※アムール株式会社より寄稿いただいた内容を掲載しています。
AISoVスコア(AISoV = AI Share of Voice)とは、ChatGPTやGeminiなどのAI検索において、自社ブランドがどれだけ言及・推奨されているかを示す指標です。経営層に向けたLLMO・AIO対策の進捗報告や競合比較などに役立つ指標として注目されています。
本記事では、AISoVスコアの基礎知識から、従来のSOVとの違い、具体的な計算式や計測手順、成果につなげる解釈のポイントまで分かりやすく解説します。
目次
AISoV(AI Share of Voice)スコアとは、特定のクエリセットに対してAI(ChatGPT・Gemini・Perplexityなど)が回答を生成する際に自社ブランドが言及または推薦される割合をパーセンテージで表した指標です。
AISoVスコアは以下の数式で求められます。
自社が言及された回答数 ÷ 全クエリから取得した総回答数 × 100(%)
同一クエリを複数回実行する場合は、分母を「クエリ数 × 各クエリの試行回数」とした総回答数で割ることで正確な言及率が得られます。複数の競合ブランドについて同じ計算を行えば、業界内におけるAI検索シェアを比較することが可能です。
例えば、「LLMOコンサルのおすすめは?」というクエリで100回分(10回ずつ × 10クエリ)のAI回答を取得し、そのうち自社が言及された回答が30回だったとします。その場合のAISoVスコアは30%です。クエリを複数設定してその平均を取ることで、特定カテゴリにおける自社のAI検索シェアをより高い精度で把握できます。
従来のShare of Voice(SOV)は、特定の広告やSNS上における自社言及量シェア(露出の割合)を表す指標です。これに対し、AISoVはAIの回答テキスト内での言及割合を指しており、計測対象がAIの生成テキストである点が根本的に異なります。
従来のSOVは広告出稿量や投稿数・インプレッション数で算出できましたが、AISoVはAIが動的に生成する回答に依存するため、同一クエリでも回答ごとに結果が変わる確率的な特性を持ちます。この不確かさを均一にすべく、同一クエリの質問を複数回実行して平均値を求めることが計測精度の基本になります。
AISoVスコアはLLMO・AIO対策の「AIに推薦される状態をどれだけ作れているか」を定量的に示せる指標であり、経営層への投資対効果の説明に活用できます。
AISoVスコアは施策の「直接効果(AIへの浸透度)」を測るもの、指名検索数は「間接効果(ブランド認知の拡大)」を測るもの、AI経由の流入数は「行動変化」を測るものであり、これらの指標を組み合わせて使うことが推奨されています。
| 指標 | 測定対象 | 主な用途 |
|---|---|---|
| AISoVスコア | AI回答内での言及率 | 施策の直接効果・競合比較 |
| 指名検索数 | ブランド名の検索回数 | AI認知がリアル検索に波及しているかの確認 |
| AI経由流入数 | AI経由でのサイト訪問数 | 行動変化・商談貢献の確認 |
3指標を月次で並べてモニタリングすることで、「AIには認知されているが行動に至っていない」「流入は増えているが商談が少ない」といった課題が可視化でき、次の施策立案の根拠になります。
例えば「自社(AISoV 30%) vs 競合A(同 45%)」のように競合比較をすると、どのクエリカテゴリで負けているかが可視化でき、施策の優先順位付けと経営層への課題提示が具体的になります。
絶対値だけでは施策の良し悪しを判断しにくいAISoVスコアも、競合比較の文脈に置くことで「何をどれだけ改善すれば追い抜けるか」という具体的なゴール設定が可能になります。
なお当社では、内部集計(2025年〜2026年、対象AI:ChatGPT・Gemini・Perplexity、累計回答サンプル5万件以上)をもとに、カテゴリ別の相対シェアを月次でモニタリングするフローを提供しています。
AISoVスコアは「① 計測対象クエリの設定 → ② 各AIに対してクエリを実行 → ③ 自社言及有無を記録 → ④ 集計・率を算出」の4ステップで計測でき、スプレッドシートと手動計測から始めることも可能です。
計測対象クエリは「自社サービスカテゴリに関連する比較・推薦型クエリ(例:LLMOコンサルのおすすめは?)」を当社推奨値として20〜50件設定することで、AIへの浸透度を網羅的かつ再現性高く計測できます。
クエリは顧客の実際の検索行動を起点に設計します。「○○するならどこに頼むのがいい?」「○○に強い会社を教えて」という比較・推薦型の問いかけが、AISoVを正しく測る上では有効です。自社名を含むクエリは指名型として別集計し、非指名型クエリのAISoVとは区別して管理することが精度維持のポイントです。
手動計測はコストゼロで始められますが、工数がかかります。そのため、継続的な計測にはAISoV計測に対応したLLMO・AIOモニタリングツールの活用が現実的です。
手動計測はChatGPT・Gemini・Perplexityの無料プランを使い、当社では各クエリに対して5〜10回の試行を推奨しています(これはばらつきをならすための目安であり、業界統一基準ではありません)。クエリ数が増えると1回の計測に数時間かかるため、スケールさせる段階でツール導入を検討することをおすすめします。
AISoVスコアが高いほど「AIへの浸透が進んでいる状態」であることを示しますが、スコアが高くても商談化に至らない「認知先行・転換不足」の状態も起き得るため、AI経由の問い合わせ数・指名検索数と組み合わせて解釈することが重要です。
