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YouTubeの企業アカウント成功事例と失敗から学ぶ運営戦略

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近年、YouTubeは単なる動画投稿プラットフォームの枠を越え、ビジネスの領域においてもあらゆるマーケティング課題を解決する強力なツールとして活用されています。

しかし実際には、「どのように始めればよいのか」「なぜ成果が出ないのか」といった悩みを抱える担当者も少なくありません。

本記事では、YouTube企業チャンネルのメリットや目的別の活用法、成功事例、効果を上げる運用のポイント、そして開設までの手順を網羅的に解説します。

この記事で分かること
  • YouTubeで企業チャンネルを運用するメリット
  • 自社に合った動画コンテンツの活用法
  • YouTubeの企業チャンネル成功事例
  • 避けるべき企業チャンネル運用を失敗させる共通点
  • 企業チャンネルを成長させる運用テクニック

この記事を最後まで読めば、自社がYouTubeで成功するための具体的な戦略とアクションプランが明確になり、自信を持ってチャンネル運営の第一歩を踏み出せるようになります。

\BtoB向け!Webマーケ入門・応用資料3点/

YouTubeについては、以下の記事でより詳しく解説しています!

Table of Contents

YouTubeの企業チャンネルがもたらす5つのメリット

なぜ今、多くの企業がYouTubeチャンネルを開設しているのでしょうか。

近年、YouTubeは単なる動画共有サイトの枠を越え、企業の成長を加速させる強力なマーケティングツールとして注目されています。企業のYouTubeチャンネルでは、従来のテキストや静止画では伝えきれなかった情報を視覚的に多くの潜在顧客に届けることができ、企業の認知度向上や情報発信の効率化に寄与しています

企業がマーケティングを行う上で、ほかのメディアにはないYouTubeならではの5つのメリットを紹介します。

1. 企業の認知度向上

YouTubeは、Googleに次ぐ世界第2位の検索エンジンです。ユーザーは悩みや興味関心について検索するため、ユーザーの検索意図と関連性の高い動画を投稿することで、自社をまだ知らない潜在顧客層に広くアプローチできます

企業のYouTubeチャンネルであればテレビCMのように莫大な費用をかけずとも、ニッチな分野にもピンポイントで情報を届けられます。企業規模の大小にかかわらず、効率的に認知度を拡大できるのが特徴です。

2. 顧客とのエンゲージメント強化

YouTubeはコメント機能やライブ配信、コミュニティ投稿を通じ、視聴者と直接コミュニケーションが取れるプラットフォームです。

視聴者からの意見を反映させた企画やライブ配信でのやりとりなど、双方向の関係性を築くことで、企業への親近感や愛着(エンゲージメント)が高まります。こうしたエンゲージメントの積み重ねが、視聴者(潜在顧客)を熱心なファン(顧客)へと育て、LTV(顧客生涯価値)の向上や長期的な関係性の構築に貢献します。

情報発信の効率化

一度公開した動画は、24時間365日企業の代わりに働き続ける「デジタル資産」としてYouTube上に残り続けます

例えば製品の使い方の解説動画なら、使い方が分からないという消費者に見てもらうことでカスタマーサポートの工数を削減できます。さらに営業活動においても、顧客に動画を送ることで自社製品の理解促進ツールとして活用可能です。

ほかにも、自社サイトへの埋め込みやSNSでの拡散によって多方面に情報を届けられる点も、YouTube運営ならではの大きなメリットとなります。

BtoBにおけるリード獲得と商談の質の向上

BtoBビジネスにおいても、YouTubeは非常に有効なマーケティングチャネルとなります。専門的な解説動画や導入事例動画は企業の技術力や信頼性をアピールし、質の高い見込み顧客(リード)の獲得につながります。

