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Interview

# 3

インナーもアウターも「FUN」がコアメッセージ 「一緒に楽しもう」というスタンスで仕事をしたい

株式会社ポイント

代表取締役社長

服部 健一郎(はっとり・けんいちろう)

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「コンテンツプロデュースカンパニー」を標榜する株式会社ファングリーの代表、松岡でございます。

コンテンツ界隈で活躍している方々をゲストにお招きして聞きたいことをズバズバ聞いてみるという企画、第3話は株式会社ポイントの代表で、バンタンデザイン研究所やデジタルハリウッドで講師も務めている服部健一郎さんにお話をお聞きします。

原宿にオフィスを構えるポイント社は、「『FUN!』をつくれるクリエイティブ」を掲げる制作会社。その「FUN!」に込めた意味や、UI・UXデザイナーとしても活躍する服部さんがどういう想いでコンテンツに向き合っているのかについて伺いました。

服部 健一郎(はっとり・けんいちろう)

株式会社ポイント

代表取締役社長

服部 健一郎(はっとり・けんいちろう)

広告制作会社で大手広告代理店のナショナルクライアントを中心としたチームに在籍し、数々のデザイン業務を経験すると、独立後の2009年に「Webデザイン×ブランディング」に特化した株式会社ポイントを設立。戦略立案・企画から取材・撮影まで精力的に対応する傍ら、デジタルハリウッド東京本校ではグラフィックデザインやUI・UXデザイン、バンタンデザイン研究所東京校では動画編集、UI・UXデザイン、コーディングをテーマにしたクラスの講師を務める。

評判が人を呼び、「その人と一緒に仕事がしたい」人が集まる

──本日はお時間をいただきありがとうございます。

こちらこそ、お声がけいただきありがとうございます!

──『C-NAPS』は、Web担当者や広報、編集者など、主にコンテンツマーケティングやブランディングを担当している方に向けて有益な情報を発信しています。服部さんはクリエイティブの最前線でお仕事をされており、インタビュイーとして打ってつけの方です。

よろしくお願いします。期待を裏切らないように頑張ります(笑)。

──今、ポイント社はどんな体制でサービスを提供しているのですか?

今は正社員が10人で、そのほかに業務委託のスタッフを雇っています。全部で30人くらいでしょうか。

──セールスやマーケティングの担当者もいるんでしょうか?

いえ、うちの社内に営業部隊みたいな役割のスタッフはいないんです。その代わりプロデュース会社とか広告代理店の担当者さんとつながっていて、そこからクリエイティブ系のいろんなお仕事をいただいています。

──なるほど。大手向けのクリエイティブだと代理店経由のお仕事は多くなりそうですね。

最近で特に多いのは、ECサイトの立ち上げ関連ですかね。あとは、メーカーさんがオンライン上で直販する際のシステム構築とか。もともと商社などを通して売っていた製品を、オンライン上で販売したいというメーカーさんが増えてきているんです。

──デジタルが主流になって、D2C(Direct to Consumer)の市場ニーズは拡大しています。

そうなんです。あとは、プロモーションサイトの制作依頼も多いですね。そういった事情もあって、基本的に当社にはエンジニアとデザイナーが多く在籍しています。エンジニアが増えてきたのは5〜6年前からだと思います。

──ポジションにもよると思いますが、エンジニアの採用は難しそうですね。

はい、自分の周りにある会社の話を聞くと、どこもけっこう困って泣いている感じだと思います。私たちの会社も、最初の2、3名ぐらいのときは採用にかなり苦戦しました。でもいい人がいると、「評判が人を呼ぶ」ではないですが、「その人と一緒に仕事がしたい」といった感じでけっこう人が集まってくるんですよ。エンジニアの人は、エンジニアがいるところに行きたいみたいで(笑)。戦略をもって採用活動をしたというよりは、結果として集まってきたという感じです。

──いわゆる「一人目理論」ですね。デザイナーやエンジニアは特に「最初の一人目が重要」とよく言われます。

採用でよく使われているビジネスSNSでいろいろ発信していたら、「これからクリエイティブをやりたい」「キャリアチェンジしたい」といったメールが月に数件くらいの頻度で届くようになって。で、そういった人たちをアルバイトや業務委託で雇って、いい人がいたら正社員登用して……という地道な活動ですね。もちろん辞めてしまった人もいますが、長く働いてくれている人もいます。

──人を集めるために、戦略的に情報発信しているんですか?

戦略という意味では、面接のときとかに「明るく仕事をしよう!」「楽しもう!」みたいなメッセージをあえて出すようにしています。普段は仕事の面白さについてあまり人に話すようなこともないですし、どちらかというと“コミュ障”なので面接でも基本はそんな感じなのですが(笑)、最後に「仕事を楽しむ」みたいな話をちょっとするとみなさんいい意味で驚いてくれますね。

──“コミュ障”(笑)なのに、講師やイベントのオーガナイザーでもある。服部さんはいい意味でギャップがあって面白いです。

あとはデジタルハリウッドやバンタンでスピーカー(講師)をしているので、そこでの知名度が多少採用にも役に立っているのかもしれません。

「頑張る人を応援したい」という想いから講師という選択をした

──服部さんはもともとデザイナーだったんですよね?

