集客はマーケティングの重要な要素のひとつです。
昨今さまざまな業界・市場でコモディティ化(※)が起こり、商品の魅力や価値ではなく、「価格」や「手に入りやすさ」で購入検討を行うユーザーが増えています。
※市場参入時に高付加価値だった商品・サービスにおいて、他社が参入することでその市場価値が低下し、付加価値がなくなり一般的な商品になること。
このような状況下で自社商品の価値を伝えるためには、積極的な集客活動により顧客の興味・関心を引き付けるアプローチが欠かせません。
本記事では、集客とマーケティングの違いを説明した上で、マーケティングにおける集客の重要性や効果を最大化する集客のポイント、目的別におすすめの集客方法を紹介します。
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「集客」と「マーケティング」は明確に定義の違いがあるわけではありません。そのため、使用する人によって多少ニュアンスが違うこともあるでしょう。
そもそも、集客とマーケティングはいずれも「売上の向上」を目的に行われるものですが、それぞれの担う役割には違いがあります。
集客は、「店舗やWebサイトなどに人を集めること」を目的とした施策です。特定のターゲット層に対して自社の商品やサービスの認知を拡大し、「見込み顧客」を増やすことで最終的には売上アップにつなげます。
見込み顧客を引き寄せる手段には、以下のような方法があります。
このほかにもさまざまな集客方法があり、オンラインとオフラインで行うものの2種類に大きく分けられます。扱う商材やアプローチしたい範囲に応じて、適切な集客方法を選択することが重要です。
マーケティングとは、ある一部の作業ではなく、市場調査や商品開発・販売からプロモーション活動に至るまで、売上の向上を目的としたプロジェクトや一連の活動を包括した言葉です。
いわば「売れるための仕組みづくり」であり、「顧客との長期的な関係の構築」や「ブランド価値の向上」もここに含まれます。
このようなマーケティング活動の一端を担っているのが、顧客獲得に特化している「集客」のアクションです。商品の購入やサービスの利用といった、ユーザーの購買行動へとつなげる重要なプロセスと言えます。
集客は、ただ単に「人を大勢集めれば良い」というわけではありません。マーケティングとして「効果的な集客」を行うためには、具体的な戦略を立て計画的に施策を実行する必要があります。
ここでは、集客効果を最大化する戦略立案のポイントを4つ紹介します。
目的やターゲットによって、集客方法は異なります。まずは具体的な数値を用いた目標に加え、理想的な顧客像についても洗い出すようにしましょう。
目的とターゲットの設定には、自社のマーケティング施策における課題点の把握が必要です。例えば、新規顧客数に伸び悩みを感じているのであれば、「認知拡大」が最優先で達成すべき目標となるでしょう。目標を定めることで効果的な施策が見えやすくなり、集客の費用対効果が高まります。
また、ターゲット像は曖昧にせず、将来的に売上につながりそうな条件や属性などを定める必要があります。ペルソナを設定する際は、年齢・性別・趣味・行動パターンなどを詳細に書き出し、そのニーズや行動特性に応じた施策を検討するようにしましょう。
集客の目的とターゲットが定まったら、次は効果的な集客コンテンツやチャネルを検討します。
コンテンツの検討には「コンテンツマトリクス」の活用が有効です。コンテンツマトリクスとは、4つの領域と2つの軸に分け、その領域・軸において適切なコンテンツタイプを提示したコンテンツマーケティングプランニングのマッピングツール。
以下は、米国のSmart Insights社がまとめたものをC-NAPS編集部が日本語版に翻訳したものです。
縦軸は「情緒的」もしくは「論理的」、横軸は「認知」から「購買」までのマーケティングフェーズを設定し、その2軸によって次の4つのカテゴリに分けられます。
カテゴリー | コンテンツの内容 |
---|---|
娯楽 | ユーザーが楽しめるコンテンツ |
教育 | ユーザーに情報や教養を伝えるコンテンツ |
動機づけ | ほかの人の考えがユーザーに影響を与えるコンテンツ |
説得 | 商品・サービスの利便性や効果を伝え、ユーザーを説得できるコンテンツ |
既存のコンテンツを活用する場合は、コンテンツマトリクスにおける現状の立ち位置を把握することから始めましょう。
既存のコンテンツがターゲット層にマッチしているか、ターゲットのどのようなアクションにつながるかを確認した上で、より集客率を高めるために必要なコンテンツを検討してみてください。
