ホワイトペーパーとは、ビジネス上の見込み顧客に対して企業が提供するダウンロード資料のことです。特定のテーマについて読者の理解を深めるために詳細な情報がまとめられています。
近年、ホワイトペーパーはマーケティング目的として企業が活用することが一般的になっており、企業が提供するお役立ち資料の総称として定着しています。
本記事では、ホワイトペーパーの制作を検討中の企業や、制作したまま放置した状態になってしまっている企業、取り組んでいるものの成果が出ていない企業のご担当者様に向けて、求める成果を得るためのホワイトペーパー制作のポイントを解説します。
\ホワイトペーパーの質を高めるポイント!/
“コンテンツマーケティングの基本”は以下をご覧ください! コンテンツマーケティング成功のためのポイント |
Table of Contents
ホワイトペーパーとは、ビジネス上の見込み顧客に対して企業が提供するダウンロード資料のことです。企業や政府機関が発行することが多く、以下のような目的で作成されます。
目的 | 詳細 |
---|---|
課題の提示と解決策の提案 | 業界の課題やトレンドを分析し、それに対する解決策や自社製品・サービスの有効性を示す。 |
専門的な知識の提供 | 技術や法律、ビジネス戦略などの専門的な情報を分かりやすく整理する。 |
意思決定のサポート | 導入を検討する企業や個人に向けて、選択の指針となる情報を提供する。 |
特にBtoB(企業間取引)のマーケティングでよく活用されており、見込み顧客獲得のためのツールとして用いられることが一般的です。
ホワイトペーパーとサービス資料の違いは、目的と内容の焦点にあります。
前述のとおり、ホワイトペーパーは企業が提供するダウンロード資料のことです。専門的な知識やノウハウを提供し、読者の理解を深めることを目的としたものが多く、ユーザーインサイトとの乖離から直接的な商品・サービスの宣伝は控えめな傾向にあります。
一方のサービス資料は、自社のサービス内容や商品のスペックなどを具体的に紹介するもの。機能や料金、メリットなどを詳しく説明し、購入や導入を促すことが目的となっています。
ただし、ホワイトペーパーの種類によってはサービス資料としての役割を持つケースもあります。
ホワイトペーパーは、見込み顧客のフェーズごとに適したさまざまなパターンが存在します。資料をダウンロードしたあと、見込み顧客にどんなアクションを喚起させたいかによって最適なパターンを選びましょう。
ここでは見込み顧客のフェーズを「認知/興味関心」「比較検討」の2つに分類し、各フェーズに適したホワイトペーパーのパターンを紹介します。
ノウハウ解説資料は、いわゆる“お役立ち資料”と呼ばれるものです。
まだ具体的に製品やサービスの購買・導入を検討している段階ではないものの、何らかの業務課題を抱えている見込み顧客に役立つ情報を提供することで、認知から興味関心へとマーケティングフェーズを引き上げるために使われます。
ノウハウ解説資料と同じく、見込み顧客に有益な情報を提供することによって、製品やサービスの認知や興味関心につなげることを目的とした資料です。
社内のノウハウだけでは提供情報として不十分に感じられる場合などでは、アンケートやインタビューなどによって市場トレンドを調査しオリジナルの一次情報を取得します。そして、それをレポート化することで、情報の有益性や独自性を高めることができます。
自社で開催したセミナーの内容をホワイトペーパー化した資料です。セミナー参加者だけでなく、セミナーに参加できなかったユーザーにもアプローチできます。
セミナーで使用したスライドを加筆修正し、再編集することで制作できるので、比較的用意しやすい資料と言えます。
ホワイトペーパーの形式として最も一般的なのが、製品やサービスの紹介資料です。
機能や特長、競合製品やサービスとの違い、価格、よくある質問など、見込み顧客が製品やサービスを比較検討するときに必要な情報を網羅することが重要です。
実際に自社製品やサービスを購買・導入した顧客の事例を紹介する資料です。どのような思考で導入に至ったか、どのように活用しているか、どのような成果を実現できたか、などを知ってもらうことが目的です。
業界や業種ごとに分類した事例集をいくつか用意すれば、よりターゲットを絞ったマーケティング活動に活かせるでしょう。
成果につながるホワイトペーパーを作るにあたって、もっとも肝心なのが「要件定義」です。
文章やデザインといったアウトプットの品質を担保することはもちろん大切ですが、そもそもホワイトペーパーはダウンロードしてもらえなければ内容を届けることができません。そのため、まずは「いかにダウンロードしてもらうか」を考えることが重要です。具体的には、「誰に向けて」「どんな情報を」「どんな方法で発信すれば良いか」を決めていきましょう。
ホワイトペーパーの要件定義では、次の5項目について整理します。
ターゲットにしたい企業の業界や業種、担当者の役職(立場)などを設定しましょう。ペルソナを細分化するほど、より効果的なアプローチをとりやすくなります。
マーケティングフェーズは、「認知」「興味関心」「比較検討」に分類されるのが一般的です。
制作予定のホワイトペーパーがどのフェーズに該当するかを明確にしておきます。そして、そのフェーズに適したホワイトペーパーの種類を選びましょう。
マーケティングフェーズの整理に役立つカスタマージャーニーマップについては、以下の記事で解説しています。 カスタマージャーニーマップを作るメリット |