ウェビナーのアーカイブ動画を活用すれば、参加できなかった層にも接点を広げられるでしょう。

このように、動画を通じて見込み顧客に自社製品やサービスへの理解を深めてもらうことで、商談の質が高まり、受注率の向上も期待できます。

▼ BtoBリード獲得について詳しくは、こちらの記事もあわせてご覧ください。

BtoBリード獲得を成功に導く!戦略的ナーチャリングコンテンツの作り方【事例付】

採用活動におけるミスマッチの防止

YouTubeはリード獲得を目的としたマーケティングだけでなく、採用コンテンツとしての役割も果たすのが特徴です。

テキストや写真だけでは伝わらない社風や働く人のリアルな姿も動画ならリアルに表現できるため、社員インタビューやオフィスツアー、仕事風景のVlogなどを発信することで、求職者は入社後の働き方を具体的にイメージしやすくなります。

これによって企業のカルチャーにフィットする人材からの応募が増え、採用後のミスマッチも防ぎやすくなります。

YouTubeの企業アカウント戦略的活用法【目的別】

YouTubeの企業アカウントを活用する際は、ただ動画を投稿するのではなく、運用の目的に合わせて戦略を設計することが重要です。

ここでは、5つの目的別に具体的な活用法と動画コンテンツの例を紹介します。

企業紹介・ブランディング

企業の歴史や理念、ビジョンを動画で伝えることは、ブランド価値を高めるための第一歩です。経営者メッセージや企業の歩みをストーリー仕立てで紹介することで、視聴者に「信頼できる会社」という印象を与えられます

また、YouTubeビジネスアカウントを活用すれば公式感を打ち出しつつ、自社のアイデンティティを広く発信できます。

具体的な動画コンテンツ例は以下の通りです。

  • 経営者インタビューや企業理念の紹介動画
  • 商品の開発現場やオフィスの日常などの密着動画
  • 企業のCSR活動や社会貢献の取り組み紹介

▼ ブランディングについては、こちらの記事もご覧ください。

ブランディングとは?効率良く成果を出すポイントを紹介

商品・サービス紹介・販売促進

新商品の機能紹介やサービスの利用方法を動画でわかりやすく解説することで、購入検討層に強くアプローチできます。実際の使用シーンを映すことで顧客が利用イメージを描きやすくなり、購買意欲の後押しにつながるでしょう

また、一定のコストは発生しますが、YouTube広告と連携させれば、より効率的な集客・販売促進も期待できます。

具体的な動画コンテンツ例は以下の通りです。

  • 新商品のプロモーション動画
  • 商品・サービスの使い方解説動画
  • 開発者インタビュー動画

お役立ち情報の発信

視聴者にとって役立つノウハウやハウツー動画は、企業チャンネルの信頼性を高めるコンテンツです。業界の専門知識や最新トレンドを発信することで、「この会社は頼れる存在だ」と感じてもらいやすくなります

お役立ち情報は拡散性が高く、結果的に新たな潜在顧客の獲得やYouTube運営の長期的な集客基盤の構築にもつながります。

具体的な動画コンテンツ例は以下の通りです。

  • 業界の最新トレンド解説動画
  • よくある課題の解決方法を紹介するハウツー動画
  • セミナーやウェビナーのダイジェスト動画

第三者視点での配信

導入事例や顧客インタビュー動画など第三者の声を通じた動画は、高い説得力を持つコンテンツです。実際の利用者が語るメリットや成功体験は、広告的な表現よりも信頼されやすく、購買意欲を後押しします

BtoBでもBtoCでも効果的に活用でき、特に検討段階の顧客にとっては強力な判断材料となります。

具体的な動画コンテンツ例は以下の通りです。

  • 導入事例を紹介するケーススタディ動画
  • ビフォーアフターを示した利用成果の紹介動画
  • インフルエンサーとのタイアップによるプロモーション動画

求職者向け情報の発信

求人票や採用サイトでは伝えきれない既存社員のキャリアや職場の雰囲気などを表現する動画は、求職者が企業をより深く理解するのに役立ちます。採用動画を通じて「この会社で働きたい」という共感を醸成すれば、求職者の応募意欲向上につながるでしょう

