業務委託などのWebライターに記事作成を依頼したものの、納品された原稿が「意図した内容と違う」「修正、編集をする量が多い」といったケースは少なくないでしょう。これらの課題を解決するツールのひとつが、ライティングレギュレーションです。
ライティングレギュレーションとは、記事を作成する際のルールや注意事項などを明示したものです。レギュレーションをライターに共有し、これに沿って記事を作成してもらうことで記事の品質が高まり、修正や編集の回数を減らせます。
本記事では、ライティングレギュレーションの必要性や事例、︎作り方を紹介します。
\リライトを成功させるポイントを紹介!/
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Webライターに記事作成を依頼する場合、ライティングレギュレーションは不可欠です。あらかじめライターに共有することで、以下のような効果を期待できます。
ここでは、それぞれの効果について詳しく説明します。
ライターのスキルは十人十色です。そのため、ライティングレギュレーションがない場合、記事の品質にバラつきが生じやすくなります。以下のような点をライティングレギュレーションに盛り込むことで、記事の品質を均一化できます。
とくに大勢のライターに記事作成を依頼するケースでは品質のバラつきを最小限に留められるため、ライティングレギュレーションは有効になります。
例えばSEO記事を作成する際には、SEO対策に関する以下のような情報収集が必要になります。
ライターには、ライティング前に(もしくはライティングを進めながら)これらの情報を調査する手間がかかります。
あらかじめライティングレギュレーションにSEO対策に関する情報を整理してまとめておくことで、ライターは迅速かつ効率的に情報をインプットできます。そのため、ライティングに集中しやすくなるでしょう。
Webライティングの経験が浅いライターに、記事作成を依頼するケースもあるかもしれません。このような場合には、ライターを教育するといった観点からもライティングレギュレーションの必要性が高まります。
ライティングレギュレーションに専門用語やSEOの基礎知識を盛り込むことで、専門分野やSEO記事に強いライターの育成が可能です。自社で求めたい品質をクリアできるライターを外部パートナーとして増やしていけば、ライターを採用することなく高品質な記事を提供できる制作体制を整えられるでしょう。
ライターから受け取った原稿に対して、タイトルや見出し、本文、画像の入れ方などを大幅に修正したことがある……といった経験もあるのではないでしょうか。
執筆時にライティングルールを徹底してもらえれば、社内における編集や修正の回数を減らすのに役立ちます。これは社内における工数削減に連動するため、粗利向上も期待できるでしょう。
「企業のブランドイメージに合わせた記事を作成したい」と考えている担当者の方も多いのではないでしょうか。それを叶えるためには、企業のブランドイメージに沿ったルールを明文化しておく必要があります。
例えば、以下のような点が挙げられます。
これらに沿った記事を作成することで、採用サイトやオウンドメディアといった媒体全体の文体やトンマナも統一されるため、ブランドイメージ強化につながるでしょう。
トンマナについては、以下の記事もあわせてご覧ください。 オウンドメディアの運用で文章の「トンマナ」が重要な理由 |
ライターに記事作成を依頼する場合、著作権や肖像権の侵害、景品表示法や薬機法の違反などについての注意喚起が必要です。例えば写真を無断で使用してしまうと、肖像権や著作権などを侵害したとして訴訟に発展するリスクがあります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、ライティングレギュレーションでは記事に掲載する画像(写真やイラスト)の使用許諾を得る方法や、読者を誤認させないための表現などを伝えることが必要です。
著作権や景品表示法については、以下の記事で詳しく解説しています。 著作権についてわかりやすく解説 景表法に違反しないコンテンツ制作のポイント |
まずは記事作成の依頼から完了までの流れについて明示しましょう。記事制作の一連のフローをライターと共有することで、ライター側も計画的に記事作成を進めやすくなります。
内容としては、以下のような項目があると良いでしょう。
記事作成のフロー例 1. (発注者)ライターへ依頼書を送付 2. (発注者)ライティングレギュレーションを共有 3. (ライター)指定された期限までに記事を作成 4. (ライター)記事作成の開始から5日後に進捗状況を報告 5. (ライター)記事データ(Word)をチャットツール上で納品 6. (発注者)3日以内に記事を確認、必要に応じてライターに修正や加筆を依頼 7.(ライター)修正や加筆の依頼を受けた場合は3日後までに対応 8.(発注者)修正箇所がなくなれば校了 |
