動画プラットフォームとしておなじみのYouTube。人気もニーズも年々高まっており、近年では個人だけでなく、多くの企業も活用しています。ただし、YouTubeの運用は手軽に始められる反面、「期待したような成果が出ない」「スムーズに制作できない」「思わぬトラブルに遭遇した」といった声を耳にすることも珍しくありません。
本記事では、YouTubeに動画を投稿する方法・流れやYouTube動画制作ならではの注意点、依頼先選びのポイントなどを解説します。企業チャンネルで動画公開を検討している担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
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自社でYouTubeを活用をしようと考えている企業は少なくないでしょう。しかし、YouTubeチャンネルの運営には、事前準備から動画の作成、アップロード、その後のデータ解析まで多くの手間がかかります。まずは、自社で企業チャンネルを制作するときの具体的な方法・手順を確認しておきましょう。
YouTube撮影の前に、要件整理を行います。特に大切なのが、次の5点です。
動画の制作するうえで、明確な目標とターゲットの設定は重要なポイント。「誰に見てほしいか」「何を伝えたいか」が不明瞭では、ユーザーの行動変容を促すことはできません。目的には、「認知度の向上」「商品販促」「採用数アップ」などが該当します。ターゲットは、その動画を主に見て欲しい人の年齢や性別、趣向などを示すもので、いわば「マーケティング上の対象」です。
YouTube動画の撮影には機材が必要です。機材が自社にない場合は、必要性に応じて購入やレンタルでそろえなければなりません。まずはカメラや三脚、照明、マイクなど、必要な機材をリストアップしてみましょう。
動画の撮影や機材をそろえるための予算も欠かせません。機材や作業にかかるコストを吟味した上で、不足のないように適切な予算設計を組みましょう。
締め切りが設定されていないと「忙しくて先延ばしに……」となってしまう恐れも。また、協力者を募ったり外部パートナーに依頼したりすることも難しいでしょう。しっかりとプロジェクトを進行させるためにも、設定した公開日から逆算して制作スケジュールを組むことが大切です。
動画は、「撮ること」よりも「撮る内容」が重要です。目標達成に向けた内容の企画をしっかりまとめて、企画書に落とし込みましょう。企画をきちんと練ることで内容が充実するのはもちろん、制作も円滑に進めやすくなります。
動画の内容に関しては、1つの動画にあれもこれもとメッセージを詰め込むと、伝わりづらくなってしまうため注意が必要です。「1動画=1メッセージ」に絞り込むと、視聴者にメッセージを届けやすくなるでしょう。
YouTubeで動画をアップするには、Googleアカウントが必要です。既存の会社用Googleアカウントを使用するか、新たにアカウントを作成してYouTubeにログインしましょう。
この状態でもすぐに動画をアップできますが、Googleアカウントに登録した名前がそのままチャンネル名になってしまうため注意が必要です。個人ではなく企業としてチャンネルを運用する場合は、「ブランドアカウント」を作成しましょう。ブランドアカウントは複数作ったり、他のユーザーと共同で管理したりできます。
PCからYouTubeにログインし、アカウントの「設定」にアクセスします。アカウントタブの「新しいチャンネルを作成」をクリック。ブランドアカウント名がチャンネル名となるので、オリジナルのチャンネル名を入力しましょう。
ブランドアカウントを作成したら、チャンネルのアイコンや概要などを設定しましょう。公式サイトや商品サイトなどのURLを記載することも可能です。
企画者と制作者が異なる場合は打ち合わせを行います。企画者は企画書や台本を作成し、制作者とともに内容の細かい部分を詰めていきましょう。動画の目的やゴール、ターゲット、伝えたいメッセージなどを明確にしておくと、撮影イメージが共有しやすくなり、撮影・編集のアイデアをたくさん出してもらえるかもしれません。
トラブル軽減のため、予算・納期などの必要事項もあらかじめ伝えておきましょう。
企業チャンネルの動画には、自社の社員が出演することも少なくありません。撮影前に、出演者のスケジュール調整をしておきましょう。事前に企画書や台本を渡し、話すテーマや内容を考えておいてもらうと撮影が滞りなく進みます。
カメラマンを雇う余裕がない場合は、撮影も社員が行うことになります。事前にカメラワークの基本テクニックなどを把握しておくと、より見やすい映像を作成できるでしょう。
