「リブランディング」とは、企業のブランドを社会や市場の変化に合わせて再定義する取り組みのことです。
本記事では、リブランディングの概要とともに、具体的な進め方や施策についても説明します。
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コロナ禍の影響はもちろん、さまざまな社会的要因によって市場や生活者の価値観は絶えず変容し、多様化を遂げています。それに伴い、企業の存在価値も改めて問われる場面が増えてきています。社会的背景の変化と照らし合わせて、自社のポジションやアプローチは適切なのか、市場や生活者の共感を喚起できるのかを考えなければなりません。
その一つの方法として、昨今注目を浴びているのがリブランディングです。まったく新しいブランドを立ち上げるのではなく、現在に至るまで企業や商品・サービスが掲げてきたブランドを再構築することによって、ステークホルダーとの新たな関係性をつくる取り組みがリブランディングであると言えます。
リブランディングの実施を検討すべきタイミングは企業によって異なりますが、例としては次のようなケースが挙げられます。
企業の内部事情によって改めてブランドを見直したいタイミング、もしくはトレンドや市場の変化といった外部的な要因によって差別化を図りたいタイミングで、リブランディングを解決方法の一つとして検討するとよいでしょう。
リブランディングは短期的に効果が得られる取り組みではありませんが、その分、成功すれば影響も大きく、さまざまな効果が期待できます。
リブランディングでブランドイメージを刷新することによって、より市場に好意的に受け入れてもらえる可能性が高まります。これまであまり自社に関心を持っていなかった層に認知してもらえるきっかけにもなります。
ブランドイメージの向上は顧客の購買活動にも影響をもたらす可能性が高く、売上への貢献も期待できます。リブランディングは必ずしも売上などの業績に直接結びつくものではありませんが、間接的にマーケティングの施策としても機能する可能性があります。
リブランディングは基本的には対外的なブランドイメージの向上を第一に考えられるケースが多いと言えますが、少なからず社内への影響力(インナーブランディング)をもたらす可能性があります。従業員のモチベーションアップやエンゲージメント強化が期待できます。
リブランディングの実施が確定したら、次のような流れでプロジェクトを進めていきます。
リブランディングにあたっては、まず自社(商品・サービス)と自社を取り巻く外部環境について調査・分析を行うことで現状を把握する必要があります。その際には、顧客や従業員を対象とした定性的なインタビューや、PEST分析やSWOT分析、5フォース分析、3C分析といったフレームワークを用いた分析が有効です。これらの調査・分析をまとめたレポートは、リブランディングを進めるうえで重要な資料となります。
調査・分析をまとめたレポートを参照し、リブランディングのコンセプトと方針について議論し決定します。分析の結果から明らかになった自社の強みや弱み、ブランドイメージ、選ばれている理由、他社に劣るポイントなどを複数の論点を洗い出し、最終的にどのポイントをもっとも重要視してフォーカスを当てるべきか絞り込んでいきましょう。
コンセプトと方針が決定したら、具体的なプロジェクト計画を立てます。まずは行うべき施策の検討・決定、それらを実行するうえで必要なパートナーの選定、期限の設定は最低限必要です。また、リブランディング後に新たなブランドイメージをどう浸透させていくかの具体的なアクションプランについても議論ができると、なおよいでしょう。
プロジェクト計画に沿って、施策を進めます。この段階で注意したいのが、あくまで初めに策定したコンセプトや方針から逸脱しないことです。具体的な施策においては多くのクリエイティブ制作などが発生します。それらをブラッシュアップする過程の議論でも、必ず拠り所としてコンセプトや方針を掲げて判断することがもっとも重要です。枝葉末節の議論に終始してしまわないように、コンセプトや方針は必ずパートナーを含むプロジェクトメンバーパートナー全員で共通認識をしておきましょう。
リブランディング後は、新しいブランドイメージをどのように社内外のステークホルダーへ浸透させていくかが大切です。もちろん一朝一夕で成し遂げられるものではないので、モニタリングをしながら都度その成果を測る必要があります。
リブランディングは一歩間違えてしまうと逆効果になってしまう可能性もあります。成功されるポイントは以下の通りです。
リブランディングの成功要因として、すでに築かれているブランドの基盤を活かしながら、どのように変化を遂げるかという観点を持つことが重要です。ブランドエクイティとは、ブランドが持つさまざまな無形の資産価値を指します。社会的な認知度や評価はもちろん、顧客からの信頼度や愛着度など多岐にわたります。
完全なゼロベースから考えるのではなく、自社や商品・サービスのブランドエクイティを客観的に評価・分析し、よりよくするためには何が足りないのか、どこをどう変えるべきなのかを議論することがリブランディングを成功に導くポイントです。
ブランドの価値は独立して成り立つものではなく、ブランドを取り巻く社会環境によって評価も大きく変わります。プロダクトアウトとマーケットインのいずれにしても、社会環境の変化を正しくとらえ、そのなかで自社にしかない価値をどのように位置づけるかが重要です。
すでに多くの企業がPEST分析や3C分析といったフレームワークを取り入れているかと思いますが、リブランディングにあたっても改めて調査・分析を行い、自社の強みや選ばれている理由を明らかにするとともに、自社の存在価値をどう再定義するかを考える必要があります。
リブランディングの実行においては、部分最適にならないように注意する必要があります。そもそもブランドとは企業や商品・サービスを統合するものであり、全体最適の視点は欠かせません。
もちろんリブランディングはすぐに浸透させられるわけではありませんが、「ただロゴを刷新しただけ」「サイトをリニューアルしただけ」といった状況に陥らないように、リブランディングを全社的に意義のある取り組みとすることが大切です。
リブランディングのアウトプットとしてはさまざまな施策が考えられますが、代表的な施策事例は以下の通りです。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の再策定は、リブランディングの具体的な施策として実施されるケースが多くあります。企業の経営方針を示すものであり、経営者の交代や事業内容の見直しなどによって大々的なブランディングの転換が必要な場合に検討されることの多い施策です。
ロゴのリニューアルは、近年多くの企業で行われている施策です。ロゴはブランドイメージを具現化したものであると言えるため、ロゴのリニューアルには大きなインパクトがあります。もっとも時代の色を反映しやすいポイントなので、社会環境の変化や競合他社との比較の観点から、ロゴの見直しを図るケースが多くあります。
顧客とのデジタルコミュニケーションが一般化した現在、Webサイトも企業やサービスのブランドイメージを象徴するものとして、重要な位置づけを担っています。ロゴと同様に、デザインそのものが重要であるのはもちろん、伝えたいメッセージをどのように伝えるか、サイトの構造から見直すことでより多くの接点を生む場所として機能させることができます。
前述の通り、リブランディングの取り組みは社内へのインナーブランディングの効果も期待できます。ブランドブックや社内報の刷新を行うことで、リブランディングを従業員一人ひとりが自分ごととしてとらえることができ、エンゲージメント強化につながります。
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