あるターゲットに商品やサービスを売るには、その世代ならではの価値観や行動に合わせたコンテンツ設計が欠かせません。特に今、ビジネス拡大のために注視したいのが、成人年齢に達しこれから経済活動の主役となっていく、いわゆるZ世代です。Z世代は情報収集の手段を多く持っているため、タッチポイントを作りやすいターゲットと言えます。
そこで本記事では、リアルZ世代の筆者が、Z世代に「ほしい!」と思ってもらうためにはどのようなコミュニケーションが大切なのか、化粧品・コスメのPRコンテンツの成功事例を参考に、効果的なコンテンツマーケティング戦略について詳しく解説していきます。
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Z世代のほとんどは、「初めて持った携帯がスマホ」という超デジタルネイティブ世代。実際に筆者も、初めての携帯として、小学校6年生の時にスマホを手にしました。
では、そんなZ世代の情報収集にはどのような傾向があるのでしょうか。
そもそもZ世代というのは、1990年代後半~2000年代に生まれた世代のことです。対して、ミレニアル世代は、1980年代~1990年代前半生まれの人々を指します。
年齢にそこまで大きな差はありませんが、たとえば同じ「若い女性」のくくりであってもZ世代とミレニアム世代とでは行動も思考も全く異なります。
Z世代(23歳女性) | ミレニアル世代(31歳女性) | |
仕事・勉強の悩み | ・Instagram ・先輩や友人との会話(SNS) |
・検索エンジン ・先輩や友人との対話(飲み会) |
趣味・イベント | ・Instagram ・TikTok ・検索エンジン (求めるものが顕在化してから使用) |
・まとめサイト ・会員サイト(メルマガ) ・エリア別の情報雑誌 |
友人の近況 | ・Instagram (投稿、ストーリーズ) |
・Twitter ・一部Instagram (ストーリーズ) |
トレンドを知るきっかけ | ・Instagram ・TikTok ・女性誌デジタル版 (トレンド発信メディア) |
・テレビ(情報番組) |
コスメ選び | ・店頭 ・クチコミサイト ・ブランドサイト ・YouTube |
・〇〇受賞 ・ランキング上位から雰囲気の好みで選ぶ |
※株式会社ファングリー内でのヒアリングをもとに作成
これはほんの一例ですが、Z世代はSNSの使い分けが上手で、何を見れば自分の興味がある情報を得られるかを知っているという傾向が様々なマーケティング調査で明らかになっています。なんでもかんでも検索エンジンに入力することはしないため、Google検索を前提としたSEO施策でダイレクトな効果を得るのが難しい世代でしょう。
また、損害保険ジャパン(株)が2022年9月に行った調査によると、Z世代の「1日あたりの動画視聴時間」は「2.9時間」で、全世代で最多であるものの、そのうちテレビ視聴に当てられた時間は縦型ショート系動画のそれよりも「短い」ことが分かっています※。
※損害保険ジャパン株式会社調べ
さらに、ニールセン デジタル(株)による、スマートフォン視聴率情報「ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView)」のデータと消費者のマルチスクリーンの利用動向調査「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2020(Nielsen Digital Consumer Database 2020)」では、「Z世代の68%がテレビを見ながらSNSを利用している」との分析結果を発表。つまり、Z世代の多くがテレビを“ながら見”し、必ずしもテレビが発する情報に傾聴しているわけではないといえます。
これらのデータから、Z世代をターゲットに商品特長を訴求するなら、テレビCMよりも縦型ショート動画を選んだ方が効果的であると考えられます。YouTube動画やInstagramのストーリーズで広告を配信すれば、より効率よく認知を拡大できるでしょう。
ほかにも、
といった傾向を持つのがZ世代だといわれています。
確かに、筆者自身も中学・高校時代、地元の防災訓練に積極的に参加するなど、SDGsには興味を持っていました。特に筆者の住む地域はとりわけ地震が起こりやすく、高齢者の多い地域で、有事の際には自分がどのような役割を担えるかについて考えていたこともあります。
