※株式会社ENVYより寄稿いただいた内容を掲載しています。
「紹介営業だけで十分やれている」
「広告やSEO、SNSなどの施策も気になるけど、何から始めればいいか分からない」
そのような会社も多いのではないでしょうか。
紹介営業から脱却しようとして広告やSEO、SNSといった施策に取り組んでも、思うような成果につながらないケースがあります。その原因は、問い合わせ後の導線が整っていないことにあるかもしれません。
実は、紹介営業で成果が出ている会社の場合、「課題認識」「信頼形成」「比較検討」といった成果を出すために欠かせないプロセスを紹介者が担っているという背景があります。一方で、自社で取り組んでいるWebマーケティング施策では、その仕組みが抜け落ちていることが少なくありません。
本記事では、紹介営業で機能していた仕組みをWeb上で再現するために必要な「4つの階段」について解説します。
目次
紹介営業は、BtoB企業にとって非常に優秀な営業手法です。
既存顧客から新しい顧客を紹介してもらい、その顧客がさらに新しい顧客を紹介してくれる。このサイクルが回り始めると、下図のように顧客が連鎖的に積み上がっていきます。
また、紹介でつながる商談は、すでに一定の信頼を得た状態で始まります。そのため、広告やテレアポ経由の商談と比べて成約率も高くなりやすく、多くのBtoB企業が紹介を中心に成長しているのも自然なことと言えるでしょう。

一方、紹介営業には大きな弱点もあります。それは、自社で新規開拓をコントロールできないことです。
「来月は商談数を増やしたい」「採用を強化したい」「新規事業に投資したい」。そう思っても、紹介件数そのものを自社の意思で増やすことはできません。紹介が増えれば売上は伸びるものの、紹介が減れば新規商談も減る。つまり、紹介営業は非常に強力な仕組みである一方、成長スピードを自社で調整しづらいという側面があります。
そこで多くの企業は、紹介営業と並行して広告やSEO、SNSといった施策に取り組み始めるのです。しかし、ここで見落とされがちな点があります。
それは、紹介営業で成果が出ていた理由は、単に顧客を紹介してもらっていたからではないということです。実際には、紹介者が「その課題、この会社に相談してみてはどうですか」といった形で信頼を補完し、相手の課題を整理して相談する理由を作っています。
紹介営業任せの状態から脱却するために必要なのは、単純に集客数を増やすことではありません。紹介者が担ってくれていた役割を、Web上で再現することです。
紹介営業から脱却するための解決策が、下図のような「階段設計」です。

顧客は、商品やサービスを知った瞬間に問い合わせをするわけではありません。「認知 → 情報収集 → 比較検討 → 相談・商談」といった流れで進みます。Webマーケティングでは、顧客の関心度に応じて必要な情報を提供しながら、少しずつ受注へ近づける階段を作るプロセスが重要です。
ただし、施策を作る順番は逆です。最初に広告やSEO、SNSなどの認知施策から始めてしまうのは、失敗するケースの代表例。受け皿となる導線が整っていなければ、認知が増えても受注にはつながりません。
そのため、階段設計を考える際は、まず受注に近いところから作ることをおすすめします。具体的には、無料相談、ウェビナー、HP導線、認知施策の順です。認知から作るのではなく、受注から逆算して作る。これが、紹介営業をWebで再現するための階段設計の考え方です。
階段設計を考える際に、最初に作るべきなのが無料相談のやり方です。
多くの会社は無料相談をサービス説明や提案の場として設計しています。しかし、本来の無料相談は自社のサービスを売る場ではなく、顧客の課題を整理する場です。
実際、相談に来る方の多くは「何となく困っている状態」です。課題を認識していても、その原因や解決すべきポイントまで整理できているとは限りません。
例えば、マーケティング支援会社に「問い合わせを増やしたい」という相談があったとします。しかし、話を聞いてみると本当の課題は別のところにあるケースも意外に多いものです。
問い合わせ数が不足しているのではなく、商談化率が低いのかもしれません。商談化率ではなく、受注率に問題があるのかもしれません。あるいは、ターゲット設定そのものがズレている可能性もあります。
このように、表面的な悩みではなく、本当の課題を整理することが無料相談の役割です。無料相談では、毎回同じ品質でヒアリングできる仕組みを用意しておくことをおすすめします。

例えば、以下のようなといった項目を事前に整理したヒアリングシートを用意し、画面共有しながら相談を進めましょう。
こうすることで聞き漏れを防ぐことができ、営業担当が変わっても一定の品質でヒアリングを実施できるようになります。
また、課題だけではなく「どの状態になれば成功なのか」というゴールも整理しておくことが重要です。
例えば「問い合わせを増やしたい」という相談であっても、月5件増やしたいのか、月50件増やしたいのかによって取るべき施策は変わります。また、1ヶ月で実現したいのか、1年かけて実現したいのかによっても進め方は異なります。
無料相談では課題を整理するだけでなく、目指すゴールや優先順位も明確にしておきましょう。課題とゴールが整理されることで解決の方向性が見えやすくなるだけでなく、「どこまで実現できそうか」という期待値のすり合わせもしやすくなるのです。
多くの見込み顧客は、いきなり無料相談には申し込みません。しかし、ウェビナーであれば参加のハードルが低く、これまで接点を持てなかった見込み顧客とも出会うことができます。
また、ウェビナーには無料相談の受注率を高める効果もあります。実際、当社におけるウェビナー経由の無料相談の受注率は80%を超えています。
一方で、アウトバウンド営業経由の受注率は約20%、その他インバウンド施策経由でも30%程度。その理由は、ウェビナーを通じて考え方やノウハウに触れてもらうことで、参加者との信頼関係が事前に形成されるからです。
しかし、ここで注意しなければならないことがあります。それは、有益な情報を伝えれば無料相談につながるわけではないということです。
3,500回以上のウェビナー開催を支援してきた当社でも、過去には「参加者満足度は高かったが商談につながらなかった」という経験があります。また、「ウェビナーは開催しているが、なかなか商談につながらない」という課題をきっかけにご相談いただくことも多々あります。
「満足度 ≠ 受注率」だからこそ、無料相談につながるウェビナーを設計する必要があります。そのために欠かせない要素が、次の3つです。

