コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のある情報を届けて購買行動を引き起こすマーケティングの手法です。その情報を伝える手段としてコンテンツがあり、コンテンツには文章、画像、映像、音声などさまざまな種類があります。
コンテンツマーケティングを通してユーザーに有用な情報を届けるには、「どのコンテンツを使って」「どのような方法で届けるのか」といった戦略を考えることが重要です。
本記事では、コンテンツマーケティングのメリットや種類を紹介した上で、コンテンツマーケティングで成果を出すための実践方法やポイントを解説します。
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コンテンツマーケティングとは、「コンテンツ(contents)」を使った「マーケティング(marketing)」活動のこと。具体的には、さまざまなコンテンツを通してユーザーに有用な情報を届け、読んだり見たり、聞いたりしてもらうことです。そして、最終的に問い合わせ獲得や各種サービスへの登録、資料の請求、商品・サービスの購入などを実現する一連のアクションを指します。
ユーザーの購買行動には、いくつかのステージ(段階)があります。詳しくは後述しますが、ステージに適したコンテンツを用意しなければ、コンテンツマーケティングは成功しません。まずはどのステージのユーザーを次のステージに進めたいのかを考え、そのユーザーにとって有益だと思われる情報を正しく提供する必要があります。
例えば、以下のようにコンテンツを選択します。
・サービスの利用シーンがイメージしにくいなら……チュートリアル動画 ・商品開発に関する秘話を発信したいなら……ブログ記事 ・主婦や高齢者などをターゲットにするなら……チラシやDM |
コンテンツマーケティングを実施することによって、商品・サービスの認知度向上を目指せるだけでなく、さまざまなメリットを自社に享受できます。ここでは、具体的なメリットを紹介します。
新聞やテレビ、ラジオ、SNSなどに掲載する広告は契約期間が過ぎると消えてしまい、後に残りません。このような広告を掲載するメディアをペイドメディアといいます。
一方で企業自身が保有するWebサイトやブログ、SNSなどはオウンドメディアをいい、これらに掲載するコンテンツは一度発信したらWeb上に残り続け、自社の資産となります。さらにアクセスを獲得し続けることで、絶えずユーザーを獲得することも可能です。
ペイドメディアに広告を出す際は広告費がかかります。対して、コンテンツマーケティングなら、かかる費用はコンテンツ制作費やドメイン料金くらい。広告を掲載するより、格段に費用を抑えられます。
また、コンテンツを消さない限り掲載し続けられるため、永続的に情報を提供できます。コンテンツマーケティングは、費用対効果が非常に高いといえるでしょう。
コンテンツマーケティングでは、自社のカスタマージャーニーマップをもとに、各ステップのユーザーに対して適切なコンテンツを発信します。
幅広い層に向けたコンテンツも時に有効ですが、ターゲットが多いとその分だけ情報の濃度は薄まり、「これは私のための情報だ!」と感じるユーザーは減ってしまいます。逆にユーザーの的を絞ってコンテンツを発信すれば、該当ユーザーにとっては非常に有益な情報となり得ます。有益な情報の獲得はユーザーに「次の行動」を促しやすくなるため、「存在を知る→気になる→欲しくなる→思い出す→買う」といったようにユーザーの育成を図れるでしょう。
また、自社を認知している顕在層だけでなく、まだ認知していない潜在層に対してもコンテンツを発信することによって、潜在層と接点を持つことも可能です。
広告などの突発的・単発的なプロモーションでは、このように段階的にユーザーを育成することはできません。コンテンツマーケティングでは、各ステップに合ったコンテンツをWeb上で発信していき、ユーザーを育成して顧客やファンへとつなげることが可能です。
コンテンツを届ける手段はたくさんあります。伝えたいことを伝えるためのコンテンツにはどのような選択肢があるのか、具体例を見ていきましょう。
コーポレートサイトは一般的に、サービス紹介や会社紹介、ニュースリリース、お客様の声、導入事例、ブログ(コラム)などで構成されています。テキストや写真、図説や映像、音声などさまざまなコンテンツ要素を組み合わせることが可能です。
