※Meltwater Japan株式会社より寄稿いただいた内容を掲載しています。
SNSや口コミサイトには、商品・サービスに対する感想や不満、要望など消費者のさまざまな声が投稿されています。こうしたオンライン上の声を収集・分析し、マーケティングに活用する方法が、「ソーシャルリスニング」です。
ソーシャルリスニングを活用すれば、自社の商品やブランドに対する評価だけでなく、消費者のニーズや市場のトレンド、競合に対する反応なども把握できます。
本記事では、ソーシャルリスニングで分かることやマーケティングへの具体的な活用方法、実践する際の流れ、ポイントについて解説します。
目次
ソーシャルリスニングとは、SNSやブログ、掲示板、口コミサイトなど、オンライン上に投稿された消費者の声を収集・分析する手法です。
自社名やブランド名、商品名、サービス名、業界に関連するキーワードなどを設定し、「どのようなことが話題になっているのか」「消費者がどのような評価をしているのか」といった情報を分析します。
ソーシャルリスニングの特徴は、消費者がSNSなどで自発的に発信した声を分析できる点です。企業が質問や選択肢を用意するアンケートやインタビューとは異なり、消費者の自然な発言を収集できるため、企業側が想定していなかったニーズや不満が見つかることもあります。
さらにソーシャルリスニングは、自社への評価を確認するだけでなく、市場トレンドの予測や競合分析など、幅広いマーケティング活動に活用されています。

Meltwaterが、日本のマーケティング担当者361名を対象に実施した調査によると、37.4%がすでにソーシャルリスニングを活用しています。さらに、30.5%が2026年中の導入を予定していると回答しました。
現在活用している企業と導入予定の企業を合わせると過半数を占めており、日本でも活用が広がっていることがわかります。
参考:Meltwater「データで読み解く2026年ソーシャルメディアの最新状況」
ソーシャルリスニングを活用すると、消費者のニーズや自社に対する評価、市場の変化などを捉えられます。こうした情報は、マーケティング施策を考える上で役立ちます。
ソーシャルリスニングの活用によって、消費者が商品やサービスに求めていること(ニーズ)や、実際に感じている不満を把握できます。
SNSや口コミサイトなどには、「こんな機能が欲しい」「この部分が使いにくい」「もっとこうだったら便利なのに」といった商品やサービスに対する声が投稿されています。こうした投稿を継続的に収集することで、消費者が求めている機能やサービス、抱えている不満などが見えてきます。消費者が自発的に投稿した内容を分析するため、企業が想定していなかったニーズが見つかることも。
また、商品の利用シーンに関する投稿から、企業側が想定していなかった使い方が見つかることもあります。このような声の分析によって、新商品の企画や既存商品の改善につながる消費者インサイトを探ることが可能です。
ソーシャルリスニングは、自社のブランドや商品が消費者からどのように評価されているのかを把握するためにも活用できます。
例えば、商品名やブランド名を含む投稿を分析し、評価されている点や不満が多い内容を整理します。ポジティブ・ネガティブな投稿の推移を確認することで、新商品の発売やキャンペーンの実施前後で、消費者からの評価がどのように変化したのかを分析できます。
また、企業が訴求したい価値と消費者が実際に評価している価値の違いを把握できることもポイントです。
例えば企業が高機能であることを商品の強みとしていても、SNSでは使いやすさのほうが評価されている場合も。このような違いを把握できれば、広告やWebサイトなどの訴求を見直すきっかけになります。
ソーシャルリスニングを活用すると、投稿数や投稿内容から、消費者の関心がどのように変化しているのかを捉えられます。
例えば特定の商品や機能に関する投稿が以前より増えていれば、その商品や機能への関心が高まっている可能性があります。また、投稿内容を分析することで、話題になっている理由や消費者がどのような点に注目しているのかも確認可能です。
こうした変化を継続的に追うことで新たなトレンドをいち早く捉え、商品開発やキャンペーン、コンテンツ企画などに活かせます。
ソーシャルリスニングを活用すれば、競合ブランドや商品に対する消費者の声も分析可能です。
例えば競合の商品についての投稿から、消費者から見た競合の強みや弱みを把握できます。
また、自社と競合の商品が同じ投稿の中で比較されている場合には、「価格ではA社、機能ではB社」といったように、消費者がどのような基準でブランドを比較しているのかが見えてくることもあります。
こうした情報は自社の強みや改善点を整理し、市場でどのようなポジションを目指すべきか検討する材料になるでしょう。
ソーシャルリスニングは、消費者の声を把握すること自体が目的ではありません。収集した情報からインサイトを見つけ、商品開発やプロモーション、コンテンツ制作などの具体的なマーケティング施策につなげることが重要です。