ひとつ目は、「情報提供」。ノウハウや事例を惜しみなく公開し、参加者が「参加して良かった」と思える状態を作ることです。
そして、2つ目は「不完全さ」。ウェビナーだけですべての答えを伝えるのではなく、「自社の場合はどうだろう」「この続きが知りたい」と思える余白を残すことです。
最後の3つ目は、「擬似体験」。実際の支援事例をもとに課題をどのように整理したのか、どのような考え方で解決策を導き出したのかを公開します。すると参加者は、支援を受けた後の状態を具体的にイメージできるようになります。
擬似体験に関する記事は下記をご覧ください。
無料相談につながるウェビナーを企画することは重要です。しかし、ウェビナーへたどり着く階段がなければ、成果にはつながりません。
そこで重要になるのが、見込み顧客の関心度に合わせてCVを設計することです。
多くの会社はホームページのCV(コンバージョン)を「お問い合わせ」だけにしています。しかし、ホームページを訪れる人の関心度はさまざまです。今すぐ相談したい人もいれば、情報収集中の人もいます。まだ課題を認識したばかりの人もいるでしょう。全員を同じ「お問い合わせ」へ誘導しても、多くの見込み顧客は行動できません。
そこで、下図のように関心度に合わせてCVを分けます。

見た目を豪華にすることよりも、関心度に応じて少しずつ次の階段へ進める導線を用意することが重要です。
ホームページの導線まで整ったら、最後に行うのが認知施策です。認知施策は大きく分けると、短期施策と長期施策の2種類があります。
短期施策は、主に広告・スポンサー・PRです。費用を投下すれば比較的早く認知を獲得できますが、止めた瞬間に露出も減っていきます。
SEOやSNS、YouTubeは長期施策です。成果が出るまでに時間はかかりますが、一度積み上げたものは資産として残り続けます。ただし、成果が出る前にやめてしまう企業も少なくありません。長期施策は、中途半端に取り組むとかけた時間や労力を回収できずに終わってしまいます。
最初から1年以上継続する前提で体制を作り、やり切る覚悟を持つことが重要です。
ただし、認知を広げるための選択肢は自社発信だけではありません。業界メディアへの寄稿、他社ウェビナーへの登壇、顧客との共同事例発信など、すでに読者や視聴者を持っている媒体や企業の力を借りる方法もあります。

こうした方法を活用することで、自社だけで発信するよりも効率よく認知を広げやすくなります。
また、発信する内容も重要です。大企業は広告費を投下して認知を獲得できます。しかし、予算規模の異なる中小企業が同じ土俵で戦うのは簡単ではありません。小さい会社はお金ではなく工夫で勝つ必要があります。そのコツが、「思わず誰かに共有したくなるコンテンツ」を作ることです。
例えば「要件がまとまっていない人ほど電話をしたがる理由と、その対策」のようなコンテンツであれば、「うちにもこういう人がいるな」と感じた人が同僚との会話やSNSで共有してくれるかもしれません。
ただし、単にシェアされるだけでは意味がありません。重要なのは、そのテーマを入り口にしながら、自社の考え方や支援方針につなげることです。
例えば記事の後半で、「要件が曖昧なまま電話をすると、相手の時間を奪うだけでなく、認識のズレも生まれやすくなります。そのため当社では、社内コミュニケーションやお客様とのやり取りでも、まずテキストで論点を整理してから打ち合わせを行うことを徹底しています。」というように、自社の考え方や仕事の進め方につなげます。
すると、読者は「面白い記事だった」で終わるのではなく、「この会社はこういう考え方で仕事をしているんだ」と理解するようになります。
もちろん、このようなコンテンツを見た人がいきなり無料相談に申し込むわけではありませんが、小さな共感や理解が興味を生み、その後ホームページやウェビナー、事例記事へとつながるきっかけにはなるでしょう。こうして、設計した階段に沿って関心が高まっていくのです。
紹介営業が機能するのは、紹介者が事前に信頼を作り、次の行動を後押ししてくれるからです。しかし、紹介件数そのものを自社でコントロールすることはできません。
そこで重要になるのが、紹介者が担っていた役割をWeb上で再現することです。無料相談で課題を整理し、ウェビナーで信頼を作り、ホームページで導線を設計し、その上で認知を広げる。この階段設計こそが、紹介営業をWebで再現する考え方です。
もし紹介以外の新規開拓を強化したいのであれば、広告やSNSを始める前に、自社の階段ができているかを見直してみてはいかがでしょうか。
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2026.8.31
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