ブログなどのWebサイトでは、コンテンツを活用して特定のキーワードで検索結果画面の上位表示を目指すことができます。そのキーワードでクリックしたユーザーにとって、本当に知りたい情報があること(キーワードとコンテンツの連動性)が非常に重要です。
コーポレートサイトやブログなどへの流入経路(たどり着く方法)は、検索エンジンや広告、SNSなどさまざま。広告を活用すれば詳細なニーズを持つターゲットにアプローチできますが、出稿にかかる費用が発生します。広告ではなく自然検索(オーガニック)経由なら、SEO対策ができていれば上位表示を保つことが可能です。
X(旧Twitter)やInstagram、Tiktok、YouTube、Facebook、LINEなどのサービスは、ソーシャル(社会的な)ネットワーキング(つながり)を提供するところから、Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、略してSNSと呼ばれています。
最近はSNSを活用したコンテンツマーケティングも主流です。ハッシュタグや画像を活用して、より多くのインプレッション(※)を獲得し認知度を高めるといった使い方もできます。
※どれほどのユーザーに閲覧されたか(ユーザーの画面に表示されたか)を表す指標
また、SNS広告ではテキストだけではなく、画像や動画も扱うことが可能。各プラットフォームによって投稿できるコンテンツやユーザー属性(年齢層や利用目的など)が異なるので、自社のサービスのユーザーに最適なプラットフォームを選択してコンテンツを届けることが重要です。
コンテンツマーケティングでは、メルマガやステップメールなど情報発信の手段としてEメールを活用するケースもあります。顧客や見込み客との良好な関係を構築するにはセールス目的ではなく、「お役立ち情報の提供」に割り切る戦略も効果的です。
商品やキャンペーンの情報、課題の解決につながるノウハウなどをメルマガで一斉配信する手法も健在ですが、近年ではユーザーの属性やニーズに合わせて異なるメールを発信する「メールマーケティング」が活発になってきています。
またEメールのみで完結させず、WebサイトやSNSといったほかのコンテンツへ誘導する手法も組み合わせれば、さまざまなコンテンツを届けることが可能です。
これからメールマーケティングを始める方は、以下の記事を参考にしてください。 メールマーケティング 効果的な“やり方”とは |
報告書や調査レポートであるホワイトペーパー、ノウハウなどを集約したeBook(PDF資料)は、見込み客のアカウントを獲得するためのダウンロードコンテンツとして活用されるケースが増えてきました。
また、書籍などの出版物も電子化が進んでいます。いずれもテキストや画像だけでなく、動画や音声を取り扱える点が特徴です。
インターネットを介した手段ではありますが、ホワイトペーパーやeBook、電子書籍は「デバイスにダウンロードしてから消費するコンテンツ」なので、オフラインでも利用できる点はユーザーにとってメリットと言えます。
AI(人工知能)を活用したスマートスピーカーの登場で、音声コンテンツへの注目度がますます上がってきています。
ユーザーのマイクロモーメント(※)を満足させるデバイスは、PCやスマートフォンからIoTデバイスに広がりを見せており、ポッドキャスト・ラジオ・スマートスピーカーにもチャンスが広がっています。
※ユーザーが「××を知りたい」「○○を購入したい」などと考え、スマホやPCなどで調べたり、購入したりという行動を起こす瞬間
イベントでの配布物や、顧客との打ち合わせ時に手渡しできる会社紹介、サービス紹介資料、ダイレクトメール(DM)、チラシといった郵送物などです。
Webマーケティングやデジタルマーケティングがビジネスの主流になって久しいですが、紙媒体が活躍するシーンがなくなったわけではありません。デジタルの手段と組み合わせ、総合的に効果を高められる可能性があります。
オフラインでは、直接対面して情報を提供する機会も重要です。セミナー(ウェビナー)やイベントでは主に人がコンテンツを発信する役目を担い、他の手段にはできない「人ならではの感情を込めた伝え方」が可能になります。