ライティングレギュレーションには、ライターが記事を作成する際の注意事項を含めたルールも分かりやすく記載しましょう。これらのルールに沿ってライターに記事を作成してもらうことで、文体やトンマナを統一したり自社での編集・修正コストを削減したりするのに役立ちます。
具体的にはライティングルールとSEO対策ルール、表記ルールが挙げられます。それぞれについて見ていきましょう。
ライターに記事を作成してもらう際のルールを設けます。具体的なルールは、以下のとおりです。
「です、ます調」と「だ、である調」のどちらの文体にすべきか指示をします。ストレスなく記事を読んでもらうため、「~ます」という文末の文章を3回以上続けないといった規則も含めると良いでしょう。
文体に関するルール例 ・文体は「です、ます調」とする ・体言止めは多用しない ・同じ語尾は3回以上続けない ・「させていただきます」など過度にへりくだる言葉は使用しない |
以下のような一般的な内容であっても、禁止事項である場合はライターと共通認識を形成するために記載しておくと安心です。
禁止事項に関するルール例 ・他サイトからのコピー&ペーストは絶対にしない ・性別や人種、文化などを差別したり偏見を含んだりする表現は避ける ・「ら抜き言葉」「い抜き言葉」などの話し言葉は使用しない ・専門用語は多用せず、かみ砕いて説明する |
読者にとって読みやすい、見やすい記事は、図表や箇条書きなどを適宜使用しているといった特徴があります。これらの使用を認める場合は、使い方についても明確にしましょう。
図表や箇条書きの使用に関するルール例 ・(図表)視認性を高めるため適宜図表を使用する ・(箇条書き)行頭をそろえる ・(箇条書き)文量が大きすぎないように注意する |
WordPressなどのCMSへの入稿作業を見据えて、記事フォーマットを用意しておくこともおすすめです。フォーマットに沿って記事を作成してもらうことで、入稿作業にかかる負担を軽減できます。
記事フォーマットには、以下のような点を含めましょう。
記事フォーマットルール例 ・3段階の見出しを使い分ける(h1、h2、h3) ・一段落当たり3~5行程度に収める ・一文の長さは最大80文字までにする ・読者に伝えるべきポイントを太字にする ・導入文やまとめ文を作成する |
記事作成に際して、ほかにもライターに意識してほしいことがある場合は適宜記載しましょう。例えば、次のようなものが挙げられます。
そのほかのルール例 ・記事の構成では結論から伝える文章のリズムを意識し、適度に体言止めを用いる |
SEO記事の作成を依頼する場合、検索上位表示を目指すためのルールをライターに意識してもらうことも必要です。
例えば、以下のようなルールが挙げられます。
SEOルール例 ・メイン対策キーワードを含むタイトルにする メイン対策キーワードをタイトルの冒頭に加えることで、検索エンジンに評価されやすくなるほか、視覚的にも目立つようにもなります。 ・本文中に対策キーワードを3~5回程度入れる SEO対策において大きな効果を得られると言われているため、本文中にキーワードを3~5回程度含めるよう指示します。 ・文字数は3,000文字以上にする 記事には、検索ニーズを満たす情報を盛り込む必要があります。また、想定する構成なども加味して文字数を指定しましょう。 ・画像はひとつの記事に対して3点以上用いる 記事内容と連動した画像を用いると、読者の理解度を高めやすくなります。画像検索からの流入も期待できるため、3点以上の写真使用を促しましょう。 ・メタディスクリプションは120文字程度に収める 検索結果画面上のメタディスクリプションが途中で切れないよう、PC版もスマートフォン版も共通して、120文字程度で作成することを伝えます。 |
表記統一を徹底することで、統一感のある記事や媒体になります。
統一感のある記事や媒体にするためには、表記統一が欠かせません。統一感を希望される場合は、以下のような表記ルールを定めましょう。
表記ルール例 ・とじ・ひらきのルール 「とくに/特に」「たとえば/例えば」などひらがなと漢字のどちらも表記するケースがある言葉は、どちらを用いるかをリスト化します。 ・漢字を多用しない 記事から“やわらかさ”を印象づけたい場合は、漢字を多用しないことをおすすめします。 ・数字やアルファベットは半角で記載する 数字やアルファベットを用いる場合は、半角と全角のどちらで記載するかを定めます。 ・英語を用いる場合、カタカナを併記する 例えば、「description」と記載する場合、英語のみにするか、「description(ディスクリプション)」と併記するかを決めます。 ・年代は西暦で記載する ターゲットとする読者の特性に合わせて、年代表記は西暦にするか、和暦にするかを選びましょう。 ・企業や事業、商品などは正式名称で記載する 丁寧かつ正確な文章にするためには、正式名称で記載することをおすすめします。 |
ライティングの表記ついては、以下の記事もあわせてご覧ください。 漢字の「とじ・ひらき」について 伝わらない文章の原因は“主述のねじれ”かも? ライターが注意すべき、系統別重複表現例 |