商品やサービスに関する要望・不満を分析することで、開発や改善のヒントを得られます。初めに、投稿を収集し、頻繁に言及されている問題や要望を整理します。
例えば、同じ機能について「使いにくい」という投稿が継続的に見られるのであれば、改善すべきポイントの候補になります。一方、「この機能をこんな場面でも使っている」といった投稿から、新しい用途やターゲット層が見つかる場合もあります。
ソーシャルリスニングは、消費者の声を集めて終わりではありません。分析結果を商品やサービスの改善に活かし、その後の消費者の反応まで継続して確認することが大切です。
株式会社ラグノオささきでは、SNS上の消費者の声を商品改善に活用しています。
同社の人気商品「ポロショコラ」について、X(旧Twitter)上の投稿を収集・分析したところ、従来の5個入りパッケージに対して、量が多すぎるという声が多く寄せられていることがわかりました。
そこで、一度に食べきれなくても残りが乾燥しないよう、ショコラをひとつずつ個包装に改良。SNSから得た消費者の声が、具体的な商品改善につながった事例です。
参考:Meltwater「Meltwater活用事例|株式会社ラグノオささき」
ソーシャルリスニングで把握した消費者の関心やトレンドは、プロモーションやキャンペーンの企画にも活用できます。
例えばターゲット層の間で話題になっているテーマや商品、ライフスタイルなどを分析すれば、消費者の関心に合わせた企画を検討しやすくなります。
また、SNS上で消費者が実際に使用している言葉や表現を分析することも有効です。企業が使う表現と、消費者が商品について語る言葉は異なることがあります。消費者が実際に使っている言葉を知ることで、広告コピーやキャンペーンのメッセージを、より伝わりやすい表現に改善可能です。
キャンペーン実施後には関連する投稿数や内容を分析し、消費者からどのような反応があったのかを確認しましょう。
SNSに投稿された商品への質問や悩みは、記事や動画、SNS投稿などのコンテンツテーマを考える際にも役立ちます。
ある商品について同じ質問が繰り返し投稿されているのであれば、その疑問を解消できる記事や動画を制作することで、消費者が求めている情報を提供できます。
企業側が伝えたい情報だけでなく、消費者が実際に知りたいことをもとにコンテンツを企画することがポイントです。
「ウタマロ」ブランドを展開する株式会社東邦では、ソーシャルリスニングを通じて、商品に対する消費者の自然な声を収集・分析しています。
分析からは、「ほかの洗剤では落ちなかった汚れが簡単に落ちた」といった商品の評価が確認されました。さらに、釣りで付いた魚のニオイや、バイク・自転車の油汚れを落とすために使うなど、企業側がこれまであまり想定していなかったユーザー層や利用シーンも見つかっています。
また、「子どもが服を汚しても、おおらかな気持ちで見守れるようになった」といった投稿も見つかりました。こうした声から、単に汚れが落ちるという機能だけでなく、商品が消費者の生活や気持ちに与える価値も把握しています。
こうして得られた消費者の声は、ネット配信の「お洗濯講座」などのファンマーケティングに活用されています。
参考:Meltwater「Meltwater活用事例|株式会社東邦」
SNS上の声を分析すると、商品そのものだけでなく購入や問い合わせ、利用後のサポートなどに関する課題が見つかる場合もあります。
「購入方法がわかりにくかった」「問い合わせの回答に時間がかかった」などの投稿です。こうした声は、企業のカスタマーサポートへ直接寄せられるとは限りません。問い合わせをするほどではない不満を、SNSなどに投稿する消費者もいます。
そのため、カスタマーサポートに寄せられた問い合わせとSNS上の声を組み合わせることで、これまで把握できていなかった課題を発見できる可能性があります。商品だけを見るのではなく、認知から購入、利用、問い合わせ、利用後まで一連の顧客体験を分析することが重要です。
ソーシャルリスニングによって、自社と競合ブランドへの言及内容を比較すれば、消費者から見たそれぞれのブランドの特徴を整理できます。
例えば自社は価格、競合は機能性について多く評価されているとわかれば、市場におけるそれぞれのポジションが見えてきます。
さらに、競合への不満を分析することで、自社が差別化できるポイントを発見できる可能性もあります。
ソーシャルリスニングをマーケティングに活かすには、目的を明確にした上でデータを収集し、分析結果を具体的な施策へつなげていく必要があります。
ここでは、基本的な流れを4つのステップで解説します。
まずは、ソーシャルリスニングを何のために行うのか、目的を明確にしましょう。具体的には、以下のような目的が挙げられます。
目的によって、収集すべきデータや設定するキーワードは変わります。最終的にどのようなマーケティング施策につなげたいのかを考え、分析テーマを設定しましょう。
