BtoBのマーケティング手法として、近年注目が高まっている「リードナーチャリング」。獲得した見込み顧客を段階的に育成していくことで、将来的に自社製品やサービスの購買まで導くプロセスのことを指します。
これからのセールス・マーケティング領域においては非常に重要なプロセスであるリードナーチャリングについて、その重要性やメリット、実践にあたっての有効な手法までお伝えします。
Table of Contents
リードナーチャリングが重要視されている理由は、すぐに受注につながる「今すぐ客」の獲得が難しくなっていることが挙げられます。かつては営業担当者が新規アポイントを取りつけて商談を設定し、その場で受注契約を獲得することも珍しくなかったかもしれません。
しかし、現在は市場にさまざまな製品やサービスがあふれている状況です。よりよい商品・サービスを利用するために、比較をしたり時間をかけて検討したりするケースが増えてきました。特にBtoBの領域ではその傾向は顕著にあらわれています。結果的に、すぐに受注につながりにくく、「今すぐ客」の獲得が難しくなっているのです。
また、セールスやマーケティングのDX推進により、ビジネスにおいてもインターネットを活用して手軽に情報収集ができるようになった時代背景も影響しています。多くの企業がオンラインで情報を提供しているなか、将来的に自社製品やサービスを購買する可能性があるリードをいかに早期に獲得し、関心や検討の度合いを高めていくか=顧客を「育成」していくかがマーケティングの要となっています。
リードナーチャリングに取り組むメリットとして、まず挙げられるのが「見込み顧客の自社サービス理解を深められること」です。
リードナーチャリングは、継続的なアプローチが主流であり、このプロセスのなかでリードに対して自社製品やサービスの理解、信頼感を醸成できます。商品やサービスへの理解・信頼が深まることで、商談で受注に至る確率を向上できると考えられます。
リードナーチャリングは、既存顧客の掘り起こしにつながることも少なくありません。たとえば、過去に受注を逃してしまったケースであっても、リードナーチャリングのプロセスを通じて、再び顧客にニーズが生まれた段階で改めてアプローチをすることが可能になります。
リードナーチャリングはこれまで蓄積してきた顧客リストを無駄にすることなくマーケティング活動に活かせるため、機会損失を防ぐとともに、新たな機会を創出する手法としてもメリットが大きいと言えます。
新規顧客の開拓や既存顧客へのアップセル・クロスセルなどの提案などの営業活動は非常に重要ですが、セールス担当者がすべてをカバーするとなると負担が大きいでしょう。
マーケティング手法としてリードナーチャリングがしっかり機能すれば、セールス担当者がこれらに過剰なリソースを割く必要がなくなり、商談やクロージングといったコア業務に集中することができます。その結果、営業活動の効率が上がり、受注成果につながりやすくなるメリットがあります。
リードナーチャリングの代表的な手法であり、基本となるのが「メール」です。
メールマガジンのような形で顧客リスト全体へ一斉送信する方法はもちろん、より効果的なリードナーチャリングを行う場合は、さまざまな選択肢があります。たとえば、複数回に分けて徐々に購買意欲を高めるようなステップメールや見込み顧客のマーケティングフェーズごとに異なる内容のメールを送信する方法が挙げられます。
自社製品・サービスの特徴やマーケティングの課題に沿って、適切なメールマーケティングを行うことで、リードナーチャリングの効果が見込めます。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、急速に普及したウェビナーは、リードナーチャリングに有効な手法です。見込み顧客の特性に合わせてテーマを決定し、セミナーを開催することで関心を高めることにつながります。
対面でのセミナーは会場や運営スタッフの手配やその費用など、コストも手間もかかってしまう点が課題でしたが、オンライン上で完結するウェビナーであれば比較的手軽に開催することができます。参加者もわざわざ会場に出向く必要がないため、気軽に参加しやすいというメリットもあります。