撮影の際は、背景にも気を使っておきたいところ。「背景がごちゃごちゃしている」「背景が内容とかけ離れたイメージを与える」といった場合、視聴者が動画の内容に集中できない恐れがあります。撮影のためのブースを用意するなど、環境を整えておくと安心です。また、三脚などでカメラを固定し、手ブレがないように撮影しましょう。
撮影した動画を編集します。シーンのカット、つなぎ合わせ、アニメーション・テロップ・BGM・効果音・ナレーションの挿入など、ユーザーが最後まで興味を持って視聴できる動画を制作しましょう。
企業チャンネルへのアップロード前に、動画のチェックは欠かせません。YouTubeのコミュニティガイドラインを順守しているか、著作権を侵害していないか、といった基本的なポイントはもちろん「目的に沿っているか」「ターゲットに伝わる映像になっているか」「わかりづらい表現や演出はないか」など細部まで確認しましょう。
完成した動画をYouTubeにアップします。その際、下記の各種設定を忘れないように行いましょう。
概要欄には、動画の内容をわかりやすく記載します。文字を書き込むことでSEO対策にもなるため、必ず記入しましょう。
チャンネル内の別動画の宣伝や自社サイトのリンク、SNSのアカウントなどの情報も記載しておくと、動画を見た視聴者に「次に取ってほしい行動」を示唆できます。
企業としてYouTubeを活用したいなら、「動画をアップロードして終わり」では意味がありません。必ず、YouTubeアナリティクスを用いてデータを確認しましょう。YouTubeアナリティクスは無料で利用でき、再生数・視聴者数・リーチ数・視聴状況などを確認できます。
アナリティクスのデータをもとに、チャンネルの改善を行います。反省点をふまえて次の企画や撮影に活かしましょう。こうしたPDCAを回すことで、動画の品質改善や視聴率向上につながります。
自社でYouTube動画を制作・アップロードする際は、ファイル形式や容量の制限といった問題から著作権違反などの法律問題まで、さまざまな点に気を付けなければなりません。
ここでは、動画制作時の注意点について解説します。
YouTubeに投稿できる動画の容量には、制限があります。
128GBは、フルHD動画でおよそ20時間前後。ただし、これは動画1本あたりの制限で、チャンネル全体の制限はとくにありません。そのため、仮に1本の動画が制限に引っかかった場合は、「動画を圧縮する」もしくは「分割してアップロードする」ことで解決できます。
1日のうちに多数の動画をアップロードすると、「アップロード上限に達しました」というメッセージが出ることがあります。アップロード上限の具体的な数字は公表されていませんが、制限がリセットされるのは24時間後です。次のアップロードが可能になるまで、1日待たなければならないので注意しましょう。
動画ファイルにはさまざまな形式があります。YouTubeでサポートしている動画のファイル形式のうち、主要なものを見ていきましょう。
YouTubeでは上記のファイル形式をはじめ多くのファイル形式をサポートしていますが、特にYouTubeが推奨しているのは「MPEG4(.mp4)」です。高画質でファイルのサイズが抑えられるため、どの形式にすればよいか迷った場合はMPEG4にするとよいでしょう。
サムネイル画像は動画の表紙のようなアイキャッチ画像のことで、YouTube画面の「ホーム」「関連動画」「検索結果」に表示されます。
サムネイルには「自動生成」と「カスタム」の2種類があります。自動生成とは、YouTubeが自動で一部を切り取ってサムネイルにするもの。「カスタム」の場合は、投稿者自身でサムネイルを設定しなければなりません。
視聴者は、表示されたサムネイルとタイトルを見て視聴するかどうか判断します。動画の再生回数を増やしたい場合は、「カスタム」でオリジナルのサムネイルを作成・設定するのがおすすめです。なお、サムネイルの設定にはアカウント認証が欠かせません。サムネイルとタイトルで動画の内容を分かりやすく伝えると、ユーザーに最後まで視聴してもらえる可能性が高まります。
YouTubeでは、視聴者がその動画を不適切だと感じた場合に「違反報告」できるシステムがあります。アカウントが違反報告されると、YouTube側が「コミュニティガイドライン」に沿って審査を行い、必要に応じて動画を削除する、または年齢制限を設けるという流れです。
場合によっては動画が削除されるだけでなく、アカウントそのものが停止されることもあります。コミュニティガイドラインをよく読み、禁止事項に触れない動画を作りましょう。主な禁止事項は以下の5つです。
