明文化することで、より具体的なマーケティング施策を検討しやすくなります。
採用マーケティングにおいても同様で、「求める人材像」が顧客にあたります。ペルソナは実像に近いレベルまで具体化しておくと実効性のある施策を考えやすくなるため、実際に入社した社員を一つのモデルとしてペルソナに落とし込むのもよいでしょう。
マーケティングにおいて、顧客の状態・行動変容プロセスを示すものが「ファネル」です。通常は「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「購買」という区分がなされますが、この考え方は採用マーケティングにおいても適用されます。
採用マーケティングでは、求職者の状態・行動変容プロセスを下図のファネルで考えることができます。
「候補者」を意味するキャンディデート(candidate)は、前述のペルソナに該当します。採用マーケティングを行ううえで設定したペルソナが、企業の存在を知り、志望度を高めてエントリーし、選考を経て入社に至るという一連のプロセス(ファネル)において経験することを、キャンディデートエクスペリエンスと呼びます。
たとえば、「興味」のファネルにあるペルソナに現在募集中のポジションについて詳しく知れる機会を提供することで、次の「応募」のファネルへと前進させるといったように、ファネルごとにペルソナの体験を設計する必要があります。採用マーケティングの肝は、キャンディデートエクスペリエンスをいかに最適化させられるかに尽きると言っても過言ではないでしょう。
前述の「ペルソナ」「ファネル」「キャンディデートエクスペリエンス」の考え方を統合したものが、下図のような「ジャーニーマップ」です。ジャーニーマップは、具体的な施策を検討するうえでの拠りどころとなります。
採用マーケティングの施策にはもちろんオフィス見学やカジュアル面談などのオフラインでの接点も含まれますが、コロナ禍の現状やスマホ普及率を考慮すると、特に「認知」から「応募」のファネルにおいてはオンライン施策が有効です。具体的な施策例をご紹介します。
従来的な採用サイトを含む、自社で自由にコントロール可能なオウンドメディアは、採用マーケティングにおいてはもはや必須と言えるでしょう。
一般的な就活サイトに求人を掲載すれば母集団形成には一定の効果がありますが、発信できる内容はある程度フォーマット化されており、自社ならではの切り口で情報を発信したり、独自の価値観を示したりするには限界があります。オウンドメディアであれば、自社のカルチャーや採用方針を最大限に表現できるため、応募を検討している求職者に自社理解を深めてもらいやすくなります。
ただし、単に採用サイトをつくって終わりでは、よほど知名度の高い企業でない限り認知してもらうことが難しいため、SNSの活用と連動させるなど、外部から見つけてもらいやすい仕組みをあわせて考えることが重要です。たとえばサイト上で自社の取り組みや就業環境、カルチャーなどに関する記事を定期的に更新し、SNSで告知するなど、積極的に運用していく必要があります。
近年、多くの企業が採用広報の媒体として活用しているのがnoteです。noteはユーザーがコンテンツを自由に発信できるメディアプラットフォームであり、自社で一からメディアを構築しなくてもアカウントさえ作成すれば無料で始めることができます。有料版のnote proは独自ドメインを取得できるため、外部メディアでありながら独自性のアピールも可能です。
基本的にはテキストベースの記事が多い傾向にありますが、画像や動画のアップロードも可能なので比較的自由度の高いコンテンツ制作ができます。共有機能によってSNS連携もしやすく、また人気のある記事はnoteのプラットフォーム上で取り上げられることもあるので、対外的な接点を増やして認知拡大につながりやすいと言えるでしょう。
オウンドメディア(採用サイト)とnoteとの役割を明確に切り分け、固定のコンテンツはオウンドメディアに、定期的に更新するコンテンツはnoteに、といったような連携もできます。
SNSの活用においては、サービスごとのユーザー特性を踏まえたうえで自社の業界や業種、求める人材の年齢層などを考慮し、もっとも認知につながりやすいサービスを選定することが大切です。たとえば新卒採用でZ世代(10代~20代半ば)に対して情報を発信したい場合は、TikTokとInstagramをメインに活用するのがよいでしょう。
出典:令和3年8月 総務省情報通信政策研究所「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
SNSは他のメディアに比べて拡散力が高いことが特徴なので、その利点を活かし、オウンドメディアなどの更新をSNSで告知し、オウンドメディアへ流入させるなどの導線設計をしておくことがポイントです。
また、SNSはいかにユーザーのタイムラインに表示させるかがが重要であるため、継続的な運用体制の構築が成功の秘訣と言えます。場当たり的に投稿するのではなく、あらかじめ投稿スケジュールを立て、それにあわせてコンテンツの企画制作を行っていく必要があります。
労働人口の減少により、人材獲得競争はますます激化し、採用マーケティングが一般化していくことは間違いありません。これまでの“待ち”の姿勢を貫いていては自社が求める人材を確保することが難しいため、積極的に施策を打っていきましょう。
株式会社ファングリーは、採用を目的としたオウンドメディア記事制作やnote・各種SNS投稿代行、Webサイト構築、動画制作などを、戦略立案から一気通貫で承っています。採用マーケティングを推進するうえで外部パートナーをお探しの企業様は、お気軽にご相談ください。貴社の目的や課題に適したソリューションをご提案いたします。
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