特に近年の若年層は動画コンテンツから企業情報を収集する傾向が強いため、テキスト中心の採用広報との差別化としても有効です。

具体的な動画コンテンツ例は以下の通りです。

  • 現場社員を中心にした社員インタビュー動画
  • 1日の仕事密着Vlog
  • インターンシップや会社説明会のダイジェスト動画

採用動画については、別記事「採用動画制作のツボを解説!成功事例に見る、失敗しないポイントと注意点」で詳しく解説しています。

YouTubeで失敗する企業チャンネルの5つの共通点

YouTube動画制作の注意点

YouTube企業チャンネルは大きな成果をもたらす一方で、戦略を誤ると効果が出ずに終わってしまうケースも少なくありません。YouTube運用にあたっては「どんな失敗を避けるべきか」を知ることが重要です。

ここでは、企業がYouTube運用において失敗に陥りやすい5つの共通点を解説します。

目的とターゲットが「曖昧」なまま始める

「流行しているから」「とりあえず始めてみよう」と明確な方針を持たずにYouTube運営を始めると、動画の方向性がぶれてしまいます。「誰に」「何を」伝えたいのか不明確なままだと、自己満足のコンテンツに終始し、視聴者の心に響かないチャンネルになりがちです。

YouTube企業チャンネルを成功させるには、まず目的とターゲットを具体的に設定することが欠かせません

「完璧な動画」を目指しすぎて更新が止まる

YouTubeアカウントの成長に最も重要なのは、「継続性」です。

完璧な動画を目指して機材や編集にこだわりすぎると、1本動画を制作するのにも膨大な時間がかかり、動画更新も滞ってしまいます。100点の動画を年に数本投稿するよりも、70点の動画を定期的に更新し続けるほうが、チャンネルが成長しやすいと考えられます

「作りたいもの」と「見たいもの」がズレている

企業が伝えたいことだけを押し出し、視聴者のニーズを無視してしまうのも失敗の典型例です。YouTubeで検索するユーザーは「役立つ情報」や「楽しめるコンテンツ」を求めています。こうしたニーズを汲み取らず、宣伝色の強いコンテンツばかりを発信してしまうと、視聴者の離脱や再生数の低下を招いてしまいます。

企業のYouTube運用では、常に「ユーザーが何を知りたいのか」という視点を持ってコンテンツを制作することが重要です。

公開して「やりっぱなし」で分析をしない

動画をアップロードしただけで満足し、YouTubeアナリティクスを全く確認しない企業も少なくありません。視聴維持率や離脱ポイント、再生数の推移といったデータを分析しなければ、改善の糸口は得られないでしょう。

データの分析から仮説立て、改善というPDCAサイクルを回し、試行錯誤を繰り返すことで初めて企業チャンネルは成長します

短期的な成果を求めてすぐに諦める

「動画を投稿したのに再生されない」「登録者が増えない」と数ヶ月で更新をやめてしまうのも失敗のパターンです。YouTubeのアルゴリズムに評価され、安定して成果が出るまでには、半年から1年ほどかかります

YouTubeの企業チャンネル運営は「マラソン」と捉え、データの分析やユーザーニーズを反映させた企画立案などを通じて、少しずつ軌道修正しながら運用を継続することが大切です。

YouTubeの企業チャンネル成功事例5選

企業がYouTubeで成果を上げるためには、実際に成功しているチャンネルから学ぶのが最も効果的です。

ここでは、BtoBのリード獲得からBtoCのブランディング、EC販売促進、採用活動、専門知識の発信まで、目的別で活用事例を紹介します。

SEOおたく / LANY(レイニー)|BtoBリード獲得事例

出典:https://www.youtube.com/channel/UCycCmsyXHVk_n68I7jkEReg

Webマーケティング支援を行う株式会社LANYが運営する「SEOおたく」は、SEOやコンテンツマーケティングの実務に直結するノウハウを発信しているチャンネルです。

企業のマーケティング担当者を明確にターゲットに据え、専門性の高い情報を惜しみなく提供することで、BtoBにおける見込み客(リード)の獲得と育成に成功しています

さらに価値ある情報を発信し続けることで信頼を積み重ね、潜在顧客を育成し、将来的に自社サービスを利用してもらううえでの第一想起を獲得しています。

植草美幸の結婚相談所マリーミー|BtoCブランディング事例

出典:https://www.youtube.com/@uekusamiyuki/videos

婚活に悩む男女に向け、結婚相談所の代表である植草美幸氏が、豊富な経験をもとにアドバイスを届けるチャンネルです。

強い個性を持つ「カリスマ仲人」としての植草氏のキャラクターを前面に出し、厳しい言葉の中にも信頼を感じさせる独自のブランドを築いたことで、視聴者からの高いエンゲージメントを獲得しています