著作権とは、作品を創作した人が持つ権利のこと。著作権侵害は動画削除の対象となるだけでなく、権利者から訴えられる可能性もあるため特に注意が必要です。
著作権には、大きく2つの種類があります。
これらの権利を侵害すると、差し止め請求や損害賠償請求などが行われる恐れがあります。企業の信頼が損なわれることにもつながるため、著作権の侵害には細心の注意を払いましょう。
著作権を侵害しないためには、音楽や画像などの著作権について事前によく確認する必要があります。著作権が設定されているものを利用したい場合は、「出典を明らかにして引用の範囲でとどめる」「本人の許可を得る」「著作権を買い取る」などの対策をしなければなりません。
現在、YouTube制作ではテレビ業界からの参入も増えており、企画・編集のクオリティは数年前よりも全体的に向上しています。そのため、「企業でYouTube制作(運用)を行うのはハードルが高い」と感じる方も少なくないでしょう。そのような場合は、動画制作会社への依頼を検討するのも手です。しかし、制作会社によって動画のクオリティレベルは大きく異なるのが実情です。仕事を引き受ける幅(対応範囲)も依頼先によって大きく異なるため、事前の確認が欠かせません。
ここでは、動画の制作会社を選ぶ際に意識しておきたい3つのポイントを解説します。
YouTubeの動画制作には相応の予算が必要です。そのため、「できるだけ安くしたい」と考える方もいるでしょう。しかし、金額が安いというだけで発注先を決めるのは危険です。
一口に動画制作会社と言っても、テロップを入れるだけの編集のみを引き受けている会社から、企画・構成・アナリティクス分析まで総合的に対応している会社までさまざま。納得いくレベルのチャンネル運用がしたいなら、「どこまで引き受けてくれるのか」「実績としてどのような作品を制作・納品しているのか」といった点について事前に確認しましょう。
YouTube動画制作の目的は「売上アップ」「知名度の向上」「自社サイトへの誘導」など企業に凝って異なるはず。しかし、ただキレイな映像を作っただけで目的を達成するのは難しいでしょう。そのため、制作会社の動画マーケティングの知識・経験は確認しておきたいポイントです。
とくに、複数回にわたって動画制作を依頼する場合は「分析・検証を繰り返して企業チャンネルのPDCAが回せるか」「広告運用などの提案があるか」なども確認しておきましょう。自社のビジネスについて的確に理解してくれる制作会社であれば、目的達成へと導いてくれることが期待できます。
動画ができ上がった後で「考えていたものと違う」となった場合、トラブルに発展することも考えられます。見積書に記載されていない追加費用が発生し、予算をオーバーしてしまうこともあるかもしれません。
また、クオリティの高い動画が上がった場合でも、納期から大幅に遅れてしまうと機会損失につながります。双方の見解の相違を防止するためにも、事前に見積書・契約書の内容を細かく確認しておくと安心です。
YouTube動画は人気の高いコンテンツなので、上手に活用できれば大きな効果を得ることが可能です。そのためには、多くのユーザーに見てもらえるように、そして一度視聴したユーザーにより興味を持ってもらえるように、動画を企画することが大切。合わせて、企業YouTubeチャンネルの場合は「見せ方」「見られ方」の一貫性を意識することも忘れてはいけません。
動画を企画・制作する際は、「目的」や「ターゲット」がブレないように意識するとともに、余計なトラブルを避けるためにも、YouTubeのガイドライン違反や著作権違反に注意しましょう。
また、基本的に動画投稿はすぐに効果が出るものではなく、1回、2回の投稿でやめてしまっては意味がありません。動画をいくつも投稿し、分析と改善を重ねてPDCAを回すことで、コンテンツのクオリティは向上し、少しずつ効果が現れます。長期的な視点で粘り強く運用することが、結果として自社や商品・サービスの認知を高めるための近道と言えるでしょう。
リソース的、技術的に自社での制作や運用が難しいという場合は、外部パートナーへの依頼を検討するのがおすすめです。
株式会社ファングリーでは、YouTube動画の制作を承っています。これまでも、企業ブランディング動画やインタビュー動画をはじめ、マーケティング視点を踏まえた多くの動画コンテンツを制作してきました。企画段階からのご相談や運用体制に関するお問い合わせにも対応していますので、YouTube動画制作についてお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
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