ほかにも、ライティングレギュレーションに含めたいルールがあります。それが引用ルール、AIツールの使用ルール、画像選定ルールです。
文献の文章や資料のデータを引用してライティングする場合に備えて、引用ルールを設定しておきましょう。
引用ルール例 ・引用元を記載する 「出典:○○○○○」というように引用元の記載方法もあわせて明示しましょう。仮に引用元がなかった場合、無断転載とみなされる恐れがあります。 ・引用文の割合は本文の文字数に対して10%程度までに留める 引用文ばかりでは、ほかの人の文章をつなぎ合わせているだけの記事になってしまいます。記事の文字数に対する引用の割合を具体的に決めておくと良いでしょう。 ・引用箇所をダブルクォーテーション記号(“”)で囲む 引用箇所が分かるようなライティング時の対応方法を記載します。例えば「コメント機能で記載する」「引用元のURLをリンクさせる」「ダブルクォーテーション記号(“”)で囲む」などの方法があります。 |
近年は、AIツールを用いて記事を作成するケースもあります。そこで、AIツールを用いる場合のルールも必要です。
AIツールの使用ルール例 ・AIツールで作成した文章をそのまま使用しない |
AIツールを用いれば誰でも簡単に記事を作成できますが、正確性や信頼性という面では不安があります。さらに、読者を魅了する記事にならない恐れもあります。そのため、AIツールは補助的な役割に留めるように促しましょう。
記事は文章だけでなく画像も適宜追加すると、視認性も高まり読者に理解されやすくなります。そのため、画像を選ぶためのルールも示しておくことが大切です。
画像の使用ルール例 ・記事内容と連動している画像を選定する 当たり前のことですが、記事とは関係のない写真を選ばないように伝えましょう。 ・画像は指定のサイトから選定する 著作権や肖像権の侵害を防ぐために、商用利用可能なサイトからの画像選定を指定します。 ・出典元を記載する 行政や企業などから画像を借用する場合、必要に応じて「出典:○○○○○」など出典元を記載するための方法を伝えます。 ・画像のサイズを指定する アイキャッチ画像や本文中に用いる画像など、掲載位置に応じて適切なサイズは異なるため、それぞれの画像サイズを指定しましょう。 |
最後に、Webライターから記事を受け取る際のルールも決めます。そうすれば、自社(発注者側)としてもスムーズかつ効率的に確認・進行できるようになるでしょう。
納品ルールとして挙げられるのは、納品形式やファイル名、CMSへの入稿に備えた手順です。
発注者が使い慣れているファイル形式を選ぶことをおすすめします。一般的なファイル形式は以下のとおりです。
ライターから原稿データを受け取るためのツールについても明示しておきましょう。例えば、以下の方法があります。
ライターから納品される原稿データのファイル名の付け方を統一することで、自社でも原稿を管理しやすくなります。
例えば、以下のようなルールが考えられます。
ファイル名のルール例 20250331_ライティングレギュレーション記事_vol.1 → 提出日_記事名_提出回数 |
ライターにCMSへの入稿も依頼する場合は、その手順も記載する必要があります。
例えば、WordPressへ入稿する際は、以下のような手順になります。
CMS入稿ルール例 1. WordPressログイン画面に移行し、ユーザー名とパスワードを入力する 2. 管理画面上の「投稿」内にある「新規投稿を追加」をクリックする 3. タイトルや本文を入力するほか、見出しや画像、リンク先なども設定する 4. 「下書き保存」をクリックして保存する 5. 「プレビュー」をクリックして記事をチェックする 6. 「公開」をクリックして、記事をWeb上にアップする |
WordPressのログイン情報についても、あわせて記載しましょう。また、入稿ルールについては適宜実際のWordPress編集画面などのスクリーンショットもあわせて掲載しておくと分かりやすくなります。
ライティングレギュレーションは、以下の3つのステップに沿って作成しましょう。
ライティングレギュレーションを作成する前に、まずはメディアや記事の目的を整理しましょう。
以下のような目的を定めておくと、より具体的な内容をレギュレーションに反映できます。
・ターゲットとする読者は誰か ・どのような記事にしたいか ・どのような効果を得たいか |
例えば、「ビギナー向けの記事にしたい」という目的であれば、専門用語をできる限り減らし、解説記事を中心とした構成になります。また、「SEOに活かしたい」という目的であれば、キーワード設計を反映した内容になります。
このように、ライティングレギュレーションは、その目的に沿って内容を変更していきましょう。
ライティングレギュレーションには、ライターが記事を作成する際に必要な情報を分かりやすく記載することがポイントです。以下のような情報が不可欠と言えます。