オンラインで開催するウェビナー(Webで行うセミナー)は遠く離れた場所にいる人に向けても、「人ならでは」のコンテンツの届け方が可能です。
ペルソナの思考や感情、行動などを時系列で可視化したプロセスをカスタマージャーニーといいます。
カスタマージャーニーの中で「購入(してもらうこと)」をゴールと仮定すると、マーケティングプロセスは大きく3つのステージに分けられます。
サービスや商品の名前、魅力、主な特徴、使い方などについて知ってもらう段階です。知ってもらうきっかけは検索エンジンでの検索結果や広告、SNSなどさまざまな形が考えられます。
認知段階でどれだけユーザーにとってメリットがあるのか、抱えている課題にフィットするのかを具体的に伝えられるかが、次の検討ステージに導けるかどうかの鍵となります。
このステージの後には、必要に応じて「興味・関心」や「情報収集」のステージを追加しても良いでしょう。
導入してもよさそうなサービスや商品として検討段階に入ったフェーズです。類似のサービスや商品が他社にもあれば当然比較されるので、自社サービスや商品の強み・メリットを分かりやすく伝える必要があります。他社との比較表などもよく使われる見せ方です。
また、お客様の声などの事例コンテンツがあると、導入時に得られるメリットを具体的に想像させやすくなります。なお、お客様の声などの事例は検討段階にあるユーザーにとって重要な判断材料になるため、このステージにおける「キラーコンテンツ」と言えます。
比較を通して他社に勝っていたり、必要だと判断されたりすれば、おのずと導入・購入されます。サービスの導入や商品の購入後もさらなるサービスの利用や商品の購入につながるようなコンテンツを発信し、顧客満足が高い状態を継続できるようにしていきます。
「売りっぱなし」で顧客をないがしろにしていると、リピートやポジティブな情報の拡散にはつながっていきません。
このステージの後には、必要に応じて「リピート」のステージを追加しても良いでしょう。
コンテンツマーケティングは、コンテンツを作るまでの準備期間が非常に重要です。戦略が間違っているといくら労力を割いても結果につながらないので、「とりあえずやる」のではなく、しっかり戦略を考えてから行動するようにしましょう。
ここでは、コンテンツマーケティングのプロセスについて説明します。
コンテンツマーケティングは、目標設定が成功と失敗を分ける大きなポイントです。
「Webサイトへの流入を増やしたい」「問い合わせ数を増やしたい」「成約数を増やしたい」などといった目標によって、最適なアプローチは異なります。事業責任者がじっくり検討し、最終的なゴール(KGI/重要目標達成指標)とそれを達成するために鍵となるマイルストーン(KPI/重要業績評価指標)を決めましょう。
ペルソナとは、商品やサービスにおける「理想の顧客像」を具体化した情報のことです。年齢や性別だけでなく、職業や年収、家族構成、趣味、考え方、行動特性など細かいところまでプロフィールを設定します。
例えば、化粧品の場合のペルソナ像は以下のとおりです。ターゲットが不明瞭な場合は、さらに多くの項目を設定したり行動特性を掘り下げたりしてペルソナ像をリアルにしていきます。
ペルソナが具体的なほど見なし顧客の購買行動プロセスも明確になるため、コンテンツの発信でピンポイントなニーズに応えやすくなります。
ユーザーの行動や心理状態の変化を「旅(ジャーニー)」に例えたカスタマージャーニーマップを作ることで、設定したペルソナがたどる道筋を正しく把握し、各ステージに適したコンテンツを用意することにつながります。企業目線ではなく、ユーザー目線でコンテンツマーケティングを行うために必要な作業です。
Webサイトを通じてコンテンツマーケティングを実施する場合は、コンテンツの投稿や管理がしやすいCMS(Contents Management System)を導入しましょう。
通常、Webサイトを作ったり新しいページを追加したりする場合は、HTMLやCSS、JavaScriptなどの専門的な知識が必要です。Webデザイナーやコーダーなどがその役割を担いますが、マーケティング活動にはスピード感が欠かせません。マーケティング活動における工程をできるだけ短縮し、効率的にWebサイトを運用するならCMSの活用が最適です。