なお、集客の目的によって最適な集客方法は異なります。詳しくは「【目的別】マーケティングに効果的な集客方法」で後述するのであわせて参考にしてみてください。
集客力を高めるには、適切なKGIとKPIの設定が不可欠です。集客活動中は、その指標をもとに定期的な効果測定を行いましょう。
KGIは「年間売上を30%増やす」「顧客を新たに2,000人獲得する」など、最終的に達成したい目標を定量的に示したものです。
一方、KPIは、KGIを達成するための中間目標で、進捗を客観的に判断するために抑えておくべき指標になります。具体的に、「サイト訪問者数」「問い合わせ率」「面談成約率」などがこれに該当します。
KGIやKPIを設定し、目標達成までのプロセスを可視化することで、課題や改善点をスピーディーに把握できるようになります。また、作業に優先順位を付けやすくなるため、業務効率化も図れるでしょう。
集客力を高めて売上を向上させるために、PDCAサイクルも活用しましょう。PDCAサイクルは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)の4つのステップを繰り返すことで継続的に業務改善を図る手法です。
マーケティングの集客活動においても、まずは、ターゲットのペルソナや使用する集客チャネル、予算、KGI・KPIの設定など具体的な集客戦略を立案(P)し、実行(D)に移します。その後、評価(C)の段階では設定したKGIやKPIをもとに集客効果を検証し、結果に基づいて要因分析を行います。最後のフェーズ(A)では分析から得られた課題に対して改善策を検討し、次のサイクルに活かすという流れです。
成功した施策はさらに強化し、逆にあまり効果が得られなかった施策は修正を加えていくことで、PDCAサイクルを回すたびに集客の確度を高めていきましょう。
集客には、「認知拡大を狙いたい」「新規顧客を獲得したい」などさまざまな目的が挙げられます。それぞれの目的に応じた適切な集客方法を知って、マーケティングに活かしましょう。
ここでは、「適切な集客コンテンツを検討する」で紹介した「コンテンツマトリクス」を活用しながら、目的別におすすめの集客方法を紹介します。
娯楽コンテンツは、見込み顧客に対して商品・サービスを認知させたい時や、興味・関心を引き付けたい場合に役立ちます。
見込み顧客が直感的に楽しめるコンテンツを提示することで、まだ商品やサービスの必要性を感じていない層に対してもアプローチできます。幅広い層にリーチできるSNSとの親和性も高く、とくにBtoCの商品・サービスとの相性が良いと言えるでしょう。
具体的なコンテンツ施策の例としては、次のとおりになります。
コンテンツ例 | 内容 |
---|---|
クイズ | パズルや〇×問題、謎解きなどのクイズコンテンツを自社サイトに掲載する |
コンテスト | お題に対してイラストやキャッチコピー、大喜利、写真などの作品を一般消費者から公募する |
動画 | ドラマやバラエティ仕立ての動画を制作して、自社サイトやSNSなどで公開する |
ゲーム | 簡単なシミュレーションゲームやアクションゲームなどを、自社サイトに掲載する |
ブログ記事 | 著名人のインタビューやコラム、有識者によるノウハウ紹介などを自社サイトやSNSで公開する |
面白コンテンツ | 上記以外(漫画コンテンツなど)を自社サイトに掲載する |
娯楽コンテンツはリピーターが生まれやすく、SNSなどでのクチコミから広まるケースもあるため認知拡大にプラスの影響を与えられます。
ただし、企業やサービスのイメージにも大きく影響するため、「面白ければ何でもよい」と考えるのはリスキーです。ブランディングの視点からもよく検討し、最適なコンテンツを制作しましょう。
教育コンテンツは娯楽コンテンツ同様に、認知拡大や興味・関心を引き付けたい場合に効果的です。一方で直感的に楽しめる娯楽コンテンツとは異なり情報としての有益性が高く、「ためになる」と感じてもらいやすいという特徴があります。
見込み顧客が知りたい情報を提供し、信頼性を獲得してファンになってもらいましょう。具体的なコンテンツ施策の例としては、次のとおりです。
コンテンツ例 | 内容 |
---|---|
インフォグラフィック | 顧客が知りたいと思う情報をイラストで視覚的にわかりやすくまとめて、自社サイトやSNSなどに掲載する |
プレスリリース | 自社の取り組みや商品・サービスに関する情報を簡潔にまとめて、自社サイトやプレスリリース配信サイトで公開する |