はい。もともとはグラフィックデザイナーでしたが、前に勤めていた会社がなくなってしまい、そのときに今の会社を立ち上げました。Webデザインは社会人になってから学び始めましたね。宣伝会議が運営している、社会人向けのアートディレクター養成講座に通っていました。

──服部さんはどこかひょうひょうとしていてクリエイターっぽいなと思う一方、ストラテジスト(戦略立案の専門家)らしさも感じます。

私はすごくよく言えばハイパーフォーカスというかアート思考なところがあって、頭で考えて集中しているときとそうでないときが別人のようだと言われることもあります。本来の自分は後者かなと思っています。戦略を考えたりするよりは、ただ絵を描いていたいというか(笑)。仕事ではせっかちなところが出てしまうのですが、そういった性格がいい方向に働いているのかもしれません。

──約30名のスタッフを抱え、ちゃんと事業を伸ばしているのはすごい。

ちょっと古いかもしれませんが、クレドを使った会議で社員への啓蒙・浸透を図る、といった取り組みをやっています。いくら入社前の面接でその人のことを知ろうと思っても、限界があるじゃないですか。ベクトルが同じ人が集まって来るとはいえ、ピッタリの人はなかなかいません。だからこそ、じわじわと少しずつ浸透させていく必要があると思っています。

イベントなどでは私がスピーカーをやっています。いろいろと試してみたのですが、対外活動はだいたい私一人でやり、最近はスタッフをそこにあまり巻き込まないですね。

──「人前に立って話す」という活動の裏側には、服部さんのどんな想いがあるのでしょうか?

「頑張る人を応援したい」「これからクリエイティブをやりたい人に何かを伝えたい」という気持ちが結構あって。その想いを何かに昇華できないかなと考えて、専門学校の講師になるという選択をしました。対外活動に関しても同じような感じですね。やるべきこと・配慮すべきことがいろいろあるので講師の仕事はあまり費用対効果が高くないかもしれませんし、話すのは得意ではないですが、少しでも若い人たちのためになるなら頑張ろうかなと。

──講師はオンラインでやられているのですか?

今は業務との兼ね合いでオンラインでのサポートがメインですが、やはりリアルのほうがいいですね。オンラインだと、やっているのかやっていないのかわからなくなることがあるので(笑)。オフラインのときは授業後にみんなでお昼を食べに行くんですが、そういうのが大事だと思っています。


ありがたいことに、いろんな生徒が「服部先生はこう話してくれるからいい」とか言ってくれるんです。生徒たちにどう見られてるかわからないですけど、きっと友達みたいな感じなんだと思います。尊敬の念を持たれるのも大事ですが、利己的にヒエラルキーを発生させると、「正しい教え」であっても素直に受け入れてもらえないですからね。

──「つながり」という意味でいうと、オンラインとオフラインでは結びつきの強さが全然違う気がします。

そうですね。みんな、本当は対面でもっといろいろ話したいのかなと。

「対立構造」に身を置くのは楽しくない

──先ほど採用のお話もありましたが、今後、服部さんは会社や事業をどのようにしていきたいですか?

もっと会社として稼ぎたい、会社を大きくしたい、というビジョンはあります。ただ、一気に採用を動かすとうまくいかないことも多いですからね。今は不定期ではありますが、継続して気になる人を地道に集めている段階です。若くて、考え方がちょっと変わってる人を希望(笑)。

会社を大きくして「やりたいこと」は、リスキリング(学び直し)の支援ですね。今は私一人でやっている講師としての活動を、一緒になってやってくれる人を見つけてスケール感を出したいです。

──一貫して「ギバー」ですよね。そのあたりの想いは、誰かに影響を受けたりしたのですか?

リバティー(Liverty)という、社会からドロップアウトした人を育てることをコンセプトに掲げている会社があります。そこは「世の中の枠組みや空気に苦しくなった人たちが集まる居場所」として、「リバ邸」という“駆け込み寺”の役割を持ったシェアハウスを各地で運用しているんです。私も規模は小さいながら「若い人を応援する」といった思いを持って活動しているので、共感できるというか、本質的で面白い活動だなと思います。

──自社のサービスなどに「FUN!」という言葉をあえてたくさん使われていますが、どういった想いを込めているんでしょうか?

私たちの仕事って、何かと対立構造で語られることが多いんです。例えば、企業と顧客、ベンダーとベンダー、クライアントと制作会社、部署Aと部署B、といった感じですね。「どこと利害が合わない」とか、「どこが足を引っ張っている」とか、責任の押し付け合いは割とよく発生しますよね。

私もいろんな制作プロジェクトを経験していますが、依頼側(顧客や上流工程)が「明日までにやって」といったコミュニケーションをしているケースではうまくいかないことが多い気がします。

その一方で、「プロジェクト自体を一緒に楽しもう」というスタンスだとうまくいくことも多い。その「楽しい(FUN)」に注目したわけです。「みんなそれぞれの責任や大変なことはあると思うけど、『FUN』ならいいじゃないか」と。

──意味は異なりますが、私たちの社名(ファングリー)にも「FUN」を冠しているので共感できるところがあります。

それぞれがステークホルダーとの対立構造に身を置くのではなく、「FUN」な関係性を作れたらいいなと思って。サービス名にも入れました。ちょっと建前なところはありますが、私たちが「FUN!」を意識するだけで解消できることもあるはずです。

──代理店案件も多いというお話でしたが、なかなか一筋縄ではいかない状況に対する反骨心やプライドのようなものを強く感じます(笑)。

そうかもしれませんね(笑)。クライアントワークで感じる「不」を「楽」に変えていきたいという気持ちは確かにあります。

──今日のインタビューを通して、自社のマーケティング活動以上に一貫して若い世代のクリエイターたちにご自身の技術やノウハウを伝えていきたい、という強い想いが伝わってきました。

はい、将来的には若い世代のクリエイターたちの育成に関わるような事業を展開していきたいと思っています。

──こんなにシャイな感じの服部さんがイベントの主宰や講師業に精を出しているのかがよくわかりました。今後のますますの活躍に期待しております。本日はありがとうございました!

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INTERVIEW インタビュー

ファングリー代表の松岡がコンテンツ界隈の方たちをゲストに迎え、「ここだけの話」を掘り下げるインタビュー企画です。

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