こんにちは。ファングリーのマーケティングを担当している北桝です。
私は前職で大手個別指導塾を運営する企業の広告制作部門に所属し、チラシやリーフレット、Webコンテンツ、内部生向けの広報誌などの企画制作に従事していました。
この経験をもとに、本ブログでは少子化時代かつコロナ禍に中小規模の学習塾がマーケティングで成果を上げるにはどのような考え方が必要なのか、お話ししたいと思います。
Table of Contents
ご周知の通り、少子化の一途をたどる日本において、学習塾のような子どもを対象としたビジネスは限られた牌を奪い合う状況にあります。
一方で、首都圏の中学受験者数は、森上教育研究所が公表しているデータによると2015年以降、右肩上がりで増加しており、過去20年の推移のなかで最高値を記録した2007年の受験者数に迫る勢いを見せています。コロナ禍の入試となった2021年度の受験者数も前年比ほぼ横ばいと、その勢いが衰えることはありませんでした。
少子化が進むなかでも特に首都圏においては教育熱の高まりが顕著であり、さらにコロナ禍で公教育の課題が浮き彫りになったことを踏まえると、学習塾は企業規模に関係なく、いかに教育熱心なご家庭を囲い込めるかが生き残りを左右すると言えます。
学習塾に限らず、あらゆるサービスは顧客の「不」を解消することで存在価値を発揮します。不満・不安・不便など、さまざまな「不」を解消できれば、顧客の満足度が向上するためです。
特に教育は、不安や悩みが生じやすい分野です。「成績が上がらない」「授業についていけない」「志望校に受かるか心配」など悩みのレベルは人それぞれですが、私の経験上どんなに優秀な生徒であっても、勉強に一切の悩みがないケースはほとんどありません。教育熱心なご家庭であれば、それらの悩みを“お金を出してでも”解決したいと考えるのが道理でしょう。
だからこそ、学習塾のマーケティングにおいてはターゲットの悩みに徹底的に寄り添い、その解決策を具体的に示すことがもっとも重要なのです。もちろんこれはマーケティングの基本であり学習塾業界に限った話ではありませんが、「ターゲットの抱える悩み」と「その解決策」を明確にすることがマーケティング施策を検討するうえで大前提となります。
学習塾の場合、実際に通うのは子どもでも、決裁者となるのは保護者です。最終的に保護者を納得させなければ入塾にはつながりません。そのため、学習塾のマーケティングを考えるうえでもっとも重要視しなければならないターゲットは保護者であり、向き合うべきは保護者の「本音」です。
保護者がわが子本位で塾を検討するのは当然のこと。せっかく入塾させるなら「うちの子に最適な授業をしてほしい」「うちの子をちゃんとみてほしい」と思うはずでしょう。
たとえば大手集団塾の場合、授業の質や受験指導のノウハウなどは申し分なかったとしても、どうしても生徒一人ひとりのフォローは行き渡りづらく、完全に自走できる生徒でない限りは多少の不平・不満が生じてしまいがちです。そもそも学校がそうであるように、集団指導は生徒一人ひとりに歩調をあわせるには限界があります。
実際、私が在籍していた企業が運営する個別指導塾は、大手集団塾と併用する生徒が大多数を占めていました。小学生であればSAPIXや早稲田アカデミー、高校生であれば河合塾や駿台予備校などに通いながら、プラスオンとして自分の苦手教科に絞った個別指導を受講するなどのパターンが一般的でしたが、実際に生徒や保護者に取材してみると、やはりパーソナライズされたカリキュラムに沿った指導やサポートが受けられるという点を評価する声がほとんどだったと感じています。
これは中小規模の学習塾においても強みになり得るポイントです。生徒フォローが行き渡りづらい大手集団塾に比べて、集団指導であっても保護者の「うちの子に最適な授業をしてほしい」「うちの子をちゃんとみてほしい」といった本音に応えられる可能性は高く、そこに魅力を感じる層は決して少なくありません。むしろコロナ禍で学習環境の安定的な確保が難しくなった今こそ、こうしたフォローを求める保護者は増えています。
マーケティング施策のうえでは、このような保護者の本音を起点とし、それに応える解決策を明確なメッセージとしてWebサイトやチラシ、DMなどで発信していくことが選ばれるための絶対条件になります。
マーケティング施策を検討するにあたって、最初におすすめしたい取り組みが保護者や生徒へのインタビューです。たとえば次のような質問を投げかけて、具体性のあるエピソードを引き出します。
・入塾のきっかけは?どんな経緯で〇〇塾を知りましたか?
・なぜ〇〇塾を選びましたか?決め手となったポイントは?
・入塾前の課題は何でしたか?それをどのように克服しましたか?
・塾で印象に残っているエピソード、先生の言葉などは? など…
インタビューは保護者の本音を把握してマーケティング施策の根拠とするのはもちろん、インタビュー自体をコンテンツ化してWebサイト上に記事として公開したり、入塾相談の場面で保護者にお渡しする営業資料にまとめたりなど、二次的な活用もできます。
学習塾は基本的にローカルビジネスなので、もともと友人・知人からの紹介やクチコミによって入塾に至る傾向が強くあり、やはり「身近な第三者のお墨つき」は非常に有効です。実際に通って成果を実感している生徒やその保護者に間接的に塾の魅力を語ってもらうことが、より説得力や信用度の向上につながります。
私が前職で学んだのは、徹底的に顧客(生徒・保護者)に向き合うことの重要性でした。当然すぎるほど当然のことですが、先行きが不透明で常識が通用しなくなりつつある今だからこそ奇を衒うことなく原点に立ち返り、顧客に選ばれるための方法を考え抜くことが大切ではないかと思います。
株式会社ファングリーは、学習塾を対象としたマーケティング戦略立案やコンテンツ制作のご支援を行っています。集客や退塾対策など、お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。
最新記事