AISoVスコアの適正水準は業界・競合数・クエリの性質によって大きく異なり、絶対値での評価は意味を持たないため、自社の前月比・主要競合との相対比較で判断します。
当社の観測値では、競合が少ないニッチ領域では50%超のスコアになる事例も見られ、競合が多い領域では10〜20%程度でも上位グループに位置することがあります(対象業界・クエリ設計・計測時点により異なります)。「スコアが低い=対策は失敗」ではなく、競合比較と前月比の2軸で動向を読むのが正しい解釈です。
また、AISoVはまだ業界統一定義が存在しない発展途上の指標であるため、異なるツール・計測方法で出したスコアを直接比較することは避けましょう。
ChatGPT・Gemini・Perplexityはそれぞれ回答の生成ロジックが異なるため、同一クエリでもAIによって言及されるブランドが変わります。そのため、複数AIを横断して計測し、平均値を用いることで計測の安定性は上がります。
特定のAIのみでスコアが高い企業は、そのAIのデータソースに対して情報が強く反映されている状態です。特定AIへの依存リスクを避けるため、当社では運用方針としてChatGPT・Gemini・Perplexityを含む複数モデルを横断した計測を推奨しています(モデル選定は自社サービスの対象顧客が主に使うAIに合わせて調整してください)。
AISoVスコアに関してよく寄せられる質問と回答をまとめました。
ChatGPT・Gemini・Perplexityの無料プランを使い、手動でクエリを実行・記録すれば費用ゼロで計測を始められます。しかし、工数がかかるので継続計測には計測専用ツール導入が現実的です。
まず初期導入として5〜10本のクエリを決め、ChatGPTとGeminiに同じ質問を投入して自社が言及されているかをスプレッドシートに記録します。これだけで最初の計測は完了です。月次計測を継続するなら、記録の自動化ができるLLMOモニタリングツールの活用を検討しましょう。
詳しくは、記事内の「手動計測とツール計測の違いと使い分け」をご覧ください。
当社ではLLMO・AIO施策の効果測定として月次計測を推奨しています。施策を大きく変えた月や競合の動きが活発なタイミングでは、2週間に1回程度の頻度に増やすことも有効と考えていますが、業界標準として定められた頻度ではありません。
施策の効果がAISoVスコアに反映されるまでには、コンテンツ追加や外部メディア掲載から数週間〜数か月かかる傾向があります(施策の種類・AIモデルの更新タイミングにより異なる)。当社では月次サイクルで計測し、2〜3か月単位でトレンドを読むことを運用方針としています。
詳しくは、記事内の「手動計測とツール計測の違いと使い分け」をご覧ください。
同一のクエリセットを使い、競合ブランドの言及回数を自社と同時に記録することで、手動でも相対的なシェアを計測できます。ただし、計測ツールの多くが競合モニタリング機能を備えているので、それを使用するほうが効率的です。
手動で競合計測を行う場合は、AIの回答に競合ブランド名が出てきた回数を自社と同じスプレッドシートで管理します。当社の推奨として、10〜20クエリを各5回程度実行し、競合が言及された割合を算出することで粗いシェア比較が可能です(再現性・測定条件の統制が精度に影響する)。精度の高い継続モニタリングには、複数競合を自動追跡できるツールの利用が現実的と言えるでしょう。
詳しくは、記事内の「手動計測とツール計測の違いと使い分け」をご覧ください。
AISoVスコアが低い場合はまず「計測クエリに関連するFAQ・比較記事・導入事例ページが自社サイトに存在するか」を確認し、AIが引用できる情報を増やすことが最初の改善アクションです。
AIは回答を生成するとき、信頼できるソースに書かれている情報を参照します。自社サービスに関するFAQ・事例・比較コンテンツが整っていないと、AISoVスコアの改善は難しくなります。まずこの3種類のコンテンツ充実を優先することをおすすめします。
詳しくは、記事内の「業界・商材によってベンチマークが異なることへの注意」をご覧ください。
AISoVスコアはLLMO・AIO対策における「AIへの浸透度」を数値化した、AI検索時代の新しい効果測定指標です。計算式は「自社が言及された回答数 ÷ 全クエリの総回答数 × 100%」で、スプレッドシートを利用すれば手動計測からでも始められます。
まず取り組むべきは、自社サービスに関連する比較・推薦型クエリを当社推奨として10本設定し、ChatGPTとGeminiで現状のスコアを確認することです。スコアの絶対値ではなく前月比・競合比較で動向を読みながら、FAQや導入事例の充実・外部メディアへの露出拡大をPDCAで回していくことが、AISoVスコアを継続的に改善する基本の進め方となります。
アムール株式会社では、AISoVスコアの計測設計から月次モニタリング・施策実行まで一気通貫で支援しています。AI検索で自社が選ばれる状態をつくりたい方は、お気軽にご相談ください。
執筆者
沖野 耕基
アムール株式会社 代表取締役。立命館大学卒業後、MBAを取得し、船井総合研究所で企業のデジタルマーケティング支援に従事。独立後は、AI検索最適化(AEO/GEO/LLMO)を専門に、独自のAI回答分析に基づく戦略設計からWeb改善、コンテンツ制作、外部PRまで一気通貫で支援。生成AI活用普及協会(GUGA)シニアパートナー。