設定したペルソナが、「どのようなキーワードで検索しているのか」を調べましょう。検索ボリュームが小さいキーワードに対してコンテンツを作っても、さほど流入は増えません。一方で検索ボリュームが膨大なキーワードを選んでも、競合が多いため流入は増えにくい傾向にあります。
Googleキーワードプランナーやruri-ko(ルリコ)などのツールを使用して、検索ボリュームなども加味しながらキーワードを選定しましょう。
対策キーワードが決まったら、記事のタイトルと構成案を考えます。タイトルはユーザーがクリックしたくなるような内容を意識しましょう。数字を入れたり、問いかけ風にしたりして興味を引くこともテクニックの一つです。
コンテンツマーケティングにおいて、キーワードとコンテンツの連動性は非常に重要です。タイトルと構成案の内容にズレが生じないよう、コンテンツを作りましょう。
構成案に沿って、本文をライティング(執筆)します。導入文(リード文)では「結果ファースト」でどのような内容が書かれているかを簡潔にまとめます。最後のまとめ部分では、ユーザーに違和感のない形で商品やサービスに触れると効果的です。
また、記事に画像や図解などを盛り込むとユーザーの理解が高まります。
ライティングが完了したら、編集作業に入ります。具体的には誤字脱字はないか(校正)、事実が正しく記載されているか(校閲)、コピーコンテンツでないか(コピペチェック)などを確認しましょう。
編集は、ライティングした人以外の誰かに担当してもらうことをおすすめします。
コンテンツが公開されたら、以下の施策を実施するとより認知度が高まり多くの人の目に触れやすくなります。
Webコンテンツは公開後すぐに上位表示され、多くの問い合わせを獲得できる――というわけではありません。一般的には、公開後は定期的に順位やPV数などの効果測定を行い、改善策を繰り返すことで徐々に効果が高まっていきます。
Google AnalyticsやGoogle Search Consoleなどのツールを活用し、効果測定を実施しましょう。
コンテンツマーケティングを効率的に進めるポイントを解説します。
ユーザーが繰り返しWebサイトへ訪れることも想定し、トレンドや環境の変化なども踏まえて情報を発信していかなければなりません。
対策キーワードなどにもよりますが、コンテンツマーケティングで成果を出すためには、コンテンツを定期的に一定量、発信し続けていくことが求められます。
マーケティングオートメーション(MA)(※)の登場で、手間がかかったマーケティング活動を効率的にこなせるようになりました。
※業務効率向上と収益向上を目的として、マーケティング活動を自動化すること
コンテンツマーケティングの効率を上げるためには、MAツールの導入もおすすめ。ただし、MAツールはあくまで「マーケティング活動を自動化するツール」です。そもそもマーケティング活動をあまりしていないという場合は、マーケティングオートメーションを使う意味があまりありません。現在実施しているコンテンツマーケティングの方向性や規模感などに応じて導入を検討しましょう。
コンテンツマーケティングは、コンテンツを通して自社の商品やサービスの認知度を高め、最終的に成約へとつなげるための重要な手法です。本記事で解説したような具体的な実践プロセスを把握し、最終目標から逆算して各ステップのユーザーが求める情報を発信していくことが重要となります。
当メディアを運営する株式会社ファングリーは、企業のコンテンツマーケティングをお手伝いするプロ集団としてさまざまなソリューションを提供しています。貴社の悩みから課題を洗い出し、解決するための具体的な施策内容やプランニングなどのご相談にお応えいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
執筆者
コンテンツディレクター/ライター
MIHO SHIMMORI
2023年ファングリーに入社。以前はWebマーケティング会社で約2年半コンテンツマーケティングに携わり、不動産投資メディアの編集長を務める。SEOライティングが得意。ほかにも士業関連や政治など複数メディア運営の経験あり。Z世代の端くれ。趣味はサウナと競馬と街歩き。
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