また、視聴者が抱える「なぜ結婚できないのか」という根本的な悩みに具体的な改善策を示し、納得感を与える点も特徴です。動画を通じて築かれた信頼関係は、「この人に相談したい」という視聴者の自然な感情を育み、結婚相談所への入会というスムーズな流れを生み出しています。

niaulab TV by ZOZO – 似合うラボTV|EC連携・販売促進事例

出典:https://www.youtube.com/@niaulabtv

ファッション通販大手のZOZOが運営する「niaulab TV」は、ECと連動した新しいファッションスタイルの提案型チャンネルです。

単なる商品紹介にとどまらず、スタイリストやモデルが出演して「似合う」をテーマにコーディネートを紹介。ユーザーが実際に着用するイメージを持ちやすいように工夫されています。

視聴者にとってはファッション誌感覚で楽しめる一方、ECとシームレスにつながることで購買体験が途切れない点が大きな強みです。また、プロの視点からスタイリングのポイントや着回し方法を伝えることで、視聴者に「買って終わりではない価値」を提供し、ブランドへのロイヤリティ向上にもつながっています。

三重県警察採用公式チャンネル|採用ブランディング事例

出典:https://www.youtube.com/@saiyo.mie.police

三重県警察が運営する、採用活動を目的とした公式チャンネルです。

警察学校の様子や若手警察官のインタビュー、体力試験の解説など、求職者が本当に知りたい「仕事のリアル」を伝えるコンテンツを数多く公開。現場で働く職員の人柄や思いを紹介することで心理的なハードルを下げ、視聴者に親近感を持たせています

また、やりがいや魅力だけでなく厳しさも率直に発信することで、入職後のミスマッチ防止にもつながり、結果的に採用の質を高めるブランディングに成功しています。

みんなの法律手帳【ベリーベスト法律事務所】|専門知識・ブランディング事例

出典:https://www.youtube.com/@Law_Diary/videos

ベリーベスト法律事務所が運営する「みんなの法律手帳」は、離婚や相続、誹謗中傷といった日常的に起こりうる法律問題をQ&A形式やショート動画で分かりやすく解説するチャンネルです。

専門的な内容をかみ砕き、誰にでも理解できる言葉で伝えることで、視聴者にとって「身近な相談相手」としてのポジションを確立しています

今すぐ相談を必要としない人にも継続的に価値を届けることで、将来トラブルが発生した際に第一想起される可能性を高め、長期的なブランド形成にも寄与している事例です。

YouTube企業チャンネルの簡単な始め方

YouTubeの企業チャンネルは、特別な知識がなくてもすぐに始められます。チャンネルは無料で開設でき、自社で運用・制作すればコストもほとんどかかりません。

ここでは、YouTubeで企業チャンネルを開設する基本的な手順を解説します。

1. Googleアカウントを準備する

まずは、企業用のGoogleアカウントを用意しましょう。既存のアカウントを利用しても問題ありませんが、業務管理を明確にするためにも新規アカウントを作成するのがおすすめです。

2. YouTubeチャンネルの開設

Googleアカウントでログインした状態でYouTubeにアクセスし、右上のプロフィールアイコンから「設定」を選択します。

「アカウント」ページに進むと「新しいチャンネルを作成する」という項目があるのでクリックし、チャンネル名を入力すれば開設は完了です。

開設後は、チャンネルの印象を左右する以下の要素を整えておきましょう。

アイコン企業ロゴやブランドを象徴する画像
ヘッダー画像(チャンネルアート)ブランドイメージを視覚的に伝えるデザイン
概要欄企業紹介やチャンネルの目的、公式サイトのリンクを記載

【例外】個人チャンネルから企業チャンネルへ移行する方法

すでに個人アカウントでチャンネルを運用している場合でも、「設定」→「詳細設定」→「チャンネルをブランドアカウントに移行する」から切り替えが可能です。これにより、複数の担当者が管理できる企業向けチャンネルとして再運用できます。

