YouTubeにおいても、SEOの知識は数多くの動画の中で検索上位を狙うために不可欠となります。
今や、世界で最も利用者が多い動画プラットフォームとなっているYouTube。マーケティングや広報活動としてYouTubeで動画を発信したいけれど、初めての試みで具体的にどのような対策をすれば良いのかわからないという企業は少なくないのではないでしょうか。
本記事では、YouTube SEOの概要や重要性について解説した上で、具体的なYouTube SEO対策方法と、YouTube SEOの効果をより出すためのポイントを解説します。
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YouTube SEOとは、YouTube上で動画を検索結果の上位に表示させるための対策です。通常のSEOと同様に検索エンジン最適化(SEO)を行うことで、より多くの視聴者を引き付け、チャンネルの成長や視聴者のエンゲージメントの向上が期待できます。
YouTubeだけでなく、そのほかの動画サイトやGoogleなどの通常の検索エンジンで動画を上位表示させることをVSEO(Video Search Engine Optimization)といいます。
近年、YouTubeは世界最大の動画プラットフォームとしてシェアを占め、世界における月間アクティブユーザーは25億1,400万人(2023年1月時点)に上ります。
日本においても、YouTubeの月間アクティブユーザーは7,000万人以上に上り(2022年時点)、日本の全人口の6割程度がYouTube上で動画を視聴している状況です。
出典:Google「YouTube をマーケティングのヒントに —— トレンドが生まれ、マルチフォーマットなどで生活に定着進む」
以上のように、膨大な数のユーザーが利用するYouTubeで、より多くのユーザーに自分の動画を観てもらうためには、YouTube SEO戦略が欠かせません。
YouTube SEO対策によって上位表示されることで、より多くの視聴者からアクセスされる可能性が高まります。YouTube SEO対策を講じて動画の質が上がれば、高評価やシェアをされやすくなるなど、視聴者のエンゲージメント向上が期待できます。常に上位表示されるようになれば、長期的な流入の確保も見込めるでしょう。
ここでは、特に注視すべきYouTube SEOの重要性として、以下について解説します。
YouTube上の検索で動画が上位表示されると、Googleの検索エンジンでもその動画が上位表示されるようになります。
GoogleがYouTubeを買収したのは、2006年9月のこと。プラットフォームオーナーが同じという関係性から、YouTubeでの検索結果がGoogle上の検索結果にも少なからず影響を与えていることが予想されます。そのため、先に説明した「VSEO」は非常に有効な対策となります。
Googleの検索エンジンでは、動画だけを検索することも可能です。以下のように、サムネイルとディスクリプション(ページの概要や要約を記載したテキスト)が検索結果ページに表示されるため、上位表示されるとユーザーの目に留まりやすくなり、視聴を促す効果が高まります。
なお、「Yahoo!」もGoogleの検索エンジンを使っているため、Googleとほぼ同様の検索結果が表示されます。
以上のように、YouTube上のみならず、GoogleやYahoo!などの検索結果においてもYouTubeの動画が露出するケースは少なくありません。YouTube SEO対策を行うことで、さまざまな経路からユーザーが動画視聴ページへ流入する可能性が高まると考えられます。
YouTubeにおける検索順位の決定は、YouTube独自のアルゴリズムによって判断されます。YouTubeアルゴリズムはGoogleアルゴリズムとは異なり、以下のような要素で判断されると考えられています。
上記の要素を満たすためのYouTube SEO対策は、次のとおりです。
また、YouTube SEOで成果を出すためには、以下の対策も効果的となります。
次章より、それぞれのYouTube SEO対策の方法について解説します。
対策キーワードの設定は、YouTube SEOの施策を進めるうえで重要な基盤となります。動画内容に沿った適切なキーワードを設定することで、そのキーワードで検索されたときに動画が上位表示され、多くの視聴者に観てもらえる可能性が高まります。
対策キーワード設定の流れは以下のとおりです。
動画の目的やターゲットを絞り、テーマを明確にしましょう。関連キーワードについても確認するのがおすすめです。
同じテーマや業界の競合チャンネルや動画を調査し、使用されているキーワードを分析します。
キーワードは、YouTubeの検索エンジンでキーワードを入力してリサーチする方法もありますが、キーワードリサーチツールを使用してリサーチするのも便利です。関連キーワードや検索ボリューム、競争度などのデータを収集できるツールもあります。
YouTube Studioから確認できる「YouTubeアナリティクス」や、Googleの公式ツール「キーワードプランナー」のほかにも、以下のキーワードリサーチツールがあります。