ターゲットのインサイトは、ホワイトペーパーの要件定義でもっとも重要な項目です。
見込み顧客がどんな課題や悩みを抱えているかを書き出しましょう。既存顧客や、現場のことをよく知る営業担当者にヒアリングすると、より実像に近いインサイトを見つけ出すことができます。
新規マーケットの開拓に用いたい場合は、想定される顧客群にアンケートやインタビューなどの調査を実施するのもおすすめです。
洗い出したターゲットのインサイトをもとに、どんなテーマやキーワードを打ち出せば見込み顧客に興味を持ってもらえるかを整理しましょう。
コーポレートサイトやサービスサイト、オウンドメディアなど、自社が保有するWebサイトの中で、どこにダウンロードフォームを設置するのが適切かを検討しましょう。
ホワイトペーパー制作の手順について解説します。
ホワイトペーパーは単なる情報の羅列ではなく、見込み顧客の課題を解決するストーリーとして構成を作ることが成功の鍵です。
具体的には、以下の理由から構成が重要となります。
構成を作成する際の流れを解説します。
前項で解説した要件定義を踏まえて、具体的な内容を企画します。
箇条書きでも構わないので、どんな情報を伝えるべきかをリストアップしながら精査していきましょう。
企画ができたら、台割(何ページにどのような内容が入るのかをまとめた設計図のようなもの)に落とし込んでいきます。
ポイントは1スライドに情報を詰め込みすぎないこと。台割の段階では、スライドごとに伝えたい情報を決めておきましょう。
台割をもとに必要な情報を収集します。アンケートやインタビューを実施する場合は、取材対象者に回答してもらうヒアリングシートや質問の設計も必要です。
ここで収集した情報の精度が、最終的にホワイトペーパーのクオリティを左右します。しっかり時間をかけて集めましょう。
集めた情報を台割に沿って編集し、原稿やデザインに落とし込みます。図表やイラストなどの視覚的な要素をバランスよく配置し、理解しやすくすることがポイントです。
特にデザイン性を重視する場合はAdobe Illustratorでの制作が望ましいと言えますが、公開後に加筆修正などのチューニングが想定される場合は編集が容易なPowerPointやGoogle ドキュメントで制作するか、IllustratorのデータをPowerPoint化(Googleドキュメント化)することをおすすめします。
ホワイトペーパーが完成したら、Webサイト上にダウンロードフォームを設置したダウンロードページを作成します。
ダウンロードページには簡単な資料内容の説明やページ数、目次などの概要を明記しておくと良いでしょう。
ホワイトペーパーの活用手法としては、以下の3種類が挙げられます。
活用手法 | 活用シーン |
---|---|
コーポレートサイトなどへ掲載 | SEOを活かして長期的にリードを獲得したいとき |
資料掲載サイトへ掲載 | 自社サイトの流入が少ない場合や、短期間でリードを集めたいとき |
営業資料として使用 | 商談時の説得材料として活用したいとき |
それぞれの手法について、詳しく解説します。
コーポレートサイトなど、自社サイト内にホワイトペーパーの送客リンク・バナーなどを掲載してダウンロードへ導く方法です。ダウンロードページでSEO対策をすれば、自然検索からの流入も期待できます。
なお、自社サイトの集客力が低いとダウンロード数が伸びにくい点には注意が必要です。また、フォーム入力時の必須項目が多いとダウンロードまでのハードルが上がり、ユーザーの離脱につながる恐れもあります。
BtoB向けの資料掲載サイトを活用し、広範囲のターゲットにアプローチする手法です。
複数の資料を比較したいユーザーの閲覧を前提としたサービスなので、競合と並んで自社の資料が掲載される可能性もあります。そのため、競合との差別化が重要です。
また、資料掲載サービスの中には掲載コストがかかるケースもあり、リード獲得単価が高くなることも考えておかなければなりません。
自社の営業活動の中で、補助資料として活用する方法です。商談前のアプローチメールや、商談後のフォローアップ資料としても活用できます。
直接ターゲットにホワイトペーパーを渡せるので、関心を持ってもらいやすいのが特徴です。また、提案の裏付けとして使えば説得力も増します。
ホワイトペーパーはさまざまなマーケティングフェーズで活用しやすく、顧客情報の取得にもつながるため、積極的かつ継続的に取り組みたい施策のひとつです。
ただ、制作に時間や手間がかかりがちな施策ではあるため、ノウハウやリソース不足の面から思うように取り組めていなかったり、成果に結びつかずに悩んでいたりする企業は多いかもしれません。
株式会社ファングリーでは、ホワイトペーパーの要件定義から企画制作まで一貫して承ることが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
ホワイトペーパーは、「制作」以上に「準備」が重要です。制作時のよくある誤解や失敗例を把握し、適切な⼿を打つことでマーケティング成果は出やすくなります。以下の資料では、質を⾼めるためのチェックリストや外注する場合の注意点などもまとめていますので、ぜひお役⽴てください!
\ホワイトペーパーの質を高めるチェックリスト付き!/
執筆者
コンテンツディレクター/ライター
MIHO SHIMMORI
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。