目的が決まったら、分析対象となるキーワードを設定します。
自社について分析する際はブランド名だけでなく、商品名やサービス名、略称、表記ゆれ、関連するハッシュタグなどもキーワードに設定しましょう。消費者が実際に使う言葉を幅広く含めることがポイントです。
必要に応じて、除外キーワードを設定して不要な投稿を除き、分析の精度を高めましょう。
投稿を収集したら、データを分析します。投稿数やポジティブ・ネガティブの割合などの数値だけでなく、実際の投稿内容まで確認することが重要です。
例えば「高い」という言葉でも、「価格が高い」「品質が高い」「満足度が高い」では意味が異なります。数値だけで判断せず、投稿の背景や文脈も含めて分析する必要があります。
投稿数が増えた理由や不満の内容、話題にしている人、商品の利用シーンなどを詳しく確認しましょう。その上で、複数の投稿に共通するニーズや課題、行動を整理します。
こうした分析を行うことで、マーケティングに活用できる消費者インサイトを見つけやすくなります。
分析から得たインサイトは、具体的な施策へ反映します。
例えば「商品の使い方がわかりにくい」という声が多ければ、商品説明やWebサイトを改善する、「特定の利用方法に関する投稿が増えている」のであれば、その用途を紹介するコンテンツを制作するといった方法が考えられます。
施策を実施したあとは、投稿数や内容の変化を確認し、消費者の反応を検証します。こうした分析と改善を繰り返すことが重要です。
ソーシャルリスニングでは大量のデータを取得できますが、データを集めるだけではマーケティング成果にはつながりにくくなってしまいます。
ここでは、効果的に活用するために押さえておきたいポイントを紹介します。
ソーシャルリスニングで得たデータは、具体的な施策や改善につなげることが重要です。データをまとめたレポートを作成するだけでなく、データから何がわかり、何を改善できるのかまで考えましょう。
不満が増えているのであれば、その原因を特定して商品やサービスを改善する必要があります。新しいニーズが見つかったのであれば、商品開発やコンテンツ企画などへの反映を検討します。
また、得られたインサイトはマーケティング部門だけで保有するのではなく、商品開発、営業、カスタマーサポートなどの関連部署と共有することも重要です。
SNS上の声だけでなく、購買データや顧客アンケートなども組み合わせることで、消費者への理解を深められます。具体的には、次のようなデータを組み合わせられます。
例えばSNS上で特定の商品への不満が増えている場合、問い合わせ件数や返品率なども確認することで、その問題が実際の顧客行動にどの程度影響しているのかを検討可能です。
反対に、売上が伸びている商品のSNS投稿を分析し、消費者がどのようなポイントを評価しているのかを調べることもできます。SNS上の声と実際の行動を組み合わせることで、消費者のニーズをより深く理解しやすくなります。
分析する投稿数が増えると、手作業ですべての投稿を継続的に収集・分析することは難しくなります。そこで役立つのが、ソーシャルリスニングツールです。
ツールを活用することで、ブランド名や商品名などに関する投稿を効率的に収集・分析できます。とくに大量の投稿を分析したり、複数のブランドや競合を比較したりする場合に有効です。
例えば、Meltwaterのソーシャルリスニングツールは、SNSだけでなく、ニュースやブログ、口コミサイトなど幅広い情報をまとめて収集・分析できます。複数の媒体を個別に確認する手間を省き、自社や競合、市場に関する情報を効率よく収集できる点がメリットです。
さらに、AIを活用して、膨大なデータの中から重要な話題や変化を抽出したり、消費者の反応を分析したりできます。必要な情報を効率よく見つけられるため、市場の変化を捉え、商品開発やマーケティング施策に活かしやすくなります。
ソーシャルリスニングを活用すると、SNSや口コミサイトなどに投稿された消費者の声を分析し、ニーズや不満、ブランドへの評価、市場のトレンドなどを把握できます。
こうした情報は、商品・サービスの改善やプロモーション、コンテンツ制作、競合分析など、さまざまなマーケティング施策に役立ちます。
ソーシャルリスニングを活用する際は、収集した消費者の声を具体的な施策に反映することが重要です。施策の実施後も消費者の反応を確認し、次の改善に活かしていきましょう。
執筆者
Meltwater Japan株式会社
メディア・ソーシャル・消費者インテリジェンス分野のリーディングカンパニー。世界27,000社以上に導入されている。ニュース、ソーシャルメディア、オンラインデータをリアルタイムで分析し、PR、マーケティング、ブランド戦略におけるデータドリブンな意思決定を支援。また、GenAI Lensでは、ChatGPTやGeminiなどのAIアシスタント上で、自社ブランドや製品、競合他社がどのように言及されているかをモニタリングできる。