ブランディングとは、ブランドに対する共感や信頼を通じて価値を高めること、またはブランドそのものを形作るための取り組みを指す言葉です。これは単にキャッチコピーやロゴなどの見た目を整えるだけではなく、ターゲットに対して企業や商品の価値を的確に伝え、顧客との信頼関係を築くプロセスと言い換えられます。
ブランディングに成功すれば競合との差別化を図れるだけでなく、ファンを増やすことで長期的な業績向上にもつながります。
本記事では、ブランディングのメリットやブランディングを成功させるためのポイントなどについて解説します。
\ブランディングのあれこれをまとめました/
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ブランディングとは、ブランドに対する共感や信頼を通じて価値を高める取り組み、またはブランドそのものを形作るプロセスのことです。
「そもそもブランドとは何か」を理解しやすくするために、ここではひとつの例を挙げて説明します。
例えば「スターバックスコーヒー」と聞くと、多くの人が「おしゃれで落ち着いたカフェチェーン店」「自分好みにカスタマイズしたコーヒーを飲める」「季節限定メニューが充実している」などといったイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。
「スターバックス=おいしいコーヒーを提供するおしゃれなカフェ」として多くの人に認知されているということは、スターバックスコーヒーのブランドが世の中に根づいている証拠です。
このように、ブランドとは「自社独自の価値」を指します。金銭や不動産とは異なり実態のない無形資産ですが、多くの人の印象やイメージに大きな影響を与えるものです。同じく、スターバックスを例に挙げて説明します。
1971年にアメリカ合衆国ワシントン州シアトルで誕生したスターバックスも、最初は名もないコーヒーショップでした。それが今や世界80ヶ国以上に展開し、店舗数は4万店以上(2024年9月時点)となる一大バリューチェーン店に拡大。大きな成功要因として、ユーザーの心理に「コーヒーと言えばスターバックス」という目に見えない価値を構築し浸透させたブランディングがあると言われています。
高品質のコーヒーが飲めるだけでなく、以下の一例にあるような「コーヒーを通じたさまざまな体験価値」と唯一無二の存在感がスターバックスの強みです。
ブランディングには、目的や対象によってさまざまな種類があります。ここでは代表的な3つを紹介します。
企業ブランディング(コーポレートブランディング)とは、企業全体の価値や信頼性を高めるためのブランディング戦略のことです。
企業のミッション・ビジョン・価値観を明確にし、顧客・投資家・求職者・取引先などのステークホルダーに一貫したイメージを伝えることを目的としています。
コーポレートブランディングについては以下の記事で詳しく解説しています。 企業価値を高めるコーポレートブランディングの考え方 |
商品ブランディング(プロダクトブランディング)とは、特定の商品やサービスに対して行うブランディング戦略のことです。
市場での差別化を図り、消費者に対してブランドの認知度・信頼性を高め、購入意欲を向上させることを目的としています。
採用ブランディングとは、企業が求める人材に対して、自社の魅力や価値観を発信するブランディング戦略のことです。
企業の理念や働き方、職場環境などを一貫性のあるメッセージで伝えることで、企業のブランドイメージを向上させ、求職者とのマッチング精度を高めます。優秀な人材の確保や定着率の向上につながり、長期的な企業成長にも貢献できるのが特徴。近年はSNSやオウンドメディアを活用した発信が重要視されています。
採用ブランディングに重要な“採用インタビュー”については以下の記事をご覧ください。 採用インタビューの重要性とは |
ブランドは「高価だから」「デザイン性が良いから」という理由だけで価値が高くなるというわけではありません。ブランドにおいてより重要なのは、ブランドに込めた企業側の意図と、ユーザーや顧客が抱く企業やサービス、商品へのロイヤリティー(愛着や愛情)の一致です。
企業やサービス、商品独自の資産価値を広めて認知させる活動のことを、ブランド構築(=ブランディングの一部)と言います。
ここではブランドが持つ資産価値をベースに、企業ブランドを構築するために特に重要な以下の3つの要素についてお伝えします。
なお、ブランド認知→ブランド連想→ブランドロイヤリティのステップでブランドを確立するためには、「自社の見えない価値とは何か」「競合に負けない強みは何か」などをしっかりと分析・把握することが重要です。
ただし、現代のような高度情報化社会では、インターネット上にさまざまな情報が溢れているため、他社との差別化やファンを増やすことは非常に難しいと言えるでしょう。だからこそ、顧客の期待に応え、選ばれるブランドの構築が不可欠なのです。
ブランド認知とは、一般的に広く認知されたブランドイメージが正しく認識されているかを指します。「その企業が好きか嫌いか」ではなく、「無意識のうちに認識しているブランドイメージ」です。そもそも自社の強みやサービスの特徴を正しく世間に広められなければ、認知されることは難しく、リピーターやファンも生まれません。
スターバックスであれば、あの緑の看板を誰もが知っていることに加え、「季節限定のフラペチーノがおいしい」「内装がおしゃれでくつろげる」といったブランドイメージが認知されています。