YouTubeの企業チャンネルで公開する動画制作フロー

YouTube動画制作の方法・流れ

企業がYouTubeチャンネルを運営するには、事前準備から動画制作、アップロードまで、一連の流れをしっかり踏む必要があります。

ここでは、自社で動画制作をする際の基本的なフローを順を追って解説します。

STEP1. 要件整理

動画制作の第一歩は要件整理です。制作の方向性を誤らないためにも、まずは以下の5点を明確にしておきましょう。

目的・ターゲットの設定

動画の制作においては、「誰に見てほしいか」「何を伝えたいか」を明確にすることが重要です。

まずは、YouTubeチャンネルの方針や目的を定め、さらにその目的を具体的な数値目標に落とし込みましょう。例えば「半年後にチャンネル登録者数5,000人」や「月間の総再生時間○○時間」など、客観的に評価できる目標を設定することで、運用成果を的確に測定できます。

次に「誰に見てほしいか」を明確にするために、具体的なペルソナを設定します。ペルソナを設定する際は「20代男性」のような大雑把な括りではなく、一人の人物を具体的に描き出しましょう。例えば氏名や年齢、職業、抱える課題・悩みなどの人物像を詳細に設定することで、その人物のニーズに応えるための具体的な動画の方針が固まります。

これらの目的やターゲットが曖昧なままでは、制作した動画が視聴者に届きません。明確な設計を行うことで、以降の企画や撮影の方向性もぶれにくくなります。

機材

YouTube動画の撮影には機材が必要です。カメラ・三脚・照明・マイクといった基本的な機材を用意し、必要に応じて購入・レンタルなどで揃えましょう。必要な機材をリストアップし、撮影環境に合わせて準備しておくと安心です。

予算・リソース配分

動画制作には機材や撮影・編集にかかるコストが発生するため、あらかじめ予算を設計しておくことが欠かせません。必要な費用を洗い出したうえで、どの部分にどれだけ投資するのかを明確にしましょう。

同時に、人的リソースの配分も重要です。撮影や編集を外注するのか、それとも自社で対応するのかによって必要な人員やスキルは大きく異なります。社内で運用する場合には、撮影担当・出演者・編集担当、ディレクターなど、役割を明確に分けて体制を構築しましょう。

締め切り

締め切りを設定しないと、コア業務などの対応で動画制作が後回しになる恐れがあります。そのため、動画制作の前に公開日から逆算してスケジュールを立てることが大切です。

企画

動画は「撮ること」よりも、「撮る内容」が重要です。目標達成に向けた動画企画をしっかりまとめて、企画書に落とし込みましょう。企画をきちんと練ることで内容が充実するのはもちろん、制作も円滑に進めやすくなります。

なお、ひとつの動画にさまざまなメッセージを詰め込むと、逆に視聴者に伝わりづらくなるため注意が必要です。「1動画=1メッセージ」に絞ることで、視聴者に伝わりやすい動画を届けられます

STEP2. 制作者との打ち合わせ

企画者と制作者が異なる場合は、台本や企画書をもとに打ち合わせを行います。企画者は企画書や台本を作成し、制作者とともに内容の細かい部分を詰めていきましょう。

また、動画の目的やゴール、ターゲット、伝えたいメッセージなどを共有しておくと、撮影や編集の方向性が揃いやすく、具体的なアイデアも出やすくなります。

加えて、トラブル防止のためにも、予算や納期といった必要事項も事前に伝えておきましょう。

STEP3. 撮影

企業チャンネルの動画には、自社の社員が出演することも少なくありません。撮影前に、出演者のスケジュール調整をしておきましょう。事前に企画書や台本を渡し、話すテーマや内容を考えておいてもらうと撮影が滞りなく進みます。

撮影をカメラマンに外注しない場合は、撮影も自社内で行うことになります。事前にカメラワークの基本を理解し、三脚で固定するなどしておくと、より見やすい映像を作成できるでしょう。

