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BtoBマーケティングが「点の施策」で終わる会社と、「成果の出る仕組み」に変えられる会社の違い

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株式会社エッジコネクションより寄稿いただいた内容を掲載しています。

「展示会もやった。広告も出した。ウェビナーも開催した。なのに、なぜ商談につながらないのか?」

BtoBマーケティングの現場では施策の選択肢が増えた一方で、個々の施策がバラバラに存在するだけの「点の施策」にとどまっている企業が少なくありません。個別の施策は間違っていないはずなのに、なぜか成果が出ない――。その裏側には、マーケティングの「実行」だけを評価し、顧客の検討プロセスを置き去りにしてしまう構造的な課題が隠れています。

本記事では、成果が出ない企業に共通する4つのズレを解き明かし、施策を「点」から「線」へとつなぎ合わせ、確実な成果を生み出す仕組みに変えるための設計思想を解説します。

なぜ施策を打っても成果が出ないのか?

BtoBマーケティングの現場では、近年になって打てる施策の選択肢が大きく広がりました。展示会、Web広告、ウェビナー、ホワイトペーパー、動画、メール配信、MAツールの活用など、取り組める施策自体は確実に増えています。しかしその一方で、「施策は増えているのに商談や受注につながらない」という悩みを抱える企業が一定数存在するのも事実です。

実際、個々の施策を見れば、内容や運用が大きく間違っているというケースは稀です。それでも成果が出ない背景には、「施策を実行すること」自体が目的となってしまっている構造があります。「展示会をやった」「広告を出した」「ウェビナーを開催した」といった実績は残るものの、それらがどのように成果へつながるのかまでは整理されていません。

とくに多いのが、「やったかどうか」で施策が評価されてしまう状態。この評価軸では次のアクションや全体の流れよりも、単発施策の実行が優先されます。その結果、マーケティング施策は個別最適で積み上がり、顧客の検討プロセスや営業活動とは分断されたまま、「点」として存在し続けてしまうのです。

「点の施策」に終わる企業の共通点 

BtoBマーケティングが成果につながらない企業を見ていくと、施策の内容以前に、共通した「構造的なズレ」が存在しています。担当者の努力不足や施策選定のミスではなく、マーケティングの捉え方そのものが「点」で止まってしまっているケースがほとんどです。

ここでは、こうした企業に共通して見られる4つの構造的なズレを具体的に整理していきます。

施策ごとに目的や評価基準が異なっている

展示会は名刺獲得数、広告はクリック数、ウェビナーは参加者数、ホワイトペーパーはダウンロード数と、それぞれ単体では妥当な指標が設定されています。しかし、それらが「最終的に何につながれば成功なのか」という共通ゴールに結びついていないため、成果が分断されてしまいます

結果として各施策が終わると「やり切った感」だけが残り、獲得した名刺やアカウントが次のアクションに引き継がれないままとなってしまうのです。

顧客の検討プロセスを前提にしていない

BtoBの購買は即断即決ではなく、課題認識から始まり情報収集、比較検討、社内調整、決裁まで段階を踏んで進みます。しかし「点」の施策にとどまっている企業では、この流れが十分に考慮されていません。

例えば、まだ「課題認識が浅い顧客」にいきなり製品比較資料を提供したり、逆に「比較検討段階の顧客」に基礎的な情報だけを届けたりと、顧客の温度感と施策内容が噛み合わない状況が生まれます。このズレが、反応率の低下や商談化率の停滞につながる要因です

マーケティングと営業・インサイドセールスの接続が不足している

マーケティング部門は「リードは渡している」と感じ、営業は「リードの温度感が低い」と感じる――。

この認識のズレは、「どの状態の顧客を、どのタイミングで渡すのか」という設計が存在しないことから生じます。

結果として、マーケティングは集客で止まり、営業は追い切れないという分断構造が固定化されてしまうのです。

次のアクションが設計されていない

ホワイトペーパーをダウンロードしたら終わり、ウェビナーに参加させたら終わり。少し踏み込んだとしてもフォローメールを送るだけ、1回電話するだけといったように、施策が単発イベントとして完結してしまっています。