ユーザーがブランドについて思い浮かべる一連のイメージが、ブランド連想です。
例えば、家具・インテリア用品を展開するニトリは、コスパの良いインテリア家具が手に入るのが特徴です。それだけでなく、シーズンごとの雑貨や家族・友人へのプレゼントになるセンスのいい商品が数多く販売されており、「欲しいものが必ず見つかる」という連想につながります。
企業やサービスに愛着が湧いて、リピートして購入したり継続してサービスを使い続けたりする割合が高い状態が、ブランドロイヤリティです。
「Apple製品はUIデザインがよく使いやすい」など、ほかの企業にはないブランド価値を提供すると、ブランドに対しての信頼度が高い「ロイヤルカスタマー」としてファン化が見込めます。
ブランディングは単にロゴやスローガンを作るだけではなく、企業や商品の価値を高め、競争優位性を確立するための重要な戦略です。
適切なブランディングによって企業や商品は市場で確固たる地位を築くことができ、長期的な成長につながります。ここでは、ブランディングを実施する主なメリットについて解説します。
現代の市場では、同じような商品・サービスが数多く存在し、競争が激化しています。ブランディングは他社との差別化を明確にし、消費者に選ばれる理由を作ることができます。
ブランドの価値が確立されていない商品は、価格のみで比較されやすくなります。しかし、ブランディングによって「このブランドなら信頼できる」「価格以上の価値がある」と認識されると、価格競争に巻き込まれにくくなります。
ブランディングが成功すると、顧客はそのブランドに愛着を持ち、リピート購入するようになります。また、ファンが増えることは口コミによる新規顧客の獲得にもつながります。
消費者がブランド独自の価値を理解しやすくなると、広告やマーケティングの効果が向上します。また、認知度が高まれば新規顧客の獲得にかかるコスト削減にもつながります。
ブランディングは企業の独自性を確立し、ステークホルダーとの強い絆を築くための活動です。
ブランディングの進め方としては、以下のような7つのステップで進めます。
各ステップの詳しい内容は、以下のホワイトペーパーで解説しています。ぜひご覧ください。
\ブランディングの進め方を網羅/
効果的なブランディングを実現するためのポイントを解説します。
企業のミッションやビジョンが明確でないと、ターゲットや市場に伝わりにくく、ユーザーのブランドに対するイメージがブレやすくなります。そのため、ブランディングを成功させるには「なぜこのブランドを作るのか?」という目的を明確にすることが重要です。
どのような顧客に向けたブランドなのかを明確にし、そのターゲットが求める価値を提供することが成功の鍵です。ターゲットが曖昧なままだとメッセージが分散し、ブランドの印象が弱くなってしまいます。
ターゲット設定については以下の記事をご覧ください。 ターゲティングとは?メリットやフレームワークを解説 |
ブランドのメッセージやデザイン、トーンがバラバラだと、消費者に混乱を与えてしまいます。一貫したブランドイメージを保つことで信頼感や安心感が生まれ、ブランド認知度が向上します。
単なる商品やサービスの提供ではなく、顧客とのつながり(エンゲージメント)を意識することはブランドの成長につながります。SNSやイベントなどを活用し、ブランドのファンを増やすことが効果的です。
市場には同じような商品・サービスが溢れているため、競合との違いを明確にしましょう。「他社にはない独自の価値」を打ち出せば、顧客に選ばれやすくなります。
消費者は、ロジックよりも「ストーリー」に共感しやすい傾向があります。ブランドの誕生背景や創業者の想いを伝えることで感情的なつながりを生み出せば、ブランドの魅力を高められるでしょう。
市場環境や顧客ニーズは常に変化しているため、ブランドの方向性を定期的に見直し、必要に応じたアップデートが重要です。時代に合った価値を提供し続けることが、ブランドの持続的な成長につながります。
最後に触れたように、ブランディングを成功させるには自社や事業・サービスなどを客観的に捉え、「他にはない独自性」を明確にしましょう。主観的な視点だけではターゲットとの認識にズレが生じやすく、共感を得づらくなってしまいます。
客観性を担保するには、ブランディングに第三者の視点を取り入れることも効果的です。専門家やパートナー企業の支援を受ければ、ブランディングの精度も高まります。
株式会社ファングリーでは、お客様の目的や課題に合わせてブランディング支援を行っております。コンセプトや方針の策定からクリエイティブの企画制作まで一貫したご支援も可能ですので、ブランディングをご検討中の企業様はお気軽にお問い合わせください。
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\ブランディングのあれこれをまとめました/
ブランディングに関する以下の記事もご覧ください! 大企業のブランドメッセージ事例 中小ベンチャー・スタートアップのブランドメッセージ/タグライン事例 リブランディングとは 【ビール業界のPR事例】よなよなエール |
執筆者
コンテンツディレクター/ライター
MIHO SHIMMORI
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。