項目 | 概要 | 例 |
---|---|---|
記事作成のフロー | 記事作成の依頼から完了までの流れ | ・修正期間:3日間 ・修正回数:2回まで |
テーマ | 記事のテーマ | SEO対策 |
キーワード | 記事を作成する際に加えるべきメインキーワードやサブキーワード、共起語 | ・メインキーワード:SEO対策 ・サブキーワード:SEO対策 初心者 ・共起語:やり方、費用 |
ターゲット | 対象とする読者 | ・年代:30代 ・性別:女性 ・対象者:Webマーケティング担当者 |
目的・ゴール | 記事を通じて伝えたいこと、効果を得たいこと | SEO対策の知識を身につけながら、○○企業のサービス利用を考えてもらう |
構成 | タイトル、見出し、リード、本文、まとめ文などの記事を構成する要素 | ・h2:4つ ・h3:8つ ・リード文:250文字程度 ・まとめ文:200文字程度 |
想定文字数 | 記事全体に対する想定文字数 | 5,000~7,000文字程度 |
納期 | 記事を提出する日時 | 2025年4月1日 |
費用 | 記事を作成するための費用 | 文字単価2.5円 |
注意・禁止事項 | 記事を作成する際のルールや禁止事項 | ・です・ます調を使用する ・人権を侵害する表現・図表の使用は禁止 |
参考資料 | 記事を作成する際に参考にしてほしい資料 | Webサイト、文献 |
引用ルール | 記事に文献やURLを引用する場合のルール | ・引用元記載方法:「出典:引用元URL」 |
画像使用ルール | 記事に画像を用いる場合のルール | ・画像イメージ:デジタルを想定できる画像 ・画像選定のサイト:https://●●●● ・クレジットの有無:有り ・画像サイズ:1920×1080 |
納品形式のルール | 納品形式に関するルール | ・ファイル形式:Word ・ファイル名:提出日_記事名_提出回数 ・納品方法:チャットツール上で提出 |
ライティングレギュレーションに記載する情報は、それぞれ具体的な指示内容にすることが重要です。抽象的な指示内容だとライターによって解釈が変わってしまい、希望する記事や品質にならない恐れがあります。
例えば、「理解しやすい文章を意識してください」と書くのではなく、「専門用語を多用しないでください」「小学生でも分かる言葉を用いてください」といった指示にすることが重要です。具体的な指示であるほどライターと発注者との認識がズレにくく、希望する記事内容になります。また、「この表現はNGです」と実例を記載するのも有効です。
これまで3つのステップを紹介してきましたが、初めから高精度のライティングレギュレーションを作成できる方はいないでしょう。実際にライティングレギュレーションを運用しながら、ブラッシュアップしてより良い内容にしていくことが大切です。
前項ではライティングレギュレーションを作成する3つのステップを紹介しましたが、初めから高精度の資料を作るのは容易ではありません。
レギュレーションを改良する際は、以下の3つのポイントを押さえましょう。
ここでは、各ポイントについて詳しく解説します。
ライティングレギュレーション上のあらゆる情報は、具体的かつ詳細に記載する必要があります。これは、ルールや注意事項に限りません。
ターゲットや目的(ゴール)、費用などの基本情報についても詳しく示すことでライターの解像度が高まり、自社が希望する内容や品質の記事に仕上がりやすくなります。
ライティングレギュレーションは、ライターに読まれてこそ価値を発揮します。ライターに共有してレギュレーションの存在を認識してもらうのはもちろんですが、疑問点や不明点は適宜ヒアリングしていくことでライターの理解を深めやすくなります。
とくにSEO記事においては、Googleのアルゴリズムがアップデートされるとそのトレンドを押さえて反映させなければ、上位表示を維持できないこともあります。
常に最新の情報やニーズを盛り込んだ記事を作成できるように、最新トレンドをチェックしレギュレーションに盛り込みましょう。
ライティングレギュレーションを一度作成しても、それが完成版ではありません。環境や時代の変化によって、読者のニーズやSEOトレンドも変動します。そのため、定期的にレギュレーションの内容を見直し、ブラッシュアップすることが重要です。
当メディアを運営する株式会社ファングリーはコンテンツマーケティングに強みを持っており、採用サイトやオウンドメディア制作の実績も多々あります。コンテンツやWeb制作に関するお悩み、お困りごとがある場合は、お気軽に当社までお問い合わせください。それらを解決するための施策をご提案します。
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執筆者
コンテンツディレクター/ライター
MIHO SHIMMORI
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。