また、撮影時は背景にも注意しましょう。背景は動画の印象に大きく影響するため、雑然とした場所ではなく、内容に合った環境を整えると視聴者が集中しやすくなります。

STEP4. 編集・チェック

撮影した映像を編集し、不要な部分のカットや映像のつなぎ合わせ、BGM・テロップ・効果音などを加えて完成度を高めます。ユーザーが最後まで興味を持って視聴できるかどうかを意識して動画を制作しましょう

また、編集後は必ずチェックを行い、以下を確認しましょう。

  • YouTubeのコミュニティガイドラインや著作権を順守しているか
  • 目的やターゲットに合致しているか
  • 内容がわかりやすく伝わるか

特に著作権には注意が必要です。著作権とは、作品を創作した人が持つ権利のことで、著作権を侵害すると動画削除の対象となるだけでなく、著作権者から差し止め請求や損害賠償請求などが行われる恐れがあります。企業の信頼が損なわれることにもつながるため、著作権の侵害には細心の注意を払いましょう。

著作権を侵害しないためには、音楽や画像などの著作権について事前によく確認する必要があります。著作権が設定されているものを利用したい場合は、「出典を明らかにして引用の範囲でとどめる」「本人の許可を得る」「著作権を買い取る」などの対策をしなければなりません。

▼著作権については、こちらの記事で詳しく解説しています。

著作権とは?侵害の要件や対処法などをわかりやすく解説

アップロード・各種設定

動画が完成したら、最後にデータをYouTubeにアップします。その際、下記の各種設定を忘れないように行いましょう。

タイトル検索されやすく、内容が伝わるものにする
概要欄動画の説明に加え、自社サイトやSNSのリンクを記載
タグ関連するキーワードを設定し、検索からの流入を狙う
サムネイル視認性が高くクリックを促すデザインにする
終了画面・カードの追加チャンネル内の別動画や関連情報に誘導する

タイトルや概要欄には、動画の内容を分かりやすく記載します。「YouTube SEOを徹底する」で後述するように、YouTube SEOにも効果的なので必ず記入しましょう。そのほか、チャンネル内の別動画の宣伝や自社サイトのリンク、SNSのアカウントなどの情報も記載しておくと、動画を見た視聴者に「次に取ってほしい行動」を示唆できます。

また、動画ファイルにはさまざまな形式があります。YouTubeでサポートしている動画のファイル形式のうち、主要なものを紹介します。

  • MOV(.mov):MacやiPhoneなど、主にApple製品で使われている
  • MPEG4(.mp4):圧縮率が高く高画質
  • AVI(.avi):Microsoft社開発。Windowsの標準動画
  • WMV(.wmv):Microsoft社開発。インターネット配信を前提に開発された
  • FLV(.flv):Adobe Flashに対応している

YouTubeでは上記のファイル形式をはじめ、多くのファイル形式がサポートされています。YouTubeが推奨する「MPEG4(.mp4)」形式を選ぶと高画質かつ容量も抑えられるため、迷った場合はMPEG4にするとよいでしょう。

YouTubeの企業チャンネルを成功に導く8つの運用ポイント

YouTube動画制作の注意点

YouTubeチャンネルの運用は、やみくもに取り組んでも成果にはつながりません。視聴者の心をつかみ、ビジネスの成果へ結びつけるには、成功しているチャンネルに共通するポイントを押さえた上での運用が必要です。

ここでは、自社のYouTubeチャンネルを成長させるために欠かせない8つの運用ポイントを解説します。

一貫性のあるビジュアルを意識する

YouTube運用では、動画の内容だけでなく、チャンネル全体の雰囲気も視聴者の印象を左右します。一貫性のあるビジュアルは、視聴者にプロフェッショナルな印象を与え、ブランドの記憶を強めることが可能です。デザインを統一することで、視聴者のクリック率を向上させたり、チャンネル登録へのハードルを下げたりといった効果も期待できます。

具体的なアクションプランとしては以下の通りです。

施策概要
サムネイルのテンプレート化ロゴの配置場所、使用するフォントの種類とサイズ、キーカラーなどを定めたテンプレートを作成
チャンネルアート・アイコンの最適化チャンネルの発信内容が直感的に分かるタグラインやアイコンを設定
動画内デザインの統一オープニング・エンディング映像、テロップのフォントやデザイン、BGMや効果音のテイストを統一