また、今考えると、無意識に「イミ消費」していたことも。東日本大震災後、被災地の復興に貢献したいとの思いから、福島県産の食材を販売するマルシェに足を運んで、野菜など積極的に購入していました。
Z世代の購入行動には、「有名ブランドだから買う」という安易な動機はあまりありません。そのため、Z世代へのコンテンツマーケティングでは、必ずしも「有名=売れる」わけではないことを意識する必要があります。
たとえば、Z世代がコスメの購入を検討する際、個々が持つパーソナルカラーや肌質をすでに把握した上で、自分に合うものを知りたいという明確な欲求を持っている場合がほとんど。「有名なものと、自分に合うものは違う」ことを心得ているZ世代にとって、数打てば当たる方式の広告は刺さらないのです。鮮度かつ確度の高い情報を常に求め続けているからこそ、その情報収集手段としてSNSを拠り所としていると考えられます。
また、Z世代に向けたPRコンテンツでは、SNS上での情報のパーソナライズ化も加味しなければなりません。情報がパーソナライズ化されることで、各々興味のあるコンテンツばかりが表示され、それ以外の情報には必然的に触れなくなる、いわば「フィルターバブル」と呼ばれる状態が常態化します。そのため、SNSを主な情報手段とするZ世代にアプローチするのであれば、SNSを中心に知名度が高いインフルエンサーとのコラボレーションや、店舗での体験型コンテンツで集客した上で、SNSでの拡散を狙うオムニチャネルのマーケティング戦略が効果的です。
Z世代に好まれるメッセージでは「自分ごと化できる」「自分らしさを楽しめる」の2つが重要です。
まず、「自分ごと化できる」とは、端的に言うと「メッセージに共感してもらえるかどうか」。Z世代はダイバーシティに寛容的で、SDGsをはじめとする社会問題にも関心が高いため、「“当たり前に”多様性を肯定している」メッセージが受容されやすくなります。
また、Z世代が個々のオリジナリティを表現でき、「自分らしさを楽しめる」コンテンツも好まれます。「コト消費」「トキ消費」が活発なZ世代なので、自分の好きをアピール(反映)できるパーソナライズやカスタマイズなどのサービスはとても魅力的です。さらに、こういったサービスは、Z世代の「自分に合うかじっくり検討してから購入する」という消費行動ともマッチするため、ニーズは非常に高いです。
一方、ソーシャルネイティブのZ世代には、「ヤラセ」は絶対にやってはいけません。コスパとタイパを重視するZ世代が広告に触れる際、見るか見ないかは「秒で判断」します。ヤラセを見抜く能力にも長けるため、嘘の演出は瞬時に「見ない」と判断されるはずです。
また、過剰に演出された広告に漠然とした不安感を覚えるZ世代にとって、そういった不安を払拭する信頼性の高い根拠の存在が重要になります。事実に基づいたビフォーアフター動画や正直な感想が有効的です。
Z世代と多くのタッチポイントを作りやすいコスメでは、さまざまな形で新たなPRコンテンツが打ち出されています。Z世代に効果的なマーケティング戦略を知ることで、TikTokやInstagram、YouTubeなどのSNSでトレンド入りを狙いやすくなり、アプローチの確度が高まります。
ここでは、Z世代に特にヒットしやすい5つのPRコンテンツの型を、実例とともに紹介していきます。
リーズナブルに高品質なコスメを提案するCANMAKE(キャンメイク)では、公式ホームページに自社アイテムを使用したメイクアップレッスンを公開しています。「陽だまりメイク」のキャッチーな愛称がZ世代の目を引きやすく、YouTubeや美容系SNSでも注目されるきっかけになりました。
ブランド発信の公式コンテンツのため「信用性が高く」、可愛らしいイラストのおかげもあって使用イメージが湧きやすいため、親しみを感じるコンテンツです。「こう使えばいいんだ!」というZ世代の自分ごと化へのニーズをしっかり捉えています。
春のやさしい温もりをまとった、陽だまりメイク|CANMAKE
若いユーザーも多い化粧品ブランド、Maybelline New York(メイベリン ニューヨーク)は、新作マスカラのPRにあたり、YouTube登録者数349万人(2023年8月時点)でZ世代からも絶大な支持を得る「平成フラミンゴ」をパートナーに起用。CM起用、SNSでの宣伝、実店舗での等身大パネルの設置など、インフルエンサーを積極的に活用することで新作マスカラの知名度アップと販売促進を達成しました。