顧客がその後どう動くことを期待しているのか、どの情報を次に届けるべきなのかが整理されていないため、顧客側も次の行動を起こしにくくなります。

評価すべきは施策の完遂ではなく、顧客の前進

これらに共通するのは、マーケティング施策が「一つひとつの成功」で評価されている点です。

しかし、BtoBマーケティングの本質は施策単体の成功ではなく、顧客が次のステップへ進み続けられるかどうかにあります。この視点が欠けている限り、施策は増えても成果には結びつきません。

次章では、こうした「点」の施策とは対照的に、成果を出している企業がどのようにマーケティングを「線」として設計しているのか、その具体的な考え方を解説していきます。

成果が出る企業は「線」でマーケティングを設計している

成果を出しているBtoB企業のマーケティング設計を見ていくと、施策の種類や数そのものに大きな違いがあるわけではありません。展示会や広告、ウェビナー、コンテンツ施策など、使っている手法自体は、成果が出ていない企業と大きく変わらないケースも多く見られます。

決定的に違うのは、それらの施策が一つひとつ独立して存在しているのか、それとも一連の流れとして設計されているのかという点です。

顧客の検討プロセスを起点に、施策を配置する

成果が出る企業では、マーケティング施策を考える際に必ず顧客の検討プロセスを起点に置いています

顧客は、最初からサービス導入を前提に動いているわけではなく、以下のような段階を辿るからです。

1.「何となく違和感がある」「課題かもしれない」と感じる(課題認識)

2.情報を集め、他社と比較する(情報収集・比較)

3.社内で検討を進め、意思決定に至る(決裁)

この流れを無視して施策を並べても、顧客の行動は次に進みません。成果が出る企業では、「今の顧客はどの段階にいるのか」「次に必要な情報は何か」といった点を前提に施策を配置しています。そのため、各施策の役割が明確なのです。

例えば、以下のように施策ごとの立ち位置が整理されています。

  • 広告や記事コンテンツ → 課題認識を促す役割
  • ホワイトペーパー → 理解を深める役割
  • ウェビナー → 具体的な解決イメージを持たせる役割
  • 個別相談 / 問い合わせ → 意思決定を進める役割

このように役割が明確になることで、マーケティング施策は単なる「施策の集合体」ではなく、「顧客を前進させるための導線」として機能します。

「施策の次」を定義し、行動を止めない

重要なのは、すべての施策において「この施策の次は何か」が定義されていること

具体的には、以下のように「次のアクション」が前提として設計されています。

  • ダウンロードしたら次はどのページを見てもらうのか?
  • ウェビナー参加後にどの情報を知りたくなるのか?

また、成果を出している企業では、マーケティング施策と営業・インサイドセールスの接続もこの「線」の中で設計されています。

営業・インサイドセールスが動きやすい状態を作る

マーケティングの役割は単にリードを集めることではなく、営業が動きやすい状態まで顧客を前進させることです。

そのため、「どの状態になったら営業につなぐのか」「どの情報が共有されていれば商談が進みやすいのか」といった点が、事前に整理されています。

この設計があることで、営業側も「なぜこのタイミングで自分たちに回ってきたのか」を理解した上でアプローチできます。結果として商談の質が安定し、成約までのプロセスもスムーズになるのです。

マーケティング施策を「線」で設計すること、それは、特別な施策を新しく追加するという意味ではありません。

今ある施策を、「顧客の行動をどう前に進めるか」という視点で再整理することです。この視点を持つことで施策は「点」から「線」へ、そして「成果の出る仕組み」へと変わっていきます。

次章ではマーケティング施策を「線」で設計するという考え方が、ナーチャリング設計とどのように結びつき、商談化・受注につながっていくのかを掘り下げていきます。

施策を「点」から「流れ」に変える、ナーチャリングの本質的な役割

マーケティング施策を「点」から「線」に変えていく上で欠かせない考え方が、ナーチャリング設計です。

ナーチャリングという言葉は、近年になって広く使われるようになりました。実務の現場では「メール配信をしている」「ステップメールを組んでいる」といった施策の有無に話がとどまりがちですが、本来のナーチャリングは単なる施策ではなく、顧客を前進させるための設計思想そのものと言えます。