公式であることを明記する

視聴者からの信頼は、企業アカウントにとって生命線となり得ます。なりすましや非公式アカウントと区別し、安心して視聴できる場であることを示すことが大切です。

チャンネル名や概要欄に「公式」である旨を明記し、会社の公式サイトや所在地、その他SNSアカウントへのリンクを掲載しましょう

ブランドメッセージを強調する

単発で面白い動画を出すだけでは記憶に残りません。全ての動画を通して一貫したブランドメッセージを発信することで、視聴者は「このチャンネルは、いつも○○という価値観を大切にしている」というメッセージを理解しやすくなります。こうした継続的な姿勢が視聴者をファンへと変え、長期的な関係構築が実現します。

具体的なアクションプランは以下の通りです。

施策概要
動画内でのブランドメッセージの発信「働くすべての人に、最高の学びを」「テクノロジーで、暮らしを豊かに」など自社のブランドメッセージを言語化し、動画内で視聴者に伝える
企画段階での振り返り企画立案のたびに、「この企画は自社のブランドメッセージを体現しているか」と自問自答するプロセスを設ける

視聴者のニーズを徹底的にリサーチする

YouTubeは、視聴者が自らの意思で動画を選ぶプラットフォームです。視聴者の興味や悩みに応えるコンテンツでなければ、そもそもクリックすらされません。

まずは企業が「伝えたいこと」と視聴者が「知りたいこと」の間に、大きなギャップがあることを理解しましょう。それを踏まえて徹底したリサーチを基にコンテンツを企画することが、成功の鍵を握ります。

具体的なアクションプランは以下の通りです。

施策概要
YouTube検索サジェストの活用検索窓にキーワード(例「営業 コツ」)を入力し、表示される候補(例「営業 コツ 初対面」「営業 コツ BtoB」)をすべてリストアップする
競合チャンネルの分析成功している競合チャンネルの「人気の動画」タブをチェックし、再生回数の多い動画のテーマや切り口を分析。動画コメント欄から視聴者のニーズも調査する
Q&Aサイトを活用したニーズ調査Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトから、自社のターゲット層が抱える具体的な悩みを調査し、動画企画へと落とし込む

定期的な投稿スケジュールを設定する

「毎週金曜日の19時更新」のように投稿スケジュールを固定することで、視聴者に習慣が生まれ、動画の視聴率も向上しやすくなります

また、定期的に更新されるチャンネルは、YouTubeのアルゴリズムから「アクティブで良質なチャンネル」と認識され、関連動画などでおすすめされやすくなるメリットがあります。

具体的なアクションプランは以下の通りです。

施策概要
現実的な投稿頻度を設定動画のクオリティを維持できる、継続可能な頻度(週1〜2回など)を設定する
最適な投稿時間を調査YouTube Studioのアナリティクス>「視聴者」タブで、自社チャンネルの視聴者がアクティブな曜日と時間帯を確認

多様なコンテンツ形式を活用する

毎回同じ形式の動画ばかりでは、視聴者は飽きてしまいます。以下で紹介するさまざまなコンテンツ形式を戦略的に組み合わせることで、チャンネルに深みと広がりが生まれやすくなります。新規視聴者の獲得から既存ファンの育成まで、多層的なアプローチが可能になるでしょう。

具体的なアクションプランは以下の通りです。

コンテンツ種別概要
ストック型(How-to、解説動画)検索からの流入を狙い、チャンネルの資産となる動画
フロー型(トレンド解説、時事ネタ)話題性で短期的な再生回数を稼ぎ、新規層にリーチする動画
ファン育成型(Vlog、ライブ配信)企業の裏側や人柄を見せ、既存ファンとのエンゲージメントを深める動画
認知拡大型(YouTubeショート)アルゴリズム上、新規視聴者に非常にリーチしやすい縦型動画

YouTube SEOを徹底する

どれだけ質の高い動画を制作しても、視聴者に見つけてもらえなければ成果につながりません。そのための生命線となるのが YouTube SEO(=VSEO, Video Search Engine Optimization) です。