メインとして設定する対策キーワードのほかに、類似キーワードやロングテールのキーワードもリサーチしましょう。動画のメタデータで類似キーワードやロングテールキーワードを使用することで、SEOの効果が出ると考えられます。
類似キーワードとは、表記の違いや単数・複数の違い、略語、類義語などです。例えば、対策キーワードが「アルバイト」なら「バイト」、「スマートフォン」なら「スマホ」、「猫」なら「ネコ」などがそれぞれ類似キーワードになります。
また、ロングテールキーワードは「東京 カフェ おすすめ」のような3つ以上の言葉から複合されたより具体的なキーワードのことです。「カフェ」のような単体キーワードよりも競合が少なく、より絞られたターゲットの流入を目指せます。
YouTubeアルゴリズムに検索上位表示できる動画だと判断してもらうためには、動画内容の最適化が不可欠です。次のポイントを意識したYouTube SEO対策を行いましょう。
動画の内容に一貫性がないと視聴者の離脱率が高まるおそれがあるため、動画に分かりやすいストーリー性を持たせることが大切です。目的や展開が明確なストーリーを構築し、視聴者を引き込むような内容を提供しましょう。
動画は、最初の数秒間が重要です。視聴者の途中離脱を防ぐためにも、冒頭に動画の要点を伝えるパートを入れておくと、視聴者の興味を惹き続ける効果が期待できます。
編集技術を駆使して効果音やテロップを導入し、動画の演出を工夫しましょう。視覚や聴覚的な部分での演出を増やすことで、単調で飽きやすい動画から視聴し続けたいと思わせる動画を提供できるでしょう。
YouTubeで検索上位に表示されるためには、メタデータの最適化が重要です。YouTubeにおけるメタデータとは、次のようなものを示します。
これらのメタデータは、視聴者が動画を見つけるための検索結果や関連動画、再生リストなどに表示される要素です。メタデータを最適化させる効果的な方法について、メタデータごとに紹介します。
動画のタイトルには、次の2つの役割があります。
上記の役割を果たすためのポイントを解説します。
まずは、「YouTube SEO対策① 対策キーワードの設定」で設定した動画の対策キーワードをタイトルに入れます。YouTubeに関連性を判断してもらうため、ただキーワードをタイトルに含めるのではなく、タイトルとキーワードがマッチしていることが重要です。あわせて、ユーザーに動画内容を伝えることも意識しましょう。
タイトルにキーワードを入れる回数としては1~2回が効果的だと考えられていますが、不自然にキーワードを乱発する必要はありません。簡潔で分かりやすければ、1回でも十分にSEOの効果は期待できるでしょう。
また、キーワードはできるだけタイトルの前半部に入っている方が効果的だと考えられます。ただし、日本語として自然で分かりやすくすることも大切なので、必ずしもキーワードをタイトルの冒頭に設置する必要はありません。
タイトルの文字数としては、25~30文字程度が適切です。YouTubeを利用する端末やYouTube側の仕様によって表示される文字数は変動しますが、全角で25~30文字相当が表示されることが多く、それ以上は省略されます。
視聴者は企業名や団体名でも検索を行う傾向にあります。企業や団体の公式チャンネルの場合は、より視聴者に認知されやすくするために企業名や団体名をタイトルに含めると効果的です。
企業名や団体名をタイトルに入れる場合、表記は日本語(カタカナ)にします(例:FUNGRY→ファングリー)。企業名や団体名を入れる位置は、タイトルの後半部分が推奨されます。
タイトルとサムネイルにギャップがあると、視聴者の離脱率が高くなるおそれがあります。タイトルの情報は、サムネイルの情報と一致させましょう。
思わずクリックしたくなるような表現をタイトルに含めることも、YouTube SEO対策として有効です。具体的には、次のような表現が挙げられます。
なお、インパクトのある表現を意識し過ぎるあまり、過度に誇張した表現を使うことは避けましょう。誇張しすぎると、離脱や低評価につながり検索上位やおすすめに表示されなくなってしまいます。
動画には概要欄(ディスクリプション)を設定できます。概要欄は、動画の説明や詳細情報を記載できるメタデータのひとつです。概要欄を確認することで、視聴者が動画のより詳しい情報を確認できます。
概要欄の効果的な設定方法として、以下のポイントを解説します。
動画再生時に表示できる概要欄の文字数は「もっと見る」を押さない場合、上限があります。使用している端末やYouTubeの仕様によって異なりますが、一般的に表示される文字数の目安は次のとおりです。
視聴者が動画の内容を把握しやすいように、概要欄の冒頭では動画内容の要約を170文字程度で記載しましょう。
また、概要欄の冒頭部分に対策キーワードを1~2個含めると、YouTube SEOに効果的です。
概要欄の設定では、上から順に重要な情報を記載することが大切です。具体的には、以下のような構成が想定されます。
1.動画内容の要約 2.特に重要な情報やPRしたい内容(必要に応じて) 3.タイムスタンプ 4.関連動画のタイトル・URL 5.監修者情報(必要に応じて) 6.運営者情報・公式サイトやSNSなどのURL 7.ハッシュタグ |