「点」の施策では顧客は育たないという現実

まず理解しておくべきなのは、点の施策では顧客育成は進まないという点です。

  • ホワイトペーパーを一度ダウンロードした
  • ウェビナーに一度参加した

こうした施策だけでは、顧客の理解や意思決定が進むことはほぼありません。BtoBにおける意思決定は、情報を段階的に積み重ねるプロセスであり、単発の接触では関係性も温度感も育たないのです。

成果が出ないナーチャリングに共通しているのは、「何を配信するか」は考えていても、「その次に顧客がどう変化してほしいか」が抜け落ちていること。結果として情報は届けているものの、顧客の行動は変わらず商談にもつながらないという状態に陥りやすくなります。

「顧客の変化」を起点にした動線設計

成果を出している企業は、ナーチャリングを「動線設計」として捉えています。重要なのは、「この情報を見た顧客は、次にどの状態になっているべきか」という視点です。理解が深まるのか、比較を始めるのか、社内で検討を進めるのか――このような顧客の変化を前提に、次に届ける情報が設計されています。

この考え方があることで、マーケティング施策は自然と「線」でつながります。例えば、課題認識を促すコンテンツを見た顧客には、次に具体的な解決策を示す資料を案内する。そこから事例や活用イメージを伝え、最終的に個別相談へつなげる。この一連の流れが設計されていれば、顧客は迷うことなく次のステップへ進めます。

ナーチャリングが営業との接続を強固にする

ナーチャリング設計は、営業との接続をスムーズにする役割も果たします。マーケティング施策が「線」で設計されている企業では、「どこまでマーケが担い、どこから営業が担うのか」が明確です。単に見込み顧客が資料を見たから営業に渡すのではなく、「この情報を見て、こういう状態になったら商談対象にする」といった基準が共有されています。

その結果、営業側は顧客の背景や検討状況を理解した上でアプローチでき、初回商談から具体的な話が進みやすくなります。ナーチャリングが機能している企業ほど、商談数だけでなく商談の質も安定しているのはこのためです。

ナーチャリング設計とは、施策を増やすことではありません。

今ある施策を「顧客の変化」という軸で再設計し、一本の流れに落とし込むことです。

この視点を持つことで、マーケティング施策は単なる情報発信から、成果を生み出す仕組みへと変わっていきます。

まとめ|マーケティングは施策(点)ではなく流れ(線)で考える

BtoBマーケティングの成果を左右するのは、施策の数や新しさではありません。施策そのものが問題なのではなく、それらがどのような流れとして設計されているかが本質的な違いを生みます。

成果が出ない企業では施策が単発で評価され、「やったかどうか」が基準になりがち。その結果、施策は増えても顧客の行動は前に進まず、商談や受注につながらない状態が続きます。一方、成果を出している企業は、顧客の検討プロセスを起点に施策ごとの役割と次のアクションを明確にし、マーケティング全体を一本の流れとして設計しています。

マーケティングを「点」の施策ではなく「線」の仕組みとして捉えることで、顧客は迷わず次のステップへ進み、ナーチャリングや営業との連携も自然に機能するようになるでしょう。これは特別な手法を導入することではなく、今ある施策を「どうつなぎ直すか」という設計の問題です。

これからのBtoBマーケティングに求められるのは、施策を流れとして再設計し、成果が再現される仕組みに変えられているか。その視点こそが、マーケティングの成果を安定させる分岐点になります。

Yasuo Omura

執筆者

株式会社エッジコネクション 代表取締役社長

Yasuo Omura

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慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。 2007年、株式会社エッジコネクション創業。営業支援業を軸に、人事・財務課題にも対応するコンサルティング企業として展開。 これまでに1700社以上を支援し、継続顧客割合は75%を超える。 2024年7月には「24歳での創業から19期 8期連続増収 13期連続黒字を達成した黒字持続化経営の仕組み」を出版。

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