視聴者が動画にたどり着く主な経路は「YouTube検索」と「関連動画」が挙げられます。ここで自社の動画が表示されるかどうかで再生回数は大きく変わります。YouTube SEOを徹底することで動画が露出される可能性が飛躍的に高まり、チャンネルの成長にもつながるのです。

詳しくは、別記事「YouTube SEOで検索上位表示を狙う3つの改善対策ポイント」で解説しているので、あわせてご覧ください。

分析と改善(PDCA)を回し続ける

YouTube運用で成否の差が開くのが、「分析と改善」のプロセスです。動画を公開して終わりではなく、データに基づいて改善を繰り返すPDCAサイクルを回せるかどうかが、チャンネルの成長スピードを左右します。

勘や感覚だけに頼った分析・運用には限界があるため、以下のようなアクションプランをもとに改善を行うことで、確実性の高い成長戦略を描けます。

1.主要指標を定点観測する

まずは、以下のような指標を定期的にチェックしましょう。

インプレッションのクリック率(CTR)平均は4〜5%。これを下回る場合、サムネイルやタイトルの見直しが急務
視聴者維持率離脱が多い箇所(谷)は改善ポイント、逆に繰り返し再生される箇所(山)は強みとして他の動画にも活かすべき要素となる

2.仮説ベースで改善を行う

次に、データをもとに仮説を立てながら検証を繰り返します。

例えば以下のようなPDCAを回すことで、動画の完成度は着実に高まります。

Planクリック率が低い要因として「サムネイルのテキストサイズが小さい」という仮説を立てる
Doサムネイルのテキストサイズを大きくする
Check1週間後にクリック率を確認
Action効果があれば他の動画のサムネイルにも反映させる

YouTubeの企業チャンネルに関するよくある質問

YouTubeの企業チャンネルに関するよくある質問をまとめました。

YouTubeの企業チャンネルを運用するメリットは?

YouTubeで企業チャンネルを運用するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 企業の認知度向上
  • 顧客とのエンゲージメント強化
  • 情報発信の効率化
  • BtoBにおけるリード獲得と商談の質の向上
  • 採用活動におけるミスマッチの防止

それぞれのメリットについて、詳しくは記事内「YouTubeの企業チャンネルがもたらす5つのメリット」をご覧ください。

YouTubeの企業チャンネルの開設にはいくらかかる?

YouTubeで企業チャンネルを開設するのに、費用は一切かかりません。

詳しくは、記事内の「YouTube企業チャンネルの簡単な始め方」をご覧ください。

YouTubeで企業チャンネルを作る方法は?

Googleアカウントにアクセスし、YouTubeにアクセスします。「設定」からアカウントページで「新しいチャンネルを作成する」をクリックし、チャンネル名(企業名など)を入力して「作成」をクリックすれば完了です。

また、個人チャンネルから企業チャンネルへ移行することも可能です

詳しくは、記事内の「YouTube企業チャンネルの簡単な始め方」で解説しています。

まとめ

YouTubeを正しく戦略的に運用すれば、あらゆるビジネス課題を解決する力を持つ強力なツールになります。YouTubeの企業チャンネル成功の鍵は、「明確な戦略」「徹底した視聴者ファースト」「継続的な分析と改善」の3つです。

短期的な成果に一喜一憂するのではなく、長期的な視点を持ちながら、本記事で紹介したポイントをひとつずつ実践していきましょう。そうすることで企業にとって大きな資産を築き、ビジネスの成長につながる最短ルートとなるでしょう。

また、リソースやノウハウ不足でお困りの場合は、専門知識を持つ外部パートナーへの依頼も有効な選択肢です。

株式会社ファングリーでは、マーケティング視点を踏まえたYouTube動画の企画・制作から運用代行まで、ワンストップでサポートしています。豊富な実績に基づき、お客様の課題解決に貢献しますので、YouTube運用に関してお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

当メディア「C-NAPS」を運営する株式会社ファングリーでは、戦略立案・プランニングからWebサイト制作、コンテンツ制作まで、さまざまなソリューションの提供を通して各種ビジネス課題の解決をお手伝いしています。まずはお気軽にお問い合わせください。

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フォームはこちら

Miho Shimmori

執筆者

コンテンツディレクター/ライター

Miho Shimmori

2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。

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# 26

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