タイムスタンプは、設定することで目次の役割を果たします。設定した時間ごとに再生バー(シークバー)に目次として、概要欄にチャプターとしてそれぞれ反映されるのが特徴です。
以下のように、概要欄に該当する動画の時間と見出しを入力することで簡単に設定できます。
タイムスタンプは、YouTube SEOで重要な概要欄への対策キーワードを含めることが簡単にできます。
なお、タイムスタンプでチャプターを反映させるためには、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません。
また、キーワードの前に「#」を付けたハッシュタグも、以下のように概要欄上で設定できます。
YouTubeでは関連動画を決める際に、タイトルや概要欄、ハッシュタグ、タグのキーワードが一致するかどうかで判断します。概要欄にハッシュタグを設定すると、ハッシュタグで設定したキーワードの関連動画として見つけてもらいやすくなるのです。
ハッシュタグを付ける際には、以下の点に注意しましょう。
タグは、YouTubeのアルゴリズムが動画で扱っているキーワードを判断する際に参照する要素のことです。各動画の編集画面の「タグ」の欄で設定できます。
タグの設定時には、次のポイントを意識しましょう。
YouTubeではタグの設定個数に制限を設けていませんが、あまりにも多すぎると動画に関係のないキーワードまで含まれてしまう可能性があります。必要なキーワードを中心に、15個までを目安に設定すると良いでしょう。
また、タグは対策キーワードの表記ゆれ対策にも有効です。例えば「Webマーケティング」と「ウェブマーケティング」の両方をタグに登録することで、どちらで検索された場合もヒットするようになります。
YouTubeにおいて、動画のカテゴリー設定は動画の分類や関連性を明確化させる重要な要素です。YouTubeで設定できるカテゴリーは以下のとおりです。
適切なカテゴリーに設定することで、関連動画や検索結果に表示されやすくなります。
動画のサムネイルは、視聴者が動画を視聴するかどうかを決める重要な要素となります。引き立つデザインを使用し、視覚的にどのような動画か分かるようなサムネイルを作成しましょう。
適切なサムネイルの設定は、クリック率を高めたり検索結果で視聴者の目を惹いたりすることに貢献します。
動画に設定された字幕に対策キーワードが使用されている場合、YouTubeのアルゴリズムによって動画との関連性が判断されます。
これまで字幕は自動翻訳でしか設定できませんでしたが、現在はアップデートされ、手動で設定できるようになりました。
カードとはYouTubeの動画上に設定できる機能で、あらかじめ設定した要素を任意の時間から5秒間ポップアップ表示させることができます。カードに設定できる要素は次のとおりです。
カードを設定することで視聴者にアクションを促すことができ、結果としてエンゲージメントの向上につながりやすくなります。
終了画面は、動画再生終了5~20秒前に設定できる画面です。終了画面では、次の要素を設定できます。
※リンクとグッズの設定には、YouTubeパートナープログラムへの参加が必要
終了画面を設定することで、その動画を再生し終わっても関連する要素へ誘導させる効果があります。視聴時間にも貢献できるので、結果としてYouTube SEOにもつながる要素だといえるでしょう。
YouTube SEOの効果をより出すためには、本記事で解説してきた対策をただ行うだけでは足りません。具体的には、以下のようなポイントを意識しましょう。
YouTube SEOの効果をより出すためには、SEO対策を行ったあとの分析と改善を繰り返すことが重要です。分析を通じてどのような効果が出ているかを把握し、伸び悩んでいる場合には改善策を考えて実行します。
また、YouTubeのアルゴリズムは定期的に変動します。この変動に対応するためにも、最新のアップデートやトレンドも確認しながら効率的な改善を行いましょう。
動画内容やメタデータの最適化を行ったあとは、戦略的なプロモーションをあわせて行うと、YouTube SEOの効果を最大化させることができます。
例えば、TwitterやFacebookなどのSNSで動画をシェアしたり、Webサイトやブログなどに動画を埋め込んだりすることで、視聴者の流入を増やすことができるでしょう。
また、動画のコメント機能を利用して視聴者とコミュニケーションを取るようにすると、視聴者のファン化を促し、リピーターを獲得しやすくなります。
YouTube SEOは、YouTubeで動画コンテンツを発信するすべての方に意識してほしい施策です。本記事で紹介したYouTube SEO対策を行うことで、より多くの視聴者の獲得を期待できるでしょう。ぜひ対策を実践してみてください。
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執筆者
コンテンツディレクター/ライター
MIHO SHIMMORI
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。
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