トレンド | 顧客が知りたいと思う最新情報や業界動向などを、自社サイトやSNSなどで公開する |
ガイド | 手順や成功ノウハウなどを自社サイトやSNSなどで公開する |
解説動画 | 顧客が知りたいと思う有益な情報を動画化して、自社サイトやSNSなどで公開する |
ホワイトペーパー・eBook | 顧客が知りたいと思う有益な情報を、ホワイトペーパーやeBookなどのダウンロードコンテンツとして公開する |
教育コンテンツによって見込み顧客の「もっと知りたい」を刺激することで信頼が得られれば、リピーターも生まれやすく、閲覧数を増やせる可能性が高いと言えます。まだ企業独自の情報発信をしていないのであれば、自社が持つノウハウをもとに教育コンテンツづくりを試してみると良いでしょう。
ホワイトペーパーについては以下の記事で詳しく解説しています。 ホワイトペーパーとは?制作ポイントを解説 ホワイトペーパー制作代行の費用相場 |
動機づけコンテンツは、すでに商品やサービスを認知し興味を持っている層に対して、必要性を認識させたい場合に役立ちます。
実際に商品・サービスを使用している自分をイメージさせる、あるいは購入メリットが大きいと感じさせるコンテンツにより、「自分事化」を促します。具体的なコンテンツ施策の例は以下のとおりです。
コンテンツ例 | 内容 |
---|---|
推薦文 | 著名人などのお墨付きとして、商品やサービスの推薦文を自社サイトやSNSなどで公開する |
コミュニティ | SNSのハッシュタグなどを活用して、ファン同士のつながりを可視化するユーザーコミュニティを形成する |
レビュー | 実際に商品やサービスを使った感想などをレポート化して、自社サイトやSNSなどで公開する |
イベント | オンラインウェビナーやファンミーティングなどを企画する |
クチコミ | 愛用者のリアルなクチコミを自社サイトやSNSなどで公開する |
メルマガ | すでにメールアドレスを取得している見込み顧客に対して、定期的にメールを配信する |
動機づけコンテンツは見込み顧客の検討度合いを高め、商品やサービスの購入に一歩前進させることができます。クチコミやコミュニティ形成などの手段は企業側でのコントロールが難しい側面もありますが、うまく活用できれば大きなメリットにつながるでしょう。
説得コンテンツは、すでに商品やサービスの購入を検討している顧客の購入意欲を高めるのに役立ちます。
他社商品との違いや強み、ベネフィットなどを具体的に提示し、購買を後押しする判断材料にしてもらいましょう。具体的なコンテンツ施策の例は次のとおりです。
コンテンツ例 | 内容 |
---|---|
商品紹介 | 商品の特徴やメリットなどを整理して、自社サイトやSNSなどで公開する |
体験デモ | 実際に商品やサービスを使ってみた様子を動画やサイト上に公開する |
チェックリスト | 顧客のニーズをチェックリスト化して自社サイトなどで公開する |
事例 | 商品やサービスを実際に使っている顧客の事例を自社サイトなどで公開する |
価格表 | 商品やサービスの価格を自社サイトなどで公開する |
説得コンテンツは最も対策しやすい分、アイデアが枯渇しやすい施策とも言えるでしょう。新規でコンテンツを制作するだけでなく、過去に公開したコンテンツの再利用や加筆修正などでチューニングを行い、さらに効果的な訴求のためにブラッシュアップしていきましょう。
集客はマーケティングの一部の工程に過ぎませんが、そもそも顧客がいなければ商品・サービスを提供する意味はなくなってしまいます。そのため、集客はマーケティングを行う上で欠かせないプロセスであり、売上の向上に大きく寄与する施策と言えます。
集客を行う際は必ず目的とペルソナを設定し、それに応じた集客方法を実施するようにしましょう。もし「自社の集客活動でなかなか成果が出ない」という場合は、専門家に相談することも検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社ファングリーでは、集客活動はもちろん、マーケティング戦略の立案から実行、効果測定に至るまで一貫して対応いたします。豊富な実績を持ち、マーケティングで成果を出すためのノウハウもご提供しておりますので、ぜひ一度ご相談ください。
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執筆者
コンテンツディレクター/ライター
MIHO SHIMMORI
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。