また、ウェビナーの場合、録画ができたり、参加者とのチャット機能などで双方向的なコミュニケーションも図れたりします。録画したウェビナーは後日の見逃し配信にも活用できるなど、ツールを使いこなすことでさまざまなリードナーチャリングの施策につなげられます。
自社で運営するオウンドメディアも、見込み顧客に対するリードナーチャリングとして有効な手法の一つです。オウンドメディアでは、自社製品やサービスに関連するお役立ち情報やノウハウなどを記事コンテンツとして発信していく方法が一般的です。記事が更新されたら、見込み顧客のリストへメールなどで通知することによって、リードナーチャリングに役立てることができます。
オウンドメディア記事はマーケティングとしての効果はもちろん、自社の取り組みなどを発信することでブランディングにもつながる可能性があります。
ホワイトペーパーも、リードナーチャリングに有効な手法です。ホワイトペーパーとして発信する内容は、自社の製品やサービスに関する紹介資料だけでなく、独自の調査結果や自社のノウハウ、自社製品やサービスの導入事例をまとめた資料などが挙げられます。
リードナーチャリングに活かすには、オウンドメディア記事と同様に、公開されたらメールなどで見込み顧客のリストへ通知することが大切です。ホワイトペーパーの場合、ダウンロードするために個人情報の入力を必須とすることが一般的であるため、ダウンロードした顧客を把握しやすく、その顧客に対して直接インサイドセールスをかけるなどのアクションも可能になります。
近年、マーケティングの手法として活用シーンが広がっている動画も、リードナーチャリングに有効です。特にウェビナーの録画動画は、ライブ配信の当日に参加できなかった顧客にとって需要が高く、効果的な手法と言えるでしょう。そのほか、オウンドメディア記事で公開している内容の動画化やSNS用のショート動画など、さまざまなバリエーションがあります。
動画もホワイトペーパー同様に、動画を閲覧するにあたって個人情報の入力を求める方法も一般的であり、その後のインサイドセールスにつなげることができます。
リードナーチャリングを成功させるうえで、忘れてはならないのが顧客フェーズを意識することです。
当然ながら見込み顧客のなかには、まだ自社に興味関心を持っているだけの顧客もいれば、具体的な課題があり製品やサービスの導入を検討しつつある顧客もいるでしょう。それらのフェーズの異なる顧客に対して均一なコミュニケーションを図るよりも、顧客フェーズごとにどんな接点(タッチポイント)を用意するのが有効かを見極めて、質の高いコミュニケーションを図ることが重要です。
顧客フェーズごとのニーズや想定されるアクションを整理したカスタマージャーニーマップを設計し、どんな手法で顧客にアプローチすべきかを考えましょう。
リードナーチャリングは、一朝一夕で成果が得られる取り組みではありません。短期的に成果を得ようとせずに根気強く取り組む必要があるため、見込み顧客に対して継続的にアプローチできる仕組みをつくり、その運用体制を確立することが成功の秘訣と言えます。
単発の施策で終わらせてしまうのではなく、前述したカスタマージャーニーマップに沿って、一貫したマーケティング戦略のなかで見込み顧客にアプローチを続けていくことが重要です。
そのためには十分なリソースを確保しなくてはなりませんが、社内でリソースの調達が難しい場合やノウハウ不足に不安がある場合は、外部の支援会社にパートナーとして参加してもらうなどの選択肢も検討してみましょう。
見込み顧客を育成するリードナーチャリングは、ビジネスパーソンの行動変容やDX化の推進によってますます重要視されるようになっています。見込み顧客にアプローチする手法にはさまざまな選択肢があるため、自社のマーケティング戦略に則り、適切かつ有効な手法を実践することが大切です。
株式会社ファングリーではリードナーチャリングに効果的な手法を、戦略立案から実行まで一貫して承ることが可能です。リードナーチャリングへの取り組みを検討している企業様は、お気軽にお問い合わせください。
最新記事