人気インフルエンサーなのに親しみやすく、視聴者を元気づけてくれるキャラクターの平成フラミンゴは、まさにZ世代の「好き」の対象。そんな二人を広告塔に起用したことは、ファンにとっては「推し活」として宣伝商品を手に取ってもらうきっかけとなりました。また、インフルエンサーが実際に使用し、個々の言葉で感想を伝えてもらうことができるため、Z世代も受容しやすい自然なPRが可能です。
人気アニメーション「エヴァンゲリオン」とコラボしたKATE(ケイト)は、コラボ商品が発売開始からわずか1か月で完売するなど、人気ゲームやアニメにあやかった戦略で功を奏しました。
Z世代はいわゆる「エヴァ世代」ではないものの、作品の認知度は高く、ファンも一定数いたこと、ほかにコラボキャラクターである“綾波レイ”の姿がブランド哲学とシンクロしたことがコラボの実現につながりました。
誰もが知るエヴァンゲリオンとのコラボは、商品の魅力とターゲットの「好き」を紐づけ、結果的にZ世代にヒット。3Dアニメーション風のクリエイティブが現実とアニメの境目を曖昧にし、Z世代の「一度実物を見てみたい」という好奇心をくすぐったことで、PRコンテンツからコスメそのものに興味を引き寄せた好例です。
米山舞さん書下ろしの「ボーナスカット」解禁 KATE×エヴァンゲリオン コラボ動画「綾波レイ、はじめての口紅、その後」2月2日(火)より公開
AI(人工知能)やAR(拡張現実)の技術を利用して、自分の顔をデバイスに映し出し、メイクアップを施したかのように見せるバーチャルメイク。
COFFRET D’OR(コフレドール)では、バーチャルメイク機能「COFFmi(コフミ)」を搭載したコンテンツを公開することでPV数11.4倍、平均滞在時間2.48倍の増加に成功しています(未搭載ページ比)。
気になるアイテムを購入前に何度でも試せ、「思っていたのと違った」というネットショッピングならではの失敗を防げるため、「買い物は失敗したくない」という慎重派なZ世代にもマッチ。ほかにも、使用イメージが湧きやすいことからZ世代の心を動かしやすいコンテンツです。
KOSE(コーセー)が運営するコンセプトストア「Maison KOSE銀座」では、KOSEブランドのアイテムを数多く取り揃えながら、オリジナルデザインが楽しめるネイルドレッサーや、役割を終えた化粧品でのアート体験を含む全9サービスを提供。店内には、商品PRパートナーに起用したアイドルやアスリートのファンを呼び込む導線として、等身大パネル・衣装などの展示も定期的に行っています。
Z世代を中心に活発な「コト消費」の意識を刺激するコンテンツ設計や、不要な化粧品を活用するSDGsの取り組みでZ世代の集客に成功した事例です。体験型ショップでは、ビューティーアトラクションにプラスして、著名人による店頭プロモーションも可能なため、相乗効果を狙いやすくなります。
Z世代とのタッチポイントを作るにあたり、課題が多くなるのが制作工程です。特に、化粧品を商材としたコンテンツマーケティングの場合は、「薬機法上の制限」と「撮影コスト」をクリアする必要があります。
薬機法とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、医薬品等を製造、表示、販売、流通、広告を行う際に必ず関わってくる法律です。
化粧品、医薬部外品などカテゴリーごとに訴求できる内容は限られるものの、効果・効能として言えないものがあったり、注釈が必要になる説明があったりと制約の幅が広く、専門知識が求められます。そのため、「せっかく作ったコピー表現が使えなかった」なんてことも多々あるため、プロにお任せするのが得策です。
ビジュアルコミュニケーションが重要となるZ世代へのアプローチには、SNSなどで使用する素材の撮影が欠かせません。しかし、撮影ノウハウやリソースが足りないと中途半端なコンテンツになってしまうこともあり、内製で時間をかけて作ったのにターゲットに響かない場合も考えられます。
豊富な撮影ノウハウはもちろん、ターゲット層を理解したマーケティング知識をもとに、Z世代に刺さるコンテンツを設計することが大切です。
株式会社ファングリーでは、薬機法・医療広告ガイドラインの知識を習得し、YMAA個人認証を持つコスメPRの実績豊富なディレクターが品質管理を担当します。記事制作、コピーライティングは戦略設計からサポート可能!ターゲットや競合を分析したうえで最適のアウトプットに仕上げます。
経験豊富なプロによる撮影